2016年04月

2016年04月20日

今どきAV

「映像制作の仕事をしている××というものですが…」

男性の落ち着いた口調は、毎日のようにかかってくる営業の電話より、よほど上品です。先を聞いてみることにしました。

「そちらのお店を撮影などに使わせていただく、ということは可能でしょうか」

「あまり積極的にお受けしておりませんが…」と、いささか歯切れの悪い返事になったのについては、多少の色気があったことを否定いたしません。

にべもなく断って、あとで後悔するようなお話であったりしたら、家人らからも非難を受ける可能性があります。

すると続けて「アダルトの撮影をさせていただくというのは、ご無理でしょうか」。どこまでも物静かな話ぶりです。ギョーカイのノリとは全く無縁。しかし思わず苦笑してしまいました。

「やはりお受け出来ないと思います」。それだけで、あっさり引き下がられました。

突然の電話ではあったのですが、「テンチョーさんは」「シャチョーさんは」と言ってかかってくる電話のような、後味の悪いものではありませんでした。

KIMG0394この年まで、いわゆるアダルト・ビデオなるものを見たこともなく、商品として扱った経験もありませんので、むしろ興味を惹かれたくらいです(聖人君子だと申しているのではありません、念のため)。

お話だけでも、もう少し詳しく聞いておけばよかった。なぜ小店に電話してこられたのか。事前に小店をご覧になっておられたのか。背景に本が並んでいることが必要だったのか。

そして、今どきのアダルト業界というものについて、とりとめのない想像をめぐらしてみるのでした。

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2016年04月19日

災害支援

RIMG0913火曜日にゆっくり店を出られたのは、4週間ぶりのことです。お昼に古書会館に着くと、洋書会の当番会員たちは、ちょうど昼食をとっているところでした。

会場は、おおよそ全ての平台が埋まる程度の出品量で、そこそこ多い。まだ仕分け途中のものも残っていました。作業の分量を考えて、ひとまず食事をとることにしたのでしょう。

最も目を惹いたのは、金色のアラビア文字も鮮やかに、赤青緑の派手な色で装丁された本の一山。店主には、まるで何の本だか見当もつきませんが、関心を持つ業者が何人か、品定めをしていました。

他には社会科学の口、英米文学の口など、いずれも100冊以上の単位で仕分けられたものが多く、ちょっと札を入れてみようという気にさせるものが、なかなか見つかりませんでした。

演劇、雑芸関係の本が40冊ばかりまとまって出品されていましたが、全般にコンディションが悪く、すでに持っている本も多く含まれていましたので、あまり気のない札を入れてみたところ、案の定、突き上げるだけの結果に終わりました。

突き上げられた買い手にはお気の毒ですが、他人に買われて見ると、今度は一転、良いものを逃したような気分になってくるのが不思議です。単に、あさましいだけでしょうか。

理事長と二人、近くのイタメシ屋で昼食をとりながら、熊本地方の震災への対応について話し合いました。

まだ現地の同業たちの状況が明らかでない上に、災害も収束したとは言えない状態で、具体的な方策の立てようもないのですが、心構えだけはしておかなければなりません。

義捐金を募るのか、募るとしたらどういう形にするのか。過去には、大災害の度ごとに、様々に異なる対応をしてきました。毎回事情が異なるからです。

額はともかくとして、募金を集めることはさほど難しくありません。問題は、誰に受け取っていただくかです。

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2016年04月18日

「コショタンのマーチ」

さる4月13日、全国古書籍商組合連合会の定時総会に続く懇親会の席で、大阪組合製作の「め〜探偵コショタン」のために作られた、第2曲目の歌が披露されました。

「め〜探偵コショタン」は、東京組合のイベントにも来てもらったことがあり、特に神田古書店連盟では、その後も何度かお招きして、すっかりお馴染みになっています。

いまでは一大阪組合のものというよりは、「日本の古本屋」全体のマスコットとして、ホームページなどでも紹介し、認知度向上に努めているところです。

ちなみに「日本の古本屋」トップページの下方に、画像と、「ぼく、メ〜探偵コショタン。ぼくのうたができたよ!ここから聴けるよ!みんな聴いてみてね!」というリンクが貼ってあります。

このリンクから聴けるのは、「め〜探偵コショタンのうた」という第1作。ご存じない方は、どうか一度お聴きになってください。

ここでは「うた渡邊敦子、演奏アンサンブル・セドラー」としかクレジットされていませんが、作詞はこのキャラクター発案者の一人である、現大阪組合理事長。作曲はセドラーの一員。

現理事長ですから、今回の総会にも当然出席されていました。もちろん懇親会にも。

KIMG0387そしてその席でアンサンブル・セドラーが、前作に続き同理事長から委ねられていた歌詞「コショタンのマーチ」に曲をつけたものを演奏する、という運びとなったのです。

事前に演奏の曲目は知らされておりませんでしたから、メンバーの一人が「世界初演です」と言って紹介した時は、当の理事長、飛び上るほど驚いておられました。

一体アンサンブル・セドラーとは何者か?と疑問の方もおられるでしょう。東京の古本屋さんによる演奏グループで、その活動歴は10年を超えます。初期の頃と違って、安心して聞いていられるアンサンブルになりました。

曲も今回の方が良いと、店主は思います。YouTubeへの登場が待たれるところです。

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2016年04月17日

「真っ赤な太陽」

平凡 完全版 最後の最後の歌本 美空ひばりさん あなたの歌で生きてきました!」という長いタイトルのムックがあります。

もっともどこまでがタイトルなのか、良く分かりません。ともかく表紙には、これらの文字が大きくレイアウトされていました。写真に撮っておけばよかったのですが、すでに手元にありません。

この本を、opp袋に入れて、店頭に出しておいたところ、つい先日、買い手が付いたのです。

一昔前の、いや古き良き時代のアメリカ人といった、スーツ姿に髪も固めた40代くらいの外人男性が、表からその一冊を持って店内に入ってきました。

「これはどういう本ですか?」と日本語でお尋ねになります。「古い写真の本でしょうか?」

「有名な歌手の本です、日本人なら知らない人がないくらいの」「何という人ですか?」「ミソラヒバリといいます」

すると「ああ、知ってます」と言って、いきなりハミングを始めました。4章節ばかり。紛れもなく「真っ赤な太陽」です。

「開けてご覧になりますか?」「おねがいします」

パラパラと見ていくと楽譜が中心。「私は漢字は読めませんが楽譜なら分かります。日本の昭和の歌が大好きです」そう言うと、喜んでお買い求めくださいました。

RIMG0899お帰りになったあと、あの外人さんは、一体あのムックの、どの部分に反応されたのだろうという疑問が湧いてきました。漢字が読めない、顔も知らないというのに。

表紙には「歌」のほかに「曲」という文字もありました。そのあたりで見当を付けたのでしょうか。

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2016年04月16日

心配な事態

昨日までの一週間、毎日朝から、古書会館に通勤したようなものでした。そのことを言い訳にするつもりはありませんが、店の仕事が疎かになったことは、否めない事実です。

辛うじてできたのは、ネット注文の受け答えと、荷造りくらいですが、そのなかで一つ失敗をやらかしていたことが、今日になって分かりました。二重受注です。

14日の夜、打ち上げを終えて店に戻ったのが午後9時半。ネット注文をチェックしていると、少し前に受信したらしいクレジット受注が1点残っていました。

在庫を調べてみると、すでに取り置き棚に入っています。本当はこの時点で不審に思わなければならないのですが、Χ君が帰る前に取り出しておいてくれたと思い込み、お客様に決済メールをお送りしました。

15日の朝、郵便振替口座への入金を確認していた際、1件だけ、思い当たる節のないお名前がありました。受注メールを調べても、該当するものが出てきません。

後から分かったところによりますと、14日の昼間、ある方から電話で同じ本について問い合わせがあり、ネットかメールでご注文いただくようお願いしたところメールが届き、それにこちらから送金先などを返信していたようです。折返し、送金したというお電話もいただいていたらしい。

一方、クレジット決済の通知が届いたのは、昨日の夜中です。今朝になって他の受注品と一緒に伝票を作り、荷造り発送する準備まで済ませたところで、数日間溜まっていたメールボックスの整理を始めました。

受注メールなどに振り分けられていない、一般メールはジャンクの山。次々削除していくうち、ひょっこり、くだんのご注文メールが見つかり、状況が明らかになったのです。

RIMG0890クレジット注文の方には、お詫びと返金の旨をメールいたしました。あとはメール注文の方に本をお送りするだけなのですが、今となっては躊躇しております。送り先住所が熊本市東区なのです。

郵便物は無事届くのでしょうか。

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2016年04月15日

トン汁の大市

本日は片付け日。通常の市会と違って、当日は一部の例外を除き、落札品の持ち帰りが出来ません。

その例外と言うのは、最終台に置かれていたような高額品で、お持ち帰りいただいた方が、こちらも安心できるようなもの。ただし台帳に、ご本人の署名が必要です。

それ以外の、会場に残されている落札品を、名寄せし、付け合せをする。それが今日、朝からの仕事でした。

名寄せと言うのは、同じ落札者の品物を一か所にまとめること。ある程度は昨日のうちに済んでおりました。この手の作業の段取りは、ノウハウの積み重ねで、とても洗練されてきています。

今回は出品量が少なめだったこともあって順調に進み、付け合せも特に問題なく終わったようでした。付け合せと言うのは、落札者ごとにまとめた本を、その人の落札リストを見ながら、1点ずつ照合していく作業です。

RIMG0896あとは地方などへの発送という仕事がありますが、昨今はもっぱら専門業者にお任せ。つまりその立会いに、数名が残れば済みます。

というわけで、午後3時にはほぼ作業完了。最後の片づけや点検は、若い人たちと担当理事に任せることにして、その他の理事は、そこで解放していただきました。全古書連週間が、これで終わったわけです。

全て満点とはいきませんが、今回の総会・市会は、なべてうまく行ったと思います。

その中でもとりわけ好評を博したのが、食事係。会期中、毎日の昼食とおやつを準備し、提供する係です。

昼食はデパートから取り寄せのお弁当でしたが、その他に、ある日はおでん、またある日はトン汁と、工夫を凝らした一品を加えて、口うるさい連中をも黙らせました。

とりわけ熱々のトン汁は、同僚理事が前夜、70人分を手作りしたもので、皆の印象に残ったはずです。今回の市会は、これによってのちのちまで、お手伝いの人たちに記憶されることでしょう。

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2016年04月14日

歓迎大市の打ち上げ

コショタンマーチの件は、また日を改めることにいたしましょう。今日のところは、やはりホットな話題を。

全古書連総会歓迎大市会は、本日の午後5時半、最後の発声をもって無事終了いたしました。その最終発声となったのは、知る人ぞ知る、永井荷風の発禁本『ふらんす物語』。

萩原朔太郎の無削除版『月に吠える』と同様に、世に存在しないはずの本です。

約3300点という出品点数の中で、最高の落札価格となったのが、一冊の印刷本であったということは、古本屋にとって、どこかほっとさせるものがありました。

もちろん肉筆物や、古典籍などでは、さらに高価なものも多数存在します。その手のものが、今回は出なかったということでもありますが、いつになく大勢の同業が残って、最後まで発声に耳を澄ましていたのは、やはり本であるゆえに興味を持つ人が多かった、ということでしょう。

その手のものが出なかった、と申しましたが、正確に言えば、出なかったわけではありません。同じ荷風による、私家版『濹東奇譚』の肉筆原稿も出品されたのですが、こちらは売買不成立となったのでした。

それはともかく、この『ふらんす物語』、落札者の上札は、落札額の倍近い金額でした。競り合う人さえいれば、その金額まで跳ね上がったかもしれないのです。

さて今回の約3300点という出品点数は、一昨年の全古書連大市会約4800点に比べると、7割ほどの数です。負け惜しみで言うわけではありませんが、程の良い量だったと思います。

2ヶ月ばかり前の中央市会では、約5800点の出品があったと聞きます。もっともこの時は、出品最低価格が5千円(今回は1万円)で、敷居が低かったという面はありますが。

RIMG0521 - コピー出来高は、その中央市会とほぼ同程度。さすがに前回大市よりは少ないですが、7掛けよりは多かった。つまり一点単価が上がって、効率の良い市であったと言えるわけです。

というわけで、片づけを終えて午後7時から、60名ほどの関係者で、気分よく「打ち上げ」をいたしました。

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2016年04月13日

全古書連総会

あれから、もう一年経ったのだなと、あらためて思いました。総会と懇親会を終えて帰る地下鉄で一人になって。

去年の総会は京都でした。一年前のブログを読み返すまでもなく、夜の木屋町で旧友と飲んだこと、翌日は有馬温泉へ足を伸ばし、秋には弔いをすることになる別の旧友と、今生の分かれをしたことは、まだ昨日のことのように鮮明に記憶しています。

年年歳歳、人同じからず。

BlogPaintところがそんな感慨とは裏腹に、今日の会議・懇親会出席メンバーは、ほとんどが去年と同じ顔ぶれでした。

われわれ東京組合は任期2年、その去年と今年ですから、それは当然としても、他の組合の役員さんの多くは、これまで何度も顔を合わせた常連さん揃い。

しかしそれを裏返して言えば、店主自身がいつの間にか、この会議の常連になってしまっていたということでもあります。

他組合にはそれぞれの事情があり、長く続けておられる組合長さんがたには、心から敬服するばかりですが、わが身に関しては、長く続けすぎたという反省がしきりです。

今期は、次世代への橋渡しとして、最後のお勤めのつもりで臨みました。その最後となる総会を終えたことに、感慨がないわけでもありません。ただ、まだ明日の入札会が残っております。

店主はこちらに関しては、傍役にすぎませんが、大方の関心は総会などではなく、大市会にあるはずです。明日の夜には良い結果を聞いて、皆で旨い酒が飲めることを願うばかりです。

ところで今日の懇親会で、アンサンブルセドラーズが、コショタンマーチの世界初演をいたしました。この話のほうが面白かったですね。明日にでも詳しくお伝えします。

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2016年04月12日

改正規定集

RIMG0856大市の準備は今日で終了。明日は下見日、明後日が入札日となります。

今日もまた肉体労働は免除。その時間を、明日の総会のための準備と、もう一つ、組合規定集の改訂作業に費やしました。

東京古書組合は、法に定められた協同組合ですから、定款、規約などを備えております。しかしその印刷物は、およそ20年も前に発行されたまま、今日まで再刊されておりません。

組合員にしか渡さないものですから、未だに残部があるのですが、さすがにそれも僅少となってきました。加えてこの20年の間には、規約はもとより、定款さえ改正されております。

諸規程に至っては、そこに書かれている文言と実際とが、大きく乖離する事態も生じています。そのため、しばらく前から、新版を発行しようという計画はありました。

定款、規約に関しては、総会で承認を受けることが必要ですから、改正の記録は残されております。しかし、より実務的な規程や、さらに具体的な細則といったものは、時々の理事会で承認されています。

この20年の間には会館の建て替えや、事務局長の交代などがあり、それらの資料が少なからず散逸してしまっていることが、新版発行の大きな障害となっておりました。

しかしいつまでも古い規定集しか印刷物として存在しないのでは、新たな加入者には、正しい情報を与えられないことになってしまいます。

そこで全ての規定を網羅しようという考えを捨て、確定しているものだけでも印刷しておこうというのが、新版のコンセプトとなりました。

とはいえ理事会で修正可能な規程・細則は、少しでも現状に合った文言に改正しておきたい。同僚3人、それが今日の主要な仕事となったのでした。

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2016年04月11日

都内荷受

全古書連歓迎大市会、準備2日目。

都内荷受というのは、文字通り、都内の業者さんの出品物を、明細と照らし合わせながら受け取る作業。自身で持ち込まれる方もありますが、大市などでは、要望があればお店まで集荷に伺うことになっています。

この「要望」を尋ねられるのが、業者にとってはプレッシャーでもあり、主催側はそれが狙いでもあるわけです。

RIMG0859今回は主催側ですので、こちらから集荷をお願いし、朝のうちに出品物を用意しておいて、古書会館に出かけました。

古書会館へ着いてからは、若い同業たちがテキパキ作業を進める中、邪魔にならないようにしていることが、ロートル組にとって一番の仕事。一方で、明後日には全古書連総会が控えております。その報告原稿をまとめる参考に、応接室で古い「古書月報」を繙いてみることにしました。

合本になっているバックナンバーを、何冊か手に取って開いていると、つい引き込まれて読み耽ってしまいます。一番引き込まれた記事をコピーに取りました。一部をご紹介いたします。

(前略)これは飽食暖衣するには不足かも知れないが、決して生活を送り得ない割合ではない。経営の合理化によって十分活路は見出し得る筈である。しかも文化的価値ある書物の出廻りは決して杜絶したといふわけではない。業界の心からなる協力を期待する次第である。なほ、価格の覆ひが被せられたことから、個々の営業の方針にも革新が招来されるわけだ。棚の合理的整理、分類の工夫、カードその他の索引の備へ付、書物に対する種々の研究等々に創意を働かすことによつてその店々の特色を確保するといふことにもなるであらう。

昭和16年1月号に掲載された、「価格設定に関する覚え書」と題する商工省物価局物価事務官・前田福太郎氏の寄稿文です。

統制経済の時代、古本公定価格が実施されようとしている時の、施策者側の論。全文掲載したいほど、考えさせられるところの多い文章でした。

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