2017年08月

2017年08月31日

協同組合という世界遺産

昨日、東京古書組合の定時総会に行ってまいりました。

役員改選のない年の総会は、出席定数を確保するのに苦労します。長年、苦労する側を務めてきた身としては、無役だからといって、欠席するわけにも参りません。

総会資料を見た限り、格別問題になる議案もなさそうでしたが、ともかく出席数を一つ増やすため、午後4時開会の少し前、古書会館に着きました。

会場は見慣れた方が大多数。つまり毎年出席する顔ぶれは、ほぼ決まっているということです。それには別の意味があります。出席者は、おおむね組合の行政や事業に関りを持った経験がある方々。

無関心な人はどこまでも無関心で、残念ながらそれが圧倒的多数。つくづくそれを感じるのは、まさに自分が当事者として関わっている時です。

その気持ちが如実に表れていたのが、開会に先立つ理事長挨拶でした。

ほとんどの人が知らなかった「協同組合」がユネスコの無形文化遺産に登録された(2016年11月)という事実を挙げて、相互扶助の精神をもう一度思い起こそうと呼びかけたのです。

当日会場に来ている人たちに対しては、釈迦に説法のきらいは否めません。しかしこの呼びかけは、後日議事録として「古書月報」に掲載されるはずですから、もちろん意味のあるスピーチでした。

RIMG2221なにより、古書組合が昨今抱える問題を、協同組合の限界とみなす意見さえ聞こえてくる昨今です。理事長自ら、原因は別のところにあると、釘を刺してくれたような気がして、店主も共感を覚えたのでした。

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2017年08月30日

紋章学専門店

午後、古書組合のルート便(コショタン)で昨日の洋書会落札品が届きました。

RIMG2225早速、紐を解いて、本をあらために掛かりました。まず調べたかったのは、旧蔵者の手掛かりです。古書の世界では、どんな人の手を経てきたかという履歴が、商品価値を左右することがあるのです。

必ずしも下世話な話ではありません。例えば一般には本の価値を損ねる書き込みなどが、その書き手次第で、資料的に重要な意味を持つこともあるからです。

まあそんな建前よりも、今回の場合は、これほどのコレクションを持っていたのが、果たしてどんな方だったのかという興味の方が大きかったのは正直なところです。

まだ2割ほどにしか目を通しておりませんが、旧蔵者の名を示すと思われるinvoiceが見つかりました。しかしそのお名前は、少なくとも店主には初めて目にするものでした。

旧蔵者に関する穿鑿はひとまずおいて、本を調べていくうち、見返し隅に貼られている、ある書店ラベルに注意が向かいました。気が付くとかなりの割合の本に、このラベルが貼られています。

Heraldry Todayという、いかにも専門店らしいその名を早速Googleで検索してみると、どうやら2012年に店をたたんでいることが分かりました。その年の5月頃に店仕舞いの噂が流れ、12月には閉店セールを行ったらしい。

店主はSarah Pinchesというご婦人。引退を決め、後を引き継いでくれる人を探してもみたようですが、結局、見つからず、在庫処分となった模様です。

イギリスでも、この分野の専門店は難しいということなのでしょうか。

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2017年08月29日

「洋書まつり」の目玉

紋章学(Heraldry)という学問があることは存じておりましたが、そもそも西洋の学問であり、日本にはあまりなじみがないものだろうと思っておりました。

今日の洋書会の主役は、その紋章学関係の一口。

RIMG221918世紀から20世紀まで、およそ紋章学に関する本なら、何でも買い集めたのではないかと思われるほどの種類と量。古い出版物については復刻本も多かったですが、オリジナルも少なからずありました。

稀覯本を扱うベテラン書店主も「長年やってきて、これだけまとまったコレクションを見るのは初めて。日本人でここまで集めた人は他にいないんじゃないか」というほど。

散逸させるのがもったいないようだというのは、洋書会員の誰もが感じたところですが、だからと言って一括で入札にかけるわけには参りません。

結局、数十点に仕分けられ、何軒もの書店で買い別れる結果となりました。

かく申す店主も、100冊ほどの山を一点、落札することが出来ました。1冊ずつで出品されているような本は、知識もなしには手が出せません。そこで数を頼りに、ただし最も質の良さそうな山に狙いを定めて入札したのです。

首尾よく手に入れることが出来ましたが、思いは秋の「洋書まつり」。今年は10月13日、14日の開催で、あと一月半。そろそろ準備に掛からねばなりません。はたして目玉になるかどうか、明日、落札品が届いてから、じっくり確かめるつもりです。

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2017年08月28日

集荷の改善

RIMG2113目黒郵便局から集荷に来てくださる時間が、今日から午後4時半に変わりました。

当初の約束として午後3時頃となっていたのですが、前後の集荷の都合でしょうか、この頃は大体2時半、時には2時前に来られたりしていました。

その一方で、日によっては3時半を過ぎても来られず、心配性の家人が局に電話を掛けることも再々でした。

それが功を奏したのか、昨日、やはり集荷が遅れ、家人が電話し、午後4時頃になって来られた局員さんから「ちょっとご相談させていただけますか」と切り出されました。

相談というのは、午後4時半頃の集荷でも良いかということです。その時間帯なら、毎日決まって近所のローソンに集荷があるため、その後で回れるそうです。

良いも何も、その方が小店にとってはずっと好都合。当日の集荷として扱ってもらえるなら、遅ければ遅いほど便利なのは言うまでもありません。

要するに今までは、忙しい集荷員のどなたかが、日々小店を集荷先に組み入れていただいていたわけで、それで日によって時間が前後することもあれば、ポッカリと抜けてしまうこともあったのでした。

集荷をお願いするようになって何年経ちますか、発送ゼロという日は数えるほどしかありません。そのことがようやく認められて、ルート便の経路として組み込んでいただけたのでしょうか。

ただ、親しくなった集配員さんと会えなくなるのが少しさびしい。そう申し上げたところ「大丈夫です、ルート便のお休みの日には代わりに来るはずです」。それならまったく文句ありません。

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2017年08月27日

金沢憧憬

金沢というのは、どこか憧れを誘う町です。生まれてこの方、一度しか訪れたことはありませんし、40年以上前になる当時の記憶も、ほとんど残っていません。

その町に住み着いた学生時代の友人がいて、開業したころに店を訪ねてくれたこともありますが、ずいぶん前から音信不通になっています。

ですから何も詳しい事情を知っているわけではないのですが、町の規模とか、文化の豊かさを感じさせるところなどが、暮らしてみたい気にさせるのでしょう。

maho (1)そんな町に、実によく似合う本屋さんが去年誕生しました。そのご店主が、今日、小店を尋ねてくださって、素敵な本を一冊、お贈りくださいました。

その店名と同じ高橋真帆さんは、金沢に戻って本屋を始められる前、2年ほど田村書店さんに勤めておられ、その間に洋書会などで、店主とも顔なじみとなったのです。

ドイツ文学の研究者を目指し、学位まで取得されたのですが、ふとした契機で田村さんに勤め、間もなく「本屋になりたいかもしれない」と思うようになったのだとか。

その思いを実現させるのにあたり、どこで開業するか迷われたと聞いています。

maho (2)しかし、いただいた縦13.5cmの小型本(本文136頁図版40葉、無綴、くるみ装)を読んでみると、その選択に間違いはなかったことが伝わってきました。

何より、こうした本を出そうと言ってくれる仲間がいる。それが素晴らしいことに思えます。

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2017年08月26日

気もち涼しい

うんざりするほど暑い日が続いたため、毎夜、車に乗ると温度計を見るのが癖になってしまいました。

エンジンボタンを押すと、他の様々な情報と共に、フロントディスプレイに気温が数字で表れます。この1週間ほどは、30℃〜32℃というところ。

これが午後8時半過ぎの駒場の気温です。見るだけで、暑さが増幅されるようです。

ところで、そうして温度計を眺めているうちに、ある日、不思議なことに気が付きました。店から家まで帰る間に、温度計の数字が変化しているのです。

考えてみれば、時間や場所で気温の上下があるのは当たり前かもしれません。しかしやがて、そこに一定のパターンがあることを発見しました。

KIMG0122ある日を例にとりましょう。店から出てしばらく走ると、31℃だった気温が32℃になっていました。これは毎晩のように起ることです。

世田谷区役所近辺で一瞬33℃にまで上がり、すぐまた32℃に戻りました。その後は、一定したまま駒沢公園通りに。

そして我が家近くに来て、辺りで知られた大地主さんのお屋敷の角を曲がると、31℃になりました。この場所ではいつも1℃下がります。

さらにそこからほんの数百メートルしか離れていない我が家に着くと、30℃と表示されていました。それでも暑いことに変わりはないのですが。

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2017年08月25日

新しい試み

明治古典会8月特選市。今期はフリ市を行うわけでもなく、目録を出すわけでもなく、通常の市会と形の上では異なるところはないのですが、それでも特選と名乗るだけで、いくらか華やいで見えるのが不思議なところです。

実際、出品点数も総売上高も、今月3回のなかで最高を記録。会としては面目を施しました。しかし店主は売り買いいずれにも貢献できず。こちらの方は、相変わらずふがいない限り。

興味を引かれた本はありました。ベビー・シネマあるいはパテー・シネマなどと題された、アマチュア映画人のための同人誌の口。

合本製本されたものが大半でしたが、雑誌にすれば100冊近くあったでしょうか。1、2冊に目を通しただけで各地に同好会があった様子などが分かり、昭和初期の貴重な映像文化資料だと思いました。

RIMG2165しかし結局、入札せず。落札価を聞けば、妥当な金額に思えましたが、いざ自分で札を入れるとなると、そこまでは入れられなかったことでしょう。

市場が終わったあと、古書会館8階に会員、経営員が集まって、今月が最初となる新しい試みが行われました。

会館最上階の8階は、サロン的な作りになっていて、テラスもあり眺望絶佳。再建築の際に組合員の交流室という名目で、ちょっぴり贅沢して設けたフロアです。

このスペースを活用して、簡単な酒食を用意し、多少とも有意義な話題を交わす時間を持とうというのがその趣旨。第一回目の今日、硬すぎず、緩すぎずという狙いは、まずまず達せられたように思います。

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2017年08月24日

「日本の古本屋」の価値

「日本の古本屋」事業部(TKI)定例会議。午後2時から始まって、予定を1時間超過の午後7時終了。相変わらずの熱さです。外の暑さにも負けておりません。

しかしその熱い議論よりも面白かったのは、別の会議に出席した部員が、そこである組合員から聞かされたという話の真偽を、店主に尋ねたことでした。

その話というのは「昔、Amazonが『日本の古本屋』を100億円で買おうと言ってきたことがあったが、今なら1億円でも買わないだろう」というもの。

RIMG2129あまり真剣に尋ねられるので、一笑に付すのも悪いようでしたが、少し考えればあり得ない話だということは明らかです。

まずいくら飛ぶ鳥を落とす勢いの企業だからと言って、いきなり札束で頬を張るようにして買値をぶち上げるなどということは、ビジネスの常識からして、あり得ません。金額はともかくとしても。

店主の記憶にある限り、一度か二度、Amazonの方が古書会館に尋ねて来られたことはあります。その折に同席もいたしましたが、古本に本格進出しようとしている時期で、情報収集がもっぱらの目的のようでした。

その証拠に、その後、具体的な提案どころか、何の音沙汰すらなく、組合側でもいつしか話題に上ることもなくなりました。

さて一方「今なら1億円でも買わない」というのは確かに正しいかもしれません。しかしそれは「日本の古本屋」の価値が下がったからではなく、現在のAmazonには必要でないだろうと思われるからです。

だとしても組合員にとっては、当時より遥かに必要性の高い存在となっている。少なくともTKIのメンバーは、そのように信じているからこそ、今日も長い時間を会議に費やしたのでした。

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2017年08月23日

掏られたかも

RIMG2201「ちょっとPASMOの履歴を調べてもらえますか」と駅員さんにお願いすると、すぐさま打ち出してくれたのが、この長いロールペーパーです。

「ICカード残額ご利用明細」というタイトルの後、カード番号と残額履歴最新100件という表示があり、以下「月日」「種別1」「利用駅1」「種別2」「利用駅2」「残額」という項目が100行続きます。

pasmo確かめたかったのは、1週間ばかり前の2日間だけ。その情報は1行で終わっておりました。8月16日の日付と「物販」の印字、そして残額がゼロ。

店主名義ではありますが、主に家人が利用している自動チャージ型PASMO。その紛失に家人が気付いたのは8月16日の朝、店に来てからのことでした。

しかしその時点では、家に忘れてきたという可能性も残されています。夕方、家に戻った家人が、あちこち探した挙句、やはり見つからないということで、対処の必要が生じました。

午後7時過ぎ、駒場東大前駅に出向き、紛失手続きをしてもらいました。再発行は翌日になるとのこと。翌日、発行手数料、カードデポジット併せて千余円を支払い新しいカードを受け取りました。

早速、履歴を知りたかったのですが、さらに翌日以降でないとデータが呼び出せないとのことで、昨日になって、改めて駅で調べてもらったのでした。

その結果分かったのは、15日の夜、東急バスに乗ったのが最後。そして翌16日にはそのカードが使い切られているということ。

前に娘も似たような被害に遭ったことは、このブログでも書きましたが、その素早い処理からすると、落としたのではなく、掏られたのではないか。その念が強まりました。

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2017年08月22日

お代済みの品

昔々、デパート展に参加していたころ、お代済みの商品を預かってはいけないと、デパート側からきつく言い渡されておりました。

RIMG2132そのデパートだけの決まりだったのか、今でもそんな決まりがあるのかは存じませんが、不思議と記憶に残っております。

それを思い出したのは、今日、5か月ぶりに本を引き取りに来られたお客様がいらしたからでした。

『加藤周一著作集』(平凡社)の、第1期15冊をお買い上げの学生さんです。正確には、小店の在庫は1巻欠けていましたから、それをネットで注文して補うことをお約束し、その上で14冊分の代金をいただき、全部は重いからと、まず半分をお持ち帰りになったのです。

欠本は間もなく手に入りました。函も本体も、小店在庫と同じ程度にきれいなものでした。それで直ちにその旨を、メールいたしました。

すぐにもおいでになるようなお話しぶりでしたので、伺っていたのはメールだけです。しかしその後、何のお返事もないまま、日が過ぎていきました。

つい先日も店の裏で片づけ物をしていて久々にこの代済品を目にし、再度ご連絡しなければと思ったばかり。そこへ今日、ひょっこりご来店になったというわけです。

取り寄せた1冊分のお代をいただき、残してあった巻すべてと共に、無事お引き取りいただきました。

小店あたりでさえ、これくらい困るのですから、デパートが用心するのは当然のことだと、得心した次第です。

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