2019年03月

2019年03月21日

力になれない

RIMG3496一昨日、近くにある某附属中学校の、卒業を前にした生徒さんからメールをいただきました。鉄道研究部に属しておられたそうですが、内容は大略は次のようなことです。

OBの保護者から寄贈された鉄道関係の雑誌がたくさんあるのだが、「今後も維持・管理していくには限界もあり」顧問教諭とも協議して売却処分することにした。

しかし鉄道関係の取り扱いショップや古書店など数軒に売却交渉したところ、どこからも芳しい回答が得られず、卒業式を前に途方に暮れている。

そこで通学帰りに訪れたことがある貴店で、鉄道模型などを扱っていことを思い出し、是非ともお力添えいただけないかと思いメールをした。


もちろん実際のメールの文面は、ずっと丁寧。「急で厚かましい話ではございますが、明日昼過ぎに貴店にお邪魔して、ご相談させていただきたいと思っておりますが、如何でしょうか」と結ばれています。

中学生とは思えないしっかりした文章に、家人ともども感心してしまいました。とはいえ、「ご相談」には乗れそうにもありません。家人がその旨、返信したはずですが、昨日のお昼、その生徒さんがお見えになりました。

数百冊の鉄道雑誌を、小店が引き受けたとしても、店に置いて売る手間も、場所もありません。市場に出しても値にならないのは「芳しい回答」がなかったことでも明らか。

応対した家人によれば「売却」にこだわるには、理由もあるらしいのですが、「途方に暮れて」いる生徒さんに対して、「引き取り手を探してみましょう」とお返事するくらいしかできなかったそうです。

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2019年03月20日

線引き書入れ

組合ルート便「コショタン」が、明治古典会と洋書会で落札した本を届けてくれました。

どちらも厳選入札で、それぞれ1点のみ。ただし明古は音楽史関係3本口で約50冊。洋書会はアルバムプレイヤードの2本口で、こちらは約40冊。

2点と言ってもそれだけの冊数なので、値付けするだけでも一仕事です。さっそく音楽書から取りかかりました。

きれいな本ばかりでしたから、油断があったことも確かです。ある本の後見返しに鉛筆で年月日と「読了」の文字があるのに気がつき、本文ページを繰ってみると、ところどころに線引きと書入れがありました。

それからは1冊1冊注意して見ていって、そのあとも何冊かに線引き、書入れを見つけました。

RIMG3498とりわけ落胆したのは、12冊セットの『西洋の音楽と社会』(音楽之友社)、上中下3冊の『新西洋音楽史』(同)それぞれに、1冊ずつ書入れ本が見つかったことです。

全体で6〜7冊にしか線引きはなかったのですが、揃い物の場合は1冊でも全体の付け値に関わりますから、影響は小さくありません。

1週間以内なら値引き要請(受け入れてもらえるかどうかは別として)ができるのですが、しばし考えた後、申告しないことに決めました。

値引きを要請する場合、原則として商品を一旦、市場に戻さなければなりません。なぜなら、出品者は値引きを拒否して、返品を要求することもできるからです。

本来は、入札前に良く調べるのが大前提、本屋のモラルです。昔は落丁など、一見しただけでは分からない欠陥だけが、返品、値引きの対象でした。

取引の量が増大し、本口などいちいち調べきれない場合も増えたため、今では線引きも値引き対象とされるようになったのですが、それにもルールがあります。

落札したあと、運んでもらう前に調べることもできたのです。今回は、自己責任と諦めました。

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2019年03月19日

ツブシ収入

RIMG349240年ほども前の頃、古紙はなかなか良い値段で引き取られていました。チリ紙交換が盛んに街を回っていた時代です。

ゴタと呼ばれる書籍類でも、小型トラック1台に満載してタテ場に持ち込めばン万円になるとかで、古本屋さんの中にも、古紙回収で副収入を得ようとする人さえ現れました。

あわよくば、回収した中に値打ちのある本が見つかるかもしれないと、期待してのことでもあります。ですからその逆に、チリ交さんが古本屋になろうとするケースも、一時期多く見られました。

先年亡くなられた「古書いとう」さんは、ご自身のそんな経験を、本にまでされています。

その後、古紙の価格は暴落し、事業者の場合、処分するのに費用がかかるようになりました。その頃です、処分に困った本を市場に出して、売れなくともそのまま廃棄してもらおうと考える同業まで現れたのは。

大量の廃棄本が市場で目に余るようになり、ついに古書組合でも、廃棄する際には有料チケットを購入する、という仕組みができました。20年以上前のことです。

以来、古紙の相場は上がったり下がったり。その都度、有料チケット制の見直しが話題になりましたが、処理業者確保の原資という考えから、今日まで存続してきました。

それがこの度、廃止されることになりそうです。まずは交換会が処分する場合についてだけ、無料化されます。

背景には、古紙価格が最近安定していて、大量にツブシ(廃棄本)を出すB**kOffや、大手ネット古書店などは、それが相当の収入になっているらしいとの情報があります。

古書組合でもツブシをたくさん集めて、新たな事業収入を得ようという考えです。うまく行きますかどうか。

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2019年03月18日

当たり年

駒場の研究室へ、本を引き取りに伺いました。昔、大変お世話になったY先生の、お弟子さんに当たるK先生です。

お世話になった、などと書いているのをY先生がご覧になれば、叱られるに決まっています。10歳も年下の店主を、まるで友人のように遇してくださったからです。

それはともかく、K先生とも、ですからもう長いお付き合いになります。こちらは店主より少し年下。それで今年が定年退職というわけでした。

研究室の本は、ご自身が持ち帰られる約20箱、W大学で引き取りたいという約40箱、その残りがまだ60箱以上あって、それが今日の、お引き取り分。

RIMG3485金曜日の明治古典会に出品するつもりですが、箱詰めされていて、中を見ておりません。洋書も多いと思いますが、主に建築関係の本のはずですから、仕分けの手間などを考えて、明古にさせてもらいました。

組合御用達の運送屋さんに来てもらい、研究室からトラックまで、二人してカーゴ台車で運びました。エレベータで1台ずつ降ろすこと8回、それでも30分と掛からずに作業は終わりました。

帰り支度の間に、運転手さんから「今年は研究室からの引き取りが多いですか?」と質問を受けました。それは彼の実感でもあるらしく、「去年はあまりなかった気がするのですが、今年はずいぶん呼ばれます」。

言われてみると、小店の場合でも昨年は、お声がかかった記憶がありません。重なる年は重なるようで、忙しかった年もありました。

3月中にもう一件、まだ日程も決まらないお引き取りが残っております。

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2019年03月17日

サンドウィッチの本

sandwiches日本に入ってきているのは珍しくとも、現地ではありふれた本だろうと考えて、ブログネタになればいい、くらいのつもりで、BookFinderを検索してビックリ。

George Routledge & Sons から1932年に出版された本書は、19cm、x,86 p. という小ぶりな本ですが、このサイトで見る限り、最安値でも約5千円という値段が付けられています。しかもジャケットなし、少書入れ、少ヨレという説明。それに比べれば手元の本は、遥かに良い状態です。

ちなみに全部で10件ほどヒットした中で、最高値は4万円を超えていました。もっとも、日本でもAm*z*nなどで良く見られる付け放題パターンですから、それが本書の値打ちだとは思えません。

ただ、Routledgeから2005年にハードカバーが、2017年にはソフトカバーが再刊されています。それなりに需要のある本なのでしょうか。

そのソフトカバーでさえ新刊が4千円以上。ハードカバーの新刊は1万円を超えていました。どちらも古本価格のほうが、それより高い。

この本の内容については、ある出品書店の説明をお借りすれば次のとおり。

Over 200 recipes for sandwiches are included in this invalu-
able book, as well as general instructions for making and
hints for picnics. How about "Atta-Boy" or "Arab Queen"?


レシピは長いものでも8行程度。2〜3行というものも多く、他にピクニック、旅行用のメニューとして、それらのレシピを4〜5種類組み合わせたものを24例紹介しています。

店主としては、見返しに書き込まれた昭和8年10月5日、九州小竹、古河西部鉱業所というペン文字から、その持ち主を想像して楽しむ程度のつもりでしたが、俄然、売り物になってしまいそうです。

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2019年03月16日

新品未開封

ある日、一人のご婦人が小店に来られ、本の処分について折り入って相談があるとおっしゃいます。

どんなご相談かとお尋ねすると「家に英語の百科事典がありまして…」、店主の表情をうかがうようにして言葉を継がれます。

「お金はいいんです。主人が亡くなり、色々整理しているのですが、これはまったく使っていないものですし、どうしても捨てられなくて、何とか生かせないかと」

そこで、現在ではそういう本はディスプレイとしての用途しかないと申し上げたところ、「すごくディスプレイには良いと思います」と、意に介されるどころか、まさに望むところといったごようす。

KIMG0905_02しかしご住所をうかがうと、車で20分は掛かる距離。他に処分する本があるわけではなく、それだけということですので、ディスプレイ専門の同業を紹介することもはばかられました。

それならばと、小店から佐川急便の送り状をお客様宛に郵送し、それを利用して古書会館に送っていただくことにしたのです。「それでは送料がかかりますでしょ?」と大変恐縮されたのですが。

先日の洋書会に出品し、どうにか売れたことは、すでに申し上げたとおり。

市場で目にした2箱の百科事典は、当時、送られてきた箱のまま、一度も開けられていない状態でした。さすがにそのままでは出品できませんから、ふたを開け、中から本を取り出しますと、一冊ずつ紙で包まれていて、まさに極美。

これが文学書の初版本なら、それだけで大変な値打ちでしょう。しかし入札した業者はいずれも冷静で、落札値もふだんとさほど違わない金額でした。

ブリタニカのWhite Edition。裏表紙にエクスポ70のマークが空押しされた本。つまり1970年頃に購入され、そのまましまい込まれていた本だったわけです。

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2019年03月15日

連夜の外食

昨晩は「ラー・エ・ミクニ」、今夜は「松翁」、二晩続けて〈名店〉での外食となりました。

昨晩のことはお伝えしたとおりで、総勢50余名が集まっての立食パーティー。数えきれないほどのオードブルと、三種類のパスタ、自家製フォカッチャ、それにメインが豚肉のハーブロースト。デザートも取りやすく小分けされたものが三種類。

参加者には十分満足してもらったはずですが、残念だったのは多くの食べ残しが出てしまったこと。お店の方針で持ち帰りは不許可。フードロスに心が痛みました。

過去に、この手の会で、用意した料理があっという間になくなってしまうということが一二度あり、それが強烈な印象となって、以降、主催者側としては、つい多めに頼んでしまうのでした。

RIMG3483今夜はいつもの5人組による、金曜夜の食事会。先週ほどではありませんが、早めに明治古典会が終了したため、久々「松翁」にでも行ってみようかと電話を入れてみたところ、うまく席が取れました。

予約した午後6時の少し前に入ったときは、先客は1組だけ。しかし、あっという間に席は埋まり、程なく満卓に。人気は相変わらずのようで、席が取れたのは幸運だったかもしれません。

こうなると、他の席ほど盛大に注文しない我々は、やや肩身の狭い思いもいたします。それでも手のかかったつまみ類をじっくり堪能しながら、左党の3人は何本も熱燗徳利を空けました。

最後のシメは、店主はいつもの「ざるけんちん」。ほかの4人も銘々にお好みのそばを頼み、それでお腹も充分。質素倹約を旨とする我が5人組としては、いつもより少しばかり高価な食事会となったのでした。

しかしちょっと気になったのは、そばのゆで加減。微妙に以前と違うような。言い切る自信はありませんが。

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2019年03月14日

役員合同会議

東京古書組合では、現在でこそ毎月、支部役員と本部交換会、地区事業部役員が、一堂に会して会議を開いておりますが、かつてはそれぞれ別個の会議でした。

毎月10日に支部長会、第3木曜日に事業部会(本部交換会と地区事業部が出席)というように。

それを一本化したのは、組合からの伝達事項を2度に分けて伝えることの無駄や、それぞれの会議での討議事項を他方に報告し、そこでまた討議してという、繰り返しの非効率を解消するためでした。

しかしより切実な理由は、理事の負担軽減にありました。なにしろ担当によっては、理事会、支部長会、事業部会と月に3度も定例会議に取られていましたから。

何事も一長一短で、一度で済む便利の一方、人数が多すぎるため、突っ込んだ討議には向きません。実際、この方法を取り入れたのは現会館が出来た当時ですが、新しくなった会館の運用方法を固めるため、毎回、侃々諤々の議論が続き、午後6時の開始が8時を回ることも当たり前でした。

RIMG3488それが最近では、30分余で終わってしまった回もあるような有り様。差し迫った問題がないのだろうと見られるかもしれませんが、難しい問題はまず専門部会で、という流れが定着しつつある気もします。

このように、今は毎月開かれている支部・事業部役員合同会議ですが、そうなる前にも年に一度だけは、組合役員が集まる会がありました。

それが中間決算報告のための役員合同会議です。昔は2月の下旬に開かれていました。現在は、3月の定例会議をこれに充てています。今日がその日でした。

会議の後は、組合役員慰労の食事会。これは今に至るまで続く伝統で、本日は竹橋の「ラー・エ・ミクニ」を会場に参加者50余名。品数も量も豊富な立食で、和やかに一夕を過ごしたのでした。

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2019年03月13日

記憶違い

RIMG3487人の記憶というのは実にいい加減なものです。などと、一般論にしてはいけません。店主の記憶力の不確かさが問題なのでした。

先日ご紹介したNHKスペシャル「映像の世紀プレミアム」での東条首相の演説。時期も、文言もまるで違っていたのです。

たまたまビデオに録れていました。それも店主の見始めたところから。その理由をご説明すると長くなりますので、それはまた別の機会に。

ともかく見直してみますと、この演説は昭和19年ではなく昭和16年、首相就任時のものらしい。NHKの戦時証言アーカイブスの中に「戦時録音資料」なるものが、文字起こしされて残っております。

そこであらためて調べると「帝国の隆替、東亜の興廃、まさにこの一戦にあり」という一文が〈大詔を拜し奉りて〉という昭和16年の演説中に見られました。

この演説なら、前にラジオアーカイブスで聴いたことがあります。その時にはトーアノコーハイはともかく、テイコクノリュータイは、店主の頭の中で文字変換された記憶がありません。

いずれにせよ、番組中では「興廃」が「向背」となっていた点だけは確認できました。しかしそんな些末なことにいつまでも拘っているより、もっと本質的な問題を考えるべきなのでしょう。

「…の興廃、この一戦に」というのは、おそらく戦時中には、イヤというほど繰り返されたキャッチフレーズです。短く分かりやすい言葉には、常に危うさが伴っている――それは、今に至っても変わりない事実だということを、この際、肝に銘じておきたいものです。

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2019年03月12日

洋書会に出品

洋書会にダンボール約20箱を出品。その仕分けのために、朝から古書会館に出かけました。

箱を開けて、中から本を取り出して平台の上に並べる。開梱作業と申しておりますが、初め1人、途中から2人となっても、これだけで小1時間かかった気がします。開けながら、大まかに分けていったせいもありますが。

全体を眺めると、約7割が日本書。それで少しはホッとしました。それなりに札が入りそうだったからです。

これが逆の割合なら、よほど目をつぶって売りっぱなしにしない限り、ほとんどを小店で引き受けることになってしまうことでしょう。

繰り返し申し上げている通り、現在小店内は、通路まで未整理在庫が積み上がった状態。だからと言って、自分が欲しいと思う値段は入札しておきたい。その結果、競争相手の少ない洋書は、落札する可能性が高いのです。

RIMG3482ともあれ今日は日本書が多かったおかげで、ほとんどが捌けました。自分で買えたのは僅かだけ。悔しい気もしますが、収容能力を考えれば良い結果だったと言えるでしょう。

これとは別のお客様から、ブリタニカ百科事典の未開封セットを市場に送っていただきました。何とかして生かしたいというご要望にお応えして、小店が送料負担。ディスプレイ屋さんが買ってくれましたが、辛うじて送料が出たというところ。

予期したとおりの結果でしたが、どこかで飾りとして生かされることになるでしょう。

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