2017年12月

2017年12月21日

積み残し

本年最後の「日本の古本屋」事業部(TKI)定例会議。午後2時から始まって、午後7時過ぎまで。この一年も毎回、長い会議の連続でした。

それでも結局、多くのことを積み残してしまっています。決して、成しえたことが僅かだったとは思いません。要するに、やるべきことが多すぎるのでしょう。

他人ごとではなく、店主も責任の一端を負う「近代文献人名辞典」についても、当初の予定からすると、大きく進捗が遅れています。

このプロジェクトは直接利益を生むものではないため、掛けられる費用も自ずと限られますから、他に重要案件が入ると、どうしても後回しとなるのはやむをえません。結局、今年は「準備の準備」というような段階で終わることになりそうです。

積み残しといえば、先日、郵便局からの集荷がついに来なかった日がありました。担当者が忘れて来なかったこと自体は過去に何度かありましたが、その度、局に電話を入れて、なんとか代わりの人に来てもらっていたのです。

それがこの間は、何度局に電話を入れても誰も出ません。あきらめて閉店後、自宅に近い玉川郵便局まで、車で持ち込みました。

ところが今日、会議の席で同業から聞かされたのは「この頃は集荷を頼んでも断られることがある」という話。最近も「間に合わないので明日にしてほしい」と言われたそうです。

RIMG2474それを思えば目黒郵便局の集荷サービスは、恵まれた仕組みです。しかしそれが現場の過重労働で成り立っているとしたら、ただ有り難がってばかりもいられません。

適度な仕事量で回っていく世の中であってほしいものです。

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2017年12月20日

駒場の一つ星

miraville時おり本をお持ち込みいただく元雑誌編集者(フランス人)がいらっしゃいます。その方が今回持ち込まれた中に、持ち重りのする数冊の雑誌がありました。

タイトルこそ英語ですが、本文はフランス語。男性向けハイクラスマガジンのようです。とりあえずは表の均一に並べておくことにしようと、一冊を手に取りパラパラと開いてみました。

miraville2するとレストラン紹介のページがあって、どこかで見たような料理人の写真がいくつか載っています。そのひとつにkomabaという文字があるのに気がつきました。

すきやばし次郎と並んで紹介されるような有名店が駒場にあるのだろうかと、殆ど読めもしないのですが、気になって記事を目で追いました。

やはり駒場にあるレストランのようです。そして思い出しました。かつて松見坂に、ミシュラン一つ星のミラヴィルがあったことを。

その店が名を変え、装いも変えて、現在はツシミ(ご本名とか)として一日一組、最大5名までの完全予約制で営業していたのでした。

店主がそんな店舗の情報に疎いのは、当然のことです。なにしろ1人あたりのミニマムチャージが2万5千円というのですから。4人で行けば10万円、とても縁のない世界と言わねばなりません。

その昔、家族で一度だけミラヴィルで食事したことがあります。すでに星を持っていたころですが、1人5千円程度から食べられたのではないでしょうか。それでも我が家にとっては大奮発でした。今となっては栄光の記憶です。

今や、まさに星のごとく遠い存在のお店となってしまったわけですが、長くこの地で輝き続けてくれることを祈りたいと思います。

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2017年12月19日

ゼロ次会

JR渋谷駅を出てから、等々力行きバス停の位置が分からなくて、ちょっとまごまごしました。そんなに久しぶりのことだったでしょうか。

今日は洋書会の忘年会。歳末特選市を終えてから、同業でもある文流が営む高田馬場のイタリアンレストランで、ゆっくり食事を楽しんだのです。

忘年会の予約は午後6時からだったのですが、予想以上に市場が早く終わり、時間をもて余すことになったため、いっそこのまま出かけようと、衆議一決。連れだって会館を出ると、予定より1時間も早く、会場に着きました。

KIMG0311全員が揃っていたわけではなく、何しろまだ午後の5時を回ったところです。そこでともかく、飲み物を注文。二次会、三次会という言い方に習えば、さしずめゼロ次会とでも言うべきものが始まりました。

ビール1杯で1時間近くを過ごしたのですから、お店にとっては、あまり有りがたいことではなかったかもしれません。

しかし、いずれにせよ他の客を入れるわけにもいかない1時間でしょうから、多少でも売上があったことを喜ばれたでしょうか。ともあれ予定通り、午後6時からはお料理も出て、忘年会がスタート。

それからおよそ2時間半、たっぷり食べて飲んで、最後のエスプレッソコーヒーをいただくときには、すっかり満腹しておりました。

お定まりの中締めのあと、二次会を募る声も聞こえず、そのまま散会となったのは、ゼロ次会の功績だったかもしれません。

あるいは店主の逃げ足が早かっただけで、やはり次の席へと繰り出したメンバーもいたのかも。

洋書会は年内もう一回、来週も開催されます。その折にでも尋ねてみようと思います。


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2017年12月18日

広報の進化

20年も前の話になってしまいましたが、東京都の活路開拓資金(名称はうろ覚えです)を受けて、『東京の古本屋』という報告書がつくられました。

店主も活性化ビジョン調査委員会(これもうろ覚え)の一人として参加しており、その報告書の中に「機関誌から広報誌へ」などと題して愚見を述べております。

当時とはすっかり環境も変わり、店主自身の考え方も変わっていますから、今さら恥ずかしくて読み返せもしないのですが、その頃から、業界の広報ということについて、関心を持っていたことだけは確かです。

その後、組合に広報部ができ、予算も専従者もない中で、毎期の担当理事さんたちが、さまざまな試行を続けて今日に至っています。

とりわけ今期は、先のスタンプラリーとか、神田明神の古本祭(供養)とか、意欲的な企画が実行されています。

kouhou4期ほど前から続いている即売展案内も、ポスターからリーフレットに意匠替えし、小部数ずつですが、古書月報と共に送られてくるようになりました。

横四つ折り表裏8頁の中に都内の即売展情報と会館案内、それに2、3の短い読み物が掲載されています。

ここから広報誌まではあと一歩、と言いたいところですが、このあたりが丁度いいところかもしれません。先にも申し上げた通り、問題は資金と人材。

何より重要なのは持続可能性ですから、次に引き継げる仕組みでなければなりません。進化は、少しずつ起きるものなのでしょう。

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2017年12月17日

評価すべき本

しばらく前から、月に一度くらいのペースでご来店いただく、フランス人のお客様がおられます。

その度にpleiade版などを含めて数冊、割り合いまとまった金額をお買い上げくださり、小店にとっては上得意様となっています。

いくつかの学校で教えておられるようですので、仮にB先生と申し上げておきましょう。

そのB先生、ここ数週間はペースが上がり、毎日曜日ごとのご来店でした。というのも、ご自身の蔵書整理を始められたとかで、紙袋一つ二つを提げてお越しになるのです。

毎回、お持ちいただいた本に値を付けますと「わかりました」とおっしゃってから、棚を回って、必ずその倍以上の金額をお買い上げくださる繰り返しになりました。

今日も「これで最後です」と、大きな袋に詰めた英仏書をお持ちになりました。いつものように買い取り値を申し上げると、しばらくして、ちょうど倍額をお買い上げになって帰られました。

そんなB先生が一度だけ、店主の付け値に「あまりに安い」と異を唱えられたことがあります。

74247b評価に差が出た原因は、この1冊にありました。先生によれば、これは今でも高く売れるはずの本だとのこと。店主は、いわゆる辞典類と考え、ほとんど評価しておりませんでした。そこでご意見を入れ、しかるべき値を付けてお引き取りしたのです。

今回でご整理は一段落というので、また月1ペースのご来店に戻られるかもしれませんが、先生のためにも、この本が長く棚に残っていないことを祈りたいと思います。

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2017年12月16日

人への興味

自分で店を持つとなったら、やはり何かしら得意分野を持つべきだろうと、漠然と考えたことがあります。まだ五十嵐さんで、店員をさせていただいている頃でした。

その時ふと思いついたのは、ジャンルにこだわらず、広く伝記とか自伝とかいった、一人の人間について書かれた本を集めてみたらどうか、というアイデアでした。

本の知識も乏しい、駆け出しの頃の思い付きに過ぎず、結局その後、まじめに取り組むこともありませんでしたが。

そんなことを思い出したのは、先日、不思議な本に注文が入ったからです。

そもそもネットに登録したからこそなのですが、登録しながら、果たしてこのような本を注文する人がいるだろうかと、かなり疑問を感じてもいたことを覚えています。

ご注文いただいたのは「別宮貞俊追悼集」という、A5版上製107頁の非売本。いわゆる「饅頭本」です。

RIMG2471巻末の年譜によれば、電気技術の研究者から住友電工へ移られ、社長にまで昇進。退任後は大学で教える一方、電気学会会長、日本山岳会会長、日本バラ会会長を歴任。

華やかなご経歴の割には、ごく地味な追悼集で、寄稿者の中で店主に聞き覚えのあるのは西堀栄三郎さんくらい。

しかしもうお一人、聞き知ったお名前があり、それが故人のご長男にあたる別宮貞雄さん。珍しい苗字なので、もしやと思って確かめてみたところ、やはり作曲家の別宮さんでした。

この本のどこにご関心を持たれたのか、ご注文者に伺ってみたい気がいたします。

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2017年12月15日

忘年会@神保町

昨日の「朝イチ」を録画しておいて、その夜、食事を終えてから、ゆっくり見ました。神保町の特集だという予告につられてです。

さすがだなと思ったのは、特集が始まってすぐ、「なんだ古本の話か」とチャンネルを変えないように、といったような注意喚起が、文字と音声で流されたことです。

RIMG2458高視聴率だと言われるこの番組で、朝っぱらから古本、古本屋をストレートに取り上げていたのでは、大勢の視聴者をつなぎ止めることは難しいと判断したのでしょう。

番組の内容にも、古本に興味のない人たちにも見てもらうための工夫が、よく考えられていました。古本の街の、本探し以外の楽しみを紹介するといった趣です。

確かに、古本の話で約30分間、何百万、何千万という人の興味をひきつけるのは難しいことでしょう。行列のできるカレー店や、アクセサリー、雑貨としての本という話題のほうが、よほど一般受けすることは確かです。

その意味で、あくまで神保町という町の特集であり、看板に偽りはなかったわけです。古本屋としては、特に感心する内容ではありませんでしたが、町おこしの観点からは慶賀すべき番組だったと云えます。

その神保町で、今日は恒例の旧理事忘年会。明治古典会の関係者が数名いるため、金曜日になることが多いのですが、昨年は手違いで会場手配が出来ず、今年になってから新年会を行っております。

その反省から、今回は早めに予約。いつもの「くろぶたきよし」で出席者10名、ゆっくり歓談し、あっという間に時が過ぎ、また来年の再会を約して(始終会っている仲間もいますが)散会いたしました。

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2017年12月14日

宅買い下見

「まず一度、見に来てもらえないか」というご要請を受けて、昨日、宅買いの下見に行ってまいりました。

大学で英文学を教えていらした先生の旧蔵書です。7年ほど前に、80歳の声を聞かず亡くなられたそうです。

拝見したのは書庫兼書斎として使われていたらしい、お二階の一室。正確には隣の小部屋を入れて二室。

もちろん普通からすれば大量の蔵書ですが、学者さんのそれとしては、決して驚くほどではありません。いつも利用する運送屋さんのトラックなら、何とか1台に載せられそうな量です。

ご依頼主がお知りになりたかったのは、その評価額という以前に、小店で取り扱えるかどうか、ということのようでした。そこで次のようにお話ししました。

まず小店で買い取るのではなく、お預かりして市場に出品することになるということ。そのためには、運送屋さんを頼む必要があること。その費用や諸経費は、市場の売り上げから差し引かせていただくこと。さらにそこから、一定の手数料をいただくこと。

RIMG2480「運送代を払ったら足が出るということはありませんか」というお尋ねを受けました。そこで「そういう心配があるときは、このようなご提案はしません」とお答えいたしました。

いくら何でも、運送代にもならないということはありません。保存の良さそうなハードカバー本が結構ありましたから。ただ殆どの本に書店カバーがかけられていてタイトルが見えないため、確かな値踏みはできませんでしたが。

お客様も、過大な期待はされていないようですから、その点では安心できますが、もし正式にご用命いただけたとすると、一番の問題は運び出しの動線です。

帰り道、考えているうちに、腰が痛くなってきました。

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2017年12月13日

送料で大慌て

店主もたまにやってしまうのですが、「日本の古本屋」からのご注文に対して、送料を入力しないまま、書籍代だけの確認メールを返信することがあります。

決済されたり、送金されたりする前に気がつけば、お詫びして送料を加算したうえで、メールを再送信いたします。

もし間に合わずに決済や送金をいただいた場合は、黙ってそのまま商品を発送することにしています。

しかし今日の場合、ちょっと事情が異なりました。家人が返信したうちの一件に、送り先が中国、書籍代金は2千円、それに対して決済金額も2千円のまま、というものを見つけたのです。

73203一瞬、事情がつかめず、送料を調べている間にも、ご決済されてしまうかもしれないと、慌ててキャンセル処理をいたしました。重量1.1kgの本ですので、送り方によっては書籍代金以上の費用が掛かってしまいますから。

その上で「決済金額に送料を加え忘れたため、一旦、キャンセルとさせていただきました。申し訳ありませんが、再度ご注文いただけないでしょうか」とメールいたしました。

そうしておいて、改めて送料を調べ、EMS、航空便、SAL便それぞれで、いくらいくらと追伸しました。

さて落ち着いて、家人が送ったメールを調べてみると、文面には、ちゃんとSAL便でいくらと説明されています。ただ管理画面に、送料を入力しなかっただけのようです。

そこまで分かっていれば、送料を入力して再送信するだけで済んだことでした。慌てふためいた結果、お客様にご面倒をかけてしまったわけです。反省。

ただひとつ問題が残っています。果たしてお客様は、日本語を理解されているでしょうか。

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2017年12月12日

過去からのお客様

一人は白人の男性、もう一人は日本人ともみられる東洋人の女性。お二人でかなり長い時間、店の中をご覧になっておられました。

時々何やら話されていますが、それが何語であるかも分からないほどの小声。

やがて3冊の本を携えて帳場に来られ、店主が伝票を抜き取っているうちに、男性が「計算尺はありますか?」とお尋ねになりました。

RIMG2465その話しぶりから、言い間違いをされたのかと感じ「計算機ですか?」と問い直すと、女性のほうが日本語がお上手らしく「いえ、計算機じゃなく、計算尺です」と引き取られました。

もちろん小店に計算尺があるはずもなく、お客様もダメもとでお尋ねになっただけのようです。

それでその話は終わりましたが、続いて「こちらは長いのですか?」と、女性からご質問を受けました。

「34年になります」とお答えすると「34年…」と頭で数えるようにされてから「ずっとここですか?」「そうです。ただ途中で少し移動しましたが」「駅のすぐ前のところですか?」

立て続けのご質問のワケが分かりました。女性は昔、留学生として駒場に居られ、そのころ時々、小店をご利用いただいていたようです。

懸命に記憶をたどりましたが、申し訳ないことに、店主の脳内に昔のお姿は像を結びませんでした。

女性は男性に「同じ人」と英語で伝え、店主には日本語で「今はシンガポールから旅行で日本に来ています」。

「どうぞ良い旅を」そう言ってお見送りしました。

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12月31日から1月3日まで
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