2018年12月

2018年12月31日

All's Well

忙しい方々というのはおられるものです。

さすがに今朝は午前11時ころまで、文字通り人っ子一人通らないような状態。開店休業、大晦日お片付けモードに入りかけたころ、店の電話が鳴りました。

メールでいただいた注文に関する確認のお電話だったのですが、宛先が会社名になっています。そこで「発送は年明けでよろしいでしょうか」とお尋ねしたところ、「正月も関係なくやってますので、すぐにも送っていただければ助かります」というお返事。

RIMG3364郵便局の集荷に間に合うように荷造りをして、午後早く、前日までの注文品と一緒に発送いたしました。

するとそのあとから、ポツリポツリと人出が見られるようになり、文庫本1冊、2冊というお買い上げながら、何度かレジを打つにいたりました。いかにも、お休みを読書で過ごすためという感じです。

小店あたりでこうですから、繁華な場所にあるお店は結構混雑しているかもしれません。

とこうするうちにまたお電話。今度はネットでご覧になったという本のお尋ね。在庫を確認してお返事をすると「今日は何時までですか」「5時頃までは開けているつもりですが」「ではギリギリになるかもしれませんが」。結局4時半より前においで下さいました。

実は今日、もうお一方、嬉しい想定外のご来客がありました。7年ぶりのご来店で、少しばかりまとまったお買い上げ。一足早くお年玉をいただいた気分。

All's Well that Ends Well
どうぞ皆さま、よいお年をお迎えください。

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2018年12月30日

今年もあと2日

RIMG3356今朝、まだ店を開けている最中、一人の男性が店の中に入ってきて、机の上の彫像に興味を示しました。「売り物じゃありません」と声をかけると、日本語が通じないご様子。中国の方ということだけは分かりましたが、英語も解されないようです。

あとはお互い身振り手振り。しきりに「ホー」と言って親指を立てられ、首から提げたカメラで像をカシャリ、店内をカシャリと撮ってお帰りになりました。「好」とおっしゃったのだろうと、勝手に解釈しております。

さて今日は一日、年賀状書き。いや「書き」までまだ辿りついておりません。年賀状作りがようやく昨日終わったところで、正確には宛先の整理。

今年もまた宛て名の手書きは、二つの理由から断念することにしました。時間がないことと、字が下手なこと。下手な字を急いで書けば、ただ見苦しくなるばかりです。

そこで宛名ラベルを刷出しました。刷出してから、漏れがないか、逆に削るべきものがないかをチェックしているだけで、一日が過ぎてしまいました。

店はもちろん、ご来客もまばらです。それでも午前中には、ご常連が「買い納め」にお越しくださって、今日もどうにか売り上げが立ちました。

そういえば、この一週間、日替わりのようにご常連の方々がお顔を出してくださり、とくに一年一度というご常連(というのも不思議ですが)がお二方、それぞれにまとめ買いをしてくださいました。

そんなわけで、ご来客の少ない日が続いたにもかかわらず、売り上げの方はそれほど落ち込まずに済みました。お心当たりの皆さまに、厚くお礼申し上げる次第です。

明日もまだ、午後5時頃までは営業するつもりです。

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2018年12月29日

少人数でも盛会

昨夜は恒例の旧理事忘年会でした。会場も恒例、神保町の「くろぶたきよし」。古書会館から、歩いて5分とかからない場所です。

これで何回目の同一会場開催になるのか、すぐには思い出せませんが、今回は日時の決定が遅れたこともあり、かつてなく参加人数が減ってしまいました。

全員が参加すれば15名。それが8名の出席にとどまったのですから、会議なら、あわや流会というところ。元理事長は少しすね加減で「もう今年でおしまいにしよう」などとおっしゃいます。

皆で「まあまあ」となだめつつ宴を始めれば、8名のうち4名は下戸という飲酒率の低さにも関わらず、お隣の部屋の宴会にも負けない盛り上がりようでした。

RIMG3373古本屋が、いかに話し好きであるかは、この人数でさえ、2つ以上の話題がしばしば同時進行することでも分かります。人の話を黙って聞いていられない。まるで言葉があふれだしてくるような。

しかもこの日の話題は、お寺、戒名、お墓、葬儀などといった、縁起が良いとは言えないテーマが中心。もちろん深刻な話としてでなく、ほとんど笑い話なのですが。

誰かが「ついこの前まで、体調や病気の話題が多かったのに、一段進化したようだ」と茶化しますと、さらに笑いに包まれました。

帰り際、幹事役が半ば冗談に来年の予約を申し入れたところ「来年までこの店が持つかどうか」と、軽くいなされました。開店から13年経ったそうです。移り変わりの激しい飲食の世界で、その年月がどの程度の重みをもつのか、店主には分かりかねます。

開業35年にして、依然安泰からは縁遠い小店ですから。

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2018年12月28日

一年納めの市

KIMG0751今日の明治古典会が本年最後の市。組合の業務としては昨日が年度末で、今日は中間決算日。例年は交換会をお休みにしていました。

今年も当初はそのように、交換会は木曜日までで終了という予定が組まれたのですが、そうすると、12月21日のクリスマス特選市のあと、新年は1月11日まで、明古の開催がないことになります。

それはいかにも寂しいということで、28日の開催を願い出て、組合から承認をもらい、今日の最終市が開かれることになったのでした。

しかし押し詰まって、今朝など交通量もぐっと少なく、せっかく市会を開いても人や品物が集まるだろうかという危惧はありました。

そんなわけで、少しでも開催してよかったと思える市になることを願って会館に来てみると、さすがに量こそ少ないものの、すでに最終台に商品が何点か乗っています。訊けばその筋では知られた、近代文学書や自筆本コレクターの一口が出品されているのでした。

結局、8点ほど並べられた最終台の商品は、すべてその一口もの。三島由紀夫『金閣寺』特製版とか、西脇順三郎の見たこともない限定10部の詩集など、充分話題を呼ぶものが並びました。

それだけに、この口がなかったら今日の市会はどうなっていただろうと思うと、事業部としては背筋に寒いものを感じたはずです。

同時に、こうしたコレクターがそのコレクションを整理したあと、次にそれを求める新たなコレクターが育っているのかと、そちらの方も心配なところ。

会にとったは、まずまずの最終市となりましたが、先行きにさまざまな不安を感じさせる一年の締めでした。


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2018年12月27日

スピード決済

ネット注文の際に手間がかかる――というのが、「日本の古本屋」にしばしば寄せられる苦情の一つです。

おもにクレジット決済に関してですが、私たちのサイトでは注文を受けたあと、在庫の確認をし、送料を計算して、合計決済額を連絡するという方法を取ってきました。

昨今のネット販売では、注文時にクレジットカード情報を入力(あるいは確認)すれば、それで決済が完了するのが一般的なので、時おりお客様から「注文したいのに画面がない」などと、お問い合わせを受けることもあります。

またこちらから確認メールを送信しても一向にご対応がないのでお尋ねすると、「もう決済が済んだものと思っていた」というお返事も。

古本屋の側でも、ネット販売に慣れた業者を中心に、受注→確認メール→決済→発送というやりとりが、まだるっこしいと考える向きが増えてきたようです。それこそAm*z*nなどのように、受注→発送で済ませたいというわけです。

実はもう1年以上前から、「日本の古本屋」にもそうした仕組みが導入されています。当初は「即決注文」という名称で、いまは「単品スピード注文」と名を変えて。

RIMG3363ただしそれに一本化するのは事情が許しません。お客様が注文される際に、支払方法を選択できるようにしておくことが必須条件です。そのためどうしても分かりにくい点が残ることは避けられませんが、少しずつスマートな方法を練り上げているというのが現状です。

お客様にも、業者にも、反スピード主義ともいうべき方々がおられます。そちらも大事にしていきたいというのが、「日本の古本屋」の考えです。

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2018年12月26日

新規加入者面接

今日は水曜日。本来なら一日店にいて、溜まった片付けものを整理する日なのですが、お昼前、古書会館に出かけました。組合への新規加入希望者を面接するためです。

RIMG3372通常は火曜日とか金曜日とか、店主が市場に行く日に合わせて予定を組むところが、今週はそのどちらも、一緒に面接を行う同僚の都合がつかず、やむなく今日にしたのでした。

組合に加入するためには、まず古書会館を訪れて所定の手続きについて聞き、ついで必要な書類を整え、営業所となる場所が属する支部の支部長(組合で教えてくれます)に会って、承認印をもらわなければなりません。そのあと古書会館で、担当理事の面接を受けることになります。

担当理事は面接で得た情報を定例理事会に報告し、理事会ではまず当人の事業継続性、組合員として相応しくない点がないかなどを検討し、承認、非承認(めったにありません)を決めます。承認を得られれば、晴れて東京組合の一員となるわけです。

組合加入の動機で昔から一番多いのは、仕入れに市場を利用したいというもの。最近増えてきたのは「日本の古本屋」に参加したいという理由。なかには買い入れが多く、市場への出品を目的とする業者もいます。

今日の加入希望者は、一年ほど前から早稲田で店を開いているという、36歳の若者。さらに続けていくには、仕入れの充実が重要と考え、加入申請したとのこと。

書類を見て「若いですね」と感想を漏らした同僚は、店主より2回り近く年下。つまり当人とはせいぜい10歳くらいの違い。それよりなにより、店主が開業したのは33歳の時。いかに若かったのか、今さらのように思い起こさせられました。

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2018年12月25日

更なる入荷

今日の洋書会も、大変出品量の多い市会となりました。前回申しあげたとおり、すべてを出品しきれなかった大口の残りがあり、それに加えて数口の出品もあったからです。

先週の残りだけでもカーゴに6台ありました。しかもこの口は、どうやらその歳末市に出品したのが最良の部分で、今回はそれに比べると、やや見劣りがするものでした。

なによりハードカバーが少なく、7割方がソフトカバー。とりわけ店主の守備範囲である文学、思想関係は、ほぼすべてがそれ。

細かく仕分けられるようなものは見あたりませんが、かと言って大きな山にしてしまっても、かえって入札する人がいないと思われます。

やむなく仕分けした当人が「責任を取れる」程度の量にまとめて何点か作り、残りは目をつぶって数点の大山にして、入札を待ちました。

ふだんなら、細かく切った口には何枚かの札が入り、油揚げをさらわれるようなことになる場合が多いのですが、今日は各自が自分で仕分けた口に札を入れるので手一杯。他人が作った口にまで手が回らなかった様子。

そんなわけで、店主も自ら選び出して作った3点を、無競争で落札する結果となりました。
RIMG3348
カーゴ半台ほど。店主が「責任を取れる」量は、ここまででした。この本が、明日になるとまた、置き場所に困り果てている小店に運ばれてくるのです。

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2018年12月24日

ご常連の目

先週は火曜日に洋書会の歳末特選市があり、金曜日には明治古典会のクリスマス特選市があって、それぞれ終了後に忘年会(打ち上げ)という、ハードな一週間でした。

月曜日も、木曜日も会館へ出かけたため、余計に慌ただしかったわけです。

そのため水曜日に届いた洋書会の買い上げ品を、この三連休で片付けようと思っていたのですが、日々新たに生じる雑用をこなすだけで手いっぱい。今日にいたるも、ほとんど整理できておりません。

いよいよ今年も、実質的には最終週。果たして年内に片付けることができるか、心もとない限りです。

それでも大判のヴィジュアル本ばかり20冊ほどの値付けは済ませたのですが、それを並べる場所が見つからず、まだ店内に積んだまま。

するとそれを目ざとく見つけられたご常連が、積まれた中から4冊を抜き出してお買い上げくださいました。

ありがたい限りなのですが、実のところ選ばれた4冊は、まず売れるだろうと踏んだ本ばかり。この口、少しばかり高く買いすぎたこともあり、原価を取るにも一苦労しそうな気がします。

RIMG3361というのは洋書の世界でも大型本は値崩れが大きく、以前の相場観で入札して、あとから調べてみると、思ったより安く出回っていることが分かったからです。

泣く泣く当初考えたより安めの値をつけ、いざ店に出そうと準備していたところ、さっそくお目に留まったという次第でした。

お得意様に買っていただいたのですから、何よりであったと思ってはおりますが。

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2018年12月23日

『昏睡季節』

明古クリスマス特選市の話題をもう少し。

最終台に陳列された商品のなかでは、あの太宰治『晩年』(砂子屋書房、昭16)の帯付き初版本も目を惹きました。ヤケてはいましたが、保存状態としては並み以上。ある書店が廃業のため、倉庫整理をしていて出てきた一冊とのことです。

戦後すぐ、あるいはそれ以前から営業してきた古本屋なら、こうしたお宝が倉庫の奥から見つかることは、時おりあります。しかし店主が開業した時代以降では、そうしたことはまず望み薄。たとえこの先30年経っても、小店の塩漬け在庫が、お宝へと変化を遂げている可能性は、ほとんどないでしょう。

それはさておき、文学書ということでいえばさらに興味深い本がありました。吉岡實の詩集『昏睡季節』(昭15)。

この方面に疎い店主は、もちろん初めて目にする本でしたが、イタミこそ少ないものの、かなりの部分に水シミ、ムレが見られるような状態にもかかわらず最終台に置かれている――というその事実だけで、よほど珍しいものだと想像がつきました。

こわごわ手にして、ざっと目を通させてもらいましたが、あまりじっくり見るのがためらわれるようで、早々に本を閉じて傍らに置かれた1枚の紙片に目を移しました。

B5判程度のわら半紙のような茶色い紙に「手紙にかへて」と題して、詩集の成り立ちについて簡単な説明が加えられています。突然の召集を受けたのがきっかけで、書き溜めたものをまとめたとありました。

RIMG3359文中に「年老いた父母」というような表現があったので、この当時の詩人の年齢を考え、その父母は今の店主くらいかなどと、つまらないことが気になりました。

そのためか、結びに添えられた「疲れてよく眠ります父母の枕ちかくに」という一行が、妙に心に残ったのです。

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2018年12月22日

『学問のすゝめ』

明治古典会「クリスマス特選市」が昨日開催され、約1600点の出品を得て盛会裡に終了いたしました。

RIMG3343ビックリするほど高額の落札品はありませんでしたが、驚くべき出品物は数多く見られました。そのひとつが緋毛氈の敷かれた最終開札台に、ひっそりと置かれた小さな薄い冊子。

その表紙には、本屋なら、いや本屋でなくとも知らぬものはないと思われるタイトルが印刷されています。しかしこれまでに、その実物を見たことのある本屋は、その日会場に居合わせた中にも、何名もいなかったでしょう。

それがこの著名な本の、真の初版本といわれる中津版『学問のすゝめ』でした。

この本がどれくらい珍しいかは、国会図書館サーチで「學問のすゝめ. 初編」と検索して現れる「詳細情報」に記載された、長大な注記からも明らかになります。お読みいただけば早いのですが、一部を抜き出せば――

近年諸家の間で初版本と推定して誤りなかろうとほぼ意見の一致した一種の版本がある。それは大体四六版ぐらいの大きさ(18×11.5)の茶色表紙、本文西洋紙両面刷二十四頁、清朝体の活字二十三字詰八行に組んだもので、表紙の左肩に「学問のすゝめ 全」という文字をオーナメントで囲んだ題箋が貼ってある。

しかし昨日出品されていたものは、ここで説明されている本とも、若干異なる部分がありました。それは巻末に明治四年という出版年が明記されていたことです。

あらためてCiNiiで検索してみると、京都大学と大英図書館の2館が所蔵する本に、同様の年記があることが分かりました。さらに調べていくと「学問のすゝめ」初版発見というニュースも見つかりましたが、ここでまた新たな疑問。2者はページ数が異なっています。

さて昨日の本は何ページだったか。そこまで調べなかったのが残念です。

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