2018年02月
2018年02月28日
古本屋だから
今朝の朝日新聞に、ある新刊書店さんの店じまいが記事になっていました。そのご主人の年齢がたまたま店主と同じということもあって、感慨深く読みました。
単に同年齢だからというだけではありません。店主もまた、古本屋を目指す前の一時期、新刊書店を開く道を模索していたからです。
この方の開業は1980年とのこと。店主が五十嵐書店さんに拾っていただいたのは1977年で、物件を探して歩いたのはその1、2年前。ですから、このころの貸店舗状況については、なんとなく記憶があります。
世の中がバブルに沸くのはまだ10年ほど後のことですが、その当時でもなかなか物件はなく、あっても手が出ないような金額ばかり。
しかも、書店開業には、想像していた以上の資金が必要だと分かり、その程度の知識すらなかった店主はあえなく挫折。古本屋なら、小資本で始められそうだと目を向けたのが、この稼業へのスタートでした。
それでも万一、この方のように好物件にめぐり合っていたら、資金援助も得られたかもしれず、まかり間違えば新刊書店の親父さんになっていた可能性が、なかったわけではないのです。
しかし記事を読む限り、この方は、店主には及びもつかぬ努力家であったことがうかがえます。そんな方でさえ廃業のやむなきにいたったことを思うと、例え運よく新刊書店が開けたとしても、とても長続きはできなかったろうと、今にして思います。
単に同年齢だからというだけではありません。店主もまた、古本屋を目指す前の一時期、新刊書店を開く道を模索していたからです。
この方の開業は1980年とのこと。店主が五十嵐書店さんに拾っていただいたのは1977年で、物件を探して歩いたのはその1、2年前。ですから、このころの貸店舗状況については、なんとなく記憶があります。
世の中がバブルに沸くのはまだ10年ほど後のことですが、その当時でもなかなか物件はなく、あっても手が出ないような金額ばかり。
しかも、書店開業には、想像していた以上の資金が必要だと分かり、その程度の知識すらなかった店主はあえなく挫折。古本屋なら、小資本で始められそうだと目を向けたのが、この稼業へのスタートでした。
それでも万一、この方のように好物件にめぐり合っていたら、資金援助も得られたかもしれず、まかり間違えば新刊書店の親父さんになっていた可能性が、なかったわけではないのです。
しかし記事を読む限り、この方は、店主には及びもつかぬ努力家であったことがうかがえます。そんな方でさえ廃業のやむなきにいたったことを思うと、例え運よく新刊書店が開けたとしても、とても長続きはできなかったろうと、今にして思います。
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2018年02月27日
寿司とイタリアン
二晩続けての外食となりました。昨夜は「寿司の会」、今夜は「同窓会」。といっただけでは訳が分かりませんね。
「寿司の会」というのはTKI=「日本の古本屋」事業部の有志で、予約を取るのが難しい、安くておいしいお寿司屋さんに行こうという企画。昨年10月頃に持ち上がったのが、ようやく実現したもの。
同窓会のほうは店主の京都時代、つまり学生時代の友人が、久々に東京で顔を合わせようという、これも去年の暮れ頃に持ち上がった話。
どちらも店主にとっては楽しい一夜でしたが、それぞれの集まりの一部始終をお話したところで、大方にとっては退屈なだけでしょう。興味を持っていただけるとしたら、どんな店だったかということくらいだと思います。そこで、それぞれのお店について簡単にご説明。
「寿司の会」は昨夏、店主が行く機会を得た、IT関連健康保険組合の福利厚生施設にあるお鮨屋さん「鮨一新」。組合員なら格安、その同伴者でも割安で美味しいお寿司を食べさせてくれるのですが、なにしろ予約が取れない。
その話をしたところ、TKIのコンサルタントをしていただいている方もその組合員だと分かり、では一度、皆で行こうという話になって、何か月も先となる予約を取ってくれたというわけです。
今夜の同窓会は表参道のイタリアン「Napule」。こちらは友人に紹介してもらった店ですが、その友人というのも学生時代からの付き合い。リーズナブルな店をという条件に十分叶い、料理も満足できるものでした。
こちらは誰でも行ける店ですから、機会があればまた行ってみたいと思っております。
「寿司の会」というのはTKI=「日本の古本屋」事業部の有志で、予約を取るのが難しい、安くておいしいお寿司屋さんに行こうという企画。昨年10月頃に持ち上がったのが、ようやく実現したもの。
同窓会のほうは店主の京都時代、つまり学生時代の友人が、久々に東京で顔を合わせようという、これも去年の暮れ頃に持ち上がった話。
どちらも店主にとっては楽しい一夜でしたが、それぞれの集まりの一部始終をお話したところで、大方にとっては退屈なだけでしょう。興味を持っていただけるとしたら、どんな店だったかということくらいだと思います。そこで、それぞれのお店について簡単にご説明。
「寿司の会」は昨夏、店主が行く機会を得た、IT関連健康保険組合の福利厚生施設にあるお鮨屋さん「鮨一新」。組合員なら格安、その同伴者でも割安で美味しいお寿司を食べさせてくれるのですが、なにしろ予約が取れない。
その話をしたところ、TKIのコンサルタントをしていただいている方もその組合員だと分かり、では一度、皆で行こうという話になって、何か月も先となる予約を取ってくれたというわけです。
今夜の同窓会は表参道のイタリアン「Napule」。こちらは友人に紹介してもらった店ですが、その友人というのも学生時代からの付き合い。リーズナブルな店をという条件に十分叶い、料理も満足できるものでした。
こちらは誰でも行ける店ですから、機会があればまた行ってみたいと思っております。
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2018年02月26日
授業料
何冊か頼まれ本があり、ネットを通して注文し、その引き取りに神保町まで行ってきました。
たまたま神保町の書店さんが3軒あったため、その方が早いと考えてです。納期が迫っているという事情もありました。
首尾よく入手でき、そればかりか、ついでに古書会館に立ち寄ると、別の書店さんの本も届いていて都合4点、持ち帰るのに重いほどでした。
古書会館では中央市会が、例によって大量の出品物と大勢の業者で賑わっていて、せっかくなので店主も会場を一回り。目についた数点に入札もしてまいりました。
その折、ふだんあまり会わない何人もの同業とあいさつを交わし、なかでも久しぶりに会った旧知の同業からは、店主のブログに関する意見をいただきました。
例の「古い本や書いたものがある」という詐欺師(そう呼んでもいいでしょう)の件。「実は」といって、彼もまた被害にあったことを告白してくれたのです。
「これから先、どれだけ被害が出るかわからないし、ぜひ広く警告してほしい」というのが、彼の意見でした。
しかしこうも言っておりました「欲と二人連れ。また騙されるかもしれないな」と。「欲」というとあまりにあけすけですが、良いものを仕入れたいという意欲は失うべきではありません。
とりわけ若い業者さんには、あまりに消極的にならないようにとも申し上げておきたいところです。騙す者を許すことはできませんが、時に騙されるくらいの人の方が伸びることも確か。授業料という言葉もあります。
伸びなかった店主が言うのだから、間違いありません。
たまたま神保町の書店さんが3軒あったため、その方が早いと考えてです。納期が迫っているという事情もありました。
首尾よく入手でき、そればかりか、ついでに古書会館に立ち寄ると、別の書店さんの本も届いていて都合4点、持ち帰るのに重いほどでした。
古書会館では中央市会が、例によって大量の出品物と大勢の業者で賑わっていて、せっかくなので店主も会場を一回り。目についた数点に入札もしてまいりました。
その折、ふだんあまり会わない何人もの同業とあいさつを交わし、なかでも久しぶりに会った旧知の同業からは、店主のブログに関する意見をいただきました。
例の「古い本や書いたものがある」という詐欺師(そう呼んでもいいでしょう)の件。「実は」といって、彼もまた被害にあったことを告白してくれたのです。
「これから先、どれだけ被害が出るかわからないし、ぜひ広く警告してほしい」というのが、彼の意見でした。
しかしこうも言っておりました「欲と二人連れ。また騙されるかもしれないな」と。「欲」というとあまりにあけすけですが、良いものを仕入れたいという意欲は失うべきではありません。
とりわけ若い業者さんには、あまりに消極的にならないようにとも申し上げておきたいところです。騙す者を許すことはできませんが、時に騙されるくらいの人の方が伸びることも確か。授業料という言葉もあります。
伸びなかった店主が言うのだから、間違いありません。
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2018年02月25日
拾い読む愉しみ
市場でのこと。何冊か、あるいは何十冊か束になって出品されている中に、ちょっと自分で読んでみたい本が見つかり、それが入札する動機になることがあります。
もっとも、ほかに値踏みすべき良い本がたくさん混じっていれば、なまじな札では落ちてきませんし、逆に目ぼしい本がなければ、その一冊だけどこかで手に入れて読む方が安上がりです。
ですから、いい按配で束になっていて、うまい具合に落札できるというお得なケースは、そうそう多くあることではありません。
先日、そんな一束に出会い、首尾よく落札できました。読んでみたかった一冊というのはこの『本は生まれる。そして、それから』(小尾俊人、幻戯書房、2003年)です。
小尾さんとは生前、ひと言ふた言、お話させていただく機会がありましたが、どの程度こちらを認識なさっていたかは、定かではありません。古本屋であるくらいは、承知してくださっていたでしょうか。
それはともかく、尊敬する出版人の書かれた本です。後日、店に届いた落札品の中から抜き出して、さっそく拾い読みをいたしました。
短いエッセイや談話がほとんどで、拾い読みにはうってつけ。お昼の食休みの時などに目次を開き、興味をひかれたものから、少しずつ読んでおります。
外国の出版社についての話が、店主にはとりわけ「面白くてためになる」。プレイヤード版の現在の初版部数は最低1万2千部、いままでの最高はサン=テグジュペリで30万部などと知りました。
なるほど小店でも、彼の巻は何度か入荷しましたが、いずれもすぐに売れております。
もっとも、ほかに値踏みすべき良い本がたくさん混じっていれば、なまじな札では落ちてきませんし、逆に目ぼしい本がなければ、その一冊だけどこかで手に入れて読む方が安上がりです。
ですから、いい按配で束になっていて、うまい具合に落札できるというお得なケースは、そうそう多くあることではありません。
先日、そんな一束に出会い、首尾よく落札できました。読んでみたかった一冊というのはこの『本は生まれる。そして、それから』(小尾俊人、幻戯書房、2003年)です。
小尾さんとは生前、ひと言ふた言、お話させていただく機会がありましたが、どの程度こちらを認識なさっていたかは、定かではありません。古本屋であるくらいは、承知してくださっていたでしょうか。
それはともかく、尊敬する出版人の書かれた本です。後日、店に届いた落札品の中から抜き出して、さっそく拾い読みをいたしました。
短いエッセイや談話がほとんどで、拾い読みにはうってつけ。お昼の食休みの時などに目次を開き、興味をひかれたものから、少しずつ読んでおります。
外国の出版社についての話が、店主にはとりわけ「面白くてためになる」。プレイヤード版の現在の初版部数は最低1万2千部、いままでの最高はサン=テグジュペリで30万部などと知りました。
なるほど小店でも、彼の巻は何度か入荷しましたが、いずれもすぐに売れております。
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2018年02月24日
不時の災難
今朝、出かけようとして、いつものようにガレージのシャッターボタンを押すと、大きな異音がするだけで、一向にシャッターが上がる気配がありません。
何度か繰り返すうちに、一瞬、巻き上げ音が聞こえたかと思うと、次の瞬間、全く音がしなくなりました。素人見にもモーターが完全にダウンしたようです。
とうに寿命は過ぎていて、いつ壊れても不思議はないと覚悟はしておりましたが、いざ壊れてみると困った事態が生じました。手動では、まるで開けることができないのです。シャッターが降りたまま出口に蓋をされた状態で、車を出すことができません。
よりによって今朝は一件、宅買いの予定が入っておりました。とりあえず先様にお電話を入れて、本日は伺えない旨をお伝えし、「何が起きるか分からないものですね」と、ご了承いただきました。
さてそれから、まず家人に店に向かってもらい、こちらはネット検索。24時間受付というシャッター修理110番を見つけ、そこに電話。いつ手配がつくかもわからないので、ひとまずバスで店に向かいました。
店に着いて棚の整理などをしているうちに、業者さんから連絡が入り、今から我が家に向かうので30分ほどで着くとのこと。店主もすぐ取って返しました。
到着するとすでに業者さんは着いておられ、見ていただいた結果、やはり修理不能。ともかくシャッターを切り裂いて、出口を開けていただいたのですが、ではこの先どうするのか。
亡き義母が30年も前に、張り込んで作ってくれた電動シャッターでしたが、もう電動は要りません。手動で十分。それでも結構な出費となりそうです。
何度か繰り返すうちに、一瞬、巻き上げ音が聞こえたかと思うと、次の瞬間、全く音がしなくなりました。素人見にもモーターが完全にダウンしたようです。
とうに寿命は過ぎていて、いつ壊れても不思議はないと覚悟はしておりましたが、いざ壊れてみると困った事態が生じました。手動では、まるで開けることができないのです。シャッターが降りたまま出口に蓋をされた状態で、車を出すことができません。
よりによって今朝は一件、宅買いの予定が入っておりました。とりあえず先様にお電話を入れて、本日は伺えない旨をお伝えし、「何が起きるか分からないものですね」と、ご了承いただきました。
さてそれから、まず家人に店に向かってもらい、こちらはネット検索。24時間受付というシャッター修理110番を見つけ、そこに電話。いつ手配がつくかもわからないので、ひとまずバスで店に向かいました。
店に着いて棚の整理などをしているうちに、業者さんから連絡が入り、今から我が家に向かうので30分ほどで着くとのこと。店主もすぐ取って返しました。
到着するとすでに業者さんは着いておられ、見ていただいた結果、やはり修理不能。ともかくシャッターを切り裂いて、出口を開けていただいたのですが、ではこの先どうするのか。
亡き義母が30年も前に、張り込んで作ってくれた電動シャッターでしたが、もう電動は要りません。手動で十分。それでも結構な出費となりそうです。
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2018年02月23日
カミングアウト
明治古典会は2月の特選市。しかし今日は会の雑務に追われて、市会場にいる時間より、6階の事務フロアにいる時間の方が長かったような一日でした。
その6階で作業をしていた時のこと、若手の同業から「河野さん」と声をかけられました。
「先日、おかしな客が店に来まして」とスマホを差し出します。そこには一人の老人が映っていて「この写真ですが…」
今日にも取り壊すことになっている古い旅館があり、そこに絵とか本とかが残っていて、引き取り手を探している、というような話しだったそうです。「岸田劉生の絵」なるものを見せられたとか。
それは買わなかったのですが、残っているという蔵書につい色気を出し、翌々日なら行けると話したところ、解体作業の車を抑えておくために1日当たり幾ら幾らかかるので、その金を出してほしいと言われたそうです。
何万円かを払い、約束の日に知らされていた場所を尋ねたところ、目指す建物は影も形もなく、そもそも住所すら存在しないことが分かったとか。
この話を彼の仲間にしたところ、前に店主が似た話をブログで書いていたと知らされ、それで今日、会ったのを幸いに、スマホの写真を見せてくれたというわけでした。防犯カメラにでも撮られていたのでしょうか。
顔はもうひとつはっきりしませんが、全体の醸し出す雰囲気は、まぎれもなく小店に来たのと同一人物です。
彼が言うには、新たな被害者が出ないように、あえて自分の恥をさらしてでも組合員に注意喚起したいと考えているそうです。
その6階で作業をしていた時のこと、若手の同業から「河野さん」と声をかけられました。
「先日、おかしな客が店に来まして」とスマホを差し出します。そこには一人の老人が映っていて「この写真ですが…」
今日にも取り壊すことになっている古い旅館があり、そこに絵とか本とかが残っていて、引き取り手を探している、というような話しだったそうです。「岸田劉生の絵」なるものを見せられたとか。
それは買わなかったのですが、残っているという蔵書につい色気を出し、翌々日なら行けると話したところ、解体作業の車を抑えておくために1日当たり幾ら幾らかかるので、その金を出してほしいと言われたそうです。
何万円かを払い、約束の日に知らされていた場所を尋ねたところ、目指す建物は影も形もなく、そもそも住所すら存在しないことが分かったとか。
この話を彼の仲間にしたところ、前に店主が似た話をブログで書いていたと知らされ、それで今日、会ったのを幸いに、スマホの写真を見せてくれたというわけでした。防犯カメラにでも撮られていたのでしょうか。
顔はもうひとつはっきりしませんが、全体の醸し出す雰囲気は、まぎれもなく小店に来たのと同一人物です。
彼が言うには、新たな被害者が出ないように、あえて自分の恥をさらしてでも組合員に注意喚起したいと考えているそうです。
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2018年02月22日
単品スピード注文
TKI定例会議。例によって、終了したのは午後7時。
今日は、こまごまとした改修についてシステム会社から説明を受け、それに対してまた意見を出して、ということで時間を取られました。
中で、まもなく実現しそうなのが「単品スピード注文」の仕組み。仕組み自体はすでに備わっていて、これまでは「即決注文」という名で、ボタン表示されていました。
分かりやすく言えばワンクリック注文。もっともワンクリックとはいきませんが、欲しい本の注文ボタンを押せば、次にクレジット決済のボタンを押すだけで注文完了となる、便利な仕組みです。
ただしそのためには、出品者が商品ごとに、そのように設定しなければなりません。そして「スピード注文」が可能な商品は、現状ではあまり多くありません。それには出品者側の事情があります。
出品登録の時点ですべての状態説明を書ききれない、ということがひとつ。さらに大きな問題は、必ず在庫しているとは限らない、ということ。
多くの「日本の古本屋」参加店が店舗を持っていて店頭でも販売しており、店で売り切れたものをデータベースから消す作業が遅れる場合も少なくないからです。
現に小店でも、月に1度や2度は、お詫びのメールを出しております。これでも以前に比べて、そうしたケースが少なくなりはしたのですが。
しかしお客様の利便性を考えれば、選べる注文方法が多いに越したことはありません。そう考えて、状態に問題のない本で、確実に在庫管理ができるものについて、少しずつ「即決注文」もできるようにしてまいりました。
まだ数えるほどの点数ですので、これまでのところ受注実績はゼロ。小店だけではなく、他店でも思ったほど受注がないらしく、「分かりにくいからじゃないか」という意見があって、今度の名称およびデザインなどの変更に至ったというわけです。
近々リリースされるはずですが、果たしてこれで「スピード注文」が増えるでしょうか。
今日は、こまごまとした改修についてシステム会社から説明を受け、それに対してまた意見を出して、ということで時間を取られました。
中で、まもなく実現しそうなのが「単品スピード注文」の仕組み。仕組み自体はすでに備わっていて、これまでは「即決注文」という名で、ボタン表示されていました。
分かりやすく言えばワンクリック注文。もっともワンクリックとはいきませんが、欲しい本の注文ボタンを押せば、次にクレジット決済のボタンを押すだけで注文完了となる、便利な仕組みです。
ただしそのためには、出品者が商品ごとに、そのように設定しなければなりません。そして「スピード注文」が可能な商品は、現状ではあまり多くありません。それには出品者側の事情があります。
出品登録の時点ですべての状態説明を書ききれない、ということがひとつ。さらに大きな問題は、必ず在庫しているとは限らない、ということ。
多くの「日本の古本屋」参加店が店舗を持っていて店頭でも販売しており、店で売り切れたものをデータベースから消す作業が遅れる場合も少なくないからです。
現に小店でも、月に1度や2度は、お詫びのメールを出しております。これでも以前に比べて、そうしたケースが少なくなりはしたのですが。
しかしお客様の利便性を考えれば、選べる注文方法が多いに越したことはありません。そう考えて、状態に問題のない本で、確実に在庫管理ができるものについて、少しずつ「即決注文」もできるようにしてまいりました。
まだ数えるほどの点数ですので、これまでのところ受注実績はゼロ。小店だけではなく、他店でも思ったほど受注がないらしく、「分かりにくいからじゃないか」という意見があって、今度の名称およびデザインなどの変更に至ったというわけです。
近々リリースされるはずですが、果たしてこれで「スピード注文」が増えるでしょうか。
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2018年02月21日
参考になる本
「シェイクスピアの本はありますか?」
ストレートなご質問。学生さんより少し年かさ、30歳前後といった男性です。
なんとお答えすべきか、思わず返事に詰まっておりますと「ありませんか?」、重ねてのお尋ね。ハムレットのセリフが浮かびます。アリマス、アリマセン、アレワナンデスカ。
冗談はさておき、逆にお尋ねしました。「シェイクスピアのどんな本をお探しでしょう?」「なんでも。研究書を探してます。小津(次郎)さんなんかを読んでますが」
少し的が絞られてきました。まず戯曲ではなく、論じたもの、それも日本語で。店の棚に少しばかり、まとめて並べてありますので、その場所へご案内いたしました。
「実は今度『ベニスの商人』を演出することになってるんで」とおっしゃりながら、目を走らせておられます。なるほど、その参考になる本をお求めのようです。
さて一体、どんな本が参考になるのだろう、と沈思黙考しているうちに、お客様は演劇書の棚の方に移られ(小店では、場所の都合でシェイクスピア関連は文学書の棚にあります)、しばらくご覧になったあと「また時間のある時に来ます」と言い残して、さっさと出て行かれました。
お帰りになったあとも、店主の頭の中では本探しが続いておりました。料理のレシピ本のように、調理法ならぬ演出法が載った本があるでしょうか。英語版ならあったような気もします。
しかし仮にあったとして、それが役にたつでしょうか。古典を再現するのか、現代風に演出するのか、それによっても事情はまったく異なります。
またおいでになったらお尋ねしてみたいところですが、もう来られることはないような気がします。
ストレートなご質問。学生さんより少し年かさ、30歳前後といった男性です。
なんとお答えすべきか、思わず返事に詰まっておりますと「ありませんか?」、重ねてのお尋ね。ハムレットのセリフが浮かびます。アリマス、アリマセン、アレワナンデスカ。
冗談はさておき、逆にお尋ねしました。「シェイクスピアのどんな本をお探しでしょう?」「なんでも。研究書を探してます。小津(次郎)さんなんかを読んでますが」
少し的が絞られてきました。まず戯曲ではなく、論じたもの、それも日本語で。店の棚に少しばかり、まとめて並べてありますので、その場所へご案内いたしました。
「実は今度『ベニスの商人』を演出することになってるんで」とおっしゃりながら、目を走らせておられます。なるほど、その参考になる本をお求めのようです。
さて一体、どんな本が参考になるのだろう、と沈思黙考しているうちに、お客様は演劇書の棚の方に移られ(小店では、場所の都合でシェイクスピア関連は文学書の棚にあります)、しばらくご覧になったあと「また時間のある時に来ます」と言い残して、さっさと出て行かれました。
お帰りになったあとも、店主の頭の中では本探しが続いておりました。料理のレシピ本のように、調理法ならぬ演出法が載った本があるでしょうか。英語版ならあったような気もします。
しかし仮にあったとして、それが役にたつでしょうか。古典を再現するのか、現代風に演出するのか、それによっても事情はまったく異なります。
またおいでになったらお尋ねしてみたいところですが、もう来られることはないような気がします。
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2018年02月20日
不思議なご要望
はじめてご注文いただいた時、ちょっとまごつきました。
メッセージ文面に■発送方法■【ゆうメール送料着払い】希望(未着防止の為)とあります。
一見して、代金引換をご希望かと思いました。しかしそのあとに、■支払方法■【銀行振込】希望(どの銀行でも構いません)と続けられています。
着いたら銀行振込する、つまり先送りしてほしい、ということかと考えました。未着防止の為、という文言があったからです。着かなかったら払わないという、かなりあけすけな物言いにも聞こえます。
しかし落ち着いてよく読んでみると「ゆうメール着払い」ではなく「ゆうメール送料着払い」と、わざわざ「送料」の二文字が加えてあります。めったにないご要望なので、理解するまでに時間がかかりました。
多少の手数料はかかりますが、届けられたときに送料を支払うのが「着払い」。それが未着防止になる、というご趣旨だったのです。
そうかなあ、とは思いましたが、お断りする理由もありません。書籍代金のご入金を確認してから、郵便物に「着払い」と書いて発送いたしました。
そのあと二度、続けてご注文いただきましたが、もう迷いませんでした。配達員さんには、いささかご面倒をかけて心苦しい気もいたしますが、お客様のご要望です。
それが今回、ある事情から、お客様が直接電話をかけて来られ、そのやりとりのなかで、着払いの謎が明かされたのでした。理由は「大量の切手を持っていて、できる限りそれを使いたい」から。
なるほど、それならまだ分かります。なまじ未着防止などと書かないほうが良いのでは、と思いましたが、差し出口は控えておきました。
メッセージ文面に■発送方法■【ゆうメール送料着払い】希望(未着防止の為)とあります。
一見して、代金引換をご希望かと思いました。しかしそのあとに、■支払方法■【銀行振込】希望(どの銀行でも構いません)と続けられています。
着いたら銀行振込する、つまり先送りしてほしい、ということかと考えました。未着防止の為、という文言があったからです。着かなかったら払わないという、かなりあけすけな物言いにも聞こえます。
しかし落ち着いてよく読んでみると「ゆうメール着払い」ではなく「ゆうメール送料着払い」と、わざわざ「送料」の二文字が加えてあります。めったにないご要望なので、理解するまでに時間がかかりました。
多少の手数料はかかりますが、届けられたときに送料を支払うのが「着払い」。それが未着防止になる、というご趣旨だったのです。
そうかなあ、とは思いましたが、お断りする理由もありません。書籍代金のご入金を確認してから、郵便物に「着払い」と書いて発送いたしました。
そのあと二度、続けてご注文いただきましたが、もう迷いませんでした。配達員さんには、いささかご面倒をかけて心苦しい気もいたしますが、お客様のご要望です。
それが今回、ある事情から、お客様が直接電話をかけて来られ、そのやりとりのなかで、着払いの謎が明かされたのでした。理由は「大量の切手を持っていて、できる限りそれを使いたい」から。
なるほど、それならまだ分かります。なまじ未着防止などと書かないほうが良いのでは、と思いましたが、差し出口は控えておきました。
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2018年02月19日
時期一番
今日は、中央市会大市会の入札日でした。
この大市会が、もう長いこと使っているキャッチフレーズがあります。「春一番!値段一番!時期一番!」
我が師匠である五十嵐さんは、今では最古参に近い中央市会会員ですが、店主の修業時代は、会長も務められ、最も熱心に会の運営にかかわっておられた時期でした。
ですから「値段一番」ということについても、しばしば聞かされた記憶があります。おかげで後に、このフレーズがポスターや目録に載るようになった時、オヤジさんの発案ではないかと思ったものです。実際に確かめたことはありませんが。
覚えやすいフレーズだから、長いこと使われているのでしょうが、理屈から言うと順序がちょっと違います。
春一番の季節にある大市で、年度公費の執行が締め切り間近で、だから注文が重なって良い値段になる。時期一番だから値段一番。最初はその順番だったような気もします。語呂の良さから、現在の順番になったのでしょうか。
その肝心の公費注文ですが、昔と比べると、図書予算自体が大幅に減ってきているうえ、仮に余っても、消化についての制約が厳しくなっているようで、かつての年度末特需は今や夢物語と言われます。
昔からほとんど特需と縁のない小店ですが、昨日の下見日に出かけ、わずかながら入札してまいりました。しかしどうやら、今でも「時期一番」だったようです。
この大市会が、もう長いこと使っているキャッチフレーズがあります。「春一番!値段一番!時期一番!」
我が師匠である五十嵐さんは、今では最古参に近い中央市会会員ですが、店主の修業時代は、会長も務められ、最も熱心に会の運営にかかわっておられた時期でした。
ですから「値段一番」ということについても、しばしば聞かされた記憶があります。おかげで後に、このフレーズがポスターや目録に載るようになった時、オヤジさんの発案ではないかと思ったものです。実際に確かめたことはありませんが。
覚えやすいフレーズだから、長いこと使われているのでしょうが、理屈から言うと順序がちょっと違います。
春一番の季節にある大市で、年度公費の執行が締め切り間近で、だから注文が重なって良い値段になる。時期一番だから値段一番。最初はその順番だったような気もします。語呂の良さから、現在の順番になったのでしょうか。
その肝心の公費注文ですが、昔と比べると、図書予算自体が大幅に減ってきているうえ、仮に余っても、消化についての制約が厳しくなっているようで、かつての年度末特需は今や夢物語と言われます。
昔からほとんど特需と縁のない小店ですが、昨日の下見日に出かけ、わずかながら入札してまいりました。しかしどうやら、今でも「時期一番」だったようです。
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