2016年04月

2016年04月30日

余計な手間

昨日、注文が入った本のうちの一冊は、その形状もはっきり記憶にある本でした。データベースを確認し、すぐ見つけられるだろうと、在庫場所に向かいました。

RIMG0988ところが案に相違して、なかなか見つかりません。どこか別の場所に移動させて、記録し忘れたのかと、可能性のありそうな棚を探しました。

そのうちふと思い当たることがあり、取り置き品の保管場所を見ると、やはりそこにありました。今月の初め、すでにお電話で注文があった本です。だから記憶に残っていたのでした。

その折、メールであらためてご発注くださるようお願いしたところ、すぐにお名前と、注文書籍名、校費で購入したい旨のメールが届きました。留学生の方のようですが、日本語に不自由はなさそうです。

しかしご住所も電話番号も書かれてありませんでしたので、校費の書式をお尋ねし、併せて送り先の連絡をいただけるよう、返信を出しました。

数日待ってもお答えがないので、もう一度、重ねてお尋ねのメールを出しました。そしてそのまま3週間以上が経ち、昨日、その同じ本に、別の方からご注文が入ったというわけです。

「日本の古本屋」から下げておくのを、うっかり忘れていたのは失敗でした。しかしこれだけ放置されていれば、本来、取り置きは無効です。それでも、一応お知らせだけはしておこうと、取り置き解消のメールを出しました。

すると今度は、その翌日、つまり今日、購入意思を示すメールが返ってきたのです。説明が不十分であったと詫びられながら、相変わらず、送り先も、書類宛名も記されていません。

後から注文いただいた方に、一応、ご説明はしてみますが、優先権は後の方にありますというメールを、再度お返しいたしました。

今度もすぐ、承知した旨のお返事が返ってきました。

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2016年04月29日

収集家の変遷

世間は大型連休の初日というのに、明治古典会が祝日開催ということで、お昼に店を出て古書会館に向かいました。

いつもとは街の景色が違って見えます。電車に乗ると、車内は子連れの家族が多く、さすがは休日という雰囲気。

神保町も普段とは違う人波でしたが、古書会館に入ると、ここばかりはお馴染みの顔ぶれ。それでもどこか、お休み気分が漂っているのが不思議です。

今日の交換会は、署名本コレクターの蔵書約6千冊という一口が入って、それだけでかなり会場を埋めておりましたが、このコレクターはまた色紙も集めておられ、その数約4百枚。それらが陳列の場所をとり、まさに所狭しと並んでおりました。

もちろん、そればかりではなく、ほかにもいろいろと出品されておりましたが、店主が入札したものは数少なく、落札はゼロ。珍しいことでないのが、我ながら情けないところです。

RIMG0978さて4月も今日が最終金曜日、特選フリ市の日です。色紙4百枚は丹念に仕分けられておりましたが、1枚から数枚で値になりそうなものは数十点。

そのなかでも、特に値が付きそうなもの20点ばかりが選ばれて、フリにかけられました。

色紙といっても、あるいは何のことだかわからない方もおられるかもしれません。著名人のサインや、識語、時には絵などが書かれた色紙は、短冊、書画などと共に肉筆物と呼ばれ、コレクターズアイテムのひとつとなっております。

したがって、高額で取引されるものもあるわけですが、全般に相場が下がってきているのは、ご多分に漏れません。

とりわけ古書店が得意としてきた文学者系のものは、今日の市場でも軒並み低調でした。最も高額だったのは司馬遼太郎の一枚でしたが、それでも石森章太郎の絵入り色紙の半額にも満たない落札価格でした。

コレクターの変遷を考えれば、当然の結果でしょうか。

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2016年04月28日

Y先生の快哉

Y先生がちょくちょく小店にお寄りくださったのは、開業して5年から10年という時分だったと思います。

自分の専門を、何とか定めようと足掻いていたころで、演劇を中心とした芸術関係の洋書を、せっせと集めておりました。今思えば夢のようですが、外国へ出かけたり、外国の書店から仕入れたりもしていたのです。

ですから、演劇学者であるY先生の知遇を得られたのは、とても勇気づけられることでした。

余談ですが、当時小店を何かと応援してくださった先生方には、Yのイニシャルが多いことに気づきました。由良君美先生しかり、横山正先生しかり。山口昌男先生とは僅かなご縁でしたが。

そんな頃、演劇関係洋書の一口が市場に出たことがあり、その時手に入れた何冊かの珍しい本の中にGordon Craig の限定本がありました。

RIMG0968それを伊勢丹大古本市の目録に掲載したところ、ご注文くださったのがY先生でした。「もっと高くてもいい本です」とおっしゃりながら、初日に会場で引き取っていかれたことを覚えております。

昨日お持ちいただいた3冊の中には、その本は含まれていません。そのことをご子息に申し上げると、もう一度よく調べてみますと言い残して、お帰りになりました。

小店がお納めしたままの状態であれば、まだそれなりの値はつくはずです。ただ当時のようには、いかないでしょうが。

あの頃、Y先生は洋書の値段の高さについて、よく愚痴をこぼされていました。特に輸入書籍のレートが不条理であると、怒りを漏らされたこともありました。

昨日、ご子息から伺ったところでは、晩年Amazonで本が買えるようになった時、「ざまあみやがれ」と過激な表現で喜ばれたとのことです。さもありなんと思います。

先生は21世紀を見ずに亡くなられました。現在の状況をご覧になっても、なお喜ばれたでしょうか、あるいは、さすがに行き過ぎだと、嘆かれたでしょうか。

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2016年04月27日

ご愛蔵の本

昨日、会館から店に戻る途中、店からメールが入りました。

お客様から何冊か本を預かっている。店主が戻るまで、近くで時間をつぶしておられる、と。

20分ほどして店に着き、まずお預けになったという本を見てみました。Gordon Craig の限定本、初版本が3冊。一体どんな方が持ってこられたのか、興味が湧いてきました。

早速伺っていた電話番号にかけると、お出になりません。もう一度本をあらためました。状態が良ければ、それなりの価格で売られている本ですが、いずれも保存状態が良くありません。

RIMG0966それにしても、この3冊だけお持ちになったのには、何か理由があるのでしょうか。他に、こうした関係の本はお持ちでないのでしょうか。

いろいろ思いをめぐらせているうちに、お客様から電話がありました。店に戻っている旨を告げますと、しばらくしてお顔を現されました。そしてご本人の口からお名前を伺って、すべての疑問が一瞬にして氷解いたしました。

20年以上も前、演劇関係の本を沢山お買い上げいただいた、M大学のY先生。今、目の前におられるのはそのご子息であり、つまり、3冊はY先生のご蔵書というわけです。

珍しい本をお持ちの訳も、その状態が良くない訳も、それで分かりました。状態に頓着される先生ではありませんでした。

奥様がまだお元気で、今回は、先生が大事にしまっておられた本を、話に聞かされていた小店に持って行くよう、お指図があったということです。

現今の相場と、現物の状態から、とてもご満足いただける値はつきません。小店の評価を申し上げ、その上で一度、市場に出してみましょうとご提案し、ご了解をいただいたのでした。

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2016年04月26日

本屋のお客

火曜日は洋書会。しかし今日は市場を覗いたのは、お昼前の一瞬だけ。

正午から、出品アプリ「DASKA」の検討会議。ここまでの出来上がり具合を評価し、改良すべき点を上げていくという会議です。

終わって昼食。その後再び会館6階で、今度は熊本地震で被災した同業への、義捐金について協議。

熊本組合の組合長と連絡を取った結果、分配方法は同組合で考えるとのことで、募金を呼びかけることに決定。

まずは全国の理事長・組合長に、その旨を通知し、その後、メールやファックスなどで全国同業に知らせることにしました。

KIMG03963.11の時は、全古書連総会で決議することが出来ましたが、今回の震災が起きたのは、その総会が終わった日です。会議に掛けようがありません。

不幸中の幸いに、人的被害や、建物の倒壊といった深刻な事態は、同業の間では聞いていないというお話です。

そこで今回は、お見舞金を全古書連で受け付け、一本化してお渡しする、という方法にいたしました。組合長も、見舞金として一律分配するつもりのようです。

そんな打ち合わせの間に、洋書会は終わっておりました。

帰りの地下鉄の中で、熊本組合長からメールで送られてきた「地震日記」のコピーを読みました。A4用紙4枚にびっしり書き込まれています。

九州男児らしく泣き言はありませんが、やはり大変な様子は伝わってきます。中でおかしかったのは、散乱した本を片付けている最中、外国人が来店して版画を値切ったり、「他県から」本を買いにお客様が来られたという話。

呆れもし、ありがたくも思うのでした。

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2016年04月25日

新入荷の悩み

平日の都心を車で走るのは、久々のことです。昔のことを思えば、さしたることもない渋滞も、いつも空いた道ばかり走っている身としては、ずいぶんの混雑と感じました。

出かけた先は田町駅近く。渋谷から六本木ヒルズの下のトンネルを抜け、鳥居坂から麻布十番、赤羽橋を経由して芝公園で日比谷通りを左に折れ、しばらく行ったところが目的地です。

地下鉄三田駅にも近く、交通至便。そんなところへ、わざわざ車で出かけたのは、宅買いのためでした。前には運送屋さんのトラックを頼んで、カーゴ5台ほどお引き取りした、同じお宅です。

さすがに量としては半分以上を、前回運び出したと思われますが、まだあちらこちらに書棚や本箱があって、もう一度くらい運送屋さんを頼むつもりにしておりました。

しかしご依頼者である旧蔵者の奥様にすれば、別に急いで片づけるおつもりはなかったようです。とりわけ普段目にする部屋の書棚は、急に空になるのは淋しいので、少しずつ整理していきたいとおっしゃいます。

そこで次からは、というのはつまり今回からは、小店の車で積めるくらいを選んで、お引き取りしてくることにいたしました。

RIMG0914最初の時点から、良くご意志を確かめておくべきでした。時間をかけてで良ければ、もう少しやりようがあったと思います。ディスプレイの材料にしかならないものと、本として売れるものを、もっとじっくり選別できたはずです。

今日もゆっくり書棚を見ながら本を選んでいると、ディスプレイにするには惜しい本が沢山見つかりました。稀覯本、初版本といった蒐集家向けの本は殆んどないのですが、店の棚に並べておけば、まだ買い手が付きそうな本。

それらを200冊ばかり車に積んで、店に戻って、さてしかし、これを棚に挿すためには、何を棚から抜き出せばよいのだろうかと、また思案にくれるのでした。


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2016年04月24日

今日の3冊

RIMG0937同志社大学 神学部』(佐藤優、光文社、2012年)、『江戸のノイズ』(櫻井進、NHKブックス、2000年)、『バベルの図書館』(NTT出版、1998年)

互いには何の関連もありませんが、今日、つい仕事の手を止めさせられた3冊の本です。

1冊目は単に同志社の名に惹かれたにすぎません。もちろん著者がその出身であることは知っておりましたし、別の著作で、神学部と恩師について書かれたものを読んだはずです。

もっぱら知った固有名詞が出てこないかと、下世話な興味でパラパラと頁を送ったのですが、出会ったのはたったひとつ「此春寮」という言葉。店主もほんの一時、住んだことのある寮です。

2冊目は、何気なく開いたときに「熱田」という文字が目に入り、第2章第4節に城下町名古屋と、熱田との関係などが書かれている部分を読みました。

「江戸」論で「熱田」が出てくる意外性に驚いたのですが、著者の略歴を見て名古屋の方だと知り、納得した次第です。

3冊目の本は、こんな展覧会があったことを知らず(知っていたかもしれませんが、記憶に残っていなかったことは確かです)、興味を持って開いたところ、目次の中に、今は亡き恩師の名を見つけ、懐かしさにページを追いました。

しばらく無沙汰を重ねた後、不思議な偶然でお目にかかることができた時、確かにNTTの美術館に勤めておられると伺いました。初台にあるインターコミュニケーションセンター(ICC)で、案外近くにおられることに驚いたものです。この本では副館長という肩書がついていました。

しかしその後、2、3度音信を交わしたきりで、再びお会いする機会もなく、他界されてしまわれたのです。

というわけで、ごく私的な関心を呼び起こしたというだけの、3冊の本のお話でした。

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2016年04月23日

追跡サービス

昨夜、店に戻ると、フランス在住の方から、クレジット決済通知が届いておりました。SAL便で送ってほしいというご要望でした。

外国への発送は、EMSでなければ、書留を付けさせていただいております。その場合、翌日午後の集荷担当の方にお願いすると、書類の関係で、二度手間をお掛けすることになりますので、帰りがけ、自宅近くの局へ出しに行くことにしました。

ここの24時間窓口は、ほぼ毎晩のように利用していますから、大方の局員さんと顔なじみです。バーコードシールを貼ってハンドスキャナーで読み込み、同じ端末で送り主住所と宛名の部分を撮影し、それらが印刷された受領証を渡してくれました。

この「お問い合わせ番号」が、大きな安心であるわけです。

そいうえば、「日本の古本屋」の力で、ゆうメールにも「追跡番号」が付けられないのか、という質問が先の全古書連総会でありました。その質問主によると、以前は出来たと言います。

もちろん今でも書留にすれば出来るのですが、もっと安価なサービスがあったということでしょう。寡聞にして店主は存じませんでしたが。

そして今でも、Amazonのゆうメールには追跡サービスが付いていると、その方はおっしゃいます。同じことを「日本の古本屋」で何とか実現できないか、というご要望なのでした。

結局これは、Amazonが自社倉庫から発送する場合にのみ出来ることで、普通に出品している店が、自店から送る分については、このサービスは適用できないことが分かりました。

RIMG0875日本郵便は民営化以降、数の力が大きくものをいうようになっています。その点においては、彼我に大きな開きがあるため、あちらでできることがこちらでは難しいということが、沢山あるようです。

しかしこの場合は、数というより、その仕組みの違いが問題なのでした。

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2016年04月22日

SPレコード

全古書連の総会では、お定まりの議題のほかに、各地組合報告というものがあります。

全国52の加盟組合のうち、総会に出席するのはその半数程度に過ぎませんが、それでも北海道から九州まで、それぞれの組合の声を生に聞く、ほとんど唯一の機会です。

その報告の中で、目立って多く言及されたのが、「日本の古本屋」に関する問題でした。質問であったり、要望であったり、提案であったり。

中でも今回、印象に残ったのは、九州のある組合からの、「日本の古本屋」ではレコードも売れるのかという質問でした。

もちろん古本屋の営業品目である限り、何を出品しようと制限はありませんが、売られているということが周知されていなければ、出す意味がないとも言えます。

この質問の背景には、昨今のちょっとしたレコードブームがあります。これまで値がつかなかったようなLP、SPレコードが、最近市場で人気だとは、店主も耳にしたことがありました。

RIMG0930何とか対処法を考えましょうと、その場では回答したのですが、総会後の懇親会で発言者と同じテーブルとなり、そこで面白い裏話をお聞きしました。

九州のある市場で、SPレコードの束が出品され、他に競る人もなく、ごく安値で手に入れた業者がいたそうです。

ご当人もさして期待せず、それらをネットオークションに出してみまたところ、中の一枚にとんでもない値が付き始め、最後は500万円以上にまで跳ね上がったとか。

以来、二匹目のどじょうを狙って、SPレコードを扱う古書業者が急増しているといいます。ささやかなゴールドラッシュとでも言ったところでしょうか。

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2016年04月21日

金持ち喧嘩せず

という言葉を、ふと思い出しました。「日本の古本屋」事業部定例会議。例によって一足先に失礼し、雨の靖国通りを地下鉄の駅まで歩く途中に。

2年間お付き合いしてきたシステム運営会社が、この4月一杯で、新しい会社にバトンタッチします。目下その引継ぎのOJTなるものを、新会社との間で毎週のように続けておられます。

今日の会議は、その進捗状況の聞き取りと、残課題の整理がもっぱらの議題でした。

日本有数の企業の情報事業部門が、われらが「日本の古本屋」リニューアルに手を挙げて来られた時は、誰もが半信半疑だったと思います。

寄らば大樹の陰、というわけでもありませんが、多少コストがかかっても、それ以上の信頼性を期待して、事業部の総意で、その会社に新サイトの設計、運営をお願いしたのでした。

昨年1月、予定より遅れたリニューアル・オープンの頃までには、とうに蜜月時代は終わっておりました。募るのは不信感ばかり。オープンはしたものの、我々の要求とは程遠い内容です。しかもその不満足なシステムにさえ、まだ多くの補修が必要でした。

その優先順位を検討している間に、契約金額を使い切り、資金不足となったという報告。最低限不可欠な手当てのために、やむを得ず追加資金を補てん。

ところが満足に補修が進まないうちに、トラブルの頻出も重なって、またも「燃料切れ」を訴えられます。その後は、追加資金を出す気になれない事業部と、今後は補修ではなく新規開発となる、とするシステム会社との間で、不毛な交渉が続きました。

いつごろからか会議の席で、声を荒げて難詰するようなことが、当たり前の光景となっていました。荒げるのは無論、我々事業部のメンバーです。そうしたからと言って、事態が好転するはずもないのに。RIMG0920

そしてついに最後までその挑発に乗らず、無事に(?)手を引く日を迎えようとしているのが、一流企業のSEさんたちなのでした。

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