2017年07月

2017年07月31日

目録ガンバレ

412頁、5510点。風船舎さんの第13号となる目録は、大変見ごたえのあるものに仕上がりました。

fusen風俗はともかく、芸能、音楽といったジャンルは、店主が駆け出しの頃、一時は専門にしようと目指した分野ですから、羨ましいような、妬ましいような気分にもさせられます。

しかし頁を繰って見ていくうちに、店主にはとても無理な仕事だったことを思い知らされました。

というのも、この5千点を超える商品の内、その多く(あるいは殆んど)は、市場で仕入れたものの筈だからです。いつどこの市で手に入れられたのか、驚くほかありません。

もちろん店主の行かないような市場にも出かけられるのでしょうが、要するに熱心さの相違です。同じ市場に参加していても、店主のように漫然と見ていては見逃すものを、じっくり見つけ出す。

風船舎さんをはじめ、活躍されている目録販売の書店主さんは、どうやら店主に欠けた資質ばかりで出来上がっているようです。

それはさておき、昨今、若い古本屋さんにも、いわゆるクロっぽいものに入札する人が増えてきました。ヤフオクの影響だと言われています。

ネット販売で一番商売になっているのがヤフオク、次がAmazon、日本の古本屋はその次だというのが、神奈川組合が組合員に行ったアンケートの回答結果だそうです。事情は東京組合でも似たようなものでしょう。

ヤフオクなら訳の分からないものを、訳の分からないまま出品しても良い値になることがある。そこで市場のクロっぽいものに目が向くのです。

そういう業者との競争で、ますます目録に向いた商品の入手が難しくなるかもしれません。負けずに頑張ってほしいと思います。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月30日

沿線を流す

今月号の『本の雑誌』に、坪内祐三さんが山口昌男さんのことを書いておられます。

見開き2頁の短いものですが、その中に山口さんが駒場で講義を持っていた時のことが書かれていて、次のような箇所がありました。

授業を終えると、二人で昼食をとったのち(駒場のそば屋「満留賀」は異常にボリュムがあってお腹がすいていた二人は大盛りを頼んで目を白黒させたことがある)、井の頭線沿線の古本屋を流した。

この部分は、ご自身が『新潮』1995年7月号に書かれた『敗者の精神史』の書評からの引用になっており、そこで4年前の話とされていますから、講義があったのは1991年ということになります。

実はこの雑誌を買って読んだのは末の娘で、娘から「この古本屋はうちのことか」との質問を受け、一文を読ませてもらったのです。

RIMG2038もちろん河野書店はすでに開業しておりましたから、この「古本屋」に小店も含まれていることは確かでしょう。

しかし「沿線を流した」というのですから、池ノ上のアゴラさんや由縁(ゆかり)さん、下北沢の幻遊社さん、白樺さんなども、当然回られたはず。

淋しいことに、この中でいまも店が残っているのは、由縁さんだけになりました。

その一方、下北沢には近年になって、ほん吉さん、クラリスさん、明日さんが出店。組合非加盟店も入れると店舗数は増えています。「流し」のお客さまが、増えてくれることを願うばかりです。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2017年07月29日

Summertime

夏には暮らしが楽になる、というあの歌。

それは黒人奴隷たちの、日々の暮らしの辛さの裏返しの表現でもあったわけですが、いろいろなバージョンで聴くたびに心にしみる歌です。

とりわけあの振り絞るようなジャニスの声。大学生の頃、初めて聴いた時はかなり衝撃を受けたものでした。

RIMG2039しかし人の記憶はいい加減なもので、今の今まで、それが店主も持っていたアルバム『パール』に収録されていたと思い込んでいました。

ネットを検索して調べてみて、その間違いに気づいたのです。ではラジオで聴いただけだったのでしょうか。もっと頻繁に耳にした覚えがあるのですが。

まあ、どちらでも良いことです。なぜこの歌の話を始めたか。それは、夏場、暮らしていくのが少しも楽でない、ということを言いたかったからです。

むしろ小店にとって、夏こそは恐怖の季節です。日ごろ、あんなに学生さんが来ないと愚痴を言っているくせに、夏休みを怖れるのはおかしな話かもしれません。

しかし学校が夏季休暇に入るとともに、たださえ少ないご来客が、目立って減りました。何だかだ言っても学校関係者のご利用が、小店を辛うじて支えてくれているのだと、改めて思い知らされます。

暑さ以上に堪えねばならないものがある夏です。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2017年07月28日

ターナーの日

ターナーはあのJ. M. W. Turner。今日の明治古典会に、ターナーを中心とする英国挿絵本の一口が出品されました。

RIMG2106カーゴにして2台。大判の本が多いので、冊数にすれば200冊程度のものだったでしょうか。それでも全体の半ば以上は、人気の高い時分なら1冊で10万円を超えていたような本ばかり。

蔵書の持ち主は、かなりの金額をつぎ込んで集められたことでしょう。しかし少なくとも我が国においては、バブル崩壊この方、景気の縮小した中で、ターナーにも挿絵本にも、かつてほどの人気が、失われています。

また少し辛口に見ると、今日の一口、なかなかのコレクションではあったのですが、超一級品と呼べるようなものは、残念ながら含まれておりませんでした。

そんな事情も重なって、落札金額の合計は、旧蔵者購入価格の10分の1にも達しなかったと推測されます。それでも、今日一番の口ではありました。

ひとつ残念なのは、仕分けが細かすぎた点です。買い手側にとっては、欲しい本だけ入札できるというメリットもありますが、洋書のように、もともと入札者の少ない本は、よほどのものでないと札が競りません。

それでふと考えました。同じ本を、同じ仕分けで洋書会に出品したら、おそらく出来高は今日より少ないことでしょう。入札者自体が少ないからです。だから洋書会なら、もう少しまとめて、札が競い合うように仕分けたでしょう。

ただ、それで結果はどうなったかというと、そこは神のみぞ知るところですが。

konoinfo at 21:48|PermalinkComments(0)

2017年07月27日

南部支部の総会

今日は午後2時から南部支部総会。南部支部って何?とか古本屋さんがなぜ総会?というご質問はあるでしょうが、その説明は省きます。ご興味のある方は「東京の古本屋」をご覧ください。

KIMG0078さて支部総会。「四万六千日、お暑い盛りでございます」という、あの文楽の一言が思い出されるような炎天を、五反田駅から南部地区会館まで歩くのが毎年のきまりでしたが、今年はちょっと違いました。

昨日から曇りがちの空で、それまでの猛暑が一休み。これなら支部の先輩方も、ご出席し易かろうと、久々の拝顔を楽しみに出かけたのでした。

しかし着いてみると思惑は外れ、店主より年上は数えるほど。もっとも年下も数えるほどで、近年でも出席数の少ない総会となったのです。

そもそも支部員数自体が、昔よりかなり減少しています。ひと頃160名を超えていたのが、今期末では113名だとか。それに対して出席者30名。これは支部役員さんたちも含めての数ですから、一支部員としての出席はさらに少ないことになります。

委任状が52通で総会は成立しましたが、議事終了後、議長自ら出席者の少なさに敢えて苦言を呈されました。いずれ支部機関誌に議事録が収録されますから、それを読んでもらえることを期待して。

支部長からは、2019年の南部支部創立50周年にあたり、何か記念行事を考えるべきかという問いが投げられました。

出席者は一様に前向き。しかしまず支部員の意見を広く聞き、案をまとめて来年の総会に提出するということで承認されました。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月26日

戻った定期

駅の改札出口近くで、PASMOを拾ったことがあります。落として間がないようでしたが、それらしい人影は見当たりません。

表側を見ると名前が印字してあります。すぐ近くの窓口におられた駅員さんに渡し、駅を出ました。

滑りやすいパスケースがあります。店主も何度か落としそうになったことがあり、一度などはスルリと落ちたその勢いで、駅構内の床を滑って、どこかに消えてしまったこともありました。

KIMG0074失くすだけなら大きな被害にあうことはありませんが、見つかるに越したことはありません。少しでも早く、落とし主の元に戻ることを祈ります。

というのも、大きな被害でこそありませんでしたが、実害を被った例が、最近、我が家族にあったからです。

上の娘が、定期付SUICAが見当たらないことに気づいたのは、ある週明けの朝。出かける前の支度の最中です。時間がなかったのでその日、家に戻ってからあらためてあちこち探したのですが、やはり見つかりません。

最後に定期を使ったのは週末、バスで帰った時。そこで念のため落し物がなかったか、バス会社に尋ねました。

すると、そこには届いていなかったのでしたが、後日、連絡が入り定期は無事戻りました。しかし、チャージされていたはずの金額はゼロになっていたそうです。使い切って捨てたのでしょう。

油断のならない世の中です。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月25日

蔵の本 警告篇

「鎌倉の蔵書話」に乗ってはいけません。

もう少しはっきりと書いておくべきでした。ただ言い訳をすれば、店主自身、日曜日の約束の時間まで、万に一つの可能性は捨てきれなかったのです。

今日、同業のツイッターに「鎌倉まで行ってみたが目指す家は見つからなかった」というようなつぶやきを見つけました。電話もメールも通じなかったとか。おそらく、いや間違いなく小店に来たのと同じ人物でしょう。

出かけて行って空振りだったというだけなら、まだ笑い話で済みます。問題は「志功の手紙」のたぐいを買わされていないかです。紛れもなく贋物ですから。

騙されるのは目が利くかどうかの問題ではありません。オレオレ詐欺でも同じことで、どんな目利きでも、何かのきっかけでふと信じてしまうことがあるのです。

RIMG2035店主が被害を免れたのは、過去に贋物被害に遭った同業たちのおかげです。彼らから、いろいろと話を聞かせてもらっています。どんな手口で、どんなものを持ち込むか、などについて。

皆、店主などより自筆物に詳しい人たちです。それでも騙されました。隠しておきたいような自身の恥を、あえて語ることで、仲間に警戒の心を植え付けてくれたのです。

そこで店主からもひとこと。

まるでその値打ちを知らないような顔で、古本屋が喜びそうな旨い話を持って来たら、まず眉に唾をつけること。一旦冷静になれば、話の不自然な点や、つじつまの合わないところが見えてくるはずです。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月24日

蔵の本 その2

「持ち主に宛てて何かいろいろ書いちゃってる本なんかでもいいですか」「もちろん構いませんよ」

すでに疑念のきざしていた店主が適当に相槌を打つと、男性は大型封筒の裏を見せます。そこには鉛筆で、見知った名前が書き込まれていました。

「ざっと書き出してきたんですが」というその蔵書メモは「多く見られる名」などと書かれた後に「文学界の人たち」「島崎藤村」「森鴎外」「夏目金之助」「正岡常規」その他、その他。疑いは殆んど確信となりました。金之助と常規がご愛嬌です。

これまでご当人の口から、具体的な書名や著者名などはまったく出ていません。「なんだか分からないけど古いものがあって、とにかく処分したい」という言い方でした。

それがここへきて「書いたものがある」「いくらくらいのもんでしょう」というような話になってきたのです。それでいて店主に見せた封書については、「志功」のシの字も口にしていません。

「見てみなくちゃわかりません」と答えると「じゃあ、それなんかはどうですか」と初めて尋ねてきました。あくまで名を言うことを避けながら。

「名前が大きすぎて、ちょっと値をつけるのは難しいですね」このあたりで男性も、店主に脈がないことに気づいたように思います。

KIMG0073話は「鎌倉の蔵書」に戻り、どうやったら運べるかという算段になりました。「明日、ついでがあるので姪の車に積めるだけ積んで持ってきます。午後3時頃になりますが」

そして昨日の日曜日。もちろん、3時を過ぎても4時になっても、男性はお出でになりませんでした。万が一という期待が、ないこともなかったのですが。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月23日

蔵の本 その1

「古い本でも買っていただけるんですか、明治とか大正とかでも。土蔵を壊さなきゃならなくて、そこに本が沢山あるのですが」

KIMG0063昨日のお昼前に電話をいただきました。病院で透析を受けているところだが、電話では詳しい説明もできないから、済んだら昼過ぎにでも伺ってお話ししたい、とおっしゃいます。

「どうぞ、お待ちしてます」と電話を切って、ご来店をお待ちしました。

やがて現れたのは店主とさして年の違わなさそうな男性。にこやかな笑顔で「円山町に住んでいたので、何度かこの前を通ることがあって知ってました」と話を始めます。

「実はちょっと急いでいて、本当なら今日明日、遅くとも明後日の朝には片付けなければならない」とのこと。量をお尋ねすると壁面の棚を指して「これより多いかな、長持ちが3つだから」。

「それはまた急ですね。どちらですか」とお尋ねすると「鎌倉です」と大型の角封筒を差し出され、中から一通の封書を出されました。表書きには毛筆で、確かに鎌倉の住所と宛名(女性名)が書かれています。

なかなかしっかりした文字だと思いつつ裏返して見ると、そこに書かれていた差出し人の名は「棟方志功」。一瞬ドキリといたしましたが、その大型封筒には別に二枚、色紙のようなものが入っていて、そこにも棟方の名。それらを見ているうちに、落ち着きを取り戻しました。

それとともに「鎌倉の蔵書」についても、おおよその見当がついてきました。なおも男性は話を続けます。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2017年07月22日

勘違い注文

昨日と今朝、在庫確認のお電話をいただいた別々のお客様が、それぞれご来店くださいました。

暑い中を、わざわざお越しいただけるのは有り難い限りです。手に取って、確かめてから買いたいということもあるのでしょう。今日はどちらもご納得いただけたようで、無事お買い上げ。店主も満足。

お客様の側でも、炎天下出かけるのですから、目指す本が確かにあるのかないのか、先に問い合わせておこうとお考えになるのも当然です。

何をお確かめになるのかはさまざまですが、大別すると、本の状態をお確かめになる場合と、それが本当に自分の探している本かどうかをお確かめになる場合があります。

RIMG2030どちらであっても確かめた結果「要りません」となることがあるのはやむを得ません。そんな時「違ってた」と言われる方がまだ心穏やか。状態が不満で見合わせられると、いささか心が波立つことは否定できません。

先日「日本の古本屋」のお客様から「間違った本を注文してしまった」というメールをいただきました。検索語に応じて現れた本を、よく確認しないまま、ご自身の探しておられた本だと思い込んでしまわれたそうです。

ご注文確認後、すぐ送金いただき、すぐ発送し、届いた本をご覧になって初めてご自身の勘違いに気づかれたのでした。「全く私のミスですが、もし可能であれば返品をさせていただけたらと思い、メールをさせていただきました」

返品は問題なく承ること、ただしご返金できるのは書籍代だけであること、送金料が発生する場合は書籍代から差し引かれること、などを記してご返信いたしました。

konoinfo at 18:32|PermalinkComments(0)
Profile