2017年08月

2017年08月20日

羨望の健保組合

お鮨屋さんのカウンターに座って、握りをいただくなどという体験は、何年ぶりだったでしょうか。

そもそも外食の機会が限られるうえ、お酒を飲もうとするなら前もって計画を立て、車を家に置いて出なければなりません。せっかくお鮨をいただくなら、一杯やりたいですからね。

というわけで、鮨屋さんも久しぶりなら、カウンターで一杯も久しぶり。そんな久しぶりの外食を一昨日の金曜日、家族で揃っていたしました。

家族に8月生まれが二人いて、そのお誕生会という名目です。ただしスポンサーがその8月生まれの一人である上の娘、という妙な次第。

まあ目下のところ、我が家一番の稼ぎ手だからですが、さらに言えば今回訪れた鮨屋さんは、娘の加入する健康保険組合の福利厚生施設なのです。

KIMG0110組合加入者とその同伴者しか利用できないというこのお店、しかしなかなか予約の取れない、人気店だそうです。

確かに、おいしくいただきました。お好みではなくコースになっているのですが、その中でもひたすら握りが出てくるコースを選んでありました。

ヒラメから始まって、シマアジ、マグロ、中トロ、大トロ、そのあたりまでは覚えておりましたが、あとは順不同でカサゴ、コハダ、炙り鰹、クルマエビ、アオリイカ、バフンウニの軍艦巻き。

途中にホタテ磯辺焼き。アサリの味噌汁。握りの最後は焼きアナゴ。そして巻き物とタマゴ。まだ何か抜けているかもしれませんが、ともかくも堪能できました。

このお勘定が同伴者、つまり一般料金の場合でも、かなり良心的な設定。被保険者の場合は、さらにその6割程度という驚きの安さ。家人が羨むことしきりでしたが、もちろんまずは娘に感謝です。

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2017年08月19日

将来を問う

店主が所属している東京古書組合の南部支部が、再来年には50周年を迎えるということを、先月の支部総会の折に聞きました。

記念行事を行うのかどうか、今から考えておいた方が良いだろうと、支部長から提言があったのでした。南部支部では10周年、20周年、35周年に記念市会、および祝賀会を催しています。

10周年の時、まだ店主は古書業界との縁がありませんでした。20周年では支部機関誌部員として、支部報の記念号編集に携わっております。つまりそれから、30年近い年月が流れたということです。

その記念号で、支部員の「20年前、20年後」を問うというアンケート企画を立て、数多くの回答をいただきました。いま思えば若気(というほど若くはなかったのですが)の至りというべきでしょう。

30年前、支部員の平均年齢は今より大分若かったには違いないのですが、それでも現在の店主と同じか、さらに上の年齢の同業も、もちろんおられました。

RIMG2121その方々は、どんな気分でアンケートをご覧になったでしょうか。今さらながら、忸怩たる思いがあります。

というのも最近、娘の一人から将来設計について尋ねられることがあったからです。5年先は?10年先は?

心配してくれているのは分かります。しかし答えに窮しました。まして20年先など。

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2017年08月18日

開店に詰めかける

どうも不正確な情報を流してしまったようで、反省しております。菱田屋さんの夏休み期間についてです。

8月8日から20日まで――と店の表に貼り出してあったように記憶しておりました。そこでそのようにお伝えしたのですが、昨日のお昼時、前を通ると5、6人の若い人たちが並んでいます。

RIMG2167驚いて店をのぞくと、シャッターは上がり、入り口に「準備中」の札が出ていて、確かに営業が開始されたようでした。

夜、店を終えて車で前を通りかかると、やはり順番待ちの人たちが並んでいました。休み明けを待ちかねて、詰めかけたお客様方のようです。

小店のブログなど、人気店の営業に何の影響も与えなかったことは間違いなく、その点では心配する必要はありませんでした。

ただ、本当に店主の見間違いだったか、まだ少し疑問も残っています。通りがかりに貼り紙を一瞥しただけですが、そのお休みの長さに驚いたのでしたから。

あるいは予定を変えて、早目に再開したのでしょうか。今どきのことですから、ちょっとツイッターでお知らせすれば、すぐに広まりそうです。

小店も、いずれ店主の体力が続かなくなり、店を開けたり開けなかったりするようになる日が来ることでしょう。そんな時は、ツイッターが役立つかもしれません。

もっとも「本日営業」とつぶやいても、お客様が詰めかけてくださるとは想像できませんが。

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2017年08月17日

Life in Nature

73770ハヴロック・エリスという名前に出会ったのは随分昔のことです。大方、性に対する好奇心が旺盛であった青少年期のことだったでしょう。

性科学者というような紹介がされていたためか、その名前だけは記憶に残りましたが、著作などはまともに読んだことはありません。

何度か『夢の世界』(岩波文庫)を手にする機会はあったものの、好奇心で読み始めても、すぐ挫折するという繰返しでした。

いま改めてWikipediaで調べてみると、日本語サイトではほんの僅かですが、英語サイトには詳細な紹介がなされていて、なかなかの人物だと分かります。

さてそのエリス。なぜ取り上げたのかと申しますと、整理していた本の中から彼の書簡が見つかったのです。

何気なく表紙を開くと、見開きに何やら文字が書かれていてTo Sir James Jeans/ with the compliments of the/ Editorとありました。その本の編者はHavelock Ellisと表記されていますから、これはエリスが書いたものであるはず。

73770cいつどこで手に入れた本だっただろうと記憶を辿りながら頁を繰ると、四つ折りにされた紙がこぼれ落ちました。それがエリス自筆の書簡だったのです。

文面は、Sir James Jeansに自らの編書を推奨する内容。自身がとても影響を受けた本なのだそうです。

著者Hintonも、献呈先のSir Jeansも、ネットで調べることができます。さらに言うと、ジャケットの下隅に手書きされているArthur Hawkins, Jr.まで検索してしまいました。すっかり楽しませてもらったのですが、さて買い手はつくのでしょうか。

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2017年08月16日

戦争を記憶する

昨夜、NHKのドキュメンタリー「戦慄の記録 インパール」を見ました。放送時間には間に合わないことが分かっていましたので、ビデオにとっておいたのです。

おおむね、すでに多くの記録や研究で知られている事実関係を、様々な映像や音声で裏付け、あるいは補強するような形でしたが、実際に目で見、耳で聞くことで、強い印象となって残りました。

この夏は、いつにもまして戦争について考えさせられています。一つにはNHKが、続けざまに力の入ったドキュメンタリーを放送した影響があるでしょう。

店主が見ただけでも731部隊の話とか、本土空襲の話とか。他にも多くの番組があった(まだこれからもあるらしい)ことを番組宣伝で知っています。

これを、昨年暮れにNHKの会長が変わったことと、関連付けて見ている人もいるようです。確かに、権力者の意を体することが公共放送の使命だと考えていたような会長のもとでは、インパールや731は無かったかもしれません。

atsutaTVだけでなく、ある日見つけた1冊の本も店主を戦争の記憶に向かわせました。もちろん自身の記憶ではありません。母や祖母を通じて得た記憶です。

戦争末期の6月9日、店主の生家から程遠からぬ軍需工場が、爆撃を受けました。その体験手記を集めたものが『紺碧の空が裂けた日』です。ひとつ間違えば、母も祖母も当事者になっていたかもしれない空襲でした。

2068名もの命が奪われた一番の原因は、軍部の警報ミスだったことが分かっています。そしてそれが、公式文書には残されていないということも。

ここにも、忘れてはならない戦争の事実がありました。

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2017年08月15日

水漏れ解決篇

天気予報によれば、この一週間は、こんな梅雨のような空模様が続くらしい。

昨日と同じように人気がなく、昨日と違って、お目当ての本を探しにおいでのお客様も来られません。必然的に、売上は最低レベル。

しかしおかげで、お客様にご迷惑をかけることなく、エアコンの水漏れ修理が完了いたしました。

RIMG2170そうです!先々週の土曜日に始まった天井のエアコンからの水漏れは、足かけ11日間の辛抱の末、ついに解決を見たのです。

「今日お伺いしてもよろしいでしょうか?」という電話があったのは今朝のこと。もちろん、すぐにも、とお返事。するとお昼に、メーカーの修理技術者さんが来てくださいました。

要した時間は1時間ほどでしたでしょうか。結局、排水パイプのつなぎが劣化して水漏れしていただけだったようで、部品がどうの、室外機がどうのという話は、まるでなかったのです。

先日の修理の人は、何をしに来られたのか。しかし沢山写真を撮って行かれ、メーカーに連絡してくださったおかげで、今日の作業がスムーズに進んだのかもしれません。

というわけで水漏れは止まりましたが、天井裏の意外に広い範囲に、水が浸みだしていた様子です。壁紙が浮いて、一部剥がれても来ました。まあしかし当分、手を掛けるつもりはありません。別に不都合もないのですから。

さて、もう小店で濡れる心配はありません。安心してご来店ください。冷房も利いております。

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2017年08月14日

駒場のお盆休み

RIMG2124「今日と明日と、東大は全部閉めているらしいですね」お昼にパンを買いに角屋さんに行くと、お店の女性主人が、そう教えてくれました。節電だか、経費節約だかのためらしいとか。

彼女がご店主かどうかは、実際のところ確かではありません。旦那さんは少し前から体の不調でリタイア。お姉さんが一緒に店を手伝ってきましたが、最近になって息子さん夫婦も店を手伝うようになっています。

その息子さんのご意見か、今年はお盆休みも取らず(金曜日からは暦通り三連休しましたが)営業してみたものの、人の少なさに呆れているようす。

「学校が閉まってちゃ、お客さん少ないでしょう」そう気遣っていただきましたが、閉まっていようがいまいが、小店にご来客の少ないのは常のこと。仕込みが必要なパン屋さんのほうが、よほど大変だと思います。果たして来年はどうされるでしょうか。

店へ戻るまでの道、開いていた店は数えるほど。もっとも全軒営業していたとしても、数えるほどですが。菱田屋さんは8日〜20日まで、余裕の13連休。キッチン南海さんは、営業されてました。

意外だったのは、たこ焼きの「みしま」。土曜日もやっていたようですし、今日も開けておられました。以前は毎年長い休みを取られるのを、羨ましく見ていたものです。あるいは、時期をずらして休まれるのかも。

さて角屋さんにまでご心配いただいた小店ですが、確かにご来客は、あわせても数名。しかしお目当てがあって来られたお客様方でしたので、この時期としては、むしろ良い売上となりました。有り難いことです。

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2017年08月13日

買取鑑定士

買取屋という商売があって、鑑定士と称する人がいるらしい。先日、TV(Eテレ)で不用品の処分について取り上げた番組を見て、そこで得た知識です。

鑑定士というもっともらしい呼び名は、もちろん何かの資格を意味するのではなく、勝手に付けているのでしょう。

古書業界でも、組合で資格認定をして称号を出したらどうかと提案する同業がいたことを思い出しました。ネットを駆使して買取に力を入れている本屋さんです。

たとえば「古書鑑定士」もっと簡単に「古書士」といったような称号を名刺に刷り込めば、買取の際に信用が高まるというわけです。

しかし何をもってその資格要件とするかなど、真面目に考えると、ほとんど実現は不可能。ご本人も、半ば冗談のようなつもりだったのか、その後は聞かなくなりました。

確かに「鑑定士」と刷り込まれた名刺を見て、これはどんな資格かと不躾けに問う人は、あまりおられないかもしれません。言ったもん勝ち、というところでしょうか。

RIMG2117番組ではタブレット端末を手にして、あらゆるものを査定する様子を映していました。ほとんど何でも買い取りの対象になるようです。ただしゴルフクラブ1本10円〜というように、評価額はシビア。

それでもとにかく処分したい。そんな風潮からか、わが業界の買取専門業者さんの中にも、本以外の買い取りに軸足を移す人が出はじめている、という噂も聞こえてきます。

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2017年08月12日

「資産」か「お荷物」か

お昼過ぎまで、人っ子一人、店に入って来られませんでした。店の前に立ち止まる人かげさえ見えません。このまま今日が過ぎるかもしれないと、半ば覚悟いたしました。

RIMG2134今朝の新聞には、不動産が「負動産」化しているという記事。

バブル期に1300万円で購入した別荘地を手放そうとしたら、評価額が10万円。しかも売却費用が21万円かかったので、差し引き11万円の支払いになったとか。

マンションの場合はもっと悲惨で、管理費、修繕積立金などの何年分かを処分費用として要求されると言います。

かつて土地は、持っているだけで値上がりする大切な「資産」だったが、いまや持っているだけで税金や管理費がのしかかる「お荷物」だと感じる人が増えている――とも書かれていました。

古本屋としては複雑な思いです。いくら相場が下がったとはいえ「マイナス価格」で買い取る(つまりお金をいただいて引き取る)勇気のある本屋は稀でしょう。

その一方で、かつては持っているだけで値上がりする大切な「資産」だったものが、いまや持っているだけで家賃や倉庫代がのしかかる「お荷物」と化している点には変わりがありません。

ただそれでも何万冊と抱える中には、昔より価値の上がったものも稀にあるわけで、それがまた困ったこと。なまじそんなために「お荷物」と見切ることもできないのです。

さて覚悟の店番は、ちょっとしたまとめ買いのお二方で、いささか報われることになりました。

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2017年08月11日

書簡類の一口

RIMG2136祝日ですが、明治古典会が開催されました。明日から古書会館が夏期休館となり、来週の金曜日は休会となるためです。

実のところ、大変心配しておりました。ただでさえ出品の少ない時期、まして祝日開催です。はたして荷が集まるだろうかと。

朝、会場に着くとそれが杞憂であったと分かりました。決して大量というわけではありませんが、4階のフロアにも本が並んでいます。3階だけの1フロアで市を開くことも覚悟していましたから、会としては御の字です。

陳列されたものを確認していくと、すぐに一口ものの存在に気づきました。

出品封筒には、荷主を表す数字が書き込まれるのですが、同じ数字の封筒が沢山あります。しかも本ではなく書簡が中心なので、余計目につきます。その宛名がほとんど同一人物。つまりその宛先の所から出た一口でした。

そのお名前くらいは申し上げても良いでしょう。野上弥生子、あの漱石の弟子として作家生活をスタートさせた、女流文学者です。

ご長命の方でしたから、生涯に交わした書簡が数多いのは肯けます。ただそれを保管しているかどうかは、人によりさまざま。たとえば漱石自身は、来簡の多くを焼却廃棄したことが知られています。

有名無名、実に多くの書簡葉書が、丹念に整理されていました。ただしこれは作家と縁の深い出版社による作業だろうと思われます。

書簡の値打ちは、書き手にあることは言うまでもありません。次に内容、そして宛先。三拍子そろったものは、特に良い値がつき、今日の市場を盛り上げてくれました。

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