2016年12月

2016年12月31日

ご支援に感謝

この数日、「日本の古本屋」からはパッタリ注文が入らず、家人のamazonにはバタバタ注文、という日が続きました。

これはサイトの問題というよりは、商品の種類の問題だと、少なくとも小店の場合は考えております。

店主が出品しているのは洋書、日本書を問わず主に学術書。それに比して家人の方は、一般書で比較的近刊のものが中心。

出品している点数は、店主の方が10倍ほど多いはずですが、時とすると家人の注文の方が多い日もあり、押し詰まってからそれが目立ったのでした。

つまりはお休みに入って、勉強も一休み、という方が多いのだと思われます。お休みにはのんびりエンタメ系を、ということかもしれません。

このエンタメ、何気なく使ってしまいましたが、最近読んだ古い本で、エンターテインメントとアミューズメントの違いを語っているものがありました。

その定義で行けば、今どきのエンタメ本は、ほとんどがアミューズメント本だということになります。どこで読んだか、思い出すことができないのですが、かなり昔に出た本だったはずです。

古臭い区分かもしれません。まあそれならそれで、アミューズメント読書がお休みの主流なのだろう、としておきましょう。いずれにせよお勉強系は冬休み。

などどぼやいておりましたら、大晦日の今日になって、たてつづけに数件、硬い本の注文が入りました。フーコー(日本書)Ernst Bloch(独書)Husserl(仏訳書)など。

そのうち、今朝のうちご注文いただき、すぐご決済があったものは、午後の集荷に間に合いました。まだ入金確認の取れないもの、集荷後にご注文のあったものについては、早くとも年明け3日以降の発送になります。
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ともあれ、ぼやき店主を今年も一年、支えていただきました。そのことに感謝して、本年の営業を終了いたします。明年もよろしくお願い申し上げます。

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2016年12月30日

賀状投函

RIMG1583昨日あたりから、朝の交通量もめっきり少なくなり、いかにもお休みモードです。

店主は店番をしながら年賀状書きに精を出しておりましたが、ほとんど遮られることもありません。おかげで随分と捗り、宛名は昨日のうちにほぼ書き終えることができました。

今年はやはり、少しばかり時間の余裕ができたのでしょう。去年はほとんどの宛名をラベル印刷でご勘弁願ったのですが、今回は一枚一枚、拙い字を筆ペンで書き上げることができました。

「やはり」というのに説明が要るかもしれません。今年の夏過ぎまで務めていた組合役員の仕事が終わり、無役となったことを指しております。

直接任務で費やした日数は限られたものですが、そのための準備や後始末で、何かと時間を取られたことは確かです。それに比べこの年末年始は、我が店のことだけに頭を悩ませていれば済みます。それがなかなか大変ではありますが。

ところで、この手書き信仰。果たしてそれほど良いことかどうか、というのも毎年頭を悩ませる問題です。

美しい、あるいは個性的な文字をかける人ならばともかく、店主の文字などは、書いていて恥ずかしくなるような、稚拙なものでしかありません。こんな文字では、かえって先様に失礼ではないかと思うこともしばしばです。

もともと上手くはなかったものが、昨今キーボードで文字を打つことが増え、文字を手書きすることがめっきり減ったため、金釘流に一層磨きがかかったような始末です。

それでも、まあそれが自分なのだと開き直り、そのままを見ていただこうといういささか自虐的な気持ちも込めて、ひたすら書き終えました。

今日一日かけて、ショートメッセージを書き加え、午後遅くに郵便ポストに投函。近年では記録的な速さです。やはり役員を終えたせいでしょうか。それとも単に店が暇だったせいでしょうか。

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2016年12月29日

「ゆうゆう」じゃない

玉川郵便局の「ゆうゆう窓口」が来年の2月5日から、午後9時で閉まることになるそうです。開くのは翌朝午前7時から。

これまでは24時間開いておりました。どこの「ゆうゆう窓口」も同じだと思っていたのですが、どうやら営業時間は、局によって違っていたようです。ですから今度の変更も、玉川局だけのことかもしれません。

良いことだと思います。いくらか不便になることは確かですが。

小店の場合は、毎日午後2時から3時の間くらいに、目黒郵便局から集荷に来ていただいています。その時間に遅れて入金があったり、決済されたりしたご注文品については、夜、我が家に近い玉川郵便局に寄って、出しておりました。

ところが実際は、夜の9時頃に局に持ち込んでも、翌日に出すのと変わりないことが分かってきました。それが分かってから、急いでその日のうちに出すことをやめました。

しかし気持ちの上では、午後3時過ぎに決済やら入金をいただいた本を、そのまま翌日の午後まで店に置いておくのは何やら気が引けます。なまじ開いている窓口があるから余計です。「ゆうゆう」という名は皮肉としか思えません。

RIMG1585今度から午後9時で閉まるといっても、その時間にはぎりぎり間に合うのですね。できれば午後8時に閉めてほしい。そうすれば、店主の心は安らかになります。

というのはもちろん冗談で、これが良いことだというのは、郵便局で働く方たちの様子を見ての感想です。皆さん、疲れ切っておられるのではないでしょうか。

そのかみの、お役所仕事に戻ってほしいとは思いませんが、現今は、仕事量に人員が追い付いていないという現場の不満も耳にします。

気安くなった集荷担当に、ある時、「郵便会社はブラック企業じゃないの」と水を向けてみました。帰ってきたのは「佐川さんほどじゃないですよ」。

それは一種の矜持なのでしょうか。

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2016年12月28日

「もうすぐおしょうがつ」

shogatsuふしぎな絵本です。

初版が1989年。子に読み聞かせた記憶があるのですが、数えてみると当時、上の子は10歳、2番目が7歳。末の子はまだ生まれておりません。

その我が家の2人より少しずつ年下に見える兄妹が、お正月休みに、離れた町に暮らすおじいさんおばあさんを訪ねるお話です。

そこは路面電車のある町で、電車を降りておじぞうさんの角を曲がったあたりに、目指す家はあります。板塀と小さな玄関、むかし町中でよく見かけた中流住宅の造りです。

ここまででも充分ノスタルジックですが、そのあと子たちが町に出て見聞する光景は、かつてどこかで見たような、懐かしいものばかり。この町は一体どこだろうと、当時、家人と話し合った覚えがあります。

その絵本が書かれた時より20年ほど前に住んでいた、京都百万遍あたりに瓜二つだというのが、家人の意見でした。久しぶりに眺めてみても、同じ印象を受けるようです。

店主は店主で、さらに昔、子ども時代に名古屋で見かけた街並みを思い出します。

もちろん、どこか特定の場所がモデルではなく、作者が拵えたものなのでしょう。そもそもこの絵本の中で迎える新しい年は、1990年とされています。その年には名古屋にも、京都にも路面電車は走っておりません。

この絵本の眼目は、タイムトリップなのでした。

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2016年12月27日

昔の姿しばし

「ここって、前、そこにありましたよね」そう言って背中の方を指さすのは、まだ若い男性。

帳場に向かうと、昔の河野書店は、確かに左斜め後方に当たります。

「前って、もう結構前ですよ」

「僕が小学生くらいの頃の記憶です。するとずいぶん長くやってらっしゃるんですね、何年くらいになるのですか」

「あなたは今、お幾つですか?」「26歳です」「そう、貴方が生まれるより前からやってますね」

KIMG0593経済学関係の教養書を一冊お買い上げくださって、お帰りになりました。お帰りになったあとで、もう少し話を伺えば良かったと思いました。

ずっとこの地にお住まいで、小学生のころの記憶にある店と、今のこの店が、同じ経営者による店なのかどうか、かねてから気になっておられたのか。

あるいは小学生のころ、この地を離れて、最近またこのあたりに戻って来られたのか。

むろんどちらでも良いことで、単なる詮索に過ぎません。煩わしがられるのが落ちでしょう。

しかし時折、通りを歩いていて、ご近所にお住まいの方とすれ違うと、その方の20年、30年前の姿を思い浮かべようとしていることがあります。

そして皆が等しく歳を取って行くという当たり前のことが、つくづく不思議に思えたりするのです。

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2016年12月26日

署名本を判定する

先日の明古クリスマス特選市に、ヘミングウェイ『老人と海』署名識語入りの1冊が出品されました。初版初刷の美本なら、100万円以上はするものです。

ある同業が店主に、「この署名は本物か」と尋ねます。店主を洋書会の会員と見込んでのお尋ねでしょうが、残念ながらその方面にはとんと疎い。

店主は明古の会員でもあるわけですが、漱石や三島の署名だって判定できません。威張ることではありませんが。そもそもこれは所属の問題ではなく、扱い分野の問題です。

日本書、洋書を問わず署名の真贋は、経験を積んだ専門家でない限り、正確な判断を下すのは難しいでしょう。

門外漢は状況証拠から見ていくしかありません。まずは来歴。過去に誰が所有していたか。それを辿る中で、著者との接点が見つかるか。

RIMG1581次は保存状態。どのような取り扱いを受けてきたか。大切にされてきたものが必ずしも本物とは限りませんが、署名をもらった本をぞんざいに扱うことはあまりない筈です。

残念ながらこの本は初版初刷ではなく、美本でもありませんでした。それでももし署名が本物なら、それなりの値打ちがあります。

くだんの業者は店主に、どこからか探してきたヘミングウェイ署名の画像を見せてくれました。それを見る限り、なんとなく違いがあります。しかしネット上で検索してみると無数の署名が現れ、中には似たものもありました。ますます薮の中です。

結局、冒険心のある若い業者の手に渡りました。

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2016年12月25日

丸く納まる

KIMG0597「全額返金いたしますので送金口座をお知らせください」と、いささか切り口上な解約メールを送信したのに対して、その夜「勝手に気分を害されてキャンセルするとは失礼千万です」というお返事が入りました。

「呉茂一旧蔵書」に関する一件です。

別に御宅様を疑ったわけではありません。未登録の段階で誰かが研究室の本を借り、何年も経つうちに物故されたような場合、御家族は当然その本が亡くなった方のものだと思うわけでしょう。そのご家族が本を処分された場合、古書店にはその本の来歴は分からないはずです。

すぐにも折返しのメールを出そうかと思いましたが、こういう時は一呼吸おくのがよかろうと、翌朝、まず店を開けてから、返信を出しました。

疑われたとは思っておりません。ご信用がないのだなと感じました。本の来歴については、ご遺族が処分された場合においても、かなりの程度分かるものです。それはともかく、今回の件につきましては、貴方様にすれば本来ご説明の要のないことですので、私としては聞かなかったことといたします。この本が研究室蔵書ではありえないことは、ご理解いただけたと存じます。その上で改めて、貴方様ご自身が、この本を入手されたいのかどうかをお伺い申し上げます。

このメールに対して、今度は一転、「不快な思いをさせて申し訳ありません。本は私自身が必要としているものですのでどうかよろしくお願いします」というご丁寧な文面が届きました。

こうなると店主としては「喜んで送らせていただきます」としか、申し上げる言葉がありません。早速「ゆうパック」で発送して、一件落着となりました。

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2016年12月24日

知らぬは恥

「今日のブログはそれで行きなさい」という家人からのリクエストにより、お話しいたします。

神保町にあるY書店のすぐ裏手に「酔の助」という居酒屋があります。明治古典会の飲み会でも過去に利用したことがあり、その折、店主も評判の岩塩ピザをいただきました。

その店が、しばしばドラマに登場するらしいと話題にしたのは、そのY書店ご店主、Yさんです。昼食を一緒にした時のことでした。昼間、店の前で写真を撮っている人をときどき見かけるとか。

いったいどんなドラマの撮影に使っているのだろうかと、店主に尋ねます。もちろん知る由もなく、Yさんとて答えを期待したわけではないでしょう。

そこで「酔の助、ロケ地」で検索してみたらどうかと提案すると、早速ご自分のスマホで調べ始めました。するとすぐ、あるドラマの名が出てきたようで、「逃げるははじだが役に立つ」と読み上げてくれました。

RIMG1564「逃げ恥というらしい。知ってますか?」「いいえ」
「主役は新垣結衣。聞いたことありますか」「知りませんね」

そんな話を交わした2、3日あと。「天声人語」に、このドラマの最終回が放映され、逃げ恥ロスなる現象も起きている、というようなことが書かれているのを読みました。

Yさんと食事をしたのは、若い女性客も多いイタめし屋さんでしたから、周りで聞いていた人もいたかもしれません。そういえば会計の時の女性店員の笑顔が、いつもより大きかった気もします。

知らぬははじだがネタになる。

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2016年12月23日

市場の知恵

RIMG1450明治古典会の一年を締めくくる、クリスマス特選市が終わりました。

1点で100万円を超えるような特別な商品は、それほど多くはありませんでしたが、数十万円の取引価格の物は数多く見られました。そのレベルでも古書店としては高額なものです。

そういう高額発声を聞くたび、一瞬耳がそばだちます。どんな商品だったのか、買ったのは誰だったのかと。

通常の置き入札では、並べられた商品には封筒が添えられていて、業者はそれに札を入れます。経営員が順次開札をしていき、落札価格と書店名を封筒に記載します。

落札者の札が商品に付けられ、残りの札は封筒に戻される。その封筒を回収して、札改めのところへ持って来る。

札改めの役割は、残されている札と封筒に記載された落札価格、および落札者を見比べ、そこに誤りがないかを確かめる。その検査を経た封筒が発声台に回され、そこで読み上げられる。

この時点で、商品の所有権が出品者から落札者に移るわけで、これは間違いがあってはならない、というより間違いを防ぐための、大変重要な手順です。

それでもまれに、間違いが起きます。札改めで発見される開札の誤りは、一回の交換会で数度。ここまでなら、まだ未然に防げたと言えるでしょう。

発声直後に異議が出ることもあります。もっと高札を入れたつもりだとか、その商品に札を入れた覚えはないとか。これもまだ検証可能ですから、ほとんど無事に収まります。

問題は、同様な異議を後日に訴えられる時です。開札や札改めにミスがあったのかもしれません。しかし検証が難しい場合が多い。業界ではそれを「事故」と呼んでいますが、その解決は長年の経験、いわば慣習法に基づいています。

多岐にわたる事例を裁くのは、もっぱら担当者の知恵に任されているというわけです。

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2016年12月22日

なぜ店主に尋ねなかったか

ネットでご注文をいただくと、まず「在庫確認メール」をお送りします。書籍の状態についての補足説明と、送料を加えた合計金額をお知らせして、ご入金を待ちます。

4、5日しても入金や、何らかのお返事がない場合、もう一度、同じ内容のメールをお出しします。メールが届いていなかったり、見落とされていたりすることもあるからです。

昨日お出しした再確認のメールに対し、今朝こんなお返事が届きました。

支払いが遅くなって誠に申し訳ありません。実は私は東京大学西洋古典学研究室の出身なのですが、そこの本郷の研究室に呉先生の旧蔵書がかなりの数寄贈されています。いまでは大学の蔵書として登録されていますが、かつては未登録のまま教室に置かれていました。もしやそこに以前(二、三十年前のことですが)あったものが市場に流れたのではなかろうかと思い、問い合わせているところでした。しかし、まだ返事がありませんので、とりあえず私が購入することにいたします。本日郵便振替口座へ送金いたしますのでいましばらくおまちください。

一度は何気なく読み飛ばしましたが、お返事を書こうとしてもう一度読み直すうち、だんだん面白くない気分になってきました。支払いが遅れたのは、研究室の返事を待っていたからだということになります。しかも「とりあえず私が購入する」とは、どういう意味にとればよいのでしょうか。

小店をお疑いになったとまでは申しません。呉先生の大切な寄贈書が、誤ってか故意にか流出したのかもしれない。ひとまず自分がその流出を食い止めようと、お考えになったのでしょう。しかしそうであれば、その入手経路について、なぜ直接小店にお尋ねにならなかったのでしょうか。

72786bこの本には呉氏の古い自筆ハガキが挟まっております。その宛名の人物の旧蔵書が市場に出たことがあり、それを小店が買いました。その中に、この一冊があったのです。

本当に欲しい方にお売りしたいので、キャンセルしてくださいとメールいたしましたが、入れ違いで入金の通知がありました。お金はお返しするつもりです。

konoinfo at 19:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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