2018年10月

2018年10月31日

店を紹介する

RIMG3278店主とあまり違わない年配の男性が店に来られて、「こういうものは、今どうなんでしょう?」と、紙包みを開いて2冊の本を取り出されました。

どちらも同じ作家の推理小説です。単行本が1冊、新書版が1冊。昭和40年頃の出版でしょうか、紙がかなりヤケています。

それだけを見て、キッパリ「駄目でしょうね」とお答えいたしました。戦後早くにデビューし、多数の著作を残されたポピュラーな作家ですが、今では文庫でもあまり読まれているとは思われません。

すると「実は、この作家の本が他にもたくさんあるです。父が親しくしていたので、初期のものからずっと贈ってもらっていて、ほとんど揃っていると思います。どこか興味を持ってくれる本屋さんはありませんでしょうか」

そう聞いて、試しにこの作家名で「日本の古本屋」を検索してみました。千点を超えるヒットがあり、価格順にソートして高い方から見ていくと、数万円の値がつけられている本もあります。

これならば、喜んでもらえるかも知れないと考えて、思い当たる一軒の店をご紹介いたしました。その同業とは、会えば挨拶を交わす程度の仲に過ぎませんが、推理小説などに造詣が深いことを存じております。

およそ「どこか紹介を」とお客様から頼まれて、すんなりご紹介できるケースは稀です。自分で引き受けられないようなものを、他に押し付けるわけに参りません。

ただ今回の場合は、それが最良の方法に思えました。同業に喜ばれるか迷惑がられるか。お客様にはどうか。結果は何とも予測がつきませんが。

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2018年10月30日

仕分けはつらいよ

洋書会は久々の大量仕分け。そこで当番班以外の役員に、緊急召集がかかりました。

RIMG3274当番は午前10時集合なのですが、助っ人ということで30分の猶予をもらい、9時半過ぎまで店にいて、毎朝のルーティン作業である、ネット注文の処理を済ませました。

会館に着くと、4階会場の6割ほどを、地方からの出品が埋めています。一口物と言っても、一口ではない口。関西で宅買いを中心にされている業者さんが、何件かの買取りをまとめて、東京に送ってこられるのです。

その中に洋書がある場合には、洋書会にご出品いただいているのですが、大部分を占める日本書は、そのほとんどが水曜日の資料会に出品されることになっています。今回はJRコンテナ2台だとか。

日本書に比べて分量が少ないとはいえ、仕分けの大変さでは、あまり差がないかもしれません。

この業者さん、長年の経験から最近では、買取りの口ごとに見分けがつきやすいよう、色違いの紐で縛ってこられます。それで確かに、ずいぶん手間が減りました。

まず紐の色別に集めて並べ、それぞれの口の特徴をつかみます。抜き出すにも、まとめるにも、そこから始めるのが一番効率的だからです。

今日の出品では、経済書の口と、ドイツ文学関係の口の2件が、分量も多く、質的にも優れていました。

店主はもっぱら、ドイツ文学書の仕分けを担当し、何点かは自分でも入札したのですが、落札できたのは2点だけ。

欲しい本があるとき、自分で仕分けることは、決して自分の有利に働かない――という鉄則を、今日も思い知らされるはめになったのでした。

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2018年10月29日

来年のカレンダー

昨日、今年はインドからのお客様がお出でにならない、と書きながら、もうひとつ今年はまだ――と気に掛かっていることがありました。

「みすずのカレンダー」が一向に届かないのです。家人が電話で発注しただけで、注文書も送っていませんので、日増しに不安が募っておりました。

RIMG3269例年ならもう、疾うに送られてきている時期であるような気がします。家人も同様に感じていたようで、今朝、さっそく電話で確認したそうです。その返事は「今日から順に発送している」とのこと。

もしや手違いで、注文が受け付けられていなかったら、代わりのものを手配するのが大変です。それにもまして創業以来続けてきた伝統が絶たれるのは、とても残念。そんな事態にならずに済んで、なにはともあれ一安心いたしました。

しかし、例年より遅いと感じたのは、年を取ってせっかちになったからでしょうか。「もう届いた!」と驚くことが多かったのに、「まだか」と感じるようになったのは。

気になって、過去ブログを検索してみました。すると昨年は11月に入ってからカレンダーに言及しています。ただし入荷して何日も経ってから、お知らせした模様。

その前年は、カレンダーを入荷した日に、お知らせを書いておりました。日付は10月7日。しかし、さらに遡って調べたところ、むしろこの年は例外的に早かったようです。つまるところ、今年は平年並み。

早く届いた年の印象が強く残っていたため、遅れているように感じたのかもしれません。いずれにせよ、間もなく入荷できそうです。ご期待ください。

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2018年10月28日

読んでから買う

「この椅子をちょっとお借りできますか」そう聞かれて、高いところの本でも取りたいのかと思いました。それなら、もっとちゃんとした踏み台があります。

そこで「何にお使いですか」と聞き返しますと「座って読みたいと思いまして」――手には、棚から抜いた1冊の本を持っておられます。

呆気にとられたため、つい「すみません。この椅子は、お荷物を置いていただくためのものです」とお答えしてしまいました。まんざら嘘ではないのですが。

すると棚の前に戻って、立ったまま読み始められたご様子です。30歳前後でしょうか、若い男性。

RIMG3258ふと、毎年今頃、店にやって来られていた、インド人のお客様を思い出しました。ご老人だったこともあり、本を選ばれる間、いつも椅子をお出ししたものです。

それを思えば若い方とはいえ、お断りすることもなかったかと、少しばかり気が咎めました。

しかし、それから長い時間、棚の前で本を広げ、動く様子がありません。ご老人の場合は、選ぶために何冊も、ざっと目を通しておられたのに対し、この若者はひたすらに読んでいるようです。

確かにこれなら、座りたかったことでしょう。何度か注意に行きたくなるのを抑え、気にかけないようにと自分に言い聞かせながら、帳場で仕事を続けました。

やがて忘れたころに「この本を買おうと思います」と、お買い上げ。慎重な方も、おられたものです。

インドのご老人、今年は来られないのでしょうか。

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2018年10月27日

普通の古本屋

natsume1軒の古書店が主催するオークションが、「神田古本まつり」の会期末となる11月3日・4日の両日、神保町東京堂書店6Fの東京堂ホールで開かれます。

送られてきたカタログを開き、千点を超える出品物を眺めながら、まず何より、そのエネルギーに感心してしまいました。

主催者である夏目書房さんは、店主とは明治古典会の同僚で、ほとんど毎週のように顔を合わせ言葉を交わす、気のおけない間柄です。

先方でも店主の商売を良く知っていますから、カタログを送ってくれたのも、決して競りに参加することを期待してではないでしょう。

実際、カタログに並ぶ商品は、小店のような普通の古本屋が扱うようなものとは、種類も金額も大きく異なります。各方面に声をかけ、これだけのものを集めたというだけでも、大いなる驚き。

それ以前に、オークションを主催するという発想自体、店主などには思いも及ばないことで、さらにそれを実現に漕ぎつけた行動力には、驚嘆するばかり。

店主のような怠け者とは対極の、いま最も元気で、意欲のある古本屋の一人であることは、間違いありません。

ただその夏目さんも、先々代から続いた池袋のお店を、間もなく閉じられます。こちらは小店と似たところもある、学生街の古本屋さんでした。

普通の古本屋は、夏目さんの元気をもってしても、維持が難しいということでしょうか。

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2018年10月26日

背のない本

「神田古本まつり」が、今日から始まりました。11月4日までの長丁場です。

明治古典会の会員、経営員にも、参加者が少なくありません。昨日、即売展会場の設営陳列を済ませ、今日また朝早くから会の準備という若手にとっては、少しタフな市会になりました。

カーゴ2〜4台という仕分けが4件重なったとかで、ゆっくり出勤させてもらっている店主が市場に着いた時も、まだ仕分けの真っ最中。

しかも見たところ、かなり手間のかかりそうな口もありました。黒っぽくて背のない本や、古い雑誌が多く含まれた口です。しかしそれが一番、値になりそうでもあり、事実、結果的にもそうなりました。

RIMG3255ここで「背のない本」というのは文字通りの意味ではなく、和装本や薄い冊子といった、背を見ただけでは何の本か分からないような本のことです。

この口はベテラン会員が受け持って、珍しい本が大山に埋もれてしまわないよう、念入りに仕分けしておりました。店主も覗いて、気になる本を何冊か抜き出し、注意喚起のお手伝い。もっとも先刻ご承知のようでしたが。

そんなわけで何とか準備が整ったのは、正午の開場時間ぎりぎり。背のない本は、入札者にとっても目を通すのに時間がかかります。自然会場も混みあってきて、それが熱気にもつながったような気がします。

店主はと言えば、目星をつけておいた1冊が、他の本と合わせて5冊にまとめられているのを見つけ、気張って札を入れたのですが、惨敗。

後で分かったのは、他の数冊のほうが、ずっと値のつく本だったこと。勝負にならなかったワケです。

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2018年10月25日

会社の図書室

thurber引っ越しされるという、店主と同年輩のご婦人がお持ちくださった60冊ほどの単行本の中に、1冊だけ目立って古い本がありました。

古いと言っても昭和25年の刊行ですから、古本屋にしてみれば驚くほど古いわけではありません。ただその他が、概ね1970〜80年代の小説・読み物類でしたので、これがすぐ目についたのです。

初めて見ましたが面白そうな本。ジェイムズ・サーバーはアメリカでは人気の漫画家で、原著の初版本など結構な値がついているはずです。

そして訳者が福田恒存。そこそこ売れるのではないかと、「日本の古本屋」で検索してみました。すると7件ほど出品されていて、最安値は2千円から。店主が知らなかっただけで、さほど珍しいものではなかったようです。

しかも手元の本には、見返しと標題紙に蔵書印が押されています。学校ではありません、良く名の知られた現存する大企業の印。今さら入手の経緯を、お尋ねするのも気が引けますし、会社に問い合わせても、対処に困るばかりだと思います。

そもそも、この会社に図書室のようなものが、今も残っているかどうか。というより、およそ図書室などを持っている会社が、現在どれほどあるのでしょう。

後見返しに、貸出票のポケットが貼り付けられていて、そこには古本屋が貼り出しておきたいような文句が印刷されておりました。

thurber2皆さん 〇読書の前後によく手を洗い 
〇ゆびをなめずにページを開き 
〇表紙を巻きかえさず 
〇書き込みや折り目もつけず 
〇いつも気持がよいように 
読みましょう


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2018年10月24日

とんぼ返り

神戸に行ってきました。昨日出て一泊。全古書連の秋季理事会という集まりです。

全国古書籍商組合連合会という長ったらしい名前の親睦団体は、年に2回、春と秋に会議を持ちます。春が総会、そして秋が理事会というわけ。

兵庫組合が幹事となって開かれる理事会は8年ぶりということですが、今回はその時と同じ会場、おなじホテルが用意されていました。

その8年前、店主と現理事長はともに出席しております。実はわれわれ2人、その8年前の神戸にも参加しており、これが3度目の神戸会議。

ちなみに、迎えてくださった兵庫組合の理事長さんも、同一人です。古顔はほかの組合にもおられ、自然、和やかに会議は進みました。

親睦団体ですから会議といっても、さしたる議題はありません。とくに昨今は、組織的な対応が必要とされるような喫緊の課題もないので、むしろ中心となるのは懇親会。

その懇親会では食事の席で、サスケさんというマジシャンによるマジックショーが、存分に会場を盛り上げてくれました。部屋を移して2次会でさらに歓談。そして午後8時半にはお開き。

さらに3次会に繰り出した組合もあったようですが、東京組合のメンバーはおとなしくホテルに直行。店主は翌朝7時過ぎに朝食をとり、8時半頃の新幹線で帰京。

KIMG0701最大の痛恨事は、ホテルからも近い「フロインドリーブ」でパンを買って帰るのを楽しみにしていたのに、定休日だったことです。結局、どこにも寄らず、とんぼ返りの旅となりました。

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2018年10月23日

させていただく

当ブログのお目付け役である家人から、一昨日の文章におかしいところがあるという指摘を受けました。

「五十嵐書店さんで修業させていただいていた」というくだりの、「させていただく」は、「まるで芸人さんみたい」だと言うのです。

しかし店主にすれば、ごく自然な気持ちの表現なのです。これが「まるで政治家みたい」と言うなら、言葉遣いのおかしさへの指摘でしょうが、「芸人さんみたい」と言うのですから、ある意味その通りだというしかありません。

RIMG325740年ほど前、半ば思い付きのように古本屋を開こうと考え、それにはまず店員になって勉強するのが第一歩だろうと、その伝手を探りました。

どこでどう見つけたか、古書組合というものがあることを知り、そこを訪ねて事務局長なる人に勤め口のあっせんを依頼し、履歴書を預けました。

それから約1年。なしのつぶてに改めて会館を訪れ、再び当時の事務局長(今の2代前です)にお目にかかると、腕を組んで考えた末、思い出したように神田の一店舗の名をあげられました。

そこからまだ紆余曲折があるのですが、ともあれその店を訪ねたことで、五十嵐さんへの道がつながったのです。

当時の五十嵐さんは40代半ば。1人いた店員が辞め、これからは奥様と二人でやっていこうと思っていたところだったそうです。海のものとも山のものともつかぬ若者を、よく雇っていただいたものだと、今にして思います。

いわば押しかけ弟子。修業させていただいた、としか言いようがありません。

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2018年10月22日

いそがしい朝

RIMG3254いそがしい朝になることは、想定済みでした。

まず古書会館に行ってこなければなりません。ネットで注文をいただいた本が、会館5階のロッカーに入ったままになっているのです。

加えて月曜日というのは、決済が集中しがちで、荷造り作業が多めになることが予想されます。気合を込めて、車をガレージから出しにかかりました。

すると同乗予定の娘が、外から妙な表情をして、車の下に向けて指さします。確かに妙な音がしました。車を止めて何ごとかと聞くと、「パンクしてるんじゃない?」。

降りて前に回ってみると、左の前輪がぺしゃんこになっていて、疑問の余地はありません。ともかく一旦、車をガレージに戻しました。

娘と家人には先に出かけてもらい、さてどうしたものかと思案。スペアタイヤは装備していません。完全に空気が抜けているので、近くのガソリンスタンドにさえ運転していくのがためらわれます。

朝の8時を回ったところですが、ディーラーの担当者にショートメールを入れました。すぐ折り返し電話が入り、JAFを呼ぶようすすめられました。

1時間ほどでJAFが到着。ひとまず空気を充填してもらい、ガソリンスタンドへ。着いて調べると、ネジ釘の頭が見つかりました。昨日の夜、帰り着く直前に拾ったようです。引き抜いて、修理は数分、費用は2500円。

店に着いたのは午前10時。1時間半のロスで済みました。想定以上にいそがしい朝に、なってしまったのですが。

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