2017年02月
2017年02月08日
ブリタニカ
本を手に取って、目次を開いて見ると「ブリタニカ」と言う文字が目に入りました。興味を惹かれてその章に目を走らせました。
本は金素雲『恩讐三十年』(ダヴィッド社、1954年)。なぜそんな本を手にすることになったかは、また機会がありましたら。店主が関心を持ったのは、次のくだりです。
中野に蘇比亜書院という古本屋があって旧版のブリタニカが一揃い、金二十五円也で出ていた。先ず紙屑の値段である。如何に二十年前の旧版でも少し廉すぎた。
少し後に「背丈ほどもある」という表現も出てきます。一見、高価に見える百科事典が実は「紙屑並」であったということが、この話の眼目となるのですが、下手な要約をするより、詩人の文章でぜひお読みいただきたいと思います。ちょっといい話です。
店主にとっては、これがブリタニカの第何版かが、気になるところでした。昭和14年の話であることが、冒頭に述べられています。
この時点で旧版と言うと1911年に出された第11版。しかしこの版は店主の知る限り薄いIndia Paper本で、「背丈ほど」というのはやや大げさ。その前の第9版+第10版の35巻ではなかったかと、店主は考えます。
100年以上前に出たこの版が、いま良い状態で残っていれば、それなりのお値段になるでしょう。しかし20年、30年前の百科なら、いまも「紙屑並」であることに違いはありません。
本は金素雲『恩讐三十年』(ダヴィッド社、1954年)。なぜそんな本を手にすることになったかは、また機会がありましたら。店主が関心を持ったのは、次のくだりです。
中野に蘇比亜書院という古本屋があって旧版のブリタニカが一揃い、金二十五円也で出ていた。先ず紙屑の値段である。如何に二十年前の旧版でも少し廉すぎた。
少し後に「背丈ほどもある」という表現も出てきます。一見、高価に見える百科事典が実は「紙屑並」であったということが、この話の眼目となるのですが、下手な要約をするより、詩人の文章でぜひお読みいただきたいと思います。ちょっといい話です。
店主にとっては、これがブリタニカの第何版かが、気になるところでした。昭和14年の話であることが、冒頭に述べられています。
この時点で旧版と言うと1911年に出された第11版。しかしこの版は店主の知る限り薄いIndia Paper本で、「背丈ほど」というのはやや大げさ。その前の第9版+第10版の35巻ではなかったかと、店主は考えます。
100年以上前に出たこの版が、いま良い状態で残っていれば、それなりのお値段になるでしょう。しかし20年、30年前の百科なら、いまも「紙屑並」であることに違いはありません。
2017年02月07日
TV観戦の記
昨日6日は、店主にとっての年中行事 Superbowl Monday でした。昨日のブログにそれをご報告できなかったのは、まだ結果を知らなかったからです。
キックオフが午前8時半ころ。前半が終わったところで10時を回っておりました。そのまま観ていれば、店に着くのは午後1時を回ることになります。
これが贔屓チームの試合であれば、年に一度のことですから、家人には大目に見てもらい、ゆっくり最後まで観戦したことでしょう。しかしPatriotsとFalcons、そのどちらにも特に思い入れはありません。
とはいえゲームが白熱した展開であれば、やはりそのまま見続けたことでしょう。前半を終わって21対3。この点差が、腰を上げさせた面は否めません。
ただしスコアほどFalconsが圧倒していたようには見ていませんでした。それでも、残りは夜帰ってからでいいと決断して、Half Time Show の前に家を出ました。
そうして夜、食事を済ませ、続きを観ました。結果的には奇跡の大逆転となったわけですが、この終盤でもPatriotsが圧倒していた感じは受けませんでした。
スコアを重ねているチームが相手を圧倒しているように見えないという、不思議な展開のゲームだったというのが店主の印象です。やはり贔屓チームでないと熱くなれないとういことでしょうか。
試合の分岐点は、Falconsディフェンスがホールディングを重ね、Patriotsに最初のタッチダウンを許したドライブにあったと店主は見ていますが、こういうのをMonday Morning Quarterbackと呼ぶのだと、解説者から教わりました。
キックオフが午前8時半ころ。前半が終わったところで10時を回っておりました。そのまま観ていれば、店に着くのは午後1時を回ることになります。
これが贔屓チームの試合であれば、年に一度のことですから、家人には大目に見てもらい、ゆっくり最後まで観戦したことでしょう。しかしPatriotsとFalcons、そのどちらにも特に思い入れはありません。
とはいえゲームが白熱した展開であれば、やはりそのまま見続けたことでしょう。前半を終わって21対3。この点差が、腰を上げさせた面は否めません。
ただしスコアほどFalconsが圧倒していたようには見ていませんでした。それでも、残りは夜帰ってからでいいと決断して、Half Time Show の前に家を出ました。
そうして夜、食事を済ませ、続きを観ました。結果的には奇跡の大逆転となったわけですが、この終盤でもPatriotsが圧倒していた感じは受けませんでした。
スコアを重ねているチームが相手を圧倒しているように見えないという、不思議な展開のゲームだったというのが店主の印象です。やはり贔屓チームでないと熱くなれないとういことでしょうか。
試合の分岐点は、Falconsディフェンスがホールディングを重ね、Patriotsに最初のタッチダウンを許したドライブにあったと店主は見ていますが、こういうのをMonday Morning Quarterbackと呼ぶのだと、解説者から教わりました。
2017年02月06日
いろいろなお尋ね
「妙なこと伺ってよろしいでしょうか」と若いお客様。「ん?」と顔を上げると、「読んでおいた方が良いオススメの本はありますでしょうか」
根がへそ曲がりな店主ではありますが、こういう素朴な質問に対しては、案外まともに対応しております。
「ジャンルとしては…史実なんかが好きです」と一応のヒントをいただき、席を立って文庫の棚に向かいました。「世界?日本?」「まずは日本ですかね」
店主の目に飛び込んできたのは岩波文庫の『忘れられた日本人』。読み易さから言ってもまず妥当なところだと考え「これなんかいかがですか」とオススメ。
さらに探しているうち、好きな作家は吉村昭だとおっしゃいます。なるほど史実に興味があるというのは、そういうことかと分かりました。
結局、他には手頃な本が見つからず、オススメした本をお買い上げくださいましたが、それほど的外れなチョイスではなかったと思います。
これで思い出したのは、以前、同じように若い方から、人生の悩みを解決するためのオススメ本を尋ねられたこと。あの方はその後、どうされたでしょうか。
別のお客様から「2ヶ月ほどインターンシップで日本に来るフランス人が、井の頭線沿線にシェアハウスを探しているのですが」と言うご相談を受け、ご近所の不動産屋さんを紹介いたしました。
振り先の明らかなご質問のほうが、気が楽です。
根がへそ曲がりな店主ではありますが、こういう素朴な質問に対しては、案外まともに対応しております。
「ジャンルとしては…史実なんかが好きです」と一応のヒントをいただき、席を立って文庫の棚に向かいました。「世界?日本?」「まずは日本ですかね」
店主の目に飛び込んできたのは岩波文庫の『忘れられた日本人』。読み易さから言ってもまず妥当なところだと考え「これなんかいかがですか」とオススメ。
さらに探しているうち、好きな作家は吉村昭だとおっしゃいます。なるほど史実に興味があるというのは、そういうことかと分かりました。
結局、他には手頃な本が見つからず、オススメした本をお買い上げくださいましたが、それほど的外れなチョイスではなかったと思います。
これで思い出したのは、以前、同じように若い方から、人生の悩みを解決するためのオススメ本を尋ねられたこと。あの方はその後、どうされたでしょうか。
別のお客様から「2ヶ月ほどインターンシップで日本に来るフランス人が、井の頭線沿線にシェアハウスを探しているのですが」と言うご相談を受け、ご近所の不動産屋さんを紹介いたしました。
振り先の明らかなご質問のほうが、気が楽です。
2017年02月05日
「海辺の小屋」書店
Beach Hut ――何と訳せばよいでしょうか。「海の家」と言うとそのニュアンスが変わってしまいます。まさに海辺の小屋。
そんな名の英国の本屋さんから、注文した本が届きました。包みを開くと、簡単な送り状が一緒に入っておりました。
特別なメッセージは何も添えられていません。商品名と金額、注文番号など必要事項だけ。ただレターヘッドに、鮮明とは言えないカラー写真が、あたかもロゴマークのように印刷されていました。
写っているのは前面素通しの小さな小屋。空は青く、陽射しが降り注ぐ地面は白い砂。小屋の中にはデッキチェアに座る男性。Tシャツ短パン姿で一人スニーカーをはいた足を高く組み、膝の上に本をおいてくつろいでいます。
とても訴えるところのある写真でした。気になって検索してみると、特にホームページはなさそうで、AbeBooks の書店ページに行きつきました。するとそこに、まさに思った通りの文章。
There is nothing I like better than sitting outside my beach hut on the south coast of England, surrounded by good books, looking out to sea and soaking up the sun.
こういうのんびり感は、多くの古本屋の憧れではないでしょうか。ちなみに送り状にあった写真はこの画面のものとは少し違っていました。
ところで「日本の古本屋」も、早くこの程度の書店ページを作れないものかと思います。
そんな名の英国の本屋さんから、注文した本が届きました。包みを開くと、簡単な送り状が一緒に入っておりました。
特別なメッセージは何も添えられていません。商品名と金額、注文番号など必要事項だけ。ただレターヘッドに、鮮明とは言えないカラー写真が、あたかもロゴマークのように印刷されていました。
写っているのは前面素通しの小さな小屋。空は青く、陽射しが降り注ぐ地面は白い砂。小屋の中にはデッキチェアに座る男性。Tシャツ短パン姿で一人スニーカーをはいた足を高く組み、膝の上に本をおいてくつろいでいます。
とても訴えるところのある写真でした。気になって検索してみると、特にホームページはなさそうで、AbeBooks の書店ページに行きつきました。するとそこに、まさに思った通りの文章。
There is nothing I like better than sitting outside my beach hut on the south coast of England, surrounded by good books, looking out to sea and soaking up the sun.
こういうのんびり感は、多くの古本屋の憧れではないでしょうか。ちなみに送り状にあった写真はこの画面のものとは少し違っていました。
ところで「日本の古本屋」も、早くこの程度の書店ページを作れないものかと思います。
2017年02月04日
住宅団地
宅買いに行ってまいりました。火曜日にメールをいただいたのですが、いろいろ考えるとやはり今日が一番都合がよい。
と申しますのも、まず土曜日で道路が空いている。そして段ボール15箱というお話しでしたので、お引き取りした後、それを整理するのに月曜日まで3日間を費やせる――ということで、今朝、烏山まで出かけたのです。
お天気も良く、道もさほど混まず、気持ち良いドライブでした。行先は前にも一度お伺いしている、もと駒場で教えていらした先生宅。400戸以上あるという巨大マンションの一室に、奥様とお二人でお暮らしです。
同じ棟の別の階にもう一部屋持っておられ、そちらが書庫になっていて、その部屋の本を順に整理しておられるのでした。
その巨大マンションは築40年以上建っているとかで、色々な修理工事が入っているようです。たまたま書庫に利用されている部屋も、下水設備関係の工事が入ることになり、それも本の整理に踏み切られた理由の一つ。
しかしさらに大きな理由は、80歳を超えられ「後片付けを家内にさせるのは気の毒だから」。
そうおっしゃる先生ご自身は、まだ矍鑠としていらっしゃいますが、気づいたのは住人の高齢化が進んでいるらしいことです。
大き目の段ボールでしたからエレベーターで3往復して搬出したのですが、その間、お見かけしたのはいずれも店主より年上と思われる方ばかりでした。
公営団地住民の高齢化が進んでいることが、社会問題化しています。それをテーマにした『桜の樹の下』というドキュメンタリー映画があるそうで、ちょっと見てみたい気もしますが、ことは公営だけに限らないと思います。
と申しますのも、まず土曜日で道路が空いている。そして段ボール15箱というお話しでしたので、お引き取りした後、それを整理するのに月曜日まで3日間を費やせる――ということで、今朝、烏山まで出かけたのです。
お天気も良く、道もさほど混まず、気持ち良いドライブでした。行先は前にも一度お伺いしている、もと駒場で教えていらした先生宅。400戸以上あるという巨大マンションの一室に、奥様とお二人でお暮らしです。
同じ棟の別の階にもう一部屋持っておられ、そちらが書庫になっていて、その部屋の本を順に整理しておられるのでした。
その巨大マンションは築40年以上建っているとかで、色々な修理工事が入っているようです。たまたま書庫に利用されている部屋も、下水設備関係の工事が入ることになり、それも本の整理に踏み切られた理由の一つ。
しかしさらに大きな理由は、80歳を超えられ「後片付けを家内にさせるのは気の毒だから」。
そうおっしゃる先生ご自身は、まだ矍鑠としていらっしゃいますが、気づいたのは住人の高齢化が進んでいるらしいことです。
大き目の段ボールでしたからエレベーターで3往復して搬出したのですが、その間、お見かけしたのはいずれも店主より年上と思われる方ばかりでした。
公営団地住民の高齢化が進んでいることが、社会問題化しています。それをテーマにした『桜の樹の下』というドキュメンタリー映画があるそうで、ちょっと見てみたい気もしますが、ことは公営だけに限らないと思います。
2017年02月03日
マーキング
米大統領の入国禁止令を指示する人が49%と言う新聞記事を見て、いささかショックを受けましたが、しばらく考えこむうち、反対が41%いるということの大切さを感じるようになりました。
同じような状況が我が国にあった場合、はたしてどんな数字になることやら。もっと大勢が反対できるかどうか、極めて怪しいところです。
まるで関係ない話ではありますが、我が家の玄関口や、塀に、犬のおしっこ跡が絶えません。
区役所からプレートをもらってきて、目立つように貼りつけても、減るどころか、却って増えているのではないかと思われるほど。もちろん悪いのは犬ではなく、その飼い主です。
ほとほと困って、何か良い防御法はないかとネットで検索していると、あるサイトで犬のおしっこ擁護論が延々と述べられていました。犬が外でおしっこをするのは本能に基づくマーキング行為であり、これに目くじらを立てるのは馬鹿げていると言うのです。
この方によれば、おしっこ後に水をかけるのさえおためごかしでだそうで、受忍限度というような言葉まで持ち出し、人はお互いに迷惑をかけ合って生きているのだから、などとうそぶきます。
こうした確信犯の存在によって、もし犬の散歩禁止令というようなものが出されるようなことがあれば、いまの店主なら賛成してしまうかもしれません。
しかしもちろん、ほとんどの犬の飼い主は、迷惑を掛けまいと心がけておられるのですから、ここはやはり冷静になって、反対しなければならないと思います。
同じような状況が我が国にあった場合、はたしてどんな数字になることやら。もっと大勢が反対できるかどうか、極めて怪しいところです。
まるで関係ない話ではありますが、我が家の玄関口や、塀に、犬のおしっこ跡が絶えません。
区役所からプレートをもらってきて、目立つように貼りつけても、減るどころか、却って増えているのではないかと思われるほど。もちろん悪いのは犬ではなく、その飼い主です。
ほとほと困って、何か良い防御法はないかとネットで検索していると、あるサイトで犬のおしっこ擁護論が延々と述べられていました。犬が外でおしっこをするのは本能に基づくマーキング行為であり、これに目くじらを立てるのは馬鹿げていると言うのです。
この方によれば、おしっこ後に水をかけるのさえおためごかしでだそうで、受忍限度というような言葉まで持ち出し、人はお互いに迷惑をかけ合って生きているのだから、などとうそぶきます。
こうした確信犯の存在によって、もし犬の散歩禁止令というようなものが出されるようなことがあれば、いまの店主なら賛成してしまうかもしれません。
しかしもちろん、ほとんどの犬の飼い主は、迷惑を掛けまいと心がけておられるのですから、ここはやはり冷静になって、反対しなければならないと思います。
2017年02月02日
新品未開封
店先にジャンクおもちゃを置くようになって、もう3年ほどたちます。若い古道具屋さんが、こまめに持ち込んでくださるのを、家人がこれまたせっせと店頭に並べています。
金額が金額ですから、あまり売り上げの足しにはなりません。それでも本だけなら見向きもせずに通り過ぎてしまうような人たちが、足を止め、珍しそうに覗きこんでいくだけでも、多少なりとも認知度の向上には寄与していると思っています。
もっとも表だけ見て、その奥が本屋だということに気付かないまま立ち去る人も、中にはおられるようですが。
そんなジャンクにも、売れ筋の定番というようなものがあります。プラレール、Nゲージ、ミニカーなどの乗り物系。怪獣やウルトラマンなどのソフビフィギュア。これらは、新入荷を待ち構えているお客様が、結構おいでになるようです。
こうしてみると、ほとんどが男子向け商品だということに気づきます。コレクションというのは男性の嗜好なのでしょうか。
時々入ってくる女子向け商品の中で、ほぼ唯一と言っていいくらい売れるのはペコちゃんグッズです。たまにしか入荷しませんが、入ればほとんど完売する勢い。お子様ではなく、大人がまとめて買っていかれることが多いようです。
そんな中、今日、お子さま連れの若いお母さんが、店内に入ってこられて「表のペコちゃんは、新品未開封でしょうか」と、お尋ねになりました。
古本屋が扱う本に「新本」がないように、ジャンクおもちゃに「新品」というのは概念矛盾です。新品同様ということは言えるかもしれませんが、「未開封」となると保証できません。
そういえば、「この絵本は新本ですか」と尋ねられることが時々あります。こういうご質問は、いったいどんな答えを期待しておられるのでしょうか。
いろいろ説明するのも言い訳がましい気がしますから、「それが気になるなら、おやめになった方がいいですよ」と、ついお答えしてしまうのです。
金額が金額ですから、あまり売り上げの足しにはなりません。それでも本だけなら見向きもせずに通り過ぎてしまうような人たちが、足を止め、珍しそうに覗きこんでいくだけでも、多少なりとも認知度の向上には寄与していると思っています。
もっとも表だけ見て、その奥が本屋だということに気付かないまま立ち去る人も、中にはおられるようですが。
そんなジャンクにも、売れ筋の定番というようなものがあります。プラレール、Nゲージ、ミニカーなどの乗り物系。怪獣やウルトラマンなどのソフビフィギュア。これらは、新入荷を待ち構えているお客様が、結構おいでになるようです。
こうしてみると、ほとんどが男子向け商品だということに気づきます。コレクションというのは男性の嗜好なのでしょうか。
時々入ってくる女子向け商品の中で、ほぼ唯一と言っていいくらい売れるのはペコちゃんグッズです。たまにしか入荷しませんが、入ればほとんど完売する勢い。お子様ではなく、大人がまとめて買っていかれることが多いようです。
そんな中、今日、お子さま連れの若いお母さんが、店内に入ってこられて「表のペコちゃんは、新品未開封でしょうか」と、お尋ねになりました。
古本屋が扱う本に「新本」がないように、ジャンクおもちゃに「新品」というのは概念矛盾です。新品同様ということは言えるかもしれませんが、「未開封」となると保証できません。
そういえば、「この絵本は新本ですか」と尋ねられることが時々あります。こういうご質問は、いったいどんな答えを期待しておられるのでしょうか。
いろいろ説明するのも言い訳がましい気がしますから、「それが気になるなら、おやめになった方がいいですよ」と、ついお答えしてしまうのです。
2017年02月01日
「島倉千代子」
紺色の作業服姿の男性が、店に入って来られるとまっすぐ帳場の前に来て「探している本があるんだけど」とおっしゃいます。
どんな本かと伺うと「島倉千代子の○○○ていう本だけど、どこにもないんだよね」。題名がよく聞き取れなかったのですが、小店に在庫していないことは確かです。
昔一度、この歌手の本が入り、ネットで売ったような記憶もありますので、念のため過去データを検索してみましたが「島倉」で引っかかるものは1件も無し。「残念ですが」とお答えすると「どこ行ってもないんだよね」。
神田の大きな店にまで行ってこられたそうです。「4階まであるのに、おいてないの?と聞いたら、1階は哲学で2階は考古学や歴史で、とか何とか言って」
そんな大きな店にさえないのだから、小店あたりにないのは仕方ないと思われたのか、あっさりあきらめて下さいました。
「60歳になって突然ファンになっちゃったもんだから。一度くらい、観に行ってやればよかったなって思うよ」
そう言われてあらためてお顔を拝見すれば、確かにそれくらいのお年なのですが、なおかつ店主より6歳も若いということに、複雑な感情を覚えました。
お帰りになったあと、ようやく思いついてAmazonを検索してみたところ、1、2冊高い値のついている本があります。それがお探しの本だったか、はっきりしませんが、今度来られたら教えて差し上げようと思います。
またお出でになりそうな気がするのです。
どんな本かと伺うと「島倉千代子の○○○ていう本だけど、どこにもないんだよね」。題名がよく聞き取れなかったのですが、小店に在庫していないことは確かです。
昔一度、この歌手の本が入り、ネットで売ったような記憶もありますので、念のため過去データを検索してみましたが「島倉」で引っかかるものは1件も無し。「残念ですが」とお答えすると「どこ行ってもないんだよね」。
神田の大きな店にまで行ってこられたそうです。「4階まであるのに、おいてないの?と聞いたら、1階は哲学で2階は考古学や歴史で、とか何とか言って」
そんな大きな店にさえないのだから、小店あたりにないのは仕方ないと思われたのか、あっさりあきらめて下さいました。
「60歳になって突然ファンになっちゃったもんだから。一度くらい、観に行ってやればよかったなって思うよ」
そう言われてあらためてお顔を拝見すれば、確かにそれくらいのお年なのですが、なおかつ店主より6歳も若いということに、複雑な感情を覚えました。
お帰りになったあと、ようやく思いついてAmazonを検索してみたところ、1、2冊高い値のついている本があります。それがお探しの本だったか、はっきりしませんが、今度来られたら教えて差し上げようと思います。
またお出でになりそうな気がするのです。