2019年05月

2019年05月31日

月末・フリ市

夜、店に戻って、今日一日のレジを締め、続いて月末ですから5月の集計をいたしました。

予測はしておりましたが、先月に比べると6割ほどの売上でしかありません。確かに4月は、ここ数年では最も成績の良い月でした。それにしたって、この落ち込みは大きすぎます。前年同月比にしても2割ほどの減。

RIMG3723先月の集計は連休中のことでしたが、その好調は連休中もまだ続いていた気がします。しかし明けるとともに、バッタリ店売りのペースが落ちました。そしてそのままついに、5月が終わってしまったという次第です。

店売り好転の兆しが感じられたのは、ほんのわずかな間のことでした。さてこの先、果たしてどうなりますことやら。

さて今日は、明治古典会の特選市。来る七夕大入札会で復活させるフリ方式に慣れていただくため、3月から特選市では入札市終了後にフリ市が行われています。

再開3回目で、振り手は随分慣れてきました。しかしどれだけ盛り上がるかは、結局、商品次第。七夕で、会場を沸かせるような競りが見られるかどうか。期待と不安こもごもといったところです。

今日の出品の中で店主の注意を惹いたのは、戦前婦人雑誌の口でした。昭和初期のものはそれぞれ1冊から数冊程度しかありませんでしたが、種類も多く、内容もバラエティーに富んでいました。

ところがそれが戦時期となると、銃後の生活一色に。わずか10年ほどを隔てて、世の中がいかに不自由になったかということが、鮮やかに見てとれるのでした。

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2019年05月30日

個人作家の専門店

KIMG1022古い在庫を見直していて、懐かしい名前と対面しました。

本に挟まれていたメモ用紙ほどの大きさの紙には、レターヘッドのように店名や住所、電話番号、それに小さな版画も配されています。

店の名はClearwater Books、当時は英国のDorsetにあった古書店です。かつて送られてきた目録から、少しばかり注文した記憶があります。今から20年以上も前のこと。そのうちの一冊というわけです。

本については、またあらためてお話しするとして、気になったのはこの店が、今も続いているのかどうかということでした。

ネットで検索すると、ロンドンに同名の店が1件見つかりました。しかしその店の売りはSpecialising in Henry Williamson & Modern First Editionsとなっていて、なんだか違う店のようにも思えます。

それならばと、ご店主の名も入れて検索したところ、やはり同じ店がヒット。ホームページをよく見るとMeet The Clearwater Books Teamというリンクがあり、そこにその名があったのです。

一風変わったスタッフ紹介ですが、それによれば、どうやらお身内に店を任され、半ば引退されているような様子。ほぼ代替わりされたということでしょうか。いずれにせよ店は続いていたのでした。

かつては目録販売に力を入れ、日本の書店からも多くの注文を取っていたようで、市場に現れる本にその特色ある字体の値書きを目にすることもしばしばでした。さすがに今は、目録を送られている店はなさそうです。

それにしても作家個人を専門にするというのは、日本ではあまり考えられません。しかもこのHenry Williamsonさん、決して大作家ということでもなさそうなのです。Wikipediaによれば、ちょっと興味深い経歴の人ではありますが。

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2019年05月29日

まとめ買い

3日ほど前のこと「日本の古本屋」から、まとめ買いのご注文がありました。

数えてみると全部で17点。小店ホームページ(HP)からならともかく、いやHPからだって過去、一度にこれほどの点数をご注文いただいたことはありません。

RIMG3622特定の著者やテーマでお選びいただいた、というわけでもなさそうです。ちょうど店内を回って、あちらの棚から1冊、こちらからも1冊と、ご関心のままに抜き出されたような感じ。

店の棚は、ある程度分野別に並べております。HPの場合も、一応分野ごとの目録となっております。しかし「日本の古本屋」には今のところ、分野別という検索手段はありません。

それでも書誌データには、多少とも分類情報が含まれておりますので、「検索ワード」窓にキーワードを入れれば、ある程度は関連する書籍が拾われてきます。

その窓に思いつく言葉を入れて、検索をかけたりされたのでしょうか。小店の登録点数は現在8千点弱ですから、端から棚を眺めていくようなことでは、ずいぶんと時間も掛かるはずです。

有難いご注文なのですから、あれこれ詮索する必要もなさそうなものですが、どんな探し方をされたのかが分かれば、今後のサイト設計の上でも参考になりそうです。

「日本の古本屋」事業部では、個店ページ機能の拡大も重要な目標の一つに掲げています。小店としても将来的には現在の自店HPが一体化できることを望んでいます。

折を見て、お客様にお尋ねしてみましょうか。しかしどんな言い方で。現在思案中です。

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2019年05月28日

漱石のハガキ

先に、明治古典会の最終台に乗らなかった「自筆もの」についてお話いたしました。

たとえば漱石の絵入りハガキなどは、確かなものであれば間違いなく、最終台に陳列されるべき商品です。それが外されたのは、次のような理由によります。

まず最初に見た時から、専門書店なら首をかしげるような筆跡でした。つぎにその宛名。全集の書簡集を繰っていっても、その人物の名は出てきませんでした。

しかし決定的になったのは、ハガキに押されてあった消印の日付です。やはり書簡集を繰ってみて分かったことですが、その前後の日付で出された何通かの書簡は、病院からのものでした。つまり当時、入院中だったわけです。

問題のハガキの表面にあった差出人住所は、京都から始まっているように読めます。少なくとも病院の所在地でないことは明らかでした。

そこまではっきりして、なぜ出品が許されるのかと、不思議に思われるかもしれません。これが七夕大入札会のように、お客様に販売することを目的とした市場であれば、もちろん出品できないでしょう。

RIMG3619けれども業者同士であれば、たとえ贋物であっても、それに何がしかの価値を見出す人がいるかもしれません。古い切手やハガキ、あるいは消印などに意味があるかも知れません。まさか漱石のハガキですといって売りに出す業者はいない筈(だと思いたい)。

市場に持ち込まれた品物が出品を拒否されるのは、それが法や公序良俗に反するものである場合に限られます。真贋を理由に取りやめることは、少なくともこれまでの慣習ではありませんでした。

ただ昨今、ネットオークションなどに贋物の氾濫が問題になっていることから、今後は取り組み方を考える必要があるのかもしれません。

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2019年05月27日

「方丈記」の時代

RIMG3640以前に家人の言として、紙の本の方がスマホやPC画面を見ているより目が疲れない、という意見をご紹介いたしました。

それに異を唱えようというのではありませんが、紙の本を読んでいても目が疲れることには変わりないことを、夜ごと実感しております。

TVを観なくなり、本に親しむ時間が増えるかと思ったのですが、腰の疲れに加えて、目もじきに疲れてしまい、あまり長時間の読書ができません。老眼のせいもありますが。

そこで、疲れて横になったあと、ネットラジオを愛聴するようになりました。らじるらじるの「聞き逃し」メニューに「古典講読」という番組があります。現在は「『方丈記』と鴨長明の人生」が配信されていて、それを追いかけて聴いているのです。

この講師は以前にカルチャーラジオ「文学の世界」に登場された先生だと思うのですが、その時もなかなか面白く聴きました。

ちなみに今は閉店が1時間早くなったため、帰りの車でこの番組を聴くことができません。そこでやはり気に入った放送は「聞き逃し」から追いかけることにしています。

ともあれ「古典講読」も何回か聴き進んで、福原遷都のところまで来ました。詳しい解説のおかげもあって、12世紀末の世界がずっと身近になった気がします。

折も折、昨晩はNHKでスペシャル番組「運慶と快慶」をやっておりました。TVを観ないと申しましたが、天気予報などが気になって、時おりスイッチを入れるのです。なかなか見ごたえのある番組で、つい見入ってしまいました。

この二人が、長明と同時代人であったことを知り、一層興味深く観たのでした。

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2019年05月26日

画像を求められる

「日本の古本屋」に出品している本の状態について、お問い合わせがありました。

状態は良好とのことですが、本を開いたときに開き癖はございますでしょうか?正面画像を見る限りではあまり使用感の無い良品に見えますが、もし可能でしたら(ご無理なようでしたら結構です)小口部分や裏、上部や下部、内部の画像をお送り頂けるとうれしいです。

少しでもきれいな本を手に入れたいというお気持ちは理解できますが、実際のところ、ヨゴレがないことを写真で証明するのは、案外難しいものです。

RIMG3631というのも、現物よりきれいに写ってしまうことがほとんどだからです。この本の場合も、カバーに多少のスレがあるのですが、画像ではまったく目立ちません。

そこでその点は、出品情報として注記いたしました。そのほか例えば僅かでもヤケやシミ斑などがあれば、もちろん注記するのですが、この本にはそういうものもありません。そこで「本体良好」とだけ表記したのでした。

あるいは「ほぼ未読」とでもすればよかったでしょうか。しかしどうも趣味に合わない表現です。そこで「写真に写るような難点はありません」とお返事いたしました。そのあとご注文のないところを見ると、もしかしたらご機嫌を損ねたのかもしれません。

別の方から英語のCD Book (12枚セット函入) のご注文をいただきました。注記した函のツブレについてのお尋ねがあって、やはり写真を送って欲しいとのご要望です。

こちらは形状の問題ですので、写しようがあります。4枚ほど角度を変えて撮り、メールで送ったところ、函は分かったがCDは完全に働くのかとのお問い合わせ(ちなみに外国の方です)。

「調べられないので欠陥があれば返金いたします」とご回答して、この件は無事に成約となりました。

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2019年05月25日

プラスチック対策

ビニール袋とか、ポリ袋とか、あるいはレジ袋とか、いろいろな呼び方はありますが、英語ではズバリ plastic bag というのだそうです。

小店でも本をお買い上げいただくと、文庫や新書なら紙カバーをおかけするのですが、それ以外のサイズは手提げ袋にお入れしております。要するにその袋が、プラスチック製品であるというわけ。

マイクロプラスチックによる環境汚染が大きな問題となってきている昨今、小店としてもなんとか省プラスチック策を講じられないだろうかと、いろいろ検討しているのですが、良い代替案が思い浮かびません。

昔ながらの包装紙に戻るというのも一法ですし、そこまでしなくとも「日本の古本屋」ロゴ入り紙袋を利用する手もあります。ただ1冊2冊でも、手提げ袋を所望されるお客様もおられ、そんな時いちいち紙の手提げをお渡しするとなると、コスト高になります。

RIMG3642そこで家人などは有料化を提唱するのですが、みみっちい感じ以上に、面倒な気がして踏み切れません。もちろん目的は、お金ではなく省資源だとは承知しているのですが。

省資源といえば、店主が40年以上前、古本屋になろうと思った理由の一つに、当時も盛んに論じられていた資源問題の影響もありました。この商売なら、物にあふれた世の中に、新たな物を加えることはなかろうと。

ローマクラブという名を思い出しました。Wikipediaで調べてみると、1970年に正式発足したとあります。「石油資源はあと20年で枯渇する」というショッキングな文言とともに、店主がその名を知ったのは72年頃だったでしょうか。

以来半世紀。資源・環境問題は一筋縄ではいかないものだと分かります。

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2019年05月24日

真贋を見極める

今朝、市場に着くと、近代自筆物をご専門とする先輩会員が、少しばかり困ったような口調で「すごいものが出ているんだ」と声を掛けて来られました。

KIMG1021詳しく伺うと、ある業者さんから夏目漱石、正岡子規の絵入葉書、樋口一葉、岡倉天心の書簡が持ち込まれたのだそうです。

本物であれば、それぞれが最終台に並べられるような品。それだけにまた偽物(贋物)も少なくありません。そこで先輩は、ご自分の店から資料を取り寄せ、真贋の鑑定をしようとされていたのです。

店主も傍で、結果を見届けることにいたしました。

すると4点のうち3点までは、早々に「怪しい」という結論に達しました。漱石と子規と一葉です。

「怪しい」からといって、出品を差し止めたりはいたしません。業者同士の取引ですから、結局は自己責任であるとされています。ただここは難しいところです。そうしたものの流通を、業界として黙認することになるからです。

こんな場合、最終台に置かないことで、明治古典会としての見解を示しております。それでも札は入りました。遊び半分と思われる値段ではありましたが。買われた方がどんな売り方をされるのかが、いささか気になります。

残された1点、岡倉覚三の書簡については、「怪しい」3点と一緒に持ち込まれたというのが一番の懸念でしたが、それ以外は悪くなさそうに見えます。そこで先輩がご自分でも札を入れるからと、最終台に載せました。

結果、本日、二番目の落札価格となったのでした。

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2019年05月23日

行きつ戻りつ

RIMG3625七夕大入札会目録の編集は、昨日でほぼ終わりました。正確に申しますと、会員総出の割り付け作業は終了いたしました。

これで7階会議室をすべて使って行うような作業は、初校の日までありません。しかし例年のことではありますが、今日の木曜日まで会議室は押さえてありました。

昨日のうちに終わるのは、ほぼ毎年のこととして分かってはいるのですが、それでも何が起こるか知れません。保険として予備日を設けておくのも、また例年の決まりです。

というわけで、今日の古書会館7階会議室は、利用する人もなくガランとしていたはずです。

にもかかわらず本日のTKI定例会議は、いつもと違う場所で開かれました。一ヶ月前には日程を決めるのですから、その時点で塞がっている会議室を、たぶん空くからといって当てにするわけには参りません。

古書会館にほど近い、中央大学駿河台記念会館の会議室が、今月の会場となりました。事業部員に同大学のOBがいたお陰で、借りることができたのです。

建物自体はずっと大きいのですが、部屋の広さはいつもとあまり変わりませんでしたので、いつものような雰囲気で会議は進みました。

改善を進めているスマホ用画面で、ある部分にあるボタンをつけるか否か。それだけのことに15分が費やされます。ところがシステム会社の担当者さんによれば、すでに一度は決まっていた話だとのこと。

一時が万事、あるテーマが爼上にのせられるたび、いくつもの意見が出て話が行きつ戻りつし、巻き戻されることも一再ならず生じます。それもこれも熱意の現れだと、店主は思っております。

という次第で、会場が変わっても、いつものごとく長い会議となったのでした。

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2019年05月22日

割り付け完了

月、火、水と毎朝10時に古書会館集合。店主にとっては結構ハードな日々でした。

午前8時半の通行禁止解除を待って店に来ます。出かけるリミットは午前9時15分。その間45分といっても、実際に店に着くのは35分過ぎで、すでに5分削られています。

それからとりあえず店の中の棚を外に出し、開店できる態勢にするだけで10分やそこらはかかります。

その次にネットを開いて、すぐ対応しなければならないことを調べます。注文品の探し出しと返信。決済品の書類作成と発送準備。

家人に頼める仕事は残しておくのですが、店主でなければ分からない在庫品などもあって、見つけ出すのに手間取ったりすると、30分はあっという間です。

今のところ家人は、パソコンによる発送関連書類の作成ができません。そこで、朝から出かけてしまうような日は、あらかじめ店主が、必要になりそうな書類を作ることにしています。

特にクレジット注文品は、いつ決済が来てもいいように、前もって領収書と宛名ラベルを印刷しておきます。ところが、そういうものに限って、なかなか決済が来なかったりします。

RIMG3620今朝の時点でクレジット決済予定は1件だけでしたので、その書類を用意して出かけました。帰って見ると未決済。しばらくするうち、キャンセルのメールが入りました。一方で、作っておけばよかったという書類が何件かありましたのに。

さて七夕大入札会目録は、ほぼ今日で割り付け作業が終わりました。おやつをいただいてから、すぐ退散しましたので、今日入稿できたか、もう一日チェックして明日の入稿かは確かめておりません。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)
12月31日から1月3日まで
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