2016年08月
2016年08月11日
ビジネスとしての古本屋
お酒の飲めない酒屋さんだってあるわけで、本好きというわけではない古本屋さんがいても、不思議ではありません。
しかしこういう話を聞くと、同業よりもむしろお客様の方がガッカリされるようです。中央線支部のトークイベント古本屋のはたらき方「今日も本を売る」の一部が『古書月報』477号(2016/8)に掲載されました。以下はさらにその一部、あるネット専業古書店主の意見の抜粋です。
僕がこれからネットの古本屋と競っていく中でやらなければならないのは、本が流れてきて送り出すまでにどれだけコストをかけないかっていうことです。本を一冊ずつ見ないと言えばまた悪いイメージかもしれないけれど、状態や価格といった基準を自動化させてしまった方がより多くの本を流通できる。SさんやYさんは百円でしか売れない本は捨ててしまう場合もあると思いますが、Amazonでは沢山の本が一円で売られていますよね。実際には257円の送料分が上乗せされるわけですが、258円で本を届ける事業だって本を大事に扱っていると言っていいと思います。それをやるためには人間の主観の介する隙間もないくらいに効率的に仕事をしなければいけない。さっきHさんが言ったような付加価値を求めている人ばかりではありませんからね。
これに対して、聴衆として参加していた別の古書店主の質問。
お伺いしたいのは、コモディティー化を突き詰めるような商売をしているなかで、本屋としてのアイデンティティや楽しみをどうやって確保しているのかということです。
そしてその答え。
売り上げが良ければ純粋に嬉しいですが、本を売ること自体に楽しみは見出していません。昔はYさんの言われたような気持ちもありましたが、そういった在り方ではビジネスとして成り立たなくなると考えを改めました。従業員を養わなければなりませんし、今は「主観を排し、本をたくさん売って利益を出す」と決めています。たまたま売っているのが本だというくらいです。
しかしこういう話を聞くと、同業よりもむしろお客様の方がガッカリされるようです。中央線支部のトークイベント古本屋のはたらき方「今日も本を売る」の一部が『古書月報』477号(2016/8)に掲載されました。以下はさらにその一部、あるネット専業古書店主の意見の抜粋です。
僕がこれからネットの古本屋と競っていく中でやらなければならないのは、本が流れてきて送り出すまでにどれだけコストをかけないかっていうことです。本を一冊ずつ見ないと言えばまた悪いイメージかもしれないけれど、状態や価格といった基準を自動化させてしまった方がより多くの本を流通できる。SさんやYさんは百円でしか売れない本は捨ててしまう場合もあると思いますが、Amazonでは沢山の本が一円で売られていますよね。実際には257円の送料分が上乗せされるわけですが、258円で本を届ける事業だって本を大事に扱っていると言っていいと思います。それをやるためには人間の主観の介する隙間もないくらいに効率的に仕事をしなければいけない。さっきHさんが言ったような付加価値を求めている人ばかりではありませんからね。
これに対して、聴衆として参加していた別の古書店主の質問。
お伺いしたいのは、コモディティー化を突き詰めるような商売をしているなかで、本屋としてのアイデンティティや楽しみをどうやって確保しているのかということです。
そしてその答え。
売り上げが良ければ純粋に嬉しいですが、本を売ること自体に楽しみは見出していません。昔はYさんの言われたような気持ちもありましたが、そういった在り方ではビジネスとして成り立たなくなると考えを改めました。従業員を養わなければなりませんし、今は「主観を排し、本をたくさん売って利益を出す」と決めています。たまたま売っているのが本だというくらいです。
2016年08月10日
出来上がり次第
最後の合同役員会議。本日を持って、任期2年の理事会の仕事の、9分9厘が終わったことになります。
一昨年9月から始まって、定例の理事会と合同役員会議が、それぞれ24回。つつがなく開催することができました。残すは月末に控える定時総会のみ。それで、お役御免です。
午後7時過ぎに会議が終わった後、いつものように理事長、事業部長と3人で食事をして、お店を出た時には午後9時半を疾うに回っておりました。
などと言うと、さぞや話が弾んだのだろうと思われるかもしれません。しかし役目を抜きにして、毎週のように食事をする仲間ですから、いつもとは違う、格別の思いにとらわれていたというわけではないのです。
あるいは、2時間くらいなら特に長くもないと思われるでしょうか。しかしこの3人、うち2人は飲みません。つまり杯を交わすわけでもなく、せいぜい1時間もあればお開きというのが通例。
それが倍以上に伸びたのは、確かに話題がいつもより豊富であったせいもあるでしょうが、最大の要因はシメに頼んだ「ヘギそば」(金剛庵ではありません、初めてのお店)。
お運びさんを呼んで注文した時、「出来上がり次第ということでよろしいでしょうか?」と、確認されました。
深く考えもぜず「いいですよ」と答えたあとで、あれはどういう意味だったのだろうかと3人で首をひねりました。
一つの解釈として、「すぐに持ってきても良いか」という意味だろうと楽観的な意見が出ましたが、やがてそれが誤りであることが判明しました。
卓上の飲み物も、食べ物もすべて空になって、話も途切れがちになり、ついに呼び出しボタンを押して様子を聞く羽目に。
待つ時間はことさら長く感じるものですが、過ぎてしまえば笑い話です。役員の任期も、同じことかもしれません。
一昨年9月から始まって、定例の理事会と合同役員会議が、それぞれ24回。つつがなく開催することができました。残すは月末に控える定時総会のみ。それで、お役御免です。
午後7時過ぎに会議が終わった後、いつものように理事長、事業部長と3人で食事をして、お店を出た時には午後9時半を疾うに回っておりました。
などと言うと、さぞや話が弾んだのだろうと思われるかもしれません。しかし役目を抜きにして、毎週のように食事をする仲間ですから、いつもとは違う、格別の思いにとらわれていたというわけではないのです。
あるいは、2時間くらいなら特に長くもないと思われるでしょうか。しかしこの3人、うち2人は飲みません。つまり杯を交わすわけでもなく、せいぜい1時間もあればお開きというのが通例。
それが倍以上に伸びたのは、確かに話題がいつもより豊富であったせいもあるでしょうが、最大の要因はシメに頼んだ「ヘギそば」(金剛庵ではありません、初めてのお店)。
お運びさんを呼んで注文した時、「出来上がり次第ということでよろしいでしょうか?」と、確認されました。
深く考えもぜず「いいですよ」と答えたあとで、あれはどういう意味だったのだろうかと3人で首をひねりました。
一つの解釈として、「すぐに持ってきても良いか」という意味だろうと楽観的な意見が出ましたが、やがてそれが誤りであることが判明しました。
卓上の飲み物も、食べ物もすべて空になって、話も途切れがちになり、ついに呼び出しボタンを押して様子を聞く羽目に。
待つ時間はことさら長く感じるものですが、過ぎてしまえば笑い話です。役員の任期も、同じことかもしれません。
2016年08月09日
惜しい一口もの
スマホの天気予報で、「命の危険を感じるほどの暑さ」と表記されておりましたが、お昼過ぎ、神保町の駅を上がったところの寒暖計が示していた数値は42.2℃!
古書会館まで5分ほど歩く間に、すっかり汗まみれになりました。
今日の洋書会は、展示用の平台が8割方埋まっていて、多いとまでは言えないながらも、何とか市会としての体裁が保たれるほどの量。
親しい業者のKさんから事前に電話をいただいていて、カーゴ2台の出品があることが分かっていました。しかし、知らされている他の出品状況からして、仕分けは当番会員にお任せし、ゆっくり出かけたのです。
内容までは聞いておりませんでしたから、仕分けされたKさんの口を見て、まず思ったのは「勿体ない」ということでした。
銅版画関連の画集や絵入り本といった美術書がその中心ですが、湿気たり、ムレたりしているものが大半で、近づくとカビ臭も漂ってきます。
それもあってか、仕分けは全体に、大きめの口にまとめられていました。もっと状態が良ければ、1冊ないし数冊で出品できる本も沢山見かけましたが、この状態では札が入らないと判断したのでしょう。頷ける判断です。
そんな中でも、大山の中に気になる本を見つけ、それを別にして封筒をつけさせてもらいました。牧野義雄の挿絵本、The colour of London, Paris, Rome の3冊です。
やはり表紙などにムレが目立つ本でしたが、幸いなことに何枚か札が入り、それなりの落札価となりました。
大山に残したままだと、沢山の本を整理したり廃棄したりする手間を考えて、入札をためらった人もいたでしょう。出品者のKさんに対し、ささやかながら貢献できた思いです。
それにしても、もう少し早く処分されていたらと、何とも惜しまれる口でした。
古書会館まで5分ほど歩く間に、すっかり汗まみれになりました。
今日の洋書会は、展示用の平台が8割方埋まっていて、多いとまでは言えないながらも、何とか市会としての体裁が保たれるほどの量。
親しい業者のKさんから事前に電話をいただいていて、カーゴ2台の出品があることが分かっていました。しかし、知らされている他の出品状況からして、仕分けは当番会員にお任せし、ゆっくり出かけたのです。
内容までは聞いておりませんでしたから、仕分けされたKさんの口を見て、まず思ったのは「勿体ない」ということでした。
銅版画関連の画集や絵入り本といった美術書がその中心ですが、湿気たり、ムレたりしているものが大半で、近づくとカビ臭も漂ってきます。
それもあってか、仕分けは全体に、大きめの口にまとめられていました。もっと状態が良ければ、1冊ないし数冊で出品できる本も沢山見かけましたが、この状態では札が入らないと判断したのでしょう。頷ける判断です。
そんな中でも、大山の中に気になる本を見つけ、それを別にして封筒をつけさせてもらいました。牧野義雄の挿絵本、The colour of London, Paris, Rome の3冊です。
やはり表紙などにムレが目立つ本でしたが、幸いなことに何枚か札が入り、それなりの落札価となりました。
大山に残したままだと、沢山の本を整理したり廃棄したりする手間を考えて、入札をためらった人もいたでしょう。出品者のKさんに対し、ささやかながら貢献できた思いです。
それにしても、もう少し早く処分されていたらと、何とも惜しまれる口でした。
2016年08月08日
売りたくない本
ご注文をいただくと、にわかに惜しい気がしてくるのは店主ばかりかと思っていたら、家人にも同じところがあるようで、「取っておきたかった」と残念がられてしまいました。
『十八世紀イギリス研究 朱牟田夏雄教授還暦記念論文集』(研究社1971年)がその一冊です。
家人がこの本のどこに惹かれたのかは分かりませんが、店主にとって思い出深い本であることは事実です。というのも、他ならぬ朱牟田先生のご自宅から、お引き取りしてきたものだからです。
もちろん先生はすでに亡くなられた後のこと。ご蔵書も主だったところはしかるべき機関へ寄贈されたりした「その残りだが片付けてもらえるか」、というお声掛かりがあって伺ったのでした。
ご紹介くださったのは先生のご子息と東大仏文で同級であったという、当時教養学部教授のK先生。おそらくは1990年前後であったはずで、今調べてみると、朱牟田先生が亡くなられて3、4年ほど後のことになります。
初めから釘を刺されていた通り、ほとんど目ぼしい本はありませんでしたが、店主としてはあの朱牟田先生のご蔵書だというだけで、ありがたい気がしたことを覚えております。
というのも、店主の貧しい読書体験の中で、『トリストラム・シャンディ』は強烈な印象を残していたからです。
その先生のご蔵書、というのも妙ですが、ともかく書庫にあったのがこの一冊でした。正確には複数冊あって、これがその最後の一冊となります。
本書は市販本も出ておりますが、こちらは第3部として「年譜」など32頁が加えられている「限定特製本」。
時折、英文学者の旧蔵書に混じって見つかることがありましたが、最近は目にすることが少なくなりました。その意味で、「取っておきたかった」という家人の言は、一理あるかもしれません。
しかし結局のところ、売るのが惜しいような本でなければ売れないということも、また古本業の一面の真実であるわけです。
『十八世紀イギリス研究 朱牟田夏雄教授還暦記念論文集』(研究社1971年)がその一冊です。
家人がこの本のどこに惹かれたのかは分かりませんが、店主にとって思い出深い本であることは事実です。というのも、他ならぬ朱牟田先生のご自宅から、お引き取りしてきたものだからです。
もちろん先生はすでに亡くなられた後のこと。ご蔵書も主だったところはしかるべき機関へ寄贈されたりした「その残りだが片付けてもらえるか」、というお声掛かりがあって伺ったのでした。
ご紹介くださったのは先生のご子息と東大仏文で同級であったという、当時教養学部教授のK先生。おそらくは1990年前後であったはずで、今調べてみると、朱牟田先生が亡くなられて3、4年ほど後のことになります。
初めから釘を刺されていた通り、ほとんど目ぼしい本はありませんでしたが、店主としてはあの朱牟田先生のご蔵書だというだけで、ありがたい気がしたことを覚えております。
というのも、店主の貧しい読書体験の中で、『トリストラム・シャンディ』は強烈な印象を残していたからです。
その先生のご蔵書、というのも妙ですが、ともかく書庫にあったのがこの一冊でした。正確には複数冊あって、これがその最後の一冊となります。
本書は市販本も出ておりますが、こちらは第3部として「年譜」など32頁が加えられている「限定特製本」。
時折、英文学者の旧蔵書に混じって見つかることがありましたが、最近は目にすることが少なくなりました。その意味で、「取っておきたかった」という家人の言は、一理あるかもしれません。
しかし結局のところ、売るのが惜しいような本でなければ売れないということも、また古本業の一面の真実であるわけです。
2016年08月07日
文庫を補充
今朝一番に五反田へ、落札品の引取りに行ってきました。
昨日の南部地区入札会は先月に続いて大量の出品物。会場はますます迷路と化しておりました。
うっかり進むと行き止まり。戻ろうとするとあとから来た人がいて、すり抜けることもできず、その人が入札を終えるまでしばし待たざるを得ない、というような状態。
まあ壁面以外はせいぜい胸の高さまでですから、迷子になる心配はありませんが。
その代り壁面の方は、天井近くまで積み上げられています。店主お目当ての文庫は、いつも以上に大きな本口ばかりで、10本以下のものを探すのに苦労するほど。
その中で、質、量(あまり多すぎない)ともに、小店の条件を満たすものを選び、何点か入札して戻りました。
夕方になって、エクストラネットで調べてみると、そのうちの2点を落札出来たことが分かりましたので、早速今朝、引き取りに行ったというわけです。
それぞれ10本口でしたから、併せて20本。冊数にすると500冊ほどある勘定になります。
このところ文庫の仕入れが出来ておりませんでしたから、待望の入荷ではありますが、さすがに一度に棚に補充するわけには参りません。
文庫棚は、もっぱら家人の担当となっておりまして、今日は一日、その入れ替え作業にかかっておりました。
日照り続きでしおれた草花に水をやるような感覚ではありますが、現実の日照りの方はこの数日とくに苛烈を極めておりまして、肝心のお客様がさっぱりお越しになりません。
表の棚の入れ替えをしていると「暑さにめまいがする」ような状況では、補充する甲斐もないように思えてきます。
昨日の南部地区入札会は先月に続いて大量の出品物。会場はますます迷路と化しておりました。
うっかり進むと行き止まり。戻ろうとするとあとから来た人がいて、すり抜けることもできず、その人が入札を終えるまでしばし待たざるを得ない、というような状態。
まあ壁面以外はせいぜい胸の高さまでですから、迷子になる心配はありませんが。
その代り壁面の方は、天井近くまで積み上げられています。店主お目当ての文庫は、いつも以上に大きな本口ばかりで、10本以下のものを探すのに苦労するほど。
その中で、質、量(あまり多すぎない)ともに、小店の条件を満たすものを選び、何点か入札して戻りました。
夕方になって、エクストラネットで調べてみると、そのうちの2点を落札出来たことが分かりましたので、早速今朝、引き取りに行ったというわけです。
それぞれ10本口でしたから、併せて20本。冊数にすると500冊ほどある勘定になります。
このところ文庫の仕入れが出来ておりませんでしたから、待望の入荷ではありますが、さすがに一度に棚に補充するわけには参りません。
文庫棚は、もっぱら家人の担当となっておりまして、今日は一日、その入れ替え作業にかかっておりました。
日照り続きでしおれた草花に水をやるような感覚ではありますが、現実の日照りの方はこの数日とくに苛烈を極めておりまして、肝心のお客様がさっぱりお越しになりません。
表の棚の入れ替えをしていると「暑さにめまいがする」ような状況では、補充する甲斐もないように思えてきます。
2016年08月06日
大型図録本
母娘でしょうか、お二人連れで店内に入って来られると、お若い方、つまり娘さんと思しき方がスマホの画像を店主にかざし――
「この本、引き取っていただけますでしょうか。重い本ですので、まずお伺いしてからと思いまして」
ある美術館から出版されている陶器の図録です。扱ったことはありませんが、本は存じております。その販売価格が高かったことも、しかし今や買い手を見つけるのが難しいことも。
そこで論より証拠と、「日本の古本屋」を検索してみることにいたしました。
すると案に相違せず10冊以上の出品があり、一番高い付け値が4万円。次が2万円、1万円と下がって、最安値は5000円。その価格で数冊が並んでおります。ちなみに定価は8万円。
こんな状況ですとご覧にいれましたが、「ではいくらなら引き取ってもらえますか」とのお尋ね。そこで値段を申し上げました。
ガッカリされながらも、ご納得のご様子でしたので、ただし函がついての価格ですよと念を押しました。
小一時間もしたころ、今度は娘さんお一人で紙袋を下げてこられました。取り出すと、さきほど画像で拝見した本。確かに函に入っておりますが、実はこの本にはもう一つ、輸送用の外函が付いているはずのものです。
「この他に函はありませんか」と伺いますと、電話でお母様に確かめておられましたが、やはりこれだけとのこと。
恐縮されていましたが、こちらも説明不足であったようです。要りませんとも申し上げられず、お伝えした価格のさらに半額で引き取らせていただきました。
縦36cm、横28cm、厚さ7cm。重量5Kgほどもありそうなこの大型本を、どう処置したものか思案に暮れております。
「この本、引き取っていただけますでしょうか。重い本ですので、まずお伺いしてからと思いまして」
ある美術館から出版されている陶器の図録です。扱ったことはありませんが、本は存じております。その販売価格が高かったことも、しかし今や買い手を見つけるのが難しいことも。
そこで論より証拠と、「日本の古本屋」を検索してみることにいたしました。
すると案に相違せず10冊以上の出品があり、一番高い付け値が4万円。次が2万円、1万円と下がって、最安値は5000円。その価格で数冊が並んでおります。ちなみに定価は8万円。
こんな状況ですとご覧にいれましたが、「ではいくらなら引き取ってもらえますか」とのお尋ね。そこで値段を申し上げました。
ガッカリされながらも、ご納得のご様子でしたので、ただし函がついての価格ですよと念を押しました。
小一時間もしたころ、今度は娘さんお一人で紙袋を下げてこられました。取り出すと、さきほど画像で拝見した本。確かに函に入っておりますが、実はこの本にはもう一つ、輸送用の外函が付いているはずのものです。
「この他に函はありませんか」と伺いますと、電話でお母様に確かめておられましたが、やはりこれだけとのこと。
恐縮されていましたが、こちらも説明不足であったようです。要りませんとも申し上げられず、お伝えした価格のさらに半額で引き取らせていただきました。
縦36cm、横28cm、厚さ7cm。重量5Kgほどもありそうなこの大型本を、どう処置したものか思案に暮れております。
2016年08月05日
来年のカレンダー
明治古典会の会食があって、いつもより少しばかり遅い時間に店に帰り着くと、机の上にいくつかの郵便物が置いてありました。
その一つに、思わずドキリ。来年の「みすず美術カレンダー」の申込書です。
毎年驚かされるのですが、今年はまた一段と早い気がします。それとも、やはりいつもと同じなのでしょうか。
確かに、10月には出来上がってくるのですから、今くらいから注文を取って行かなければ間に合わないのかもしれません。
近年、申込書の提出が遅れて、催促を受けることが恒例のようになっています。それというのも、ひとつには、この時期が関係しています。
普段でさえ低調な店売りが、一層落ち込む夏休み。こんな調子で、年を越して来年もまた商売が続けられるのだろうかと、一年の内でも一番真剣に悩む時期なのです。
悩んでいるうちに、日は過ぎ、いつの間にか申込期限が過ぎていきます。やがて担当の方からお電話をいただき、慌てて「例年どおりに」とお願いする。そんなパターンを何度か繰り返している気がします。
優柔不断というより、将来不安でしょうか。根拠のない不安ではないだけに厄介です。
不安と言えば、今日、明古は臨時総会を開きました。現在、出来高では比較的好調を維持しているのですが、会員減少で、将来の会運営に大きな不安を抱えています。
その対処策として会員を増やそうというのが、当面の目標となりました。しかしどうすればその目標を達成できるか、そこが一番の難問です。
正解は分かっています。魅力ある会であること。しかしそれが難しい。店だって同じことです。
その一つに、思わずドキリ。来年の「みすず美術カレンダー」の申込書です。
毎年驚かされるのですが、今年はまた一段と早い気がします。それとも、やはりいつもと同じなのでしょうか。
確かに、10月には出来上がってくるのですから、今くらいから注文を取って行かなければ間に合わないのかもしれません。
近年、申込書の提出が遅れて、催促を受けることが恒例のようになっています。それというのも、ひとつには、この時期が関係しています。
普段でさえ低調な店売りが、一層落ち込む夏休み。こんな調子で、年を越して来年もまた商売が続けられるのだろうかと、一年の内でも一番真剣に悩む時期なのです。
悩んでいるうちに、日は過ぎ、いつの間にか申込期限が過ぎていきます。やがて担当の方からお電話をいただき、慌てて「例年どおりに」とお願いする。そんなパターンを何度か繰り返している気がします。
優柔不断というより、将来不安でしょうか。根拠のない不安ではないだけに厄介です。
不安と言えば、今日、明古は臨時総会を開きました。現在、出来高では比較的好調を維持しているのですが、会員減少で、将来の会運営に大きな不安を抱えています。
その対処策として会員を増やそうというのが、当面の目標となりました。しかしどうすればその目標を達成できるか、そこが一番の難問です。
正解は分かっています。魅力ある会であること。しかしそれが難しい。店だって同じことです。
2016年08月04日
『二十代』のころ
映画『男はつらいよ』第一作が封切られたのは、1969年8月のことだったというのを、昨夜、改めて教えられました。
渥美清が1996年8月4日に亡くなって、今年が没後20年になるというので、BSプレミアムなどで特別番組が放送されています。その一つを昨日の夜、末娘と一緒に見ていて知ったのです。
この封切年が気にかかったのは、店主はこの映画を、同志社大学「学館」の自主上映で見た記憶があるからです。
それが何年のことだったか、はっきりと思い出せません。しかし封切られた年の内ということはないでしょうから、その翌年だったのでしょうか。それ以降ということはないはずです。
どちらでも良いことながら、これを確かめようにも、気安く尋ねられる仲間はすでにこの世を去っております。だんだんとこうしたことが増えていくのでしょう。
他にも『新宿泥棒日記』をここで観ました。その時間的な前後関係も、まるであやふやですが。
それでも今思うと、この自主上映、なかなか力のある団体が主催していたことが伺われます。同時に、いかに店主が、その手の運動に無知であったかも分かります。
これに限らず、若いころの自分がいかに世間知らずであったかを思うと、今でも恥ずかしくなることがしばしばです。
そうした点からも先日入手した『二十代』(誠文堂新光社、1952年)は、店主自身読んでみたい本でありました。
ところが、ネットに上げると幾日も経たずご注文が。例によって、お送りするまでに走り読みでもと思っていたところ、即座に決済がなされ、店の者が手回しよく送ってしまったため、読む機会を逸してしまいました。
学校の資料としての購入だと聞いております。
渥美清が1996年8月4日に亡くなって、今年が没後20年になるというので、BSプレミアムなどで特別番組が放送されています。その一つを昨日の夜、末娘と一緒に見ていて知ったのです。
この封切年が気にかかったのは、店主はこの映画を、同志社大学「学館」の自主上映で見た記憶があるからです。
それが何年のことだったか、はっきりと思い出せません。しかし封切られた年の内ということはないでしょうから、その翌年だったのでしょうか。それ以降ということはないはずです。
どちらでも良いことながら、これを確かめようにも、気安く尋ねられる仲間はすでにこの世を去っております。だんだんとこうしたことが増えていくのでしょう。
他にも『新宿泥棒日記』をここで観ました。その時間的な前後関係も、まるであやふやですが。
それでも今思うと、この自主上映、なかなか力のある団体が主催していたことが伺われます。同時に、いかに店主が、その手の運動に無知であったかも分かります。
これに限らず、若いころの自分がいかに世間知らずであったかを思うと、今でも恥ずかしくなることがしばしばです。
そうした点からも先日入手した『二十代』(誠文堂新光社、1952年)は、店主自身読んでみたい本でありました。
ところが、ネットに上げると幾日も経たずご注文が。例によって、お送りするまでに走り読みでもと思っていたところ、即座に決済がなされ、店の者が手回しよく送ってしまったため、読む機会を逸してしまいました。
学校の資料としての購入だと聞いております。
2016年08月03日
今日の買取
朝一件宅買い。
先日、老婦人がご来店になり、引っ越してきて片付けているところだが、以前の家のように広くないので、本の置き場に困っている。ついては処分したいから見に来てほしい。そんなご要望を受けて。
今日はまず様子を拝見するだけのつもりでした。ご近所でもあるし、お話からは、どんな本がどの程度あるのかも見当がつきかねましたので。
そこで自転車で伺いました。真新しい家の玄関に2つのドアが隣り合って、その一方が目指すお宅。ご主人を亡くされ、お独り身になって、お子さんと一つ屋根に住まわれることにされたのかもしれません。
まだ部屋が散らかっているからと、ベランダに面した部屋の窓を開け、そこから本を見せていただくことに。
なるほど未開梱の段ボール箱が幾つも積み上げられています。その脇に、30cmほどの高さの本の山が4つ5つ。まずはそれが、今回のご処分の対象ということでした。
早速手に取らせていただくと、歴史、美術、文学系の教養書が中心。洋書も混じっています。外国暮らしもされたとか。
残りの箱にどんな本があるのか分かりませんが、今日見せていただいた限りでは、特に専門的に集められた分野はなさそうです。それでも、内容的には良いご蔵書だと感じました。
ただ、大きな問題は、保存状態です。それほど古い本というわけではないのに、殆んどの本にシミ、イタミ、ヤケ、水ヌレのいずれか、あるいはその組み合わせが見られたのです。
ホコリ程度なら、落とすことができます。それによって生じるシミ斑も、まあ経年変化の内。しかし汚れ本となると、よほど希少な本でない限り、売り物になりません。
結局、お分けいただいたのは小さなダンボール1箱分。自転車に積んで戻ってまいりました。
先日、老婦人がご来店になり、引っ越してきて片付けているところだが、以前の家のように広くないので、本の置き場に困っている。ついては処分したいから見に来てほしい。そんなご要望を受けて。
今日はまず様子を拝見するだけのつもりでした。ご近所でもあるし、お話からは、どんな本がどの程度あるのかも見当がつきかねましたので。
そこで自転車で伺いました。真新しい家の玄関に2つのドアが隣り合って、その一方が目指すお宅。ご主人を亡くされ、お独り身になって、お子さんと一つ屋根に住まわれることにされたのかもしれません。
まだ部屋が散らかっているからと、ベランダに面した部屋の窓を開け、そこから本を見せていただくことに。
なるほど未開梱の段ボール箱が幾つも積み上げられています。その脇に、30cmほどの高さの本の山が4つ5つ。まずはそれが、今回のご処分の対象ということでした。
早速手に取らせていただくと、歴史、美術、文学系の教養書が中心。洋書も混じっています。外国暮らしもされたとか。
残りの箱にどんな本があるのか分かりませんが、今日見せていただいた限りでは、特に専門的に集められた分野はなさそうです。それでも、内容的には良いご蔵書だと感じました。
ただ、大きな問題は、保存状態です。それほど古い本というわけではないのに、殆んどの本にシミ、イタミ、ヤケ、水ヌレのいずれか、あるいはその組み合わせが見られたのです。
ホコリ程度なら、落とすことができます。それによって生じるシミ斑も、まあ経年変化の内。しかし汚れ本となると、よほど希少な本でない限り、売り物になりません。
結局、お分けいただいたのは小さなダンボール1箱分。自転車に積んで戻ってまいりました。
2016年08月02日
ルート便で運ぶもの
未明と明け方と、2度にわたって激しい雨音で眠りを妨げられました。明け方の降りは雷鳴まで伴って、次第に弱まりながらも朝の出がけまで。
おかげで今朝は、いつも以上に寝起きが辛く、体が目覚めるのに時間がかかりました。
午前中は店で諸々の用事を済ませ、お昼前、会館へ向けて出発。傘を携えていきましたので、途中降られることはありませんでした。万古不易の法則というべきでしょうか。
さて会館に着くと、4階の洋書会会場は近来稀に見る閑散ぶり。片隅に申し訳程度の出品があったのみ。訪れた組合員も、一瞬戸惑い、休会でないことを確かめているようでした。
運営側の一員としては、何とも申し訳ない気持ちですが、こういうことが年に1度や2度はあります。如何ともしがたい不可抗力。
だからと言って、「今日はあまり出品がありません」と、事前にお知らせするわけにも参りません。それでは、出品していただいた方に失礼です。
常に一人でも多くの入札者に来ていただくよう、力を尽くすのが交換会の役目。入札する側にとっても、出品量が多いか少ないかではなく、自分にとって必要なものが出ているかどうかが問題なのですから。
ただし本日の場合、店主が入札しようと思う出品物はありませんでした。これまたやむを得ません。
けれども一つ困ったことがありました。本を送るための梱包材を組合で購入し、市場の買い上げ品と一緒にルート便で運んでもらうという計画が崩れたことです。
仕方なく、必要な梱包材の内、最も嵩張らず軽いものを1種類だけ買い、紙袋に入れて提げて帰って参りました。
来週は頑張って入札し、ルート便を利用しなければ、大きな梱包材が運べません。それにはまず、入札できる出品があることが、大前提となります。
おかげで今朝は、いつも以上に寝起きが辛く、体が目覚めるのに時間がかかりました。
午前中は店で諸々の用事を済ませ、お昼前、会館へ向けて出発。傘を携えていきましたので、途中降られることはありませんでした。万古不易の法則というべきでしょうか。
さて会館に着くと、4階の洋書会会場は近来稀に見る閑散ぶり。片隅に申し訳程度の出品があったのみ。訪れた組合員も、一瞬戸惑い、休会でないことを確かめているようでした。
運営側の一員としては、何とも申し訳ない気持ちですが、こういうことが年に1度や2度はあります。如何ともしがたい不可抗力。
だからと言って、「今日はあまり出品がありません」と、事前にお知らせするわけにも参りません。それでは、出品していただいた方に失礼です。
常に一人でも多くの入札者に来ていただくよう、力を尽くすのが交換会の役目。入札する側にとっても、出品量が多いか少ないかではなく、自分にとって必要なものが出ているかどうかが問題なのですから。
ただし本日の場合、店主が入札しようと思う出品物はありませんでした。これまたやむを得ません。
けれども一つ困ったことがありました。本を送るための梱包材を組合で購入し、市場の買い上げ品と一緒にルート便で運んでもらうという計画が崩れたことです。
仕方なく、必要な梱包材の内、最も嵩張らず軽いものを1種類だけ買い、紙袋に入れて提げて帰って参りました。
来週は頑張って入札し、ルート便を利用しなければ、大きな梱包材が運べません。それにはまず、入札できる出品があることが、大前提となります。