2017年01月
2017年01月21日
戦間期出版事情
「この本はおいくらですか」と差し出されたのは、値をつけないまま、机の脇の棚に挿してあった一冊。
Paul Morand, Papiers d'identite. Bernard Grasset, 1931 というのがその本。CiNii には39版という登録もありますから、良く売れた本だったのでしょう。Bookfinder で調べると、500円くらいから何冊も見つかります。
しかしこれはその初版、しかもハードカバー。Acceptable でも2000円台が最安値――と言うことが分かったのは、お客様がお帰りになった後のこと。ご常連のお得意様でもありますし、直感的に500円という価格を申し上げ、お買い上げいただいたのでした。
安く売りすぎたとか、そういうことを申し上げようというのではありません。価格は適正であったと今でも思っております。本の状態はAcceptable もいいところ。ヤケが強く、背の角も割れていて、読むのに支障はないと言う程度でしたから。
その本文用紙は安手のペーパーバックのような紙質で、束がある割に手に持ったとき軽く、まるでゾッキ本のような安っぽい造りに見えました。
それが何とも不可解でしたので、「この頃は大戦後で、ものがなかったのでしょうかね」などと思わず口走ったのですが、言ったすぐあとでその不正確さに気づきました。
31年ともなれば戦後というより、のちに言うところの戦間期。仮にも戦勝国のフランスが、ドイツほど物資不足に悩んでいたかどうか。いつか調べてみたいものです。
Paul Morand, Papiers d'identite. Bernard Grasset, 1931 というのがその本。CiNii には39版という登録もありますから、良く売れた本だったのでしょう。Bookfinder で調べると、500円くらいから何冊も見つかります。
しかしこれはその初版、しかもハードカバー。Acceptable でも2000円台が最安値――と言うことが分かったのは、お客様がお帰りになった後のこと。ご常連のお得意様でもありますし、直感的に500円という価格を申し上げ、お買い上げいただいたのでした。
安く売りすぎたとか、そういうことを申し上げようというのではありません。価格は適正であったと今でも思っております。本の状態はAcceptable もいいところ。ヤケが強く、背の角も割れていて、読むのに支障はないと言う程度でしたから。
その本文用紙は安手のペーパーバックのような紙質で、束がある割に手に持ったとき軽く、まるでゾッキ本のような安っぽい造りに見えました。
それが何とも不可解でしたので、「この頃は大戦後で、ものがなかったのでしょうかね」などと思わず口走ったのですが、言ったすぐあとでその不正確さに気づきました。
31年ともなれば戦後というより、のちに言うところの戦間期。仮にも戦勝国のフランスが、ドイツほど物資不足に悩んでいたかどうか。いつか調べてみたいものです。
2017年01月20日
ゆうメールのこと
日本郵便には、日ごろ大変お世話になっています。「ゆうメール」「ゆうパック」の発送に関しては、毎日店まで集荷に来ていただき、とても助かっております。
とりわけ「ゆうメール」は、一般に配達記録も保証もつけないまま出しておりますが、ほとんど事故がありません。その安価なことと相まって、大変重宝しています。
というわけで、とても文句を言える筋合いではないのですが、ごく稀に不達事故が起きることがあります。小店でも過去をふりかえると、住所違いや宛先不明をのぞいて、1、2年に1通くらいの頻度で起こっているような気がします。
それだって、突き詰めていくと何かしら原因が分かるもので、大概は出し手、受け手いずれかに問題があります。
今朝、我が家の郵便受けに、何やら大きくはみ出して郵便物が入っておりました。
天部が開閉式のふたになっていて、その下の受け口から投函してもらうタイプのものです。その天部はふだん鍵で止めるようになっているのですが、たまたま(というよりしばしばですが)鍵がかかっておりませんでした。
そこで、そのふたを開けて郵便物を納め、ふたを戻したようですが、もちろん大きくはみ出していますからふたが閉まるわけもありません。しかし配達員さんは、それで投函完了とお考えになったのでしょう。
おそらく昨日の午後のことです。家の者が帰ったのは暗くなってからで、玄関わきの郵便受けがそのような状態であることに、誰も気がつかなかったようです。
今朝になって店主が朝刊を取りに行くまで、そのままの状態だったことになります。郵便物はA4判サイズのゆうメール。中味が絵本であることがすぐわかるような、会社のロゴ入りケースです。その気になれば、持ち去ることは簡単でした。
今朝まで残っていたことは幸いだったと思います。しかし、発送する立場としては、今後に不安を感じさせる出来事でした。
とりわけ「ゆうメール」は、一般に配達記録も保証もつけないまま出しておりますが、ほとんど事故がありません。その安価なことと相まって、大変重宝しています。
というわけで、とても文句を言える筋合いではないのですが、ごく稀に不達事故が起きることがあります。小店でも過去をふりかえると、住所違いや宛先不明をのぞいて、1、2年に1通くらいの頻度で起こっているような気がします。
それだって、突き詰めていくと何かしら原因が分かるもので、大概は出し手、受け手いずれかに問題があります。
今朝、我が家の郵便受けに、何やら大きくはみ出して郵便物が入っておりました。
天部が開閉式のふたになっていて、その下の受け口から投函してもらうタイプのものです。その天部はふだん鍵で止めるようになっているのですが、たまたま(というよりしばしばですが)鍵がかかっておりませんでした。
そこで、そのふたを開けて郵便物を納め、ふたを戻したようですが、もちろん大きくはみ出していますからふたが閉まるわけもありません。しかし配達員さんは、それで投函完了とお考えになったのでしょう。
おそらく昨日の午後のことです。家の者が帰ったのは暗くなってからで、玄関わきの郵便受けがそのような状態であることに、誰も気がつかなかったようです。
今朝になって店主が朝刊を取りに行くまで、そのままの状態だったことになります。郵便物はA4判サイズのゆうメール。中味が絵本であることがすぐわかるような、会社のロゴ入りケースです。その気になれば、持ち去ることは簡単でした。
今朝まで残っていたことは幸いだったと思います。しかし、発送する立場としては、今後に不安を感じさせる出来事でした。
2017年01月19日
TKI新年初会議
Google アナリティクスというインターネット分析サイトで調べてみると、「日本の古本屋」と言う語がGoogleで検索された回数は、この2年ほどの間、漸減していることが分かりました。
今日の「日本の古本屋」事業部定例会議で、マーケティング会社の方からレポートしていただいたことです。
その緩やかな下り方が、最近の「日本の古本屋」の売り上げ成績の推移と妙に近いところがあったので、部員一同、あれこれと考えさせられました。もちろん、どんな因果関係があるのか、本当のところは分かりません。
ついでにその場で、同じようにして「古本」を検索した回数を調べていただいたところ、2004年から比べると、およそ4分の1にまで下がっておりました。
こちらもいろいろな見方が出来るでしょうが、ネット社会における古本の位置が、相対的に縮小してきたことは確かだと思われます。
ただそれはあくまで相対的な問題で、市場規模自体は必ずしも縮小しているとは思えません。とはいえ、売上増加のための方策を見つけるのは、簡単でないことは確かです。
難しい課題を抱えたまま、会議終了後は恒例の新年会。協力業者さんたちも交え、仕事を離れて歓談――と行きたいところですが、つい話は我らがサイトの問題に戻りがち。
時間とともにようやく座がほぐれたころ、一次会終了となりました。二次会へ向かうメンバーと分かれ、素面の店主は帰途に。何しろ明日もまた、新年会が控えておりますので。
今日の「日本の古本屋」事業部定例会議で、マーケティング会社の方からレポートしていただいたことです。
その緩やかな下り方が、最近の「日本の古本屋」の売り上げ成績の推移と妙に近いところがあったので、部員一同、あれこれと考えさせられました。もちろん、どんな因果関係があるのか、本当のところは分かりません。
ついでにその場で、同じようにして「古本」を検索した回数を調べていただいたところ、2004年から比べると、およそ4分の1にまで下がっておりました。
こちらもいろいろな見方が出来るでしょうが、ネット社会における古本の位置が、相対的に縮小してきたことは確かだと思われます。
ただそれはあくまで相対的な問題で、市場規模自体は必ずしも縮小しているとは思えません。とはいえ、売上増加のための方策を見つけるのは、簡単でないことは確かです。
難しい課題を抱えたまま、会議終了後は恒例の新年会。協力業者さんたちも交え、仕事を離れて歓談――と行きたいところですが、つい話は我らがサイトの問題に戻りがち。
時間とともにようやく座がほぐれたころ、一次会終了となりました。二次会へ向かうメンバーと分かれ、素面の店主は帰途に。何しろ明日もまた、新年会が控えておりますので。
2017年01月18日
祝100号
石神井書林の内堀さんから、いつものように目録を送っていただきました。
いつからかは忘れましたが、少なくとも初めて一緒に理事を務めた2000年頃からは、ほぼ欠かさず送っていただいているのではないでしょうか。
その目録が100号に達したとあります。いかにも内堀さんらしく、ごくさりげない口上が巻頭に述べられていました。
そのさりげなさとはうらはらに、二つの特集(「特集練馬区関町」「特集村上一郎」)は、かなり力のこもったものです。店主のような畑違いのものにも、それくらいは分かります。
整理が悪いので、今までいただいた目録は、あちらこちらに紛れ込んでいますが、捨てたことはありませんから全て残っているはずです。
先日の市場で、彼の目録が数十冊まとめて出品されているのを見ました。残念ながら、誰が幾らで落札したか、その結末は聞きそびれました。
しかしいつか小店が店をたたみ、在庫整理をする時になれば、その目録が、小店蔵書中の数少ない値打ち品として仕分けられることになるかもしれません。
目録を見ているだけで楽しいのですが、内堀さんはその実物を扱っているわけです。楽しくないはずはありません。
学術書などという無粋なものを主な扱い分野とする自分が、無粋な唐変木に思えてきました。
いつからかは忘れましたが、少なくとも初めて一緒に理事を務めた2000年頃からは、ほぼ欠かさず送っていただいているのではないでしょうか。
その目録が100号に達したとあります。いかにも内堀さんらしく、ごくさりげない口上が巻頭に述べられていました。
そのさりげなさとはうらはらに、二つの特集(「特集練馬区関町」「特集村上一郎」)は、かなり力のこもったものです。店主のような畑違いのものにも、それくらいは分かります。
整理が悪いので、今までいただいた目録は、あちらこちらに紛れ込んでいますが、捨てたことはありませんから全て残っているはずです。
先日の市場で、彼の目録が数十冊まとめて出品されているのを見ました。残念ながら、誰が幾らで落札したか、その結末は聞きそびれました。
しかしいつか小店が店をたたみ、在庫整理をする時になれば、その目録が、小店蔵書中の数少ない値打ち品として仕分けられることになるかもしれません。
目録を見ているだけで楽しいのですが、内堀さんはその実物を扱っているわけです。楽しくないはずはありません。
学術書などという無粋なものを主な扱い分野とする自分が、無粋な唐変木に思えてきました。
2017年01月17日
遺された蔵書
因果な商売だと思うこともあります。
カーゴ5台半、哲学関係の仕分けあり。そんなメールが事前に届いておりました。当番長として2週目の洋書会。
朝、会場に着くと、すでに荷主である書店さんが来られていて、カーゴを移動中でした。同じ洋書会員、同じ役員メンバーです。
カーゴから本をおろし、平台に並べると、会場の半分ほどがそれで埋まりました。ひとまずそこまででコーヒーブレイクとし、この先の作業手順などを打ち合わせ。
手分けして他の比較的小さな口を片付けて、その後に当番全員で、その大口に取り掛かることにしました。
ギリシャ・ローマ哲学からフランス現代思想まで、普段あまり出てこない、比較的状態の良い哲学・思想関係の学術書が大量に含まれています。
出品者に尋ねてみると、まだ60代そこそこで急逝された学者さんの研究室から引き取ってきたのだそうです。
因果と言うのはこの点です。現役の先生が、これからも使うつもりで持っておられた本ですから、古書としても需要の高い本である場合が多いのです。
市場に出すのは、故人のご遺志であったようです。競って求めることが、ご供養にもなると、そう考えることにして、いつも以上に札を入れたのでした。
カーゴ5台半、哲学関係の仕分けあり。そんなメールが事前に届いておりました。当番長として2週目の洋書会。
朝、会場に着くと、すでに荷主である書店さんが来られていて、カーゴを移動中でした。同じ洋書会員、同じ役員メンバーです。
カーゴから本をおろし、平台に並べると、会場の半分ほどがそれで埋まりました。ひとまずそこまででコーヒーブレイクとし、この先の作業手順などを打ち合わせ。
手分けして他の比較的小さな口を片付けて、その後に当番全員で、その大口に取り掛かることにしました。
ギリシャ・ローマ哲学からフランス現代思想まで、普段あまり出てこない、比較的状態の良い哲学・思想関係の学術書が大量に含まれています。
出品者に尋ねてみると、まだ60代そこそこで急逝された学者さんの研究室から引き取ってきたのだそうです。
因果と言うのはこの点です。現役の先生が、これからも使うつもりで持っておられた本ですから、古書としても需要の高い本である場合が多いのです。
市場に出すのは、故人のご遺志であったようです。競って求めることが、ご供養にもなると、そう考えることにして、いつも以上に札を入れたのでした。
2017年01月16日
贋作シンジケート?
ネットオークションなどで、ニセの署名本が出回っているという話が、昨年秋くらいから、業界の一部で噂になっておりました。
古書組合の交換会でも、自筆本として出品される中に、偽物が見つかるのは、決して珍しいことではありません。署名本に限らず、色紙や原稿、書簡など、過去にさかのぼれば枚挙にいとまのない状態です。
交換会の場合は、お互いプロ同士ですから、真贋についてはそれぞれの判断に任されます。落札してから、これは偽物だったからという返品は、基本的に認められません。
しかし市場で買ったものが偽物であっても返せないが、お客様に売ったものが偽物であれば引き取らなければならない。それがプロの掟です。
そもそも真贋を判定するのは、決して簡単なことではありません。専門家どころか、本人でさえ間違えたという、笑い話のようなこともあります。
ならば疑わしいものには手を出さなければよいのですが、高い付加価値が付くこともある自筆本には、それなりのリスク覚悟で手を出す業者もいるわけです。
そんな交換会に、最近、似たような贋物の出品が目につくようになりました。あちこちの古書店に売り歩いているグループがあるようです。同じようなモノが、異なる人物によって、各地の本屋に持ち込まれている実態が分かってきました。
警察に相談しても、詐欺行為として扱ってもらうのはハードルが高いとか。業界のなかで、充分に注意喚起していくしかなさそうです。
古書組合の交換会でも、自筆本として出品される中に、偽物が見つかるのは、決して珍しいことではありません。署名本に限らず、色紙や原稿、書簡など、過去にさかのぼれば枚挙にいとまのない状態です。
交換会の場合は、お互いプロ同士ですから、真贋についてはそれぞれの判断に任されます。落札してから、これは偽物だったからという返品は、基本的に認められません。
しかし市場で買ったものが偽物であっても返せないが、お客様に売ったものが偽物であれば引き取らなければならない。それがプロの掟です。
そもそも真贋を判定するのは、決して簡単なことではありません。専門家どころか、本人でさえ間違えたという、笑い話のようなこともあります。
ならば疑わしいものには手を出さなければよいのですが、高い付加価値が付くこともある自筆本には、それなりのリスク覚悟で手を出す業者もいるわけです。
そんな交換会に、最近、似たような贋物の出品が目につくようになりました。あちこちの古書店に売り歩いているグループがあるようです。同じようなモノが、異なる人物によって、各地の本屋に持ち込まれている実態が分かってきました。
警察に相談しても、詐欺行為として扱ってもらうのはハードルが高いとか。業界のなかで、充分に注意喚起していくしかなさそうです。
2017年01月15日
年賀状解答編
ボロ市日和。寒いのは当たり前、昔の寒さはこんなものではなかった――といっても、体感にはある程度相対的なものがありますので、このところ暖かかった分、寒さが身に応えます。
年齢的なものもあるでしょう。表でジャンクおもちゃを選び、プラモの箱を一つ持って店に入ってきた小学生は、半袖Tシャツ姿。「寒くないの?」と聞くと「寒くない!」。少し得意そうな顔で帰っていきました。
さて正月も15日。年賀状の解答を公開いたします。まだ考えておられる方は、本日分はどうか読み飛ばしていただきますように。
毎年作っていて、苦労するのはタテヨコの「かぎ」です。易しすぎないように、といって誰にもわからないような「かぎ」では意味がない。
たとえば同音異義語がある場合(日本語にはそれが多いのですが)、そのどれを選ぶかは、どんな「かぎ」を思いつくかで決まります。
今回、いささか頭をひねったのは16のヨコ。ザウと言う文字列は、座右という単語以外、店主は存じません。しかもこの単語、通常はザユウと読むことの方が一般的。ではこれを捨てるか。しかしここを他の文字に変えるとなると、8、10、14、19と考え直さねばなりません。
そこで志賀直哉の編集した豪華写真集『座右寶』を持ち出すことにしました。古書業界では知られた本ですが、この読みは「ザウホウ」。出版社で座右宝刊行会というのも、同様の読み。
ある程度文字が埋まっていくと、入れられる文字は限定されます。だから「かぎ」はヒントではなく、まさに鍵。ピタリと鍵穴に入るかどうかを確かめるものなのでした。
年齢的なものもあるでしょう。表でジャンクおもちゃを選び、プラモの箱を一つ持って店に入ってきた小学生は、半袖Tシャツ姿。「寒くないの?」と聞くと「寒くない!」。少し得意そうな顔で帰っていきました。
さて正月も15日。年賀状の解答を公開いたします。まだ考えておられる方は、本日分はどうか読み飛ばしていただきますように。
毎年作っていて、苦労するのはタテヨコの「かぎ」です。易しすぎないように、といって誰にもわからないような「かぎ」では意味がない。
たとえば同音異義語がある場合(日本語にはそれが多いのですが)、そのどれを選ぶかは、どんな「かぎ」を思いつくかで決まります。
今回、いささか頭をひねったのは16のヨコ。ザウと言う文字列は、座右という単語以外、店主は存じません。しかもこの単語、通常はザユウと読むことの方が一般的。ではこれを捨てるか。しかしここを他の文字に変えるとなると、8、10、14、19と考え直さねばなりません。
そこで志賀直哉の編集した豪華写真集『座右寶』を持ち出すことにしました。古書業界では知られた本ですが、この読みは「ザウホウ」。出版社で座右宝刊行会というのも、同様の読み。
ある程度文字が埋まっていくと、入れられる文字は限定されます。だから「かぎ」はヒントではなく、まさに鍵。ピタリと鍵穴に入るかどうかを確かめるものなのでした。
2017年01月14日
五反田で文庫の仕入れ
今日と明日と、センター試験。東京は寒いだけですが、各地大雪で大変なようです。なぜこんな時期にと、毎年思います。
寒い中、五反田の南部地区会館へ入札に。午前10時は回っていましたが、来場者が何時もより少ない感じ。
ここでしか会えない同業に、新年のご挨拶。しかし、その相手も多くありませんでした。お昼近くになれば、もう少し大勢に会えるのでしょうが、小店にも事情というものがありますので。
出品点数も、毎月の入札会に比べればやや少な目に見受けられました。本の並び方も、普段よりはおとなしい。
そのなかを店主は、ひたすら店頭用の文庫本を求めて探し回り、何点かに絞って入札してまいりました。先月の反省から、さらにメリハリをつけ、欲しい口には、かなり強めの札を入れたのです。
ただ今月は、質の良い口が数少なかったので、その強めの札でも落とせる自信はありませんでしたが、採算を度外視はできません。まあ小店にとっては限度いっぱいの札。
夕方エクストラネットで調べると、2点が、どちらも下札で落札できたようです。狙った口ですから、まあ満足。全部で250冊ほどでしょうか。
明日引き取りに行き、早速家人に、値付けと並べをしてもらうことになります。
寒い中、五反田の南部地区会館へ入札に。午前10時は回っていましたが、来場者が何時もより少ない感じ。
ここでしか会えない同業に、新年のご挨拶。しかし、その相手も多くありませんでした。お昼近くになれば、もう少し大勢に会えるのでしょうが、小店にも事情というものがありますので。
出品点数も、毎月の入札会に比べればやや少な目に見受けられました。本の並び方も、普段よりはおとなしい。
そのなかを店主は、ひたすら店頭用の文庫本を求めて探し回り、何点かに絞って入札してまいりました。先月の反省から、さらにメリハリをつけ、欲しい口には、かなり強めの札を入れたのです。
ただ今月は、質の良い口が数少なかったので、その強めの札でも落とせる自信はありませんでしたが、採算を度外視はできません。まあ小店にとっては限度いっぱいの札。
夕方エクストラネットで調べると、2点が、どちらも下札で落札できたようです。狙った口ですから、まあ満足。全部で250冊ほどでしょうか。
明日引き取りに行き、早速家人に、値付けと並べをしてもらうことになります。
2017年01月13日
今夜も新年会
明治古典会は新年2回目にして、いくらか出品量が戻って来たようです。今日はいつも通り、3階4階、2フロアーでの開催でした。
しかしまだ完全に復調とはいえず、その証拠に午後4時過ぎには最終発声まで終わってしまいました。これで出来高が良ければ問題ないのですが、そこのところは確かめておりません。
ともあれ、おかげで総会を早くから始めることができました。
本日の主要な議題は上半期の事業報告。その他にも組合、交換会の今後について真剣な議論がありましたか、大方にはご関心のないところでしょうから、省略。
中で、皆さまにもご興味を持っていただけそうな話題がありました。近頃、偽物(ギブツ)の横行が目に余るというお話。それがどんなことかは、改めてお伝えいたします。
今日のところは、その総会後、旧理事会の新年会に出席したというご報告をいたします。西暦2000年を挟む2年間をともに務めた仲間、つまり今から15〜17年前の同期会です。
総勢16名のうち、一人は早くに業界を離れ、一人は数年前に逝去。残る14名が、毎年、ほぼ欠けることなく顔を揃えます。歴代理事会の中でもかなり珍しいことですが、これは格別結束が強いというより、熱心な肝煎り役の存在が大きな要因でしょう。
会場はこの10年近くは同じ店。店の方が途中で移転しましたが、それでも変わらずレストラン「七条」。毎年事前にメニューが送られてきて、各自が好きなコース料理を選びます。
いつもながら一通りいただくとお腹いっぱい。しかも偏食、小食の仲間からお皿が回ってきます。ついそれにも手を出して、最後は苦しいほど。消化に良い会話ばかりなのが救いです。
楽しい食事を終え、解散するときには、「よいお年を」と言い合って別れたのですが、これが冗談にならない仲間もいるのです。
しかしまだ完全に復調とはいえず、その証拠に午後4時過ぎには最終発声まで終わってしまいました。これで出来高が良ければ問題ないのですが、そこのところは確かめておりません。
ともあれ、おかげで総会を早くから始めることができました。
本日の主要な議題は上半期の事業報告。その他にも組合、交換会の今後について真剣な議論がありましたか、大方にはご関心のないところでしょうから、省略。
中で、皆さまにもご興味を持っていただけそうな話題がありました。近頃、偽物(ギブツ)の横行が目に余るというお話。それがどんなことかは、改めてお伝えいたします。
今日のところは、その総会後、旧理事会の新年会に出席したというご報告をいたします。西暦2000年を挟む2年間をともに務めた仲間、つまり今から15〜17年前の同期会です。
総勢16名のうち、一人は早くに業界を離れ、一人は数年前に逝去。残る14名が、毎年、ほぼ欠けることなく顔を揃えます。歴代理事会の中でもかなり珍しいことですが、これは格別結束が強いというより、熱心な肝煎り役の存在が大きな要因でしょう。
会場はこの10年近くは同じ店。店の方が途中で移転しましたが、それでも変わらずレストラン「七条」。毎年事前にメニューが送られてきて、各自が好きなコース料理を選びます。
いつもながら一通りいただくとお腹いっぱい。しかも偏食、小食の仲間からお皿が回ってきます。ついそれにも手を出して、最後は苦しいほど。消化に良い会話ばかりなのが救いです。
楽しい食事を終え、解散するときには、「よいお年を」と言い合って別れたのですが、これが冗談にならない仲間もいるのです。
2017年01月12日
読ませる記事
「全古書連ニュース」第456号が店に届きました。全国古書籍商組合連合会の機関紙です。
こんなことをいっても、業界関係者以外にはチンプンカンプンでしょう。要するに全国の組合加盟古書店約2千軒に対して隔月に届けられる、小判(B5サイズ)の新聞であるとご理解ください。
隔月という点にご注目いただけるでしょうか。そして通巻第456号です。いったい何時ごろから発行されているのか。当初より隔月刊行が定められていたわけではありませんから、ただ6で割るのとは少し違いが出ます。
創刊は終戦の翌年、全古書連が発足するのと同時。つまり今年で72年目になります。東京組合の機関誌『古書月報』といい、この『ニュース』といい、古本屋の継続力は大したものだと、改めて思います。
その伝統ある機関紙、本号のメイン記事は、東京組合が「古書の日」に企画した「古本屋の〈これから〉について話そう」というトークイベントの紙上再録。
話しているのは司会者を含め4人で、いずれも業界歴10年前後、年齢は30代40代という、わが業界においては若手の面々。
このイベントは、もともと古書の世界に興味を持ち、できれば古書店を開きたいと考える方たちのために開いたものです。ですから、若手が中心となるのは当然。人選もトークの内容も適切なものでした。
しかし、それを全国の同業、しかもその多くが自分より遥かに業界歴の長い人たちに読まれることになるとは、ご当人たち、あまり意図していなかったと思います。店主が同じ立場なら、大慌てするところ。よく再録を承知されました。
急いで申し上げますが、難癖をつけているわけではありません。実際、店主自身も大変興味深く読ませてもらいました。若い人たちの考えを聞く機会は、それほどないのですから。
ただこうした再録もの、ページを埋めるのには重宝ですが、大変なのは文字に起こす作業です。読ませる記事になるかどうかは、ほとんどその技量にかかっています。黒子に感謝です。
こんなことをいっても、業界関係者以外にはチンプンカンプンでしょう。要するに全国の組合加盟古書店約2千軒に対して隔月に届けられる、小判(B5サイズ)の新聞であるとご理解ください。
隔月という点にご注目いただけるでしょうか。そして通巻第456号です。いったい何時ごろから発行されているのか。当初より隔月刊行が定められていたわけではありませんから、ただ6で割るのとは少し違いが出ます。
創刊は終戦の翌年、全古書連が発足するのと同時。つまり今年で72年目になります。東京組合の機関誌『古書月報』といい、この『ニュース』といい、古本屋の継続力は大したものだと、改めて思います。
その伝統ある機関紙、本号のメイン記事は、東京組合が「古書の日」に企画した「古本屋の〈これから〉について話そう」というトークイベントの紙上再録。
話しているのは司会者を含め4人で、いずれも業界歴10年前後、年齢は30代40代という、わが業界においては若手の面々。
このイベントは、もともと古書の世界に興味を持ち、できれば古書店を開きたいと考える方たちのために開いたものです。ですから、若手が中心となるのは当然。人選もトークの内容も適切なものでした。
しかし、それを全国の同業、しかもその多くが自分より遥かに業界歴の長い人たちに読まれることになるとは、ご当人たち、あまり意図していなかったと思います。店主が同じ立場なら、大慌てするところ。よく再録を承知されました。
急いで申し上げますが、難癖をつけているわけではありません。実際、店主自身も大変興味深く読ませてもらいました。若い人たちの考えを聞く機会は、それほどないのですから。
ただこうした再録もの、ページを埋めるのには重宝ですが、大変なのは文字に起こす作業です。読ませる記事になるかどうかは、ほとんどその技量にかかっています。黒子に感謝です。