2015年12月

2015年12月31日

一年一日

1451380046346-244388603一年を一日と考えれば、さてようやくこれから明りを消して、眠りに着こう、というところになるのでしょうか。三が日が、短い睡眠というわけです。

十年一日という言葉もあって、こちらは変わり映えのしないことの謂ですが、それもまた店主の日々を表していないこともありません。しかし差し当たっては、この一年も、僅か一日のように過ぎてしまったというのが、今の気分です。

頑張って今日も店を開けましたが、さすがに通る人とて少なく、店に入って来られた数名の方も、しばらく棚をご覧になったあと、場違いな感じを受けたようにして、静かに出て行かれました。

それでもこの一年、売り上げゼロという日はなく、今日のような日でさえ、表の均一本が数冊、売れてくれました。

しかし冷静に考えれば、必ずしも喜ぶべきことかどうか。休む時はきっぱり休む、ということの大切さも、重々承知しているつもりです。休まなければできないこともあるのですから。

いや、それを休むとは言いませんか。

いずれにせよ、明日から三日間、店主はお休みを取らせていただきます。ただし店の方は、家人が3日の午後から開けると申しておりますから、どうぞ大勢のご来店を、お待ち申し上げます。

本年最後のtea breakを、店の裏でとっているとき、手元の新聞に小さなベタ記事を見つけました。

「レコ大、三代目がV2」――第57回日本レコード大賞についての記事ですが、そこに出てくる文字列が、店主には意味不明。ただ第1回から56年を経たのだということだけは、理解できました。

かくもつまらないことを一年書きつづけてきたことに、忸怩たる思いはあります。しかし愚行こそが人間の証しであるとも言えましょう。来年も愚かな歩みを続けることになると思います。

どうぞ皆様も、良いお年をお迎えください。

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2015年12月30日

不思議なお付き合い

昨日お約束した宅買いに、今朝、行ってまいりました。

マンションのドアを開けると玄関先に段ボール箱が5つほど積み上げてあります。「どれをお引き取りするのでしょう?」と伺うと、「全部」だとのお答え。

1つ2つのつもりが、やっているうちに増えてしまったとのこと。ただ、ダメなものは置いて行って良いとの仰せです。

確かに、商品になりそうもないものも混じっておりましたので、その場で分け始めましたが、残す量が多くなりそうで、この分ではお客様の後片づけが大変だと思われました。

そこで、このまま一度、マンションのゴミ集積所まで持って行き、仕分けをして、要らないものはそこに置いていく、という方法を提案いたしました。

「そんなことまでしていただけるの?」と恐縮されていましたが、当方にとっても、店まで持って帰るよりずっと楽です。結局、整理したら2箱に納まり、それを持ち帰りました。

ところでこのお客様、初めて伺ったときに、「ある方のご紹介」だとおっしゃっておられました。その「ある方」というのは、お電話でこそ何度もお話しているものの、一度もお目にかかったことのない方でした。

10年以上にわたって、声だけのお付き合い。時には本のご注文もいただきましたが、むしろとりとめのない話題の方が多い。しかもそうしたお電話が、多い時には毎日のようにかかってくるほどの電話魔の方。

おそらく建築関係の方で、その方面の蔵書をかなりお持ちだということのほか、どんなお仕事をされていたかも存じ上げません。今回のお客様のお父様は、その建築関係でのお知り合いだったようです。

1451380120431-179873948その「声だけ」の方が、この夏に亡くなられていたということを、お客様から知らされました。そういえば、しばらくお声を聞いていなかったと気がつきました。88歳であられたそうです。思えば不思議なお付き合いでした。

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2015年12月29日

片付かないワケ

14513802139231318606213年の瀬は、何かと身の回りを片付けたくなる気分が高まるようで、小店のようなところにも本のお持込や、宅買いのご用命が、普段より多くなります。

今朝は、先日お話した先生の、今度は研究室まで伺うことになりました。まだまだ先の(と店主などは思うのですが)定年に備えて、少しずつ部屋を片付けたいとのご意向。

朝のうちにお宅まで迎えに行き、そのまま車でご一緒してお勤め先の大学へ。休暇に入って静かなキャンパス、ひっそりとした研究棟。先生のお部屋に入ると、以前伺ったときと同じように、足の踏み場がありません。

今日のところは200冊ばかり、お分けいただきました。店に戻って早速、荷を解くと、今回はあまり線引きがありません。いつも申し上げていることを、すこしはご考慮いただいたのでしょうか。遠出の甲斐もあったというものです。

店の中が、その荷物で散らかっている間に、こちらは駒場に研究室のあるN先生が、一袋の本を提げてご来店。しばらく前に、段ボール数箱お持込いただいた、そのお代金が机の引き出しに入れてありましたので、併せてお支払いいたしました。

お帰り際、「まだ家の方にある本も持ってきますからね、今度は車で」とのお言葉。年明けのことだとは思いますが。

店の裏でお昼をとっていると、ご婦人が宅買いのご依頼だと、家人が伝えに来ました。表に出ると見知った方です。「段ボール1、2箱だけど、来ていただける?年明けでもいいですけど」

「年内にお片付けになりたいんでしょ?」「まあそうです」。場所も存じ上げていて、すぐ近くですので、明日の朝にお伺いすることにいたしました。今日はとりあえず、引き取ってきた本を片付けなければなりませんから。

考えてみれば、例年、年越しで店が片付いていた試しはありません。皆さまのところが片付けば、それで良いとせねばならないのでしょう。

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2015年12月28日

難行苦行

高校生が祖父母を殺害したという事件が、昨夜のTVニュースで報道されました。今朝の新聞にも出ておりましたが、詳しく読んではおりません。どうにも読む気にならないのです。

というのも、ニュースのなかで祖父母の年齢を聞いて、ややショックに近い感情を持ったからです。それぞれ67歳と64歳。

RIMG0677最初聞いたときは、「年寄りが殺された」という程度にしか受け止めていなかったのですが、その「年寄り」は店主と同年代。今さらながらに、自分が立派に「年寄り」であることを自覚させられたのでした。

さて、いよいよ今年も押し詰まって、年中行事の年賀状書きをしております。毎年思い悩むのは、せめて宛名は手書きすべきだろうか、という点についてです。

世間では、宛名まで印刷で済ます、お義理年賀状に風当たりが強い。「虚礼廃止」という言葉がはやったのは、ずいぶん昔のことですが、いまやその「虚礼」の頭目に、印刷賀状が挙げられることも多いようです。

しかし、立派に年寄りとなった店主ですが、その書く文字は大変に幼い。というか、はっきりいえば拙い。これで宛名など書いたのでは、却って失礼にあたるのではないかというくらい。

そんなわけで今年も、ほとんどを宛名ラベルのお世話になることにいたしました。通信面も、もちろん印刷ですから、まさに「虚礼」タイプと目されかねません。そこで、例年一言ずつ、短いメッセージを添えることにしています。

この作業が、年々難しくなってきました。新年くらいは、前向きな気分になれるような言葉を書きたいのですが、テレビをつければ冒頭のニュースです。外を見ても内を見ても、明るい話題が見つからない。

今回も、頭をひねってクロスワード・パズルを拵えたのですが、それも難行。そしてメッセージの苦行。まったく良い年をして、何をしているのだろうと、我ながら呆れております。

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2015年12月27日

線引きの癖

昨日は一件、宅買いに行ってまいりました。15年ほど前からのお付き合いになる、某私立大学教授。当時はまだ、教授になっておられなかったはずです。

そのころは、ご実家住まい。やがて新居へ移られることになっていて、その片付けのためでもあったでしょう、何度か伺いました。最後は、当時の自家用ライトバンで二往復した覚えがあります。

それから何年もの間をおいて、ある日お声がかかり、今度は新しいお住まいの方へ伺うことになりました。伺ってみると、すでに廊下まで、本がはみ出して積み上げられている状態。

廊下の壁面は、造り付けの本棚になっているのですが、腰のあたりまで隠れており、まるで自分の店を見ているよう。

そこをきれいに空けたい、というご要望にお応えして、積まれている本を縛って引き取って来る。ということが、それからのパターンとなりました。昨日が、その何度目かの訪問です。

その間に一、二度、お勤め先の学校の、研究室にもお邪魔したことがあります。そちらも、足の踏み場がないような状態でした。書籍の増殖する勢いに、整理が追い付かないようです。

RIMG0679その先生が、昨日、本を縛りながらお話していると、「段々と買う量が減ってきました」とおっしゃいます。「Kindleで間に合うことも多いですから」。

そう聞いて、ふと疑問に思ったことがあります。

この先生、良い本をお譲りいただける、とても有り難いお客様なのですが、玉にキズは、線引き癖がおありなこと。Kindleに、どうやって線を引かれるのでしょう。

あるいは今後、線引きする場合だけ本を買われるようなことになれば、お引き取りも、二の足を踏むことになってしまいます。

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2015年12月26日

古本屋の余禄

RIMG0690「これ買ってもらえますか?」と、それぞれ10冊ほどに束ねた本が都合3束。30代後半の男性です。

「もちろん。拝見しますよ」

殆どが書店のカバーを掛けたままの状態で、剥いてみるまでどんな本か分かりませんが、新しそうな文庫が20冊ばかりあるように見えましたから、いくらかはお支払できるだろうと思い、そうお答えしました。

すると、帳場の机の上に乗せながら、「ヨメさんに捨てられるところだった」。

手元に引き寄せて、紐を解き、一冊ずつ見ていきますと、文庫のおよそ半分はシワシワです。

「お風呂で読むんですか?」「読んじゃうんですよね」

池井戸潤など、売れ筋の文庫ばかりですが、よく見ると皺が寄っていない残り半分も、軽い読みヅカレがあったりして、あまり良い状態とは言えません。

単行本のほうは、比較的最近の本ばかりでしたが、いわゆる自己啓発本と実用本。結局、最初見た時に感じたほどの値は、つけられませんでした。

それでも、「また誰かに読んでもらえるなら」と、ご機嫌よくお帰りになりました。

さて、その中にあった一冊を、ちょっと開いて読み始めると、これがなかなか面白そう。「I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」(東邦出版 2012年)という本です。

TVでプレイする姿を見たことはありますが、こんなユニークなキャラクターの人間だとは知りませんでした。冒頭から、あけすけなスター監督批判。

良い状態なら、もう少し評価したはずです。表紙にクセがあり、天にキズがありますので、それなりの価格で値踏みしました。売値は、美本の半額を想定。しかし売る前に、まずは読ませていただこうと思っております。

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2015年12月25日

クリスマス特選市

今日は明治古典会のクリスマス特選市。本年、東京古書会館で開かれる最後の交換会でした。

古書会館では毎週月曜日から金曜日まで、6つの交換会が開かれていて、それぞれの会が様々な企画を立て、少しでも会を活性化させようと努力しています。

年に一度は「大市会」と呼ばれる大きな交換会を催しますし、その他にも会によって頻度は異なりますが、「特選市」等と呼んで、通常よりは力の入った市会が開かれるのです。

明古の場合、特選市は毎月一回、最終週。最近ではフリ市が呼び物となっています。その特選市のなかでも年末に開くものを、「クリスマス特選市」と名付け、大市に次ぐ大規模な催しと位置づけています。

今年は、近年のクリスマス特選市の中でも、出品点数が多く、質の良い一口物も数口あって、一年の掉尾を飾るに相応しい市となりました。

店主として興味があったのは、洋書革装本の一口でした。状態の良い特製美装本が多く、おそらくは知られたコレクターの旧蔵品でしょう。それだけに、一点ずつが高価なものに思え、いざ自分で入れるとなると、慎重にならざるを得ません。

しかし結果を見ると、自分が入札しなかったようなものは、案外安い値で落ちていました。もっともそれが古本屋の心情で、こんな場合の落札価格は、大概、安いと感じるものです。実際に入札していたら、それ以上の札を入れられたかどうか。

逆に自分が入札したにもかかわらず、届かなかった場合は、なぜそんなに高いのかと思ったりするわけです。

ただ市場全体で見ると、この特装本の口は、やはり決して高くなかったでしょう。戦前、戦中に発行されたちょっと珍しい雑誌の数冊、さらには藤子不二雄の原画一枚などの方が、美しい革装本より、ずっと高値で落とされていました。

RIMG0688市場が終わったのが午後7時。片づけを済ませ、打ち上げ兼忘年会が午後8時半から開始。市場の興奮冷めやらず、あっという間に10時半。ようやく「お疲れ様でした」となったのでした。

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2015年12月24日

生殺与奪

今朝の朝日新聞の記事を読んで、ため息をつかれた方も多いのではないでしょうか。

本の値引き 仁義なき攻防」と題されたアマゾン絡みの記事です。見出しをさらに写しますと「アマゾン『脱再販・直取引を』/書店は締め付け 出版社戸惑い」。

要するに、刊行から一定期間を過ぎた本は値引き販売をさせろ、というのがA社の言い分。錦の御旗は例によって「顧客の利便性」です。

71301それに対して現在のところ、「一般書店側の強烈な締め付けが出版社の参加を阻んだ形」で、前回5社110タイトルが参加した値引き販売も、今回の呼びかけに答えたのは筑摩書房1社だけだとか。

しかしその「強烈な締め付け」も、いつまで効果があるのだろうか、というのが、多少とも業界に関係、関心のある人々の、いつわらざる心境のような気がします。

アマゾンが日本に上陸し、古本販売をスタートさせた時から、その狙いが新刊市場にあったことは言うまでもありません。戦略的ターゲットは、日本の出版流通機構にあったのでしょう。

ロングテールというのは、利用者を惹きつける手段として有効ではあっても、巨大化する企業を養うには限界があるはず。採算をとるには、美味しいところをごっそりいただく必要があります。

などど、経済知識皆無の店主が、いまさら判じるまでもないことでしょうが。

ただ問題は、生殺与奪権を、ますます巨大ネット販売サイトに握られていく状況にあるように見受けられることです。「アマゾンなしではやっていけない出版社もある」という関係者の言葉が紹介されていました。

なぜオルタナティヴを維持することが出来ないのでしょうか。規模において比較にならない話ではあっても、「日本の古本屋」を運営し続ける意義は、そこに置いています。

「カート外し」を、決め手にさせないことが肝心です。

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2015年12月23日

神楽坂で忘年会

昨夜は、洋書会の忘年会でした。

市場が早くに終わったため、開始時刻の午後7時まで随分時間が出来、店主は会館に残っていろいろと雑用を片付けておりましたが、他のメンバーの中には、時間まで別の店で一杯という人たちもいた模様。

そればかりか、時間より大分早く店に着いて、そこで先に飲み始めていた連中もいました。

そんなわけで、全員が揃って会を始めようという頃には、かなり出来上がっているメンバーが多く、初めからテンションの高い忘年会となった次第です。

会場は神楽坂の「リストランテ クロディーノ」。どんな店であるかは、店主がご説明申し上げるより、サイトをご覧いただいた方が早いでしょう。

名前で分かるとおりイタリアンのお店ですが、さすがは古い料理本も扱うことがあり、ご自身グルメのT書店Oさんの肝煎り。料理も美味しかったですが、ワインが素晴らしい。白も赤も。

KIMG0254例によってあまり旨そうには取れておりませんが、アミューズに続いて出てきた、ホタテ料理。この後がパスタと、メインの肉料理という、シンプルなコースながら、店主は十分堪能いたしました。

なにしろパン皿が空くと、すぐ次のパンが置かれますので、食べきらないようセーブしたほどです。デザートも充実しておりました。

ワインが進むほどに、さらに会話の声は高くなっていきましたが、店内は案外広く、我々の一角は別室になっておりましたから、さほど他のお客様に、ご迷惑をかけることもなかったはずです。

それにしても、久々に訪れて感じたのは、相変わらずの神楽坂の賑わい。年ごとに、人出が多くなっているように思いました。忘年会真っ盛りの休前日ということもあったでしょうが。

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2015年12月22日

洋書会歳末

洋書会も、今年は今日の歳末特選市でおしまいです。

今回の特選は、出品量に関して言えば、いつもに比べ、決して多くはありませんでしたが、地方からの面白い一口物があったおかげで出来高も良く、盛り上がりました。

その一口物というのは、ヘミングウェイを中心とする英米文学初版本の口。1冊で100万円を超えるような本も、数点含まれておりました。

中国地方の、某コレクターの旧蔵書だといいます。洋書会のメンバーでも、何人かは、その方に納めたことがあり、その方面では名の知られた方のようでした。

幸か不幸か、小店の扱う分野とは異なりますので、高みの見物を決め込み、各店が熱心に札を入れる様子を、傍からうかがわせてもらいました。

RIMG0647開札結果に喜ぶ人、悔しがる人がいることは、1万円の本でも、100万円の本でも、違いはありませんが、高額本の場合は、果たしていくらになるのかという興味が増すことも事実です。たとえ無縁の世界であっても。

もちろん、今日の市場はその口だけというのではなく、他にも、会場が埋まる程度の出品はありました。例年のように、陳列台の上に壁ができるほどの大量出品はなかった、というだけです。

それは、出品者にとっても望ましいことだったかもしれません。溢れるほどの出品で、自分の出品物が驚くほどの安値で落札される、というようなことは起きずに済みましたから。

店主も、そのような本口(まとめて出品されている本)のなかには、興味を引かれるものもありましたので、何点か入札いたしましたが、ディスプレイ需要が入っていた書店もあったようで、結構良い値になり、ほとんど落札できませんでした。

というわけで、会の終了は午後4時。会場の片づけも早く済んで、近年稀にみる、体力を要しない歳末市となりました。

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