2019年05月
2019年05月21日
祖父蔵書
大雨注意報が出て、朝から本降り。風も強く、市場に向かう途中、ビニール傘の骨が曲がってしまいました。
洋書会当番で10時集合。今朝は自分の出品、ダンボール10箱の仕分けが仕事です。例の「おじいさんの本」。相当汚れがありそうですので、ロッカーからエプロンと軍手を取り出して作業にかかりました。
いざ箱を開けてみると、出てくるもの出てくるもの、そのほとんどが雑誌。「雑誌が多いですよ」とは聞かされておりましたが、実際のところ全体の8割が雑誌類でした。
哲学雑誌、倫理講和、宗教雑誌といった、明治末から昭和初期にかけての哲学関係バックナンバー。合わせると千冊以上にはなりそうです。ただ、いかんせんヤケと傷みが激しく、本としてはほぼ「終わっている」状態。
結局雑誌は、30冊ほどの1タイトルが2千円で落札されただけ。残りはあえなく処分となりました。
雑誌以外では、古い哲学書が100冊ばかりあったのですが、ここでも処分を免れたのは細かく分けた5点20冊ほど。
そしてベデカ。そもそも道具屋さんが送ってきた写真の1枚に、このベデカ(しかもロシア)が写っていたことで「引き取ってきたら」と促したのでしたが、この8冊は予想に違わず値がつきました。
こうした結果から、残りの蔵書を整理する気になられるかどうかは、道具屋さんが持ち主に伺ってみないことには分かりません。
しかし今回一番驚かされたのは、これら10箱の蔵書すべてに1970年の11月末から12月初めの日付と、遺贈された方のものらしいお名前が記されていたことでした。茶色く変色した雑誌の1冊1冊に至るまで。
一部には「祖父蔵書」という文字も書かれてありました。
洋書会当番で10時集合。今朝は自分の出品、ダンボール10箱の仕分けが仕事です。例の「おじいさんの本」。相当汚れがありそうですので、ロッカーからエプロンと軍手を取り出して作業にかかりました。
いざ箱を開けてみると、出てくるもの出てくるもの、そのほとんどが雑誌。「雑誌が多いですよ」とは聞かされておりましたが、実際のところ全体の8割が雑誌類でした。
哲学雑誌、倫理講和、宗教雑誌といった、明治末から昭和初期にかけての哲学関係バックナンバー。合わせると千冊以上にはなりそうです。ただ、いかんせんヤケと傷みが激しく、本としてはほぼ「終わっている」状態。
結局雑誌は、30冊ほどの1タイトルが2千円で落札されただけ。残りはあえなく処分となりました。
雑誌以外では、古い哲学書が100冊ばかりあったのですが、ここでも処分を免れたのは細かく分けた5点20冊ほど。
そしてベデカ。そもそも道具屋さんが送ってきた写真の1枚に、このベデカ(しかもロシア)が写っていたことで「引き取ってきたら」と促したのでしたが、この8冊は予想に違わず値がつきました。
こうした結果から、残りの蔵書を整理する気になられるかどうかは、道具屋さんが持ち主に伺ってみないことには分かりません。
しかし今回一番驚かされたのは、これら10箱の蔵書すべてに1970年の11月末から12月初めの日付と、遺贈された方のものらしいお名前が記されていたことでした。茶色く変色した雑誌の1冊1冊に至るまで。
一部には「祖父蔵書」という文字も書かれてありました。
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2019年05月20日
階段で降りる
七夕大入札会の目録編集が始まりました。
先週金曜日に締め切って、翌土曜日も一部の作業はあったのですが、全員が集まって編集にあたるのは今日と、水曜日。それで終わらなければ、木曜日が予備日として残されています。
店主の担当は、いつものように地図。長年担当していますが、一向に商品に関する知識は増えません。ただ編集の手際だけは、多少向上してきたと思います。この分野に集まった点数が、昨年より減ったこともあり、お昼を少し回った頃には、今日できる作業はほぼ済ませてしまいました。
事情が許せば、さらに先へ進めて、今日中に割り付けまで終えることさえできそうでしたが、若干の追加原稿を待つ必要があり、店番交替の都合もありましたので、キリの良いところで先に帰らせてもらいました。
作業場所は7階会議室。そこから階段で1階まで降りることにしたのは、途中、中央市会の様子を覗いてみようと思ったからです。
洋書会大市のため先週一回お休みしたこともあって、大量の出品だという話だけは聞いておりましたが、4階、3階の会場は入り口近くまで本の山が壁をつくり、2階の準備室も会場になり、さらに階段は4階から1階まで、余すところなく壁面に本が積まれていました。
今日の市会終了は、果たして何時になるのでしょう。終えてからさらに大量の片づけに、一体どれくらいの時間がかかるでしょう。明日の洋書会までに、どれくらい片づいているのでしょうか。
中央市会の皆さん、本当に「お疲れ様」です。
先週金曜日に締め切って、翌土曜日も一部の作業はあったのですが、全員が集まって編集にあたるのは今日と、水曜日。それで終わらなければ、木曜日が予備日として残されています。
店主の担当は、いつものように地図。長年担当していますが、一向に商品に関する知識は増えません。ただ編集の手際だけは、多少向上してきたと思います。この分野に集まった点数が、昨年より減ったこともあり、お昼を少し回った頃には、今日できる作業はほぼ済ませてしまいました。
事情が許せば、さらに先へ進めて、今日中に割り付けまで終えることさえできそうでしたが、若干の追加原稿を待つ必要があり、店番交替の都合もありましたので、キリの良いところで先に帰らせてもらいました。
作業場所は7階会議室。そこから階段で1階まで降りることにしたのは、途中、中央市会の様子を覗いてみようと思ったからです。
洋書会大市のため先週一回お休みしたこともあって、大量の出品だという話だけは聞いておりましたが、4階、3階の会場は入り口近くまで本の山が壁をつくり、2階の準備室も会場になり、さらに階段は4階から1階まで、余すところなく壁面に本が積まれていました。
今日の市会終了は、果たして何時になるのでしょう。終えてからさらに大量の片づけに、一体どれくらいの時間がかかるでしょう。明日の洋書会までに、どれくらい片づいているのでしょうか。
中央市会の皆さん、本当に「お疲れ様」です。
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2019年05月19日
切羽詰まって
今朝、車で店に着こうかという時、お向かいの母子がお出かけになるところとすれ違いました。二人そろって祭り半纏。ひっつめ髪に豆絞り。
車の中から会釈を交わしたものの、とっさにはその姿の意味するところが分かりませんでした。向かわれていたのは駅の方向。
店の駐車場に車を入れる段になって、ようやく気がつきました。今日は浅草三社祭ではなかっただろうかと。先週が神田祭でしたから、ちょうどその時期。ネットで調べて確認すると間違いありません。
そういえば、以前にも祭り装束のお向かいさんを見かけたことを思い出しました。おそらく毎年、神輿を担ぎに行っておられるのでしょう。
今日はお天気の良い日曜日。町内会がフリーマーケットを開いているようです。店の前は日中、車両通行止めになると、しばらく前からポスターが貼り出してありました。おかげで実に静か。
催しが開かれているのは通りのずっと先。店のあたりは人通りもまばらで、そういえば家族連れもほとんど見かけませんでした。
午前中に若い女性の声で電話がかかってきました。おずおずとした中にも必死さが感じられる口調で、1冊の本を着払い、それもできれば速達で送って貰えないかとおっしゃいます。
売値千円の本です。下手をすると、本の代金と同じくらいの送料になってしまいます。そう申し上げますと「構いません」とのお返事。そこで、振替用紙を入れて先送りして差し上げることにしました。
こういう切羽詰まった注文は決まって学生さんだ、というのが、昨日もお話しした書店勤めの末娘の常日頃の見解です。確かにそのようでした。
車の中から会釈を交わしたものの、とっさにはその姿の意味するところが分かりませんでした。向かわれていたのは駅の方向。
店の駐車場に車を入れる段になって、ようやく気がつきました。今日は浅草三社祭ではなかっただろうかと。先週が神田祭でしたから、ちょうどその時期。ネットで調べて確認すると間違いありません。
そういえば、以前にも祭り装束のお向かいさんを見かけたことを思い出しました。おそらく毎年、神輿を担ぎに行っておられるのでしょう。
今日はお天気の良い日曜日。町内会がフリーマーケットを開いているようです。店の前は日中、車両通行止めになると、しばらく前からポスターが貼り出してありました。おかげで実に静か。
催しが開かれているのは通りのずっと先。店のあたりは人通りもまばらで、そういえば家族連れもほとんど見かけませんでした。
午前中に若い女性の声で電話がかかってきました。おずおずとした中にも必死さが感じられる口調で、1冊の本を着払い、それもできれば速達で送って貰えないかとおっしゃいます。
売値千円の本です。下手をすると、本の代金と同じくらいの送料になってしまいます。そう申し上げますと「構いません」とのお返事。そこで、振替用紙を入れて先送りして差し上げることにしました。
こういう切羽詰まった注文は決まって学生さんだ、というのが、昨日もお話しした書店勤めの末娘の常日頃の見解です。確かにそのようでした。
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2019年05月18日
うちだけかと
「連休が明けてから店が売れないなあ」と、昨日の明治古典会で一緒に札改めをしていた先輩会員が、前半の開札が終わって休憩に入った時、ぼやきをもらしました。
神保町表通りの大店です。4月29日、30日は開けて、5月1日から6日までお休みされたとか。
「こんなことなら休まずに開けていればよかった。開けてたところは、そこそこ売れたみたいじゃない。うちは令和に入ってさっぱり売れない」
聞いていた同じく神保町の若手が「本当に休み明けから売れないですね」と相槌を打ちますと「特に今週に入ってからまったく売れない」と先輩。
「うちもそうですよ、やはり休みでお金を使い果たしたのですかね」と若手。
「うちだけかと思った」と会話に加わったのは、そばで聞いていた店主。「いやうちもうちだけかと思ったよ」と先輩。ひとしきり店売りの低調を嘆きあったのでした。
小店の場合、店売りばかりか、ネットからの注文もこの数日、パタリと止まってしまったように感じます。昨日など唯一入った注文——これは「日本の古本屋」を通さず、直接某大学図書館からメールが届いたのですが――は、なんと在庫切れ。
今日に入って久々に1件。連休前から連休にかけて、割合好調にご注文が入っていただけに、一層落差が目立ちます。
そういえば、渋谷の大型書店で働いている末娘も、連休以後、あきらかに客足が落ちていると話しておりました。やはりお財布が軽くなっているのでしょうか。
神保町表通りの大店です。4月29日、30日は開けて、5月1日から6日までお休みされたとか。
「こんなことなら休まずに開けていればよかった。開けてたところは、そこそこ売れたみたいじゃない。うちは令和に入ってさっぱり売れない」
聞いていた同じく神保町の若手が「本当に休み明けから売れないですね」と相槌を打ちますと「特に今週に入ってからまったく売れない」と先輩。
「うちもそうですよ、やはり休みでお金を使い果たしたのですかね」と若手。
「うちだけかと思った」と会話に加わったのは、そばで聞いていた店主。「いやうちもうちだけかと思ったよ」と先輩。ひとしきり店売りの低調を嘆きあったのでした。
小店の場合、店売りばかりか、ネットからの注文もこの数日、パタリと止まってしまったように感じます。昨日など唯一入った注文——これは「日本の古本屋」を通さず、直接某大学図書館からメールが届いたのですが――は、なんと在庫切れ。
今日に入って久々に1件。連休前から連休にかけて、割合好調にご注文が入っていただけに、一層落差が目立ちます。
そういえば、渋谷の大型書店で働いている末娘も、連休以後、あきらかに客足が落ちていると話しておりました。やはりお財布が軽くなっているのでしょうか。
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2019年05月17日
二匹目のドジョウ
火曜日の夜、懇意の若い道具屋さんが小店に持ち込んだのは、ダンボール10箱だけではありませんでした。
それよりはるかにかさ張る何十枚もの額、20本ほどの掛け軸、そのほかさらに数十枚の短冊や色紙。
これには伏線となる話があります。じつは数週間前、彼が一隻の小型屏風を持ってきました。それを預かって市場に出したところ、思わぬ高値になったのです。
屏風には会津八一の葉書が2枚嵌め込まれており、彼としてはそれが値になるのではないかと思ったようです。しかし実際に値がついたのは、別に嵌め込まれていた小さな肉筆絵ゆえでした。
その屏風にはもう一通書簡が嵌め込まれていて、末尾に小村泰助という署名。つまり雪岱こそが、その絵の描き手だったのでした。
それに味を占めたというわけではないでしょうが、もしやという期待は生まれたでしょう、残りの額幅類を全部引き取ってきたようです。
水曜朝、ルート便のカーゴ2台に苦労して詰め込んだ荷を、今日の明治古典会に出品いたしました。幸い出品量が少なめだったこともあり、先輩会員までが丁寧に目を通してくださって、30点ほどに仕分けられました。
それなりに名の通った文人の短冊色紙もありましたが、結果はすべて合わせても、前回の屏風一隻の半額程度の売り上げにとどまりました。
それでも、良く捌けたものだ、というのが店主の偽らざる感想です。
それよりはるかにかさ張る何十枚もの額、20本ほどの掛け軸、そのほかさらに数十枚の短冊や色紙。
これには伏線となる話があります。じつは数週間前、彼が一隻の小型屏風を持ってきました。それを預かって市場に出したところ、思わぬ高値になったのです。
屏風には会津八一の葉書が2枚嵌め込まれており、彼としてはそれが値になるのではないかと思ったようです。しかし実際に値がついたのは、別に嵌め込まれていた小さな肉筆絵ゆえでした。
その屏風にはもう一通書簡が嵌め込まれていて、末尾に小村泰助という署名。つまり雪岱こそが、その絵の描き手だったのでした。
それに味を占めたというわけではないでしょうが、もしやという期待は生まれたでしょう、残りの額幅類を全部引き取ってきたようです。
水曜朝、ルート便のカーゴ2台に苦労して詰め込んだ荷を、今日の明治古典会に出品いたしました。幸い出品量が少なめだったこともあり、先輩会員までが丁寧に目を通してくださって、30点ほどに仕分けられました。
それなりに名の通った文人の短冊色紙もありましたが、結果はすべて合わせても、前回の屏風一隻の半額程度の売り上げにとどまりました。
それでも、良く捌けたものだ、というのが店主の偽らざる感想です。
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2019年05月16日
ヤマボウシ
アメリカヤマボウシという別名もあるハナミズキは、とっくに花の季節を終えましたが、本家のヤマボウシは今がちょうど開花時期。
我が家の庭でもポツリポツリと緑がかった白い花を咲かせていて、派手やかなハナミズキに比べ、その控えめな風情がとても好もしく感じられます。
などと思っていたら、控えめなのは我が家の日当たりの悪さゆえで、ネットで調べるとかなりたくさんの花をつけた写真が出ておりました。
しかも店主が花だと思っていたのは総包片という、葉が変形したもの。花はその中央にある球状の部分だそうです。秋に赤く色づいて、マッチ棒の頭を大きくしたようなものが落ちているのが、つまりその実だったのでした。
ヤマボウシという名から、勝手に鄙びた山里などを想像して共感しておりましたが、じつは十分に目立つ花木なのだと知りました。それでも我が家のポツリポツリも、やはり捨てがたい。いっそう健気に思えてきます。
連休をはさんで、ネット注文のご決済やご入金が遅れるケースが目立ちました。そのうち何件かは、取り置き期間超過でキャンセルとなっています。小店では10日ほどを目安に何のお返事もない場合は、商品を売り場に戻すことにさせていただいているのです。もちろん何回かお問い合わせをした上でですが。
今日もきょうもそんな1件があり、解約させていただく前にと、家人がその方に電話を入れました。するとメールを受け取っていないとのお返事。ではともかくマイページをご覧くださいとお伝えして電話を切ると、すぐあと決済がなされました。
そういうケースもあります。
我が家の庭でもポツリポツリと緑がかった白い花を咲かせていて、派手やかなハナミズキに比べ、その控えめな風情がとても好もしく感じられます。
などと思っていたら、控えめなのは我が家の日当たりの悪さゆえで、ネットで調べるとかなりたくさんの花をつけた写真が出ておりました。
しかも店主が花だと思っていたのは総包片という、葉が変形したもの。花はその中央にある球状の部分だそうです。秋に赤く色づいて、マッチ棒の頭を大きくしたようなものが落ちているのが、つまりその実だったのでした。
ヤマボウシという名から、勝手に鄙びた山里などを想像して共感しておりましたが、じつは十分に目立つ花木なのだと知りました。それでも我が家のポツリポツリも、やはり捨てがたい。いっそう健気に思えてきます。
連休をはさんで、ネット注文のご決済やご入金が遅れるケースが目立ちました。そのうち何件かは、取り置き期間超過でキャンセルとなっています。小店では10日ほどを目安に何のお返事もない場合は、商品を売り場に戻すことにさせていただいているのです。もちろん何回かお問い合わせをした上でですが。
今日もきょうもそんな1件があり、解約させていただく前にと、家人がその方に電話を入れました。するとメールを受け取っていないとのお返事。ではともかくマイページをご覧くださいとお伝えして電話を切ると、すぐあと決済がなされました。
そういうケースもあります。
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2019年05月15日
おじいさんの本
ある同業の先輩がかつて「おじいさんの本買います」というキャッチフレーズを思いつきました。
ご本人が買入広告などを出しておられるところは、あまり見た覚えがありませんが、その思いつきをあちこちで話し、業界内で拡散をされました。
それをいただいて使っている1人がよみた屋さん。ご覧になった方も多いと思います。一方で最近「研究室の本、整理いたします」だったか、そんなようなコピーも使っておられ、買取りに力を入れている様子がうかがえます。
店主のような怠け者とは対極の働き者です。もっともこの業界世間から見るよりずっと働き者の割合が高く、毎日のように買い取りに出かける業者が多くいます。おかげで市場に、尽きることなく本が流れ込んでくるという次第です。
それにくらべ買い取り広告も打たない小店ですが、近頃、若い道具屋さんがいろいろと面白いものを持ち込んでくれます。道具を引き取りに行って、本がたくさんあったりするとLINEで写真を送ってきます。それを見て店主が、モノになりそうかどうか返事をするのです。
先日、ちょっと暗くてよく見えない写真が送られてきました。ドイツ語の哲学書らしいと彼。確かにそれらしい文字が見えますが、読み取るまでは無理でした。ただ何冊か、ベデカらしい本が写っています。そこでとりあえず引き取ってきたらどうかと話しました。
昨夜、ダンボール10箱ほどが運び込まれましたが、まだ大量にあるとのこと。ただし、片付けをしないと出せない状態らしく、この10箱がいくらかにでもなるなら片付ける、というのが持ち主の意向だそうです。
それが店主ほどの年の方で、蔵書はお祖父さんのものだとか。大正期、マルク暴落時に大量に買い込んだものだと言います。広げる場所もないので、今度の火曜日に洋書会に出品することにしました。
鬼が出るか蛇が出るか。
ご本人が買入広告などを出しておられるところは、あまり見た覚えがありませんが、その思いつきをあちこちで話し、業界内で拡散をされました。
それをいただいて使っている1人がよみた屋さん。ご覧になった方も多いと思います。一方で最近「研究室の本、整理いたします」だったか、そんなようなコピーも使っておられ、買取りに力を入れている様子がうかがえます。
店主のような怠け者とは対極の働き者です。もっともこの業界世間から見るよりずっと働き者の割合が高く、毎日のように買い取りに出かける業者が多くいます。おかげで市場に、尽きることなく本が流れ込んでくるという次第です。
それにくらべ買い取り広告も打たない小店ですが、近頃、若い道具屋さんがいろいろと面白いものを持ち込んでくれます。道具を引き取りに行って、本がたくさんあったりするとLINEで写真を送ってきます。それを見て店主が、モノになりそうかどうか返事をするのです。
先日、ちょっと暗くてよく見えない写真が送られてきました。ドイツ語の哲学書らしいと彼。確かにそれらしい文字が見えますが、読み取るまでは無理でした。ただ何冊か、ベデカらしい本が写っています。そこでとりあえず引き取ってきたらどうかと話しました。
昨夜、ダンボール10箱ほどが運び込まれましたが、まだ大量にあるとのこと。ただし、片付けをしないと出せない状態らしく、この10箱がいくらかにでもなるなら片付ける、というのが持ち主の意向だそうです。
それが店主ほどの年の方で、蔵書はお祖父さんのものだとか。大正期、マルク暴落時に大量に買い込んだものだと言います。広げる場所もないので、今度の火曜日に洋書会に出品することにしました。
鬼が出るか蛇が出るか。
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2019年05月14日
洋書会大市
量からすればいつになく少ない、点数としても決して多くない大市会でしたが、出来高としては近年にない好成績。量より質と先日申しあげたとおりの結果となりました。
その意味では効率の良い市会でしたが、単に効率だけでなく、盛り上がりも十分ありました。ラフカディオ・ハーン関係の一口、ペトラルカの一口、ケルムスコット・プレスの美本数点、日本東洋関係の稀覯本など、良いものが多く出品されたからです。
さらに飛び入りの地方荷に、サイン入りポートレート数百枚という口がありました。
土曜日にそれを仕分けている時点で、人気が出そうだという予感はありましたが、実際に今日7〜8点に分けたどの封筒にも沢山の札が入り、想像以上の高値になったのです。
日本にこのようなコレクターがおられたのか、と驚くほどの収集ぶり。数量もともかく、クラシック音楽家からロック・ポップ歌手、映画スター、さらには政治家、科学者にいたるまで実に幅広いコレクションでした。
ただしコレクターご本人が保管していたとは思えない、乱雑な状態で箱に詰められていましたから、すでに誰かの手で処分された残りだったかもしれません。それでも丹念に仕分けすると、アインシュタインを始め、珍しい署名入り写真も何点か見つかり、十分面白い口にまとまりました。
それやこれやで、ふだんあまり顔を出さない業者さんも大勢来会され、出品量の少なさを補って余りある熱気が、会場にもたらされたのです。
店主自身としては、今回は買いより売り。ただしささやかな。ケルムスコット本には心を惹かれましたが、買える札を入れる余裕もなく、ただ見ただけに終わりました。
その意味では効率の良い市会でしたが、単に効率だけでなく、盛り上がりも十分ありました。ラフカディオ・ハーン関係の一口、ペトラルカの一口、ケルムスコット・プレスの美本数点、日本東洋関係の稀覯本など、良いものが多く出品されたからです。
さらに飛び入りの地方荷に、サイン入りポートレート数百枚という口がありました。
土曜日にそれを仕分けている時点で、人気が出そうだという予感はありましたが、実際に今日7〜8点に分けたどの封筒にも沢山の札が入り、想像以上の高値になったのです。
日本にこのようなコレクターがおられたのか、と驚くほどの収集ぶり。数量もともかく、クラシック音楽家からロック・ポップ歌手、映画スター、さらには政治家、科学者にいたるまで実に幅広いコレクションでした。
ただしコレクターご本人が保管していたとは思えない、乱雑な状態で箱に詰められていましたから、すでに誰かの手で処分された残りだったかもしれません。それでも丹念に仕分けすると、アインシュタインを始め、珍しい署名入り写真も何点か見つかり、十分面白い口にまとまりました。
それやこれやで、ふだんあまり顔を出さない業者さんも大勢来会され、出品量の少なさを補って余りある熱気が、会場にもたらされたのです。
店主自身としては、今回は買いより売り。ただしささやかな。ケルムスコット本には心を惹かれましたが、買える札を入れる余裕もなく、ただ見ただけに終わりました。
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2019年05月13日
偶然の導き
朝10時の集合時間に間に合いました。東京洋書会大市会の設営、陳列日です。
幸い(のはずはないのですが)なことに、今朝は荷造り発送が1点もありませんでした。返信の必要なご注文は、その時間までに2点入っていたのですが、そのうち1点は在庫場所が「不明」となっています。
出かける時間のリミットまで探しましたが、やはり見つかりません。在庫切れのお返事を出そうと思いましたが、帰ってからもう一度探すことにして、そのまま店を出ました。
先週の金曜日、店主が明古に出かけてすぐ、家人から注文品が見つからないとLINEが入りました。在庫保管場所とされているところを、何度も調べたそうです。午後3時過ぎにやってきたバイトのχ君にも見てもらったそうですが、やはり見つからなかったとの知らせ。
店主が戻るのは午後9時近くになりますから、それから「在庫切れです」というのでは、あまりに失礼だと思い、出先から在庫切れの通知を出しました。
ところがその夜、店に帰って棚を見ると、あるべきところにちゃんと並んでおります。急いでお客様にお詫びとお知らせのメールを出したのですが、すでに他に頼まれたあとだとのご返信をいただきました。
そういう見落としは店主自身でもよく経験することですから、お互い責めないことにしております。今回はどこにあるかが分からないので、その時と事情は違いますが、ともかくもう一度ゆっくり探してからと思い、お返事を夕方まで延ばしたのでした。
そこで店に戻ってから、保管棚を端から順に見ていったのですが見つかりません。いよいよあきらめようかと思いながら、期待もせずに手近の山を崩してみると、ほとんど偶然のように探している本が出てきました。
何のお導きでしょうか。
幸い(のはずはないのですが)なことに、今朝は荷造り発送が1点もありませんでした。返信の必要なご注文は、その時間までに2点入っていたのですが、そのうち1点は在庫場所が「不明」となっています。
出かける時間のリミットまで探しましたが、やはり見つかりません。在庫切れのお返事を出そうと思いましたが、帰ってからもう一度探すことにして、そのまま店を出ました。
先週の金曜日、店主が明古に出かけてすぐ、家人から注文品が見つからないとLINEが入りました。在庫保管場所とされているところを、何度も調べたそうです。午後3時過ぎにやってきたバイトのχ君にも見てもらったそうですが、やはり見つからなかったとの知らせ。
店主が戻るのは午後9時近くになりますから、それから「在庫切れです」というのでは、あまりに失礼だと思い、出先から在庫切れの通知を出しました。
ところがその夜、店に帰って棚を見ると、あるべきところにちゃんと並んでおります。急いでお客様にお詫びとお知らせのメールを出したのですが、すでに他に頼まれたあとだとのご返信をいただきました。
そういう見落としは店主自身でもよく経験することですから、お互い責めないことにしております。今回はどこにあるかが分からないので、その時と事情は違いますが、ともかくもう一度ゆっくり探してからと思い、お返事を夕方まで延ばしたのでした。
そこで店に戻ってから、保管棚を端から順に見ていったのですが見つかりません。いよいよあきらめようかと思いながら、期待もせずに手近の山を崩してみると、ほとんど偶然のように探している本が出てきました。
何のお導きでしょうか。
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2019年05月12日
初夏の気配
数日前、庭の一本の木の、葉という葉に、白い小さな綿のようなものが点々とついているのを見つけました。よく見ると動いていて、虫のようです。
調べてみるとどうやら、ワタムシ(またはユキムシ)が、樹液に群がったということのようです。実際その木はさかんに樹液を放出していて、塀から外に少しばかり枝が張り出した下は、歩道の色も変わっています。
通行人の目につくところですので、あまりワタムシが密集している枝は、いそいで切り落としてしまいました。後でさらによく調べると、人に害はないらしく、出現もほぼ1日だけに限られるそうです。確かに翌日には、ほとんど見つけられなくなっていました。
その隣には梅の木やお茶の木などがあって、それらもかなり樹液を出しているのですが、ワタムシがついていたのはその木だけ。しかしそれが何という木か、いまだに店主には不明のままです。
秋には葉を落とす落葉樹ですが、今ごろは勢いよく枝葉を伸ばします。花も咲かなければ、実もつけない。邪魔者扱いして毎年のように切り落としているのですが、めげずに勢いを盛り返すのです。
育てようとしても育たない木だって多いのに、このたくましさには感服するしかありません。せめて名を知ることができれば、愛着がわくかもしれないのですが。
梅の木は、次第に実を膨らませてきました。すでにしばらく前から、朝の掃除のとき、まだ小さい実がいくつも落ちているのを目にしています。道路に落ちた実を踏んで、足を取られる人が出ると困りますから、早くネットを張ろうと、家人が算段しております。
調べてみるとどうやら、ワタムシ(またはユキムシ)が、樹液に群がったということのようです。実際その木はさかんに樹液を放出していて、塀から外に少しばかり枝が張り出した下は、歩道の色も変わっています。
通行人の目につくところですので、あまりワタムシが密集している枝は、いそいで切り落としてしまいました。後でさらによく調べると、人に害はないらしく、出現もほぼ1日だけに限られるそうです。確かに翌日には、ほとんど見つけられなくなっていました。
その隣には梅の木やお茶の木などがあって、それらもかなり樹液を出しているのですが、ワタムシがついていたのはその木だけ。しかしそれが何という木か、いまだに店主には不明のままです。
秋には葉を落とす落葉樹ですが、今ごろは勢いよく枝葉を伸ばします。花も咲かなければ、実もつけない。邪魔者扱いして毎年のように切り落としているのですが、めげずに勢いを盛り返すのです。
育てようとしても育たない木だって多いのに、このたくましさには感服するしかありません。せめて名を知ることができれば、愛着がわくかもしれないのですが。
梅の木は、次第に実を膨らませてきました。すでにしばらく前から、朝の掃除のとき、まだ小さい実がいくつも落ちているのを目にしています。道路に落ちた実を踏んで、足を取られる人が出ると困りますから、早くネットを張ろうと、家人が算段しております。
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