2017年02月

2017年02月18日

「サミュエル・ジョンソン伝」

65173丁寧な口調のお電話でした。最近「日本の古本屋」にアップしたばかりの「サミュエル・ジョンソン伝」(みすず書房)全3巻について、「お店へ伺って状態を確認させていただきたいのですが」と。

2、3日うちにということで、お待ちしておりましたら今日の午後、お越しになりました。店主より上か下か、いずれにせよあまり違わない年恰好の男性です。

店の奥から出してきてお見せすると、1冊ずつ手にとってじっくりご覧になり、やがて「今回はご遠慮させていただきます」と言ってお戻しになりました。

時間がかかりすぎるので、少し嫌な予感はしていたのですが、まさかの結論です。「新刊並の本をお探しですか?」とお尋ねするのがやっと。「いえ、そういうわけでは」と言葉を濁してお帰りになりました。

65173bあとから改めて自分でも函から出して確認してみましたが、どこがお気に召さなかったのか、皆目見当がつきません。布装の表紙に斑点状の色褪せがありますが、これでしょうか?あるいは第3巻の小口に1粒、天に2粒、芥子粒大のシミ斑が見られますが、これでしょうか?

店主には抵抗がある表現ですが、殆んど「使用感のない」良い状態です。しかも発売時定価1冊8千円が3冊まとめて6千円。まずお買い上げいただけると思っておりましたので、いささか憮然、悄然。

しかし考えてみれば、お客様にとっても無駄足です。ここは冷静に、なぜ「ご遠慮」となったのかを、後学のためにもぜひお伺いしておくべきであったと、後になって反省いたしました。

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2017年02月17日

おそるべしプラモ

RIMG1734春一番の強風で、店の前のおもちゃワゴンが道路側に吹き倒され、商品が散乱して大騒ぎだったそうです。たまたま店主が席を外している間の出来事で、家人の嘆くこと。

とりわけ、プラモの函のふたが一つなくなっていて、おそらく遠くに飛ばされていったのだろうと肩を落としておりました。

そのプラモです。昨日の朝、いつもの古道具屋さんが大量(といっても数十函)に持ち込んでくれました。少し前に20函ほど持ってきてくれたことがあり、それが案外早くに売り切れ。そのことを伝えてあったことから、今回の入荷となったわけです。

一つ一つが嵩張るため、店の前にいくつも台を置いて並べ、ずいぶん場所取りなことでしたが、なんと、夜になって店を仕舞う頃には、残りが僅かという状況。

お一人で10個以上もお買い上げになる方がおられたからでもあるのですが、他の方も数個ずつお買い上げ。男性ばかり、みなさん50歳前後とお見受けしました。どこかで聞きつけてこられたのでしょうか。

1個300円から高くても千円どまりですから、大人買いもできるのでしょう。しかし、なぜこういうふうに本が売れないのかと、つい僻みたくもなってしまいます。

いや、話に聞く昔の古本屋さんは、こんな感じだったかもしれません。市場で仕入れてきて棚に入れても、すぐに売れて棚がガタガタ――古い『古書月報』を探せば、そんな話がいくつも見つかります。ただ不思議なことに、いつもそれ自体が昔話。

対してこのプラモは、リアルタイムの話です。ただ悲しいことに、売り切れてしまえばそれっきり。いつまた入荷できることやら。だからこそ売れるのでしょうが。

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2017年02月16日

不思議なEMS便

「EMSで海外発送をしていただけますか?」というお電話があったのは3日前のこと。前にどこかの店にネットから注文をして断られたことがあるので、あらかじめ電話を入れたのだとか。

「大丈夫ですよ」とお答えすると、しばらくして注文が入りました。送り先は韓国でクレジット決済希望。

RIMG1722本の重さを量り、日本郵便のサイトで調べると、送料は2400円と出ました。書籍自体が1垓瓩い燭瓠∈包するとその一つ上、1.2圓領繕發箸覆蠅泙后

早速決済メールをお送りすると、折り返しお返事がきました。

函をはずして、改めて計って頂けないでしょうか。今まで韓国へのEMS料金は本2冊も1400円でした。大よそ1100か1400円でした。あまりにも送料が高いです。

函を外して、簡単な梱包にすれば1kg以下で済みますが、それでも2100円です。その旨メールでお知らせしましたが、このご注文はキャンセルかなと、半ばあきらめました。すると1日置いて昨日――

なぜかクレジットカードの決済ができなくなりましたので、昨日と今日、郵便を送らせて頂きました。中身をご確認して頂いてから、本を送ってください。よろしくお願い致します。

というメールが入り、本日EMS封筒が2通届きました。開けてみると1通に現金6200円、もう1通になぜか200円。どちらにも「よろしくお願いします」のメモだけ。

ご注文の本は函をつけたまま梱包し、中に100円硬貨2枚を忍び込ませました。「これは余分ですからお返しします」とメモを添えて。

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2017年02月15日

ソビエト映画文献

昨日の洋書会に、ロシア語の本が平台一列に並べられていました。と言っても同業以外には、それがどれくらいの量か、お分かりにならないことでしょう。

カーゴに積み込めば2台や3台にはなる分量。ハイエース級の車で、積み切れるかどうかという程度の量。ともかくそこそこの量です。

それが昨日だけではなく、その前の火曜日にも同じくらい出品されていて、どうやらその続きでした。

先週の市会では、ロシア語と言うだけで見飛ばしてしまったのですが、終わったあとで落札者が整理しているところへ近づいて良く見ると、かなり多くが映画関係の本。

ちょっと心が騒ぎました。しかし英語や仏語ですら映画文献はなかなか動きませんし、いずれにせよ、すでに他人が落としたもの。忘れることにいたしました。

そこへまた昨日の出品です。今度は、全体の半分以上の量が映画雑誌。主なものが2種類、それぞれが200冊ほどありましたでしょうか。貴重な資料となるかも知れません。

けれども店主は過去にイタリア語やハンガリー語の映画雑誌を買い込んだことがあり、まだどこかに塩漬けになったままの筈です。現状のスペース不足を考えて、入札を断念しました。

結局、雑誌は買い手が付かず、本の山は前週と同じ書店が落札。聞くところによると映画文献ではなく、文alpers学書にお目当てがあったとか。

落札品を整理しているところを覗くと、演劇関係の面白そうな本。手に取って眺めていたら、気前良く分けてくれました。このアルペルスと言う人、メイエルホリドの友人のようですが、店主は存じませんでした。

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2017年02月14日

今日は何の日

昨日の朝、出かけようと車のスイッチを入れると、カーナビが「今日(2月13日)は苗字制定記念日です」と教えてくれました。

聞き流してしまう日も多いのですが、この言葉はしっかり耳に届きました。というのもその前の金曜夜、仲間と食事をしながら、何かのきっかけで苗字談義をしたばかりだったからです。

一人がスマホで「珍しい苗字」の検索を始め、次々と、驚くような名前を読み上げました。何でも日本には、17万ほどの姓があるのだとか。

以前、姓名のランキングサイトを見つけ、知っている限りの珍しそうな苗字を検索してみたことがありますが、最高で3万番台でしたから、まだまだ限りなく珍しい名があることになります。

ちなみに極レアな姓として挙げられたのは「回り道」さん「野ざらし」さん。

いったいどんな経緯でこうした姓を名乗られることになったのだろうと首をひねり、明治の初め、姓を義務化することになった際に、いろいろな騒ぎがあったらしいなど、ひとしきり盛り上がったのでした。

明けて今日2月14日は、今さら言うまでもないバレンタインデー。我々の世代には、縁の薄い記念日です。

若かりし頃、そんな風習は遠い異国の話でしたし、盛んになった頃には、すでに対象外の年齢でした。それで幸いだったかもしれませんが。

KIMG0131今日、洋書会に行くと女性会員から、小さなチョコを手渡されました。世にいう「義理チョコ」で全員に配られたものですが、老いも若きも皆、相好を崩して喜んでおりました。もちろん店主もです。

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2017年02月13日

日本語会話教本

こんなことをしている場合ではないのですが…。

japonais昨日の宅買本を整理していると、汚れた古い本が出てきました。タイトルから、フランス人のための日本語教本だと分かります。

よほど古いものなら取っておく価値もありそうだと、パラパラ頁を繰ってみました。すると、青いボールペンの線引き書入れ。これはもうツブシにするしかないなと思いながら、漫然とその書入れを目で追いました。

すると青ペンは、どうやらローマ字表記の日本語があまりに古めかしい場合、それを現代風に直しているのだと気がつきました。

この元の日本語が、いつごろ使われていたものかは不明です。そもそもこの本には刊行年がなく、CiNiiに登録されている本では [19--]と表記。

WorldCatを調べてみると [1932]と表記したデータが見つかりました。しかしその根拠は不明。これが正しければ昭和の初期ということになりますが、挙げられている例文を見る限り、もっとずっと古い気がします。

たとえばKwankoba de wa, shofuda ga tsuite orimasu kara, tsugo ga yoroshu gozaimasu.これを「勧工場では正札がついておりますから、都合がよろしゅうございます」と読み起こせる日本人は、今や少数でしょう。

japonais2theierekibishoという日本語があてられていて、これを青ペンがkyusuと直しているところがありますが、「きびしょ」は店主も初耳でした。

こんな具合で見ていくと、つい時間を忘れてしまいます。

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2017年02月12日

段ボール15箱

RIMG1726午前中に宅買いと、南部の引取りと、2箇所に出かけました。

宅買いは先週の続き。20年ほど前まで駒場でフランス語を教えていらした先生のお宅。前回も今回も、スーパーで貰ってきたとおっしゃる、野菜用の段ボール箱が15個。

大き目な箱なので、それが小店の小型車には一度に載せられる限度です。店にその15箱を下ろしてその足で、五反田の南部会館へ。

昨日の入札会で落札出来ていたのは文庫4本口、9本口の2点400冊弱と、謡曲一番本が100冊ほど。それらを引き取って店に戻ると、もうお昼前。

なんと、五反田に行って戻る間に、家人が全部の段ボール箱から本を出し、店内に積み上げてくれておりました。午後からはその片付けです。文庫本は家人が担当。店主は宅買い品の整理。

これで都合3度目のお引き取りになるのですが、評価の付けやすい日本書の割合が、回を追うごとに減ってきます。今回は15箱の内、2箱分ほどしかありませんでした。

洋書も、前回はまだ旧版とはいえプレイヤード叢書などが入っていて、いくらか評価できましたが、今回は語学教育書、入門書がかなりの量を占めています。

もちろん評価額でご不満をおっしゃるような先生ではありませんが、だからこそ却って気が引けるわけです。

ともかくまず傷んだ本、線引き書入れの有る本などを取り除けました。それがおよそ全体の2割程度の分量。それでも依然として通路が1本、二重駐車状態となっております。

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2017年02月11日

寒さの応える夜

昨日の明治古典会にも美術関係の口がいくつか出ておりました。そのなかの一つに、前回店主が落札した口の続きと思われる出品もありましたが、今回は今一つ食指が動かず入札見送り。

別に洋書――それもイタリア語が多く含まれた美術書の口があり、これもどこかの研究者の蔵書だろうと思われましたが、やがて、もう亡くなられて10年になる、高名な女性美術史家の旧蔵書と分かりました。

分かった時には既に開札が済んだあと。慌ててもう一度、未練がましく見に行きましたところ、落札価格は極めて冷静なものでした。

おそらく競合者がなかったのでしょう、殆んどが下札。しかし仮に店主が買おうと思えば、その上札以上の値を書く必要があります。やる気さえあれば、それでも充分買えますが、そのやる気が問題。

RIMG1723特殊な研究書が多いので、すぐには売れそうになく、長く在庫する覚悟が必要です。覚悟はあっても場所がない。すでにある在庫の何を処分するか、頭を悩ますことになります。

そもそも、そうした手間と、それに要する時間を考えたからこそ、札を入れなかったのです。旧蔵者が分かったあとでもその判断が大きく変わらないことが、見直した結果、確認できました。

市場を終えて、いつものメンバーで夕食。近くのイタリアンへ、ほぼ口開けの時刻に4人で入ったのですが、ゆっくりお喋りをしながら食事を済ませるまで、ついにほかのお客は来ず。3時間近くも貸し切り状態となりました。

確かに寒い夜で、店を出て帰る道も人通りはまばらではありましたが、それにしても決して人気のない店ではありません。たまたまのことだったのでしょうが、商売の難しさを相憐れむ気分で家路についたのでした。

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2017年02月10日

全集宅買い

お客様から、宅買いに来てもらえないかというメールをいただきました。

RIMG172520年以上前の学生さん時代にはよくご来店いただき、その後お勤めになって東京を離れ、戻ってこられたのが数年前。以来、2度ほどお引取りに伺ったことがあるお馴染みさんです。

ただ今回、引き取って欲しいと言ってこられたのは、校本宮澤賢治全集など約30冊とか。車なら15分もあれば行ける近いところです。量の多寡はともかく、時間さえ合えば、お伺いするのはやぶさかではありません。

問題は全14巻15冊の旧版賢治全集。刊行当時は評判になった個人全集で、古書価もそれなりについておりました。しかし完結から40年、その後、新版も刊行され、今では市場に出ても札を入れる人がいるかどうかという状態。

念のため「日本の古本屋」で検索してみました。価格順にソートして高い方から見ていきますと、際限なく安い値段が現れます。状態さえ問わなければ、最安値8千円というものまでありました。まともな状態の本でも1万円台で入手できそうです。

価格もともかく、その出品点数がざっと数えて約30組。こうなれば、わざわざそれを仕入れようという本屋はまずいないのが道理。

そんなわけで、それだけを引き取りに伺うのはちょっと辛いと、正直な気持ちをお返事いたしました。お馴染みの気安さも手伝って。

そうお答えしなければならない古本屋としての苦衷を、きっとご理解いただけると信じ。

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2017年02月09日

いいとこどり

先週金曜日の明治古典会に、美術関係の白っぽい研究書が、割合まとまって出品されていました。明古にとっては珍しいことではありません。現にその前の週にも、一口らしい美術書の出品がありました。

しかし、先日の出品は何か店主のアンテナに感じるものがあり、何点か入札したところ、2点だけ落札することが出来ました。あわせて40冊程度になります。

昨日ルート便で届き、早速値付けをいたしました。どちらも上札でしたから、あまり儲けは出ないだろうと思いながら見ていくと、中の何点かが、版元品切れとなっていることが分かりました。

RIMG1728それらが売れてくれれば、利益は出せそうです。といって、あまり高くつければ売るのが難しくなるのは道理。どこやらのサイトのように突飛な値をつけるのは、「矜持」が許しません。

まるで専門外の本なら、それもご愛嬌で済むかもしれませんが、仮にも「和洋学術芸術書」という看板を掲げているのですから。

ともあれこの口、儲かるかどうかはともかく、ほとんどが店に並べておきたい本ばかり。いったいどなたの旧蔵書かと思いながら作業をしていると、献呈署名の書かれた本が出てきました。

それで合点がいきました。今年、定年となったはずの東大の先生。その研究室から出た本のようです。駒場ではなく本郷ですから、小店とはおなじみが薄い。

どこの本屋さんにお声がかかったのでしょう。ちょっと羨ましい気もしましたが、すぐ考え直しました。市場で、自分の欲しい本だけを買わせていただくというのも、充分ありがたいことであると。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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