2017年04月

2017年04月30日

「バズる」について

RIMG1894「バズってる」という言葉を初めて聞いたのは、一週間ほど前、娘からです。ツイッターなどで、ひとつの話題をめぐって、何人もの意見が交わされることを言うのだそうです。

いつぞやブログで「古本派」の新聞記事を取り上げた時、「少しバズってた」と報せてくれました。

そのこと自体は店主自身の発信力によるのではなく、たまたまフォロワーの多いインフルエンサーが目に留めて、取り上げてくれた結果でしょう。

こう書いてみるとカタカナつづきなのが、いささか気になりますが「影響力の強い人」などと言い替えても、うまくニュアンスが伝えられない気もします。

そこで「バズってる」ですが、これも日本語に直すとどうなるのだろうと、Googleで検索してみました。その時、つい buzzling と打ってしまったのです。

もちろん普通の辞書に、そんな単語は出てきません。「バズってる」を「バズる」の現在進行形だと考えて、buzzle という語を思い浮かべたためですが、やがてこれはそれぞれ buzz; buzzing であると気が付きました。

しかし「バズる=buzzle」、いかにもありそうで面白いと感じるのは店主だけでしょうか。実際に、Wiktionary英語版によると、To buzz repeatedly or continuously などの意味でつかわれている例もあるようです。

やがて「バズる」は、英語でも buzzle だということになるかもしれません。

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2017年04月29日

桑原さんの苦笑

家人の情報によると、一昨日来、桑原武夫旧蔵書が寄贈先の図書館で廃棄されていたというニュースについて、ツィートが喧しいと言います。

昨日はTKI仲間である、よみた屋さんが「バズっています」と、この件をグループウェアの掲示板で報告し、廃棄された蔵書の行方を気にされていました。

今日その掲示板に気づいた店主は、あらためてネットから関連記事を探して読んでみました。いくつかの点で、おそるべき話です。

寄贈書約1万冊は20年間、市国際交流会館に架蔵され、公開もされていた。建て替えのため向島図書館(伏見)に移されると6年間放置。2015年に「置き場所がなく処分」。最近、市民から閲覧要請があって、初めてその事実が発覚した、というのがあらまし。

一番おそるべきは、8年前に片付けられてから今日まで、その閲覧を希望する人がいなかったのかという点です。

今になって「先生の学問体系失った」などと嘆いているようですが、たんに図書館職員だけの責任とは思えません。

もし蔵書を永久的に保存しようとするのであれば、廃棄に至る26年の間に、資料の取捨選択など、いくつもの手だてが必要だったはずで、それをなしえなかった関係者全員の責任と言うべきでしょう。

RIMG1891しかしそれ以前に、あの合理主義者(とどこかで自称されていた気がします)桑原さんが、すべての蔵書をそのまま残すことに、どれほどの意味を認められたでしょうか。

むしろ公開されていた20年もの間「君らは何をしていたのかね」と、後進たちに向かって苦笑されているような気がします。

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2017年04月28日

二週連続

今日も賑やかな市会でした。4月も最終金曜日となり、明治古典会は特選市。

その冠のおかげでしょうか、ふだんよりワンランク質の高いものが集まっていた――ような気がします。

RIMG1888量で圧倒していたのは、某有名デザイン事務所から出たという、大判の美術・デザイン系書籍カーゴ4台。聞くところによると、エレベーターなしの4階から搬出したそうです。

仕分けられ、並べられているのを見ただけで、店主など腰が痛くなってきました。運びだしは4人、運び込み、仕分けして陳列するという作業はほぼ2人で行ったという話です。

その熱意か品物の質か、大型本不人気の昨今にあって、まずまず良い値になっていました。

店主が気になったのは明治期ボール表紙本の口。荷主さんの仕分けが細かすぎた気はしますが、この時代の本としては比較的保存状態の良好なものが多く、どれも多くの札が入っておりました。

店主も何点かに札を入れてみましたが、幸いにして一点、手に入れることが出来ました。

しかし今日の一番の話題は、なんといっても先週に続いて恩地孝四郎の『飛行官能』が出品されたことです。何年も市場で見かけなかったような本が、二週続けて現れるというのも不思議な偶然です。

しかも今週の本も美本。特選市恒例のフリに掛けられましたが、落札価格が先週の入札による落札価格とほとんど同じという、味な結果に終わりました。

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2017年04月27日

腑に落ちない

森友学園問題で例の財務省高官は、書類はすべて破棄して記録は残っていない、終わってしまった話だから1年経てば捨てるのだと、ずっと言い張って来られました。

それに対して昨日か一昨日だかの新聞で、別の役所の人の談として、貸しているものならその期間中は書類を残しておくのが普通だ、というような記事が載っていました。

思わず膝を打ちました。店主もそれが普通のように思います。しかしそれに対しても、きちんと払うという約束で契約書が出来ているから、交渉記録は残っていないと答えておられるようです。

店主は12年前、東京古書会館を建て替える際、公的融資を受けるために面倒な書類を作成し、お役所と折衝するメンバーの一人でした。

組合の場合はお金を借りたのだから、話は別かも知れません。しかし15年にわたり毎年借金を返済するということも、10年契約で借りた土地の地代を毎年払うのも、国(組合の場合は国と都)の財産を借りている点では似たようなものではないでしょうか。

組合は返済開始から9年、一度たりとも滞ったことはありません。けれどもその間、毎年のように都の担当者が経営状況の視察に来ておられます。

また会館竣工から何年か経って、当時の国側の担当者とお目にかかる機会がありましたが、何度か開いたヒアリング会議のことを、よくご記憶で、さすがは国家公務員と驚いた覚えがあります。

RIMG1825きちんと約束したからといって、記録を破棄するというのは腑に落ちない。百歩譲ってそうだとしても、関係者の誰もが何も記憶していないということは、まずありえない。

責任をもって担当した事案であれば、覚えていて当然。忘れたとしたら、ごく都合の悪いことだったのでしょう。

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2017年04月26日

良くご存知ですね

花田清輝の本を探している――という外国人留学生と、少しばかりお喋りをしました。

時々お見かけしていた男性です。「外人さん」の年齢は分かりにくいのですが、30歳前後でしょうか、駒場の「表象」で学んでおられるらしい。聞くところによると、研究対象としているのは飯沢匡だとか。

あの飯沢さん(といってももちろん面識はありません)が研究の対象になるのかと、いささか感慨を覚えて、しばしの立ち話となったのでした。

彼の喜劇論に興味があって、少しばかり著作を読んだこともあります。「刺青擁護派の人ですね」と言うと目を丸くして、「たいていの人は飯沢と言っても、誰それ?と聞き返されます。良くご存知ですね」。

外国の青年に驚かれるのも不思議なものです。店主より上の世代なら、まだ「ヤン坊ニン坊トン坊」の作者といえば、覚えている人も多いでしょう。

しかし確かに、今どきの学生仲間に話せば、そんな反応が返ってくるのは間違いありません。

RIMG1822それにしてもなぜ、と直截に尋ねるのも憚られましたので「そのテーマはご自身で見つけられたのですか」と伺うと、「そうです」と答えた後、「初めは井上ひさしをやろうかと思ったのですが」。

さしもの表象でも、まだ材料が新しすぎると指導を受けたのかもしれません。

考えてみれば飯沢は花田と同世代のはず。調べてみると同年生まれでした。「飯沢匡論」があっても不思議ではありません。楽しみに待ちたいと思います。

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2017年04月25日

おまけ付き

RIMG1881夕暮れ時、店の前のハナミズキの枝に、スズメが2羽とまって何かをついばんでいました。

のどかな駒場。そういえば、昔に比べてカラスの数が減った気がします。小鳥たちには住みよい街かも知れません。

今日は月当番最後となる洋書会。4週続いた火曜日朝の慌ただしさも、一旦は本日で終了です。

出品量は少な目ながら、最近としてはまだ量があるほうでした。ただ、今回もほとんどの出品が仕分け済みでしたから、並べ終えたら当番の仕事はありません。

その時間をじっくり入札にあてました。

並べるときから一番気になっていたのは、プレイヤード叢書が20冊ほど入った口。いずれも比較的新しい版で、状態も良い。ただ端本も目立ちます。

端本と言っても、続き物ではありませんから、独立した巻として売れるはずです。

それより問題は、このほかに、ポケットブックが200冊以上おまけに付いていること。こちらは必ずしも良い状態ではありません。

もしそうだったら、プレイヤード版だけ別にさせてもらったところです。しかしこの状態では分けると札が入らないかもしれない。やむなくそのまま出品。そして入札。

一番の下札で落札出来ました。ありがたいと言えばありがたいのですが、ポケットブックの整理が、明日また一仕事になりそうです。

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2017年04月24日

あるディスプレイ納本

さる美術館に出来る喫茶店に、ディスプレイとして並べる洋書が欲しいというご注文をいただきました。

お話しを聞いてまずご提案申し上げたのは、単に飾りとして見た目の良い本ではなく、場所柄にふさわしい本を並べたらどうかということ。

ご異存ないとおっしゃいます。さらに必要な冊数、ご予算を伺うと、何とかなりそうな額でしたから、お受けすることにいたしました。

そこで美術書の棚から、ある程度見栄えがしてヤケシミの目立たない本を、およその一冊単価で見当をつけながら抜き出して見ました。

もちろん、棚に挿してから一定期間以上経ったものを選びました。その中でも常備すべき本の場合は、複数在庫があるものに限りました。

所詮は限られた在庫の中から選び出すのですから、おのずと限度があります。それでも、それなりに恰好がつくよう苦心いたしました。

RIMG1880とまあ熱心に本を選んで見たものの、結局のところディスプレイであることに変わりはないのではないか。そんな思いもないではありません。

今回は数十冊のことですが、かつて大学図書館新設ラッシュのころは、この何倍もまとめて納めた古本屋さんもあったという話は良く聞きます。

しかし、そうして納めた本だって、半ばディスプレイだったかも知れないとも思うのです。

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2017年04月23日

スマホ対応

RIMG1878キャリア決済という言葉をご存知でしょうか。

クレジット決済がクレジットカードで支払う方式なのに対して、キャリア決済はスマホなどの契約先を通じて支払う方式。

つまり月々の通話料と一緒に引き落とされるわけで、結局はクレジットで支払うことに変わりはないのですが、これが現在、大変な勢いで増えているようです。

どこが違うのかというと、スマホなどで買い物をするときの簡便さが違うらしい。要するに画面遷移の回数が、いくらか少なくなる程度と思われますが、それだけでも大違いなのでしょう。

さきにスマホ対応を始めた「日本の古本屋」では、次なるスマホユーザー対策として、このキャリア決済にも取り組もうと考えています。機会損失を防ごうというやつです。

その話し合いの中で、誰かが「店で買ってもらう時に、スマホで決済してもらえるかも」と言いましたところ、すかさず別の誰かが「それより現金の方がいい」。

店頭での買い物はともかく、スマホで検索してスマホで決済という人には、便利になることは間違いありません。ただ実際は、そのためには書店の側も送料明示など、それなりの対応が迫られます。

売上増にどこまで貢献するかは未知数ながら、クレジット決済画面の改修を迫られている今、併せてやっておこうということのようです。

しかし小店などでは依然として「日本の古本屋」で見たとおっしゃって、電話、ファックス、さらには葉書をいただくことも多く、スマホ対策の効果が感じられるのは、まだまだ先のことになりそうです。

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2017年04月22日

内税外税

最近、お客様から「税込ですか?」というお尋ねを受けることが多くなった気がします。

とりわけ表に並べている100円、300円というジャンクおもちゃや、100円均一の文庫本をお買い上げくださるお客様から。まれに、黙って小銭を別に出される方もおられます。

消費税導入以来、その表示方法については国の指針に振り回されてきました。総額表示を義務化して推し進めていたのは、ついこの間のような気がします。

しかし税率変更が続くうち、小売り側の圧力に負けたのか、その義務が次第に緩やかになり、本体価格プラス税額表示が支配的になってきました。

値ごろ感を出したい気持ちは分かります。しかし支払う段になって、騙されたような気分になるのも確かです。しかし消費者も、それに慣らされてきたからこそ、冒頭のようなご質問となるのでしょう。

RIMG1871こうした世間の風潮に合わせ、古書即売展でも外税表示にしたいという同人会が現れました。過日の即売展日程会議で熱弁をふるって、その必要を説いたものです。

良く聞くと妙な理屈も混じっておりましたが、まあその気持ちも分からないではない。しかし、多くの即売展が同じ会場で開催されるのに、会によって外税、内税に違いがあるのは混乱のもとです。

そこで次に開かれる会議までに、各即売展の意見を集約することになり、先日その会議がありました。結果は言いだした会以外は、全て内税方式、つまり現状のままを希望。

大山鳴動という結果に終わりました。「洋書まつり」としてもホッとしております。

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2017年04月21日

明古の熱気

なかなか明治古典会らしい市でした。いわゆる黒っぽい本が多く、さらに紙もの(地図・版画・資料類)も、たくさん出品されていました。

特に最終台(一番最後に開札される陳列台で、ここに載せるものを特陳品といいます)には、稀覯初版本から戦前児童雑誌の組立付録といったようなものまで、それぞれ珍しいものが、選りすぐって並べられておりました。

とりわけ関心を集めたのは『飛行官能』という、版画家として著名な恩地孝四郎による写真集。本書については、国立国会図書館デジタルコレクションで中身も参照することができます。ご興味のある方はどうぞ。なるほど現在、こういう本の人気が高いのかと分かります。

RIMG1874実際、今日一番の、驚くような高値で落札されたのですが、開札時間ぎりぎりまで、何度も札を書き改めては入札する業者も多く、はたで見ていても熱気が伝わってきました。

胸おどらせて入札し、固唾をのんで開札を待つという心境を、店主は絶えて久しく味わったことがありません。うらやましく眺めるばかりでした。

落札者と落札額が発声され、驚きと落胆の輪が広がる中、ただ一人の勝者は勝者で、喜びとはうらはらに多少の不安も頭をもたげたことでしょう。しかし近頃では、すでに注文を取っている場合もありますから、店主などが余計な心配をするまでもないのかもしれません。

それにしても、いつもながら気になるのは、こうした人気商品には、数多くの手が伸びることです。秘蔵されていたような美本も、この一日で何十人もの手に触れられ、場合によっては傷んでしまうことさえあります。

業者なら誰でも手に取って見られるという良き慣習にも、改善が必要な時期が来ている気がします。

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