2019年06月

2019年06月30日

在庫切れ

自慢のできる話ではありませんが、折角ご注文をいただいたのに、在庫切れのお詫びメールを出すことになるケースが後を絶ちません。

もとはといえば、当方の在庫管理がルーズだからです。一番多い例は、店で売れた際などにデータの取り下げを忘れる、いわゆる「売れ処理」ミス。

RIMG3821最近はよほど気をつけて、売れたラベルのチェックを2度3度と行っているのですが、お買い上げいただいた際、ラベルを外し忘れてお渡ししてしまうこともあります。取り外しても、あとで処理しようとして、紛失してしまうケースも。

いずれにせよ、だらしないことに違いありません。しかも辛いのは、消し忘れたデータはずっと残り続けるわけですから、何年も前に売れてしまったはずの本に、ある日、ご注文をいただくまで気づかないということです。

「日本の古本屋」では、さすがに減ってきましたが、小店のホームページは、かなり古いデータが残ったままの可能性があります。一度思い切って全点削除して、入れ替えしたいところですが、そうもいかない事情があって、ご注文が入るたびに在庫があるかどうか、いつもヒヤヒヤ。

小店のような規模、人員で、2つのサイトに出品展開するのは、時間的にも費用の面でも負担が大きすぎることは承知しているのですが、これも直ちに一本化するわけにはいかない事情があるのです。

マルチサイトを一元的に管理できるデータベースが出来るか、「日本の古本屋」に現在のHP程度のページが設けられるかするまで、当分の間は我慢して2度手間作業を続けるつもりでおります。

ということは、お客様にご迷惑をおかけするケースも続きそう。我慢は、お客様のほうでしょうか。

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2019年06月29日

後悔の比率

助手席で家人が広げた新聞に、ちらりと気になる文字が見えました。「全集」家にありますか?という見出し。

広げたのは今朝の朝日新聞be、土曜朝刊の附録です。「何が書いてある?」と尋ねると、記事を読み上げてくれました。記事は「be)between 読者とつくる」というタイトルの「beモニターへのアンケートをもとにした企画」。

その最初の質問が「全集」家にありますか?で、それに対し1709人が回答。「はい」と答えた人が45%、「いいえ」が55%というのがその結果です。

以前にも何かで、この企画記事を取り上げた記憶があります。その時もたぶん同じことを言った気がしますが、まずこのアンケートの対象自体がかなり偏った層のはず。

第一に新聞を読む人びと。その上でこの質問に答えようという人々。ですから世間の半分近くの家に全集があるなどということは、決して実態ではないでしょう。

RIMG3822「はい」と答えた人のうち293人が「作家・詩人の個人全集(選集を含む)」を持っておられるとか。これを率に直すと、全体の17%ということになります。これも朝日新聞を読み、このアンケートに興味を抱いた人のうち――と読まねばなりません。

というわけで統計的に見ることには、あまり意味はなさそうですが、ちょっと興味深かったのは、最初の問いに「いいえ」と答えた、つまり家に全集のない人に対する「手元に置いておけば良かったと後悔している「全集」は?」の問いに「ある」と答えた人37%という数字。

最初からなかった人と、あったけど処分してしまった人とが対象の設問ですから、実際に処分した人のうち、後悔している人の比率は、かなり高いのではないでしょうか。

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2019年06月28日

幹事最後の明古

組合の事業年度に合わせて、明治古典会の一年が今日で終了しました。店主にとっては、二年連続でお引き受けした幹事(役員)も、今日でお役御免となったわけです。

しかし火曜日からは七夕大入札会の一週間。これが終わらないことには、ひと息つくことはできません。今日も市会が終わってから、さっそく地方荷を開梱し、付け合わせをして陳列用のカーゴに納めるという作業がありました。

今日は組合の年度末清算日でもあり、本来なら市会も休みとなるところですが、そうすると明古の通常市が2週開かれないことになります。

RIMG3823そこで利用者の便宜のため、事業年度上は既に期が変わった、新年度事業として、今日の市を開催することになったのです。

いわばおまけの市ですから、あまり荷が集まらないだろうという予測を裏切って、点数はともかく、質の上では、先週の特選にも劣らぬ優品が集まりました。

吉田博の版画、イナガキタルホの草稿、樋口一葉の短冊などは、七夕に出てもおかしくなかったでしょう。

そんな中で店主が注目したのは、ある寄せ書き帖。大正2年、欧州留学をひかえて、様々な人に一筆お願いしたもののようです。その中には夏目漱石、新渡戸稲造、狩野亨吉、伊東忠太、寺田寅彦といった錚々たる著名人の名が見られました。

その落札価は、店主にはとても書けない金額ではありますが、もし真筆であれば、かなりなお買い得という価格。確信を持って入れた札ではないのかもしれません。自筆ものの判断の難しさを、つくづく知らさた次第です。

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2019年06月27日

懐かしの現日

本棚一つ分くらいの蔵書でも、引き取りに来てもらえるだろうかというお問い合わせを、数日前にいただきました。店主とあまり違わない年恰好の男性が、ご来店になって。

場所をお尋ねすると、久我山あたりでしたでしょうか。決して遠くはありませんが、ちょっと空いた時間でという距離でもありません。

要するに本次第ですから、どんな本ですかと伺うと、ご自分の本ではないので良くわからないとのこと。亡くなられたご親類が残された本とかで、捨てるのが忍びないからとおっしゃいます。

せめて何冊かのタイトルでも分かればと申し上げると、では今度行ったときに写真を撮ってきますと、その日はお帰りになりました。

昨日のお昼、再びお越しになり、スマホに撮ってきたという画像を見せてくださいました。「ちょっと暗くて分かりにくいですが」とおっしゃって。

しかし棚から降ろして積み上げられたらしい本の山を一目見て、それがどんな本であるかはすぐに分かりました。

RIMG3817画面の約3分の2を占めているのは、なつかしい筑摩書房の「現代日本文学全集」、通称「現日」です。残りの山は中央公論社「世界の文学」。

「現日」を最後に売ったのは、30年近く前のこと。韓国の留学生から頼まれて、市場で仕入れ、100冊を1万円でお売りいたしました。国元へ送る荷造りを、お手伝いしたことも思い出します。

最近市場で見かけることも少なくなりましたが、希少になったからではなく、値が付かないことを見越して持ち込まなくなったからでしょう。

男性には「残念ながら」と事情をお話しして、お断り申し上げた次第です。

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2019年06月26日

七夕目録出来

tanabata2019明治古典会「七夕古書大入札会」の目録が出来上がって、昨日、店に送られてきました。

事前に申し込んでおいた部数が届けられたのですが、毎年のことながら、小店から発送する部数は僅かなもの。日ごろの商売とはかけ離れた品が多いため、送り先がさほど思い浮かばないからです。

ただ見て楽しんでいただければと、限られた知人友人に送っているに過ぎません。それでも今日、午前中を費やす仕事になりました。

編集や校正には携わったものの、自分の担当した箇所しか目を通しておらず、他の分野についてはチラリと覗き見した程度。発送を終えてから、残った自店用の目録に、初めてじっくり目を通しました。

全体が9ジャンルに分けられています。文学作品、文学者肉筆類、映画・趣味、美術・工芸・写真、近代文献資料、地図、浮世絵・刷物・新版画、古典籍、古文書・古書画。

書物文化にかかわる、これだけ広い範囲の資料が一堂に集められる展示会は、他にあまり類を見ません。小粒になった、質が落ちたなどと、きびしい声もありますが、それはだれの責任でもなく、現在という状況のしからしむるところでしょう。

実は今回、何点か出品したうちに、ひそかに期待をかけているものがあります。お客様からお預かりした、ある資料ですが、なかなか面白いものだと思っているのです。現在の時点では、これ以上詳しくは申し上げられません。

価格に望みはなく、受け入れてくれるところがあればそれで良い、とおっしゃっていただいておりますので、ぜひ納まるべきところに納まって欲しいと願っている次第です。

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2019年06月25日

期末特選市

洋書会は今日が今期最後の市会。店主が所属する班が、役員として担当する最終回です。

もっとも、この役員斑は2班制で、1年すればまた担当が巡ってくるのですから、しばしの休憩というだけのこと。それでも名ばかり役員の店主などとは違い、事業部担当の同僚には、1年間本当にお疲れさまでした、と申し上げねばなりません。

RIMG3737その最終特選市、会長自らの出品を中心に多数の良品が集まって、先月の大市以来、久々に賑やかな市になりました。

量としてみれば多くはありませんでした。それが少し気がかりではあります。中央市会や南部地区の入札会などでは、しばしば大口の洋書出品を見受けるのですが、このところ洋書会には、仕分けを要するような大量の口がなかなか入ってこない。

量の多さと、出来高とは必ずしも比例しませんし、今日のように一点もの(しかも人気の高い日本関係洋書など)が多数出品される方が、入札も盛り上がり、労力の面でも楽には違いないのですが、一抹の寂しさはぬぐえません。

たまたま今が、そんな時期なのでしょう。またカーゴ何台もの出品に、緊急出動の呼び出しが掛かるようなこともあるはずです。

まだまだ国内に洋書埋蔵量は多いと思います。問題は、その発掘が採算に合うかどうか。しかしこれは、洋書に限った話ではありません。むしろ日本書の方が、差し迫った問題になりつつあります。

ともあれ、せっせと掘り続けることは、古本屋の大切な仕事のひとつなのです。

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2019年06月24日

キートン朔太郎

少し前の明治古典会で何度目か『月に吠える』の感情詩社版が高値で落札されるのを見て、それがきっかけになったかもしれません。

つい最近、お客様からお売りいただいた本の中に『父・萩原朔太郎』(萩原葉子)の初版本があったのを思い出し、それを見つけ出して読み始めました。

この本、ずいぶん昔から身辺で見かけた記憶があるのは、もしかしたら家人の蔵書にあったのかもしれません。あるいは商売を始めてから、手に入ったことがあったのか。

いずれにせよこれまでは、とくに読む気も起りませんでした。しかし、先日の削除版はともかく、無削除版ならば、おそらく近代詩集として最高の価格がつくような詩人について、いわば職業上の興味を抱いた次第です。

RIMG3739もうひとつ、別の関心もありました。それは朔太郎後半生の住まいが、店からさほど遠くない世田谷代田のあたりだと聞いたことがあり、もう少し詳しく知りたいと思ったのです。

しかし読んでみて伝わってきたのは、幸福とは言えない家庭の姿と、そこに育った娘の不思議な感性でした。室生犀星のあとがきが、とても含みを持って印象に残っております。

作中の朔太郎およびその友人知人に対する描写は、それなりに興味深いものでしたが、家族の問題は、その描き方も含めて、店主の趣味とは遠いものでした。

ただ一か所、思わず笑ってしまったところがあります。近所の悪童が、朔太郎を見て「バスター・キートンみたいだ」と言ったとか。これには唸りました。

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2019年06月23日

大きくて重い本

I see all : the world's first picture encyclopedia という、英語を学ぶ人には良く知られた辞典があります。

i-see-allその名のごとく、すべての単語に写真がついていて、その数10万点以上、と副題にも謳われています。初版刊行が1920年代末ですから、かなり意欲的な出版であったことは確かでしょう。

日本でも、というか日本でのほうが人気があったらしく、これまでに復刻版が3度も出版されています。というわけで、今では比較的安価で手に入る本です。

それを送ってよいかと、古いお客様からご連絡がありました。ご覧のとおり、大きくて重い本ですから「ダメなら遠慮なく言って欲しい」と遠慮がち。しかし、この本なら値段次第でまだ需要はあります。そう申し上げて送っていただきました。

送られてきたのは2度目の復刻版。外函もない裸本ですから、思い切った安値で「日本の古本屋」に上げました。

すると幾日も経たないうちに、お電話があり、在庫の問い合わせを受けました。もちろん出品したばかりですから在庫あり。そうお答えすると、その日のうちにご来店。お車でしたので、そのままお持ち帰りになりました。

と言うとメデタシメデタシのお話しですが、これにはおまけがあります。実はお電話の際に「引き取って欲しい本もあるのです」とおっしゃっておられました。

お持ちいただいたのが、やはり大きくて重い本。重量ならほぼ同等、嵩はそれ以上にあります。さらに店の在庫が増える結果となったのでした。

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2019年06月22日

高くついた1冊

73100スイスから3万円の注文が入りました。しかし11冊セットの本です。小型の本なのですが、小店の3kg秤では、一度に量ることができません。

二つに分けて量ったうえで、合算し、約4.7kgという値をもとに郵便料金を調べました。

EMSだと9800円になってしまいます。3万円の本で1万円の送料というのは、いかにも高いと考え、印刷物(航空便)で送ることにして、料金5460円を書籍代に合わせて請求いたしました。

その日の夜にはご決済いただきましたので、翌朝荷造りを始めたのですが、そこで本が1冊足りないことに気がつきました。慌てて探すと、その1冊は元の場所に。単なる取り忘れでした。

胸をなでおろして荷造りを続けるうち、この1冊分の重量を加算しなければならないことに思い至りました。送料が不足しますが、それはやむを得ません。

しかし、別の難題がありました。印刷物として送ることができるのは5kgまで。この1冊を加えると、全体で僅かながら5kgを超えてしまうのです。

5kg以上を送れるのは、EMSか国際小包郵便。前者は10600円、後者で航空扱いにすると11310円になってしまいます。国際小包はSAL便を利用すれば8790円で済みますが、お客様には航空便で送るとお伝えしてしまっております。

考えた末、二口に分けて送ることにいたしました。作り終えた荷物は、一つが2.9kg、もうひとつが2.4kg。印刷物(航空便)にした合計送料は7690円。

うっかりのおかげで、みすみす2230円を当方で負担する羽目になったわけです。さらに、最初に請求した送料には書留料金410円が入っていなかったことにも、後になってから気がついたのでした。

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2019年06月21日

任期最後の特選市

明治古典会は6月の特選市。今月はあともう一週残しているのですが、諸般の事情により、今日が今期最後の特選市となりました。

そこで市会が終わった後に、現幹事会として最後となる月例の会員食事会が、会員、経営員あわせて27名の参加を得て開かれました。

RIMG3734ある会員が紹介してくれた、少し変わった料理のお店。岩本町の「むらた」といいます。売り物は味噌仕立てのハマグリ鍋。

どんなものだろうという好奇心ばかりが強かったのですが、食べてみると結構おいしくて、参加者の評判も上々でした。なにより、ハマグリの量がたっぷり。

鍋に入る前にヒレカツが出てくるのですが、もとはこちらが本職だったとか。目立たぬ場所にしては大きな店で、昭和初期から続いているそうですから、根強い支持があるのでしょう。

さて市場ですが、今日、印象に残ったのは、会員が出品した大量の色紙の口。昭和後期のものが中心で文筆家より、芸能人の方が多かったようです。その芸能関係の色紙が、とびぬけたスターのものは、なかったにもかかわらず、案外良い値になっていました。

以前、店主が預かって出品した大量の色紙短冊類は、もっぱら文人のものでした。それがかなり惨憺たる値にしかなりませんでしたから、作家より芸能人の方が売れるらしいと、学んだ次第です。

考えてみれば当然のことでしょう。読書人口より、はるかにテレビ、ラジオ人口の方が多いのですから。

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12月31日から1月3日まで
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