2017年01月

2017年01月31日

悲痛なメール

RIMG1628毎日お昼前までに「東京古書組合市場情報」というメールが、送られてきます。その日開かれる交換会の、出品物の案内が主な内容で、いわば宣伝チラシのようなものです。

そんな市場情報メールが、ある日、いつもより早い時間に届き、そこには次のような文言が書き込まれていました。

おはようございます。
本日の××会ですが、荷物が大変少なくなっております。
一点でも二点でもお持込いただければ幸いです。


出品の呼びかけは、普通、これから先の開催に対して行われるもので、今日の今日、出品してくださいという宣伝は、あまり聞いたことがありません。

そもそも宣伝になるのでしょうか。そんなに出品が少ないなら今日は出かけるのをやめておこう、ということにならないでしょうか。

よその会ながら心配いたしましたが、お昼前になって「本日は急な依頼にもにもかかわらず、ご出品いただきありがとうございました。おかげさまで何とか形になりました」という言葉と共に、いつものチラシメールが届きました。

交換会は出品者と入札者がいて成立するもので、そのどちらも組合員です。そして会を運営するのも同じ組合員。そのことを改めて考えさせられるメールでした。

今日の洋書会も、そんなメールを出してみたかった。

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2017年01月30日

気の遣いどころ

このところ続けて何点か、外国のサイトに本の注文をいたしました。AbeBooksが大半ですが、なかにAmazon Franceもあります。

AbeBooksは「日本の古本屋」でも見習いたい点の多いサイトです。店のランク付けはありますが、Amazonのようにお客様からの一方的な評価によるものではなさそうで、それだけでも本屋側としては嬉しい。

ただ、最近はどうなっているか知りませんが、以前BookFinderからクリックして見ただけで、買い物かごに残ってしまい、別の本を買おうとして危うく要らない本まで注文しそうになったことがありました。

Amazonは国ごとに別のサイトになっていて、外国に送りたくない店でも参加できる点は「日本の古本屋」に似ているかもしれません。

今回、Amazon Franceで注文した2軒の書店の内、1軒はそんな店でした。一方で、注文を受けてくれたもう1軒の書店は、メッセージを寄こし、住所の日本語表記を知らせろと言ってきました。

KIMG0104言われるままメッセージボックスに漢字を打ち込んで送ると、やがて送られてきたのはこんな荷姿のもの。自店のPCでプリントアウトされたのでしょうか。

住所表記に関する気遣いがそこまで行き届いている割に、郵便物に対する配慮はあまり感じられません。届いた時点でこの状態。「すみません、こんな状態で」と、郵便配達員さんが詫びながらお届けくださいました。

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2017年01月29日

南部支部報

nanbuずっと気に掛かっていた記事をようやく読むことが出来ました。

正月早々に我が班長、由縁堂の相川さんが持ってきてくれた『南部支部報・第51号』、その半分の頁を費やして載せられた「南部支部座談会」です。

参加者3名(日月堂さん、風船舎さん、ほん吉さん)はいずれも女性店主。正確に言うと風船舎さんは、お連れ合いとの共同店主。司会者は支部機関誌部のお2人(月の輪書林さん、九蓬書店さん)。

その5人が、これはどれくらいの時間、語り合われたのでしょうか。いつもながら、こうした分量を文字に起こすという作業に、まずねぎらいの言葉を掛けたくなります。

ただ、こうした楽しい座談会なら、同行者として名が記されている組合職員さんも、あとで起こしていてそれほど辛くはなかったかもしれません。昔の速記者と違い、料理のお相伴もできたことでしょうし。

機関誌ですから話している内容はもっぱら業界のこと、商売のことであるのは当然です。真面目な話題も多く、決して明るく語れることばかりではありませんが、おそらく誰が読んでも、談笑の愉快さが伝わってくると思います。

この手柄は、第一に司会者である月の輪さんのものと認めましょう。いささか目立ち過ぎの感はありますが。それに対して控えめな九蓬さんの合いの手が絶妙。狂言回しの役目を十分果たされました。

月の輪さんからの年賀状に「支部報いかがでしたか?」と言うコメントがあったのですが、これでようやく答えることができます。


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2017年01月28日

すっかり筒抜け

RIMG1620昨日の明治古典会は、際立った一口ものが複数出品され、1月も最終の特選市となって、ようやく賑やかさを取り戻した感じでした。

一つは明治文学初版本の、かなりまとまった口。店主が今読んでいる『日本文壇史』は、ようやく第4巻に入ったところですが、そこに登場する作家たちの著作も多数。

もう一つは「海軍少尉旧蔵写真帖・絵葉書・日誌類」とうたわれた資料物の一口です。大正から昭和初期にかけて、軍艦で世界を巡り、撮った写真、集めた絵葉書などが几帳面に整理された、これまた興味深い口でした。

他には、最近亡くなった某男優の旧蔵品とされる雑貨、雑器類が、同業たちの関心を集めておりました。本と一緒に引き取って来られたものでしょう。

さてこれらの一口ものは、それぞれ仕分けられて沢山の札が入ったのですが、なかでも「徳田秋声著作一括」は、その冊数の多さもあって昨日一番の落札価となりました。

会を終えると月末恒例の会食。それから店に戻って雑務を済ませ、家に着いたのが10時半過ぎだったでしょうか、家人から「こんなTweetが」といって画面を見せられました。

そこには「今日の明古に徳田秋声の一括が出て誰それが落札した」というようなことが書かれていました。その口ぶりから、同業者ではなくお客様らしい。

もちろん落札価格もご存じの筈。それを書かないのは節度を弁えていらっしゃるからでしょう。業者より、市場の内情に詳しい方がおられます。

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2017年01月27日

英訳『墓碑銘』

これもまたロッカー整理で出てきた本。とまでいえない小さな冊子。

niimi本紙16葉に表紙をくるんだだけ、頁付けはありませんが、印刷面はブランクを含めて20頁。新書を少し縦に伸ばしたサイズ。こんな片々たる冊子をなぜとっておいたのか不明ですが、あらためて見て、やはり捨てられない気がいたしました。

タイトルに示す通り、新美南吉詩集『墓碑銘』から6編の詩を選び、それを美智子皇太子妃(刊記は1977年)が訳されたものです。

何かの折に配られたものと思われますが、いつ、どんな場所で、どんな人に、と言うことはまったく分かりません。

出版者が Musashino Art College とあるのですが、これがまた謎。武蔵野美術大学(Musashino Art University)と関係があるのかないのか。

Set and bound by The Neptune Press とある、この印刷製本所もネット検索では情報が見つかりません。

そんな謎だらけの冊子ながら、6編の詩とその英訳はゆったり見開きに組まれていて、読んでいくとおだやかな気分になります。

シミ斑が残念ですが、これは早くからあったもののようです。場所を取るわけでもないし、取っておこうか。そんな気持ちで、市場で買った山の中から抜き出して、そのままロッカーにしまいこんであったのでしょう。

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2017年01月26日

猫に小判

昨日に続いて鶉屋さんのはなし。

鶉屋書店の、今に語り継がれる店仕舞いの大売り立てがあったのは、店主が独立する前だとばかり記憶していましたが、『仕事と人』を読み直してみて、それが昭和60年であったと知りました。開業して2年後のことです。

RIMG1622その当時、店主がもっぱら利用していた本部交換会は月曜日の中央市会。洋書会には、ようやく顔を出すようになったくらいでしょうか。

水曜日の資料会や、木曜日の一新会も、たまにこわごわ覗く程度でした。そんな中、金曜日の明治古典会は東京古典会と並んで、とりわけ敷居が高く感じられたものです。

店主が5年間修業した五十嵐さんは国文学系の学術書が専門。コレクターを相手にするような商品とは縁が薄い商売な上、店主自身も元来そうしたものに興味がなかったため、その方面の知識を得る機会はありませんでした。今だにそうですが。

そんなわけで飯田さんの売立市について、当時その噂さえ、耳にした覚えがありません。縁のない世界の出来事でした。

この『仕事と人』には、「飯田コレクション売立目録」と題して、昭和60年秋の売立市に出品された本のリストと、その落札価格、落札者が記されており、とても貴重な記録になっています。

当然限られた人にしか配られていません。しかしこの追悼本が発行された平成2年、すでに明治古典会の経営員となっていた店主は、この時にも間違いなく1冊いただいているはず。どこにしまい込んだか、まさに猫に小判でした。

目録にリストされているのは522点。1千万円を超えるものが1点、5百万円以上が2点、百万円以上は6点ほど数えられ、売立総額は1億円を超えただろうといわれます。

近代文学関係を扱う書店の売り立てとしては、質量ともに空前にして絶後。仮にその市会をこの目で見ていたら、その後の本屋人生が少しは違うものになっていたでしょうか。

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2017年01月25日

良き時代

昨日はお伝えしたような出品量でしたので、洋書会では一点も落札できませんでした。もっとも、入札したのも一点だけで、さして気のない札。当然の結果ではあります。

さて困ったのは、本を送る梱包用の段ボール資材を補充しなければならないことです。いつも組合で購入しているのですが、持ち帰るのには嵩張りすぎますので、ルート便に一緒に載せて運んでもらうようにしています。

そのルート便に積み込む本がないとなると、梱包資材だけになってしまいます。頼めば運んでくれるかもしれませんが、運送賃を考えると、かなり高いものにつくわけです。

そこでロッカーを整理して、店に持ち帰るものを150冊ばかり選り出し、それと一緒に積んでもらうことにしました。いつの間にか雑多なものが溜まっており、いずれは片付けなければならないのですから、よい機会でもありました。

そうして梱包資材と共に積み込んだ本が、今日の午後に到着。早速、整理を始めたところ、一冊の本に手を留めさせられました。

uzurayaそれがこの『鶉屋書店飯田淳次氏の仕事と人』です。なぜこれがロッカーに入っていたのか、思い出すまでにしばらく時間がかかりました。

10年ほど前、明古で勉強会のようなものを何回か開いたことがあり、その中のある回で配られた一冊です。

「古き良き時代」といってしまえばそれまでですが、飯田さんのような方も、もとより反町さんのような方も、この先、現れることはなさそうだと、その勉強会の時にも思ったものでした。

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2017年01月24日

交換会風景

東京組合広報部が「東京の古本屋」HPのリニューアルを考えておられるとかで、その一環として、交換会風景を見せることを企画されたようです。

それも素人のスナップ写真ではなく、プロの写真家に撮っていただくということになり、東京洋書会もその撮影対象の一つに入れていただきました。

その撮影日が今日。

ところが先週とは打って変わって、出品が少ない。陳列用の平台に本日の出品物を並べて見ると、せいぜい3割程度の埋まり具合です。

当番長としては大変焦りましたが、こればかりは、いかんともしようがありません。店主自身のロッカーも先々週に一度整理したところですので、賑やかしの出品も無理。やむなくそのまま成り行きに任せました。

やがて広報部担当理事さんと写真家さんが顔を出され、さすがにちょっとひるんだ様子。

確かに2週間前から伺ってはおりましたが、出品をその日に合わせて集めるのは難しい。とはいえプロにお願いする以上、先方のスケジュールに合わせざるを得ませんから、まあ出たとこ勝負でした。

RIMG1621結果として、いささか淋しい市場の光景となりましたが、あとはプロの腕前を信頼するしかありません。どのような写真が出来上がるにせよ、それもまた洋書会の真実なのですから。

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2017年01月23日

翻訳ソフト

ネットに出品しているある昆虫図鑑に対し、こんなメールをいただきました。

この本は実物の写真を何枚送ってくれますか。

発信者のお名前からすると、外国の方のようです。本の形態や内容がが分かるような写真が、何枚か欲しいということだと理解し、メールに添付して返信いたしました。するとこんなお返事。

kuwagata3本はとても良くて、しかし私達はちょうど春節が休みになって、等の春節後に私は更にあなたに連絡して、ありがとうございます。

これで分かったのは、発信者がどうやら中国の方だということ。しかしその意味するところは判然としません。いずれご注文いただけるかもしれませんが、アテにしないで待つことにいたします。

おそらく翻訳ソフトをお使いになったのだと思いますが、最近店主も、これとちょうど逆の経験をいたしました。

フランスのAmazonで、お客様から頼まれたフランス書を注文したところ、先方の書店からフランス語(当たり前ですが)で問い合わせが来ました。

言っていることは何となく分かりますが、返事をフランス語で書くのは手に余ります。それで英語でメッセージを書いたのですが、ふと思いついて、翻訳ソフトでフランス語に変換して送りました。

その後メールが来ないのは、無事に通じたのか、あるいはこれは無理だと意思疎通をあきらめたのか。商品だけは発送された模様です。

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2017年01月22日

真剣に悩む

3時のお茶を済ませ、家人と交替しようとすると「こちら、ご検討中ですから」と帳場の上に置かれたNゲージのケース(2500円)を指して、裏へ引っ込んでいきました。

高校生が二人、すぐ前に立っていて、時おり小声で何やら言い交していますが、それよりずっと沈黙の時間が長い。

別のお客様がお勘定に来られ、二人は店の隅の方に移動し、そこでまたボソボソとやっています。買うか買うまいか、悩んでいるのは一人で、もう一人はお付き合いらしいのですが、一緒に真剣に悩んでいます。

やがて家人もお茶を済ませて表に出てきたころ、ついに「また来ます」と言って帰って行きました。

ところが、それから幾らもたたないうちに再び二人で戻ってくると、意を決したように「やっぱり買います」。

まあ高校生にとって、2500円は決心が必要な金額なのだろうと目を合わせると、「じつは女性の方が中の1台でも売っていただけると…」。家人を呼んで交渉を任せました。

RIMG1617あとから聞くと、ケースの中には6台の車両が入っていて、1台だけが違う種類。その1台が欲しいと言うので500円ならと答えたところ、それから悩み始めたというのです。

割高に感じたのでしょうか。しかし他の1台売りは500円です。あるいはそれなら、いっそ全部買った方が得だと思ったのでしょうか。

この買い物に少なくとも30分以上は費やしたはずですが、その当人より、付き合った友達の姿に、なにか懐かしいものを感じたのでした。

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