2016年07月

2016年07月31日

選挙特需

朝、まず選挙を済ませました。

店主の「よりまし」は、いつも負け馬です。今回もおそらくそんな結果になるだろうと、家人ともどもため息をつきながら出勤。

午前8時を少し回ったばかりですが、早速店を開け始めました。家人言うところの「選挙特需」を当て込んで。

初めからそれほど期待したわけではありませんが、それにしても人通りはまばらです。ところが用あって隣のコンビニに行くと、店内は明らかに普段より人が多い。

今日のお昼は近くのパン屋さんと決めていましたので、早目に買いに行ってもらいましたところ、案の定、大変な混雑だったとか。

小店以外には、明らかに特需があったようです。

RIMG1208それでも、お昼前頃、表に出してあったモデルカーを、入れてあったプラスチックケースごと店内に運び込み、「これ全部ください」というお客様がおられました。

「全部」といっても5台ですが、〆て4500円のお買い上げ。嵩張るものですから、売れた感がありました。選挙のおかげかどうかは、定かではありません。

晴れたり曇ったり突然降り出したりの、目まぐるしい天気でした。

昨日、久々にご来店のフランス人元コックさん。帳場の前の椅子を貸してくれとおっしゃるので、てっきり踏み台が必要なのかとそちらを差し出すと、そうではなく座って本を選びたいとのこと。

どうぞとお貸しすると、しばしの後、少しまとめてお買い上げくださいました。以前と同じ大型スクーターでお帰りになりましたが、足腰の方は大分弱って来られたようです。

初めてご来店いただいたのは、もう10年以上前のことなのだということに、改めて思い至りました。

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2016年07月30日

3時間

80歳に手が届こうという古本屋のオヤジさんが、ある日店番をしていて体調が悪くなり寝込んだと、ご家族から息子さんに連絡が入ったそうです。

息子さんは50代で、独立して別の店を持っています。自分の店は店番に任せ、すぐにオヤジさんの店に飛んで行きました。

着いてみると軽い熱中症だったのか、大事には至らずに済みそうな様子。しかし今日のところは店を閉めて、ゆっくり休むように諭し、息子さんが店をしまうことにしました。

RIMG1206ところが表に積んである本の量と、店内の空きスペースを比べると、どう見ても全部入るとは思えない。片付けあぐねていると、いくらか元気を回復したオヤジさんが起きてきて、その指示を得てようやくのことでしまい終えたそうです。

呆れ果てた息子さん、これだけの本を出して店を開けるのに、毎朝一体何時間かかっているのかと、オヤジさんに尋ねました。

すると帰ってきた答えは「3時間」。

これを聞いて、改めて親子で話し合い、この際処分すべき本を処分しようということが決まり、このほど知り合いの回収業者を呼んだところ、その量がトラックで4台に上った――というのが、過日その息子さんから直接聞いた話のオチでした。

何とも考えさせられる話です。教訓に富んでいると言ってもいいでしょう。しかしこの教訓を、ほとんど生かせないのが古本屋という種族です。

一緒に聴いていた、そのオヤジさんと同年配の同業も、「うちの店も似たような状況になっているな」と苦笑されていました。

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2016年07月29日

領収書問題

「日本の古本屋」でも、クレジット決済の割合が5割近くになりました。何かと便利で有り難い反面、困ったことも起きています。

RIMG1216先日お伝えしたチャージバック問題もそうですが、それほどのダメージはないものの、もっと頻繁に起きること。それは領収書問題です。

当たり前のように、「領収書をください」とおっしゃる方が増えています。

ご承知の方も多いでしょうが、厳密に申せば、クレジット決済においては、お客様から代金をいただくわけではありません。お客様が支払う先はクレジット会社です。

そのクレジット会社から小店に入ってくる代金は、手数料を引かれたものですから、領収金額も違ってきます。

しかし原則論を振り回して、お客様を失っては大きな損失ですから、目を瞑って領収書を発行している店も多いことでしょう。

小店の場合には、いろいろと考えた末、領収書にクレジット決済である旨を表記するようにしております。

ところが、その表記が困ると言われたことがありました。校費請求するのに、学校が認めてくれないというのです。それも税法上の問題とかいうのではなく、ポイントなどの余得があるためだと聞きました。

おかしな理由だとは思いましたが、以後、もう一工夫を加えました。領収書と明細書を一枚にし、明細部分にクレジット決済であることを表記、切り離せば、普通の領収書になるというように。

こんな苦心をしても、領収書に書籍名を入れて欲しいというご要望が出ると、元の木阿弥です。学校がクレジット決済による購入を認めてくれさえすれば話は簡単なのですから、何とかしてもらいたいものです。

今日は七夕大市の清算日。会計担当として一日お金勘定。市場を見る時間がありませんでした。

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2016年07月28日

南部支部総会

同業には説明を要しないことですが、東京古書組合には7つの支部組織があって、それぞれに役員組織があります。

店主の属するのは南部支部。中央、港、渋谷、品川、目黒、世田谷、大田の7区が所属範囲となっています。

組合員が納める組合費の一部が、その所属支部毎にまとめられ、支部運営費として支給されますので、年に1度、総会を開いて活動報告をするわけです。

それが今年は今日でした。

午後2時からの総会に出席したのは45名ほど。支部員の総数は110余名で、委任状が50名分ほど集まったそうですから、成立には問題がありません。

しかし、今期は2年に1度の役員改選年ですから、旧役員、新役員、それに班長さんたちまで含めれば、45名のうち、半数以上は何らかの形で支部の仕事を手伝っている人たちです。

そう考えると、出席者数は決して多くありません。年々少なくなっているような気がする、というのは出席した同業たちの一致した感想でした。

もっとも、支部員数自体が減っていることも事実です。常連の顔が年ごとに見えなくなっているのも、寂しい現実です。

支部組織は親睦的な意味合いが強いのですから、総会といっても、そのあとの懇親会をメインとして、それで人集めを図る方が実際的だと思われます。

必ずしもお金をかけて豪華にする必要はありません。今日は支部御用達のご近所中華料理店「梅林」から、なじみのある料理が南部会館に届けられました。

ビールにワインに日本酒と、飲み物も豊富。差し入れもあって、費用は低く抑えられたはずです。一番の肴は同業との語らい。これからは、もっとこちらを売りにしたらどうでしょうか。

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2016年07月27日

見つける速さ

「日本の古本屋」には、現在のところアラート機能は設けられておりません。いずれ付けたいという希望はありますが。

探している本が出品されると、そのお客様にお知らせが行くという仕組みのことです。

ところが、まるでそのない筈のアラートが届いたとしか思えないようなタイミングで、出品したと思ったら、間をおかずご注文いただくことがあります。

64369これもそんな一冊でした。『その前夜 第二次世界大戦中、独伊に使いするの記』(頼惇吾著 編集兼発行者:頼良子、彌永昌吉 昭47)。

先日、宅買いでお引き取りしてきた中の一冊で、編者である数学者の彌永さんから、お分けいただいた本だとおっしゃっておられました。

著者は海軍技術者として開戦前夜、すでに戦争が始まっていた独伊を視察。昭和16年の1月からの1年間、書きつづった日記を、後年、「娘たちに見せるために纏めた」ものといいます。

もともと公開の意志はなかったのですが、聞きつけた周囲から出版を勧められ、大部分の原稿が出来上がったところで病を得、ついに遺著となったというのが刊行までの経緯。

四六判で484頁、「メモをしたノートは千頁余りにわたる格別詳しいもの」(夫人編集後記)とありますが、その資料的価値については、店主には判定が付きません。

いずれにせよ、このような私家版が出品されたことを、日ならずして見つけ出すというのは、いったいどんな探索網をお持ちなのでしょうか。それともよほどの偶然でしょうか。

感心しながらクレジット決済のための確認メールを送信すると、それこそ瞬く間に、決済完了の知らせが返ってまいりました。

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2016年07月26日

お探しの本

洋書会の7月当番も今日で最後。幸か不幸か(会にとってはもちろん不幸ですが)出品は少なめ。

仕分けもさしてなく、お昼までにずいぶん時間がありました。そうなると例によって、さまざまな話題の談論風発。飽きることなく出前が届くまで続き、恒例のうなぎをいただく間も、話が途切れることはありませんでした。

午後3時の開札までは、さすがに間がありましたが、そこをどう過ごしたかは省略いたします。

開札が始まってほどなく、店から電話です。出ると、ネットに登録してある本の保管場所を尋ねられました。データベースに記載がないというのです。

RIMG1218確かに最近登録したばかりで、棚に入れあぐね、そのまま置いてありました。まだ記憶が確かでしたから、その在り処を説明すると、ややあって見つけたという返事。

ホームページでも、「日本の古本屋」でも、ご来店の際は事前にご一報願いたい旨、表示しているのですが、直接ご来店というケースが後を絶ちません。有り難いことには違いないのですが、大変困る場合もあります。

何故ならまず、一人で店番をしていることが多い。次に、今回のように在庫場所が判然としないことも多い。もっとも困る場合として、在庫がすでに売り切れていることも少なくない。

あとの二つは、小店の商品管理の悪さに原因があるのですが、最初の点は、如何ともできません。お客様をお一人店先に置いて、店裏の在庫を探しに行くのは、決して気持ちの良いものではありません。

あるいは、買うかどうか決めていないので、事前に見せてくれとは頼みにくいという心理もあるでしょうか。しかし、そういう場合こそ、前もってお知らせいただいた方が有り難いというのが、偽らざる気持ちです。

帳場を空にして焦って探した挙句、やはり要りません、と言われるよりは、ずっと心穏やかなのです。

今日のお客様は、お買い上げいただきまして、どちらにとっても幸いなことでした。

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2016年07月25日

メディアの消失

『噂の真相』があるんですけど、引き取ってもらえますか?

お客様からそう持ちかけられて、結論から申しますとお引き取りいたしました。揃ってはいませんが、創刊3年目から終刊(休刊)まで、欠けているのは20冊ほどでしょうか。

揃いなら、市場に出していくらかになるだろうということは予測できます。しかし欠けているとなると、予想が難しい。

かといって300冊近い雑誌を、たとえ1年分ごとのまとめ売りにしても、小店自身で売り捌くのは、手間暇が大変です。

やはり市場で誰かに引き取ってもらおうと思います。たとえ儲けが出なくとも。

そう決めて、本誌の方は運びやすいように縛ってしまいこみました。残った何冊かの別冊をパラパラと見ていると、またまた時間を取られてしまいます。

さっさと市場に出そうと考えたのは、それも一つの理由でした。そばに置いてあると、つい読んでしまって仕事になりません。自身のゴシップ好きに気づかされる雑誌です。

休刊記念別冊号に、筑紫哲也が書いていたこと。

ふり返ると、私自身はやられこそすれ、一度たりともホメられたことのない雑誌だった。uwashinだが、トンがったジャーナリズムが年々ますます影をひそめているなかで、貴重な存在だった。その一方では、インターネット社会の悪のりのなかで、暗闇から銃砲を撃つ卑しい言説がはびこっている。「噂」を「噂」のままに放置しないで、その「真相」を究めようとするメディアの消失で、この二極分解はさらに進むだろう。

すでに12年前の文章ですが、現実はまさにそのように進んでいます。「噂真」があったら、大新聞が報じようとしない沖縄高江のニュースを、どう取り上げたでしょう。

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2016年07月24日

臨時休業のお知らせ

RIMG1200年中無休を標榜している小店ですが、そして実際に13年前、現在の店に移転してからは、正月の2、3日以外、休まず店を開けてまいりましたが、ついに1日のお休みをいただくことが決まりました。

それは8月20日、土曜日のことになります。そしておそらく、翌21日の日曜日は、午後から開店ということになりそうです。

まだ先のことではありますが、早目にお知らせしておくに越したことはないと家人に促され、ここにお知らせいたします。

その日は一日家族旅行――といえば聞こえは良いのですが、実のところは法事。母の十七回忌です。

提唱者は我が老父。有り難いことに未だに矍鑠としている94歳ですが、さすがに先が迫っております。母の供養というよりは、父を慰めることが主眼であることは申すまでもありません。

過去、何度かの年忌でもそうしたように、法事にかこつけて皆でどこかに一泊、というのが、父の希望するプランなのです。

誰かに店番を頼むことも考えましたが、現今、小店の開け閉めにはなかなかの修練を要します。誰にもおいそれとお願いできるわけではないのです。

それに、お願いしたとして、お盆明けとはいえ夏休み真っ最中の土曜日。人件費に見合う売り上げが望めるかどうか、極めて怪しいところです。

いや人件費どころか、光熱費すら見込めるかどうか。というわけで、あっさり年中無休の看板を下ろすことに決めたのでした。

ご不便をお掛けするかもしれない各位に、あらかじめ、ご諒解をお願い申し上げる次第です。

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2016年07月23日

海外発送の不安

中国からの注文品の荷造りに、ずいぶん手間取りました。

まず小店のシステムでは、中国文字のラベル印刷ができません。手書きにするかと思いましたが、下手な字で正しく読んでもらえない恐れがあります。

メールの住所をコピーして、ワード文書にペーストし、それを印刷したものを郵便物の上に貼り付けるという方法を取りました。

次に悩んだのは敬称です。「様」ではまずかろうとネットを調べると、中国への郵便の出し方についてのページが見つかり、そこに「収」が普通だとありましたので、そのように表記しました。

さらに問題が見つかったのは郵便番号です。先方からの住所には確かに郵便番号が入っていましたが、「日本の古本屋」の住所フォームに合わせたためか、7桁の数字が並んでいます。

先のページには、郵便番号は6桁だと書かれています。さて、もう一度問い合わせて確かめようかと、ここでも迷いましたが、きっと調べる方法があるはずだとネットを検索。どうにかそれも見つかりました。

ここまで慎重に、万全を期して間違いない住所表記を心がけたのは、先日もお伝えしたチャージバックの恐怖があるからです。

幸か不幸か、さほど高価な本ではありませんから、万一詐欺にあったとしても、店が傾くほどの被害にはなりません。とはいえ郵送料が高いので、これが一番もったいない。

先方も同じ思いなのでしょう、今回はSAL便を指定されました。書留をつけますので配達の確認が取れる点はEMSと同じです。ただご本人の注文かどうかは、いずれにせよ確認できません。

64295念のため「百度地図」で所在も調べました。何とか公司とありましたから、お勤め先宛のようです。

最後に残った不安があります。それは、お送りした本が別冊太陽の『春画』シリーズだということ。途中で開封されたら、どういうことになるのでしょう。

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2016年07月22日

ヒドロパス

今日の明治古典会は、古い雑誌類の一口と、中国美術書関係の一口で、質量ともに充実した市となりました。

中国美術書はどちらかと言えば白っぽいものが中心でしたが、これほどまとまって出ることは珍しく、ご時世も相まって、それなりに良い値になっていたようです。

一方雑誌の口は、先輩業者の在庫整理による一連の出品の続きで、メール、ファックスの宣伝文句によれば「国文・宗教・古典芸能・美術・趣味などカーゴ8台!」。

大正から昭和戦前といったあたりが多かったように思いますが、ヤケ傷んで、背も剥がれたりした雑誌の大山に、思った以上に沢山の札が入って、ちょっと驚くような落札価でした。

出品者である先輩業者の、弟子筋に当たるF書房さんが、例によって肝心なところは独り占めするような勢いで落札して、同業を呆れさせ、悔しがらせておりました。

しかしそのFさんを悔しがらせたのは、最終台にあった1冊の雑誌。それが『感覚料理器ヒドロパス』創刊号です。

1925年刊とされるその雑誌は、いわゆるモダニズムの時代、ダダイストたちが関わった詩誌だということです。

RIMG1199珍しい本であることは確かです。国会図書館にもCiNiiにも所蔵データはありません。しかし復刻版を見ることが出来る(ゆまに書房『コレクション都市モダニズム詩誌』)のですから、天下の孤本というわけではないでしょう。

ところが小振りな映画パンフレットほどのその雑誌が、今日一番の落札価格でした。のみならず、一冊の雑誌としては、店主の知る限り、過去最高の価格をつけました。

今となると、もう少しじっくり見ておけばよかったと悔やまれますが、他人の商品になるのだと考えれば、やはり店主のごとき野次馬が、むやみに弄り回さなくてよかったとも思うのです。

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12月31日から1月3日まで
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