2019年06月

2019年06月20日

アダルト本をめぐって

店主にとっては、一ヶ月ぶりのTKI 会議。しかしメンバーによっては月に2度も3度も、あるいはもっと、会議に日を割かれるものもいます。

それなのに、いやそれだからこそというべきでしょうか、今日の会議も午後6時になっても、いっこうに終わる気配が見えません。むしろ今日一日で一番重要とも言える話が持ち出され、案の定、侃々諤々、熱が入ってくる始末。

しかし店主は、中座させていただきました。午後7時までには店に戻りたかったからですし、まず、すぐに結論が出る話でもなかったからです。

とにかく取り上げられる検討事項が多岐にわたり、しかもその多くで事業部員から多様な意見が出されます。どれだけ時間があっても、足りないように思えてきます。

RIMG3731今日取り上げられた話のひとつに、アダルト本問題がありました。すっかり画像が増えた「日本の古本屋」で、いわゆる18禁と思える本が、目につくようになってきたというのです。

会議の場で検索してみると、たしかに店によってはかなり大胆に、そうした本を並べているところがありました。

何らかの規制をすべきか、店の裁量に任せるべきか。すでにここから意見の相違が始まります。しかし「日本の古本屋」には当初からのルールがあり、成人向けの本には、その旨の印をデータ登録時に付けておかねばなりません。

そうすることで、利用者が「成人図書も見る」という意思を示さない限り、それらが見られないという仕組みになっているのです。

店主などは、これを厳格に守ってもらいさえすればいいと思うですが、それではあまりにも、その手の本を売る業者に不利益だという意見も多くでました。

もちろん、そうした意見の人が、自らアダルト本を扱っているわけではありません。あくまでも組合員の利益を守るという立場からの発言です。こうして議論は、果てしなく続くのでした。

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2019年06月19日

熟する季節

今年はぐずぐずしているうちに、ついに枇杷の実は一つも取らずじまいで、すべてカラスに食べられてしまったようです。

色づいたと思うと、ある日忽然と消えているのが、じつはカラスのしわざであったと知ってからは、かえって気持ちは穏やかです。果物好きの家人のためには、少し気の毒な気がいたしますが。

KIMG1063一方で、梅の実は今が熟し時。しばらく前から枝の下にネットを張って、落ちてくる実を受け止めるようにしています。素人のやることですから、むしろ外に落ちてしまう実の方が多いほどですが。

それでも毎日多くの実が落ちてきて、集めると一日で小さなバケツ一杯ほどになります。

以前はもっぱら梅酒を作ったりしました。しかし作ったままの瓶が何本も手つかずで残っているので、近年は、ご近所さんや友人に、お分けするようになりました。

するとそれぞれ、ジャムを作ったり、梅干を作ったりされて、出来上がったものを持ってきてくださいます。

少しばかり、今年は対応が遅れました。2本ある梅のうち気の早い方は、ネットを張る前にかなり実を落としてしまったようです。ですから、収穫量としては例年より少なくなるはず。

KIMG1064ひとまず自家消費に励んで、毎日のように家人が即製のジャムを作っておりますが、さすがに我が家だけでは食べきれません。かといって保存のきく形にするまでの時間は取れず。

結局はいつものように気のおけない仲間に、梅の実をそのまま、引き取ってもらうことになりそうです。

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2019年06月18日

正字へのこだわり

RIMG3735野田宇太郎さんといえば、「文学散歩」という言葉を生み出した人として、古本屋には親しい名です。

そればかりか、実際に親しかった店も何軒かあり、しばしば店に訪れた時の様子を、今もよく覚えているという同僚もいます。そんな親近感をもって開いた一冊のなかに、次のような文が目に留まりました。

境内に入ると直に小さな無粋な浅い作りの池の横に「鏡花筆燹廚亮然石を削って作った碑が眼にとまった。よく見ると筆塚とある、その燹淵船腑Α砲了が塚(ホウ)と明らかに丶を忘れて彫られているではないか。塚(ホウ)とは風にとぶ埃りとでも云う意味である。ヒツホウとは筆の埃りとでも云うべきか。よくもまあ晴れがましくもまちがい文字を書く人があるものだと…(後略)

なるほどと感心して、さっそく辞書を引いてみました。しかし手元にあった広辞苑や大漢語林などを引いてみても、爐歪佑竜貉だという程度の説明しかありません。どちらも同じように、墓などを意味するとされています。

塚をホウと読む例も、埃りとでも云う意味の典拠も、ついに探し当てられませんでした。大漢和や日本国語辞典でも調べてみれば分かるのでしょうか。

ちなみに店主が手にしたのは角川書店ランティエ叢書の野田宇太郎『東京ハイカラ散歩』(1998年)。その巻末、奥付前のページにある「ランティエ叢書」の表記についてで、1.旧仮名づかいは現代仮名づかいに、旧字は新字に改めました。とあるのがいささか皮肉です。

皮肉ついでに気がついたことを言えば3.できるだけ読みやすくするため、漢字には適宜に振り仮名をつけました。とありますが、川本三郎さんの解説文中、矜恃に「きんじ」と振り仮名がつけられていました。

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2019年06月17日

マニュアル話法

まだ一人も、ご利用がありません。先日から受け入れを開始したPayPayでのお支払いです。

RIMG3732土曜日は一日あんな天気で、ご来客自体が少なかったのですから仕方がない。しかし昨日は、小店としては、まあまあ良い売上で、それなりにお客様もおいでくださいました。

といっても3日や4日で、すぐ反応があるなどとは、初めから考えてはおりませんでしたから、とくに不思議だと感じているわけではありません。

けれどもふと思ったことがあります。それはあの営業さんが教えてくれた「使おうと思ったが使えなかった」という通報は、実際にあったことではなく、設置促進マニュアルのひとつだったのではないかということです。

だからどうというわけではありません。いずれにせよ、いつまでも放置しておくのは後ろめたい気もしていましたから、ちょうどよいきっかけでした。

マニュアルといえば、営業の電話は相変わらず多くかかってきます。大抵は最初の一言二言を聞いただけでそれと分かりますから、できる限り早く切ることを心がけています。近頃は、先方も心得て、あまり粘るケースは減ってきたようです。

今日はグーグルマップから電話がかかってきました。これは特に営業というわけではありません。店内を撮らせてもらえないかという要請です。

小店のように、入り口から眺めただけで分かるような小さな店に、その必要はありません。そのことを説明すると、すぐ引き下がられました。これで二度目です。軒並みかけている、というわけでしょう。

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2019年06月16日

紐綴じの本

「紐綴じの本はありますか?」そうお尋ねになったのは、若い女子学生さん。なぜ学生と分かったかと申しますと、それが「先生の指示」だそうだからです。

和綴じ本をお探しかと思いそう尋ねると、「違います。本の雰囲気に合った表紙を、丸背のハードカバーで作り直すのだそうです」スマホを確かめながら答えました。

RIMG3733何の授業か存じませんが、仮綴じ本を上製本に仕立てるおつもりらしい。しかし、それがご専門でないことは、本の造りについて、基本的な知識さえまだお持ちでないことからも明らか。

いずれにせよ、そうなるとあまりヤケや劣化の激しい本は適当ではありません。そうかといって、値の張るものも無理でしょう。

小型本の棚を見ていくと、ガリマール出版の『ランボー詩集』(500円)がありました。注文通りの紐綴じです。本の内容も価格も、目的に相応しい気がして、それをおススメいたしました。

素直にお買い上げいただいて、お帰りになったのですが、後から考えると丸背にするには束が足りなかったかと、気になってきました。「駄目だったらまた来ます」とおっしゃっていましたから、その時のために、別の本を探しておきましょうか。

みすみす毀されてしまうとしても、自炊などと違って、悲しい気分ではありません。

むしろ積極的に支援して腕を上げてもらい、将来、毀れかけた本の再生をお願いできないかなどと、勝手な想像をしてみたりしました。

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2019年06月15日

大判受難の時代

稼ぎ時の土曜日だというのに、朝から雨。実際の降りよりも、天気予報で荒天のおそれが伝えられていたことが響いたかもしれません。店内に入ってこられた方が、5名おられたかどうか。売上については申すも愚か。

気持ちを奮い立たせて、溜まっていた大判書籍の入力を、今日一日の仕事にいたしました。

まず写真撮り。普通の本は現在、すべてスキャンして画像を取り込んでおりますが、小店のスキャナーはプリンタ複合機についているもので、A4サイズまでしか撮れません。セットものや、大判本はカメラで撮ることになります。

つい適当なところに置いて写してしまうことが多く、撮れた写真を見ると天井灯が反射していたり、バックに不都合なものが映っていたり、さらには手振れでピントがボケていたりして、使い物にならないこともしばしば。

結局取り直す羽目になって、かえって時間がかかったりします。初めからきちんとセットして、丁寧に撮影するのが一番。そう考えて、ある程度まとまるまで、溜めておいたのでした。

RIMG3770偉そうに言うほど、照明もバックも整えられたわけではありません。それでも作業自体は順調に、およそ20点ほどが撮影できました。

写し終えると、次は入力作業。価格を決める段になって、一応は競合品の状況を調べることにしていますが、悲しくなるほど値崩れしているものがほとんど。定価ばかり高い豪華本などは特に悲惨です。

大きくて重い本を扱う本屋は、この先ますます少なくなっていくことでしょう。

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2019年06月14日

コレクター

今日の明治古典会は、比較的出品数が少なく、市場もいつもより早めに終わりました。

少ないと言っても800点近くはあったらしいのですが、一点ものが多かったため、ボリュームの点から実際より少なく感じられたようです。

メインは先週もご紹介した文学書コレクターの、まだまだあるらしい蔵書整理の続き。50年ほど前から蒐集を始められ、10年ほど前に亡くなられた方と聞きましたが、その量にも質にも驚かされます。

特に稀覯本ばかりを求めたというより、かなり網羅的にお集めになったご様子。それでもその中には、先週の『春と修羅』や、今週の『月に吠える』のような大物も、ちゃんと含まれております。

熱意も知識も、そして資金も持ち合わせた、羨むべきコレクター像が頭に浮かびました。

店主のような門外漢は、買取だろうか、委託だろうかなどと、本より前に、まずそうした買い物を引き当てた業者の方に関心が向かってしまいますが、それこそ下司のヤッカミに過ぎません。

RIMG3727とはいえ、こうしたコレクションが市場に出て、盛時ほどではないにせよ、それなりに札が入り、値がつくことに、一業者として救われる思いがしていることも確かです。

さて、早く終わったおかげで、なかなか取れない店に予約をすることができました。「へぎそば」の金剛庵です。しかも椅子席。

たまに席が空いていても小上がりの座敷席で、足腰の痛みに耐えながらというのが常のことでしたので、今日は安心してゆっくりと食事を楽しむことができました。

しかしいつもながら見事に満席。そんな店で5人のうち飲むのは3人、しかも皆小食。勘定書の数字が申し訳ないくらいでした。

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2019年06月13日

毀れものとしての本

月曜日にたまたま覗いた中央市会で、面白い口ものが出ていて、何点か入札いたしました。

英国の挿絵画家の手による挿絵本とその研究書の、かなりまとまった出品です。しかし何十冊かずつまとめられていたものは、状態の悪い本が目立ち、また付箋も多くついていたため、気のない札しか入れられませんでした。

RIMG3738その中で1点だけ、単品として封筒が付けられていた7冊の揃い物は、ほかと違って、とても良い状態の本でした。そこで、これに狙いを絞って、店主としてはかなり思い切った札を入れたのです。

その日は夜まで会議があり、終わってすぐ店に戻りましたので、市会場には立ち寄りませんでしたが、結果だけはエクストラネットで見て分かっていました。お目当ての揃い物が、下札で落札できたようです。

翌火曜日、洋書会に出かけ、会場隅に置かれている買い上げ品と、じっくり対面しようとしたところ、店主がそれを手にするより先に、会の仲間でもある先輩から「表紙が取れてるの知ってた?」と声がかかりました。

怪訝に思って1巻ずつ見ていくと、おっしゃる通り第7巻の裏表紙が、hingeの部分で完全に割れてしまっております。美しい総革装のしっかりした装丁で、他の巻を見てもジョイントが弱っている様子はありません。

少なくとも店主が入札した時は、すべての巻が完全な状態であった気がしております。しかし先輩が入札するときには、割れていたとのお話。百歩譲って、店主が見落としていたのだとしても、これほどの欠陥は封筒に明記されていてしかるべきだと思います。

どう対処すべきか迷いました。これが美術品なら、キズ物に値打ちはありません。しかしこの本は、中身もかなり珍しいものです。悩んだ末、ひとまず返品ではなく、値引きを申請しておきました。それでもまだ、割り切れない思いが続いております。

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2019年06月12日

「ペイペイ使えます」

PayPayの人がやってきました。ちょうど出かけようとしていたところですし、普通ならいわゆる営業の方は、即、お引き取りいただくのですが、ちょっと違うなと感じましたので、お話を伺いました。

案の定でした。店主は以前に思い立って、その申し込みをしていたのです。もうふた月くらい前に、「ペイペイ使えます」シールや、QRコードが印刷されたシールなど一式が店に届いておりました。

しかしイザ届いてみると、ご来客の少ないこの店に赤いシールを貼りだすのが、何か大仰な気がして、ついそのまま放置していたのです。

今日来られた営業さんは、まず「前にお申込みいただいてますよね」と話を始めました。「いや確かに」とお答えすると、「実はお客様から、使える店になっているのに、使えないようだ」というご連絡がありまして」。

それを聞いて少し驚きました。なるほどPayPayが使える店を表示する地図があるようです。そのことは知っておりましたが、それをご覧になって小店に来られたお客様がおられた、という事実に驚いたのです。

それも一人ではなく、何人もから「使えなかった」という連絡が会社にあったとのことです。店ではついぞ、そんなお問い合わせは受けた覚えはないのですが。

RIMG3744いずれにせよ、これを潮に、送られてきた一式を店の奥から持ち出し、営業さんの目の前でセットいたしました。その場でテストを兼ねたデモを見せていただき、これで晴れて「使える」店になったというわけです。

いつ、どんな方が、最初にお使いになられるのか、興味津々ではあります。

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2019年06月11日

ドイツ語の老人

昨日、表のセール棚に入れたばかりのドイツ語の分厚い本を、外国人の男性が抜き出してごらんになっていました。店主と同じくらいの年齢でしょうか、つまり高齢者。

RIMG3743やがてその本を開いたまま別の棚の上に置き、押さえにペーパーバックを1冊載せました。それからしばらく、棚の向こう側にしゃがみこんで姿が見えませんでしたが、やがて顔を出し、手にしたスマホで開いたページをカシャリと撮りました。

驚いて表に出て、男性に「何を撮っているのですか?」と尋ねました。「ここのページです」―—さいわい日本語が通じるようです。それで「そんなことはしないでください」と、きつく申し上げました。

「これは売り物です。しかも、こんなに安くしているのですから」ちなみに厚さ6cm、870ページもある本につけた値段は800円。いわゆるディスプレイ本にしたほうが、もう少し高く売れるくらいです。

すると男性は「うちには3千冊も本があります」などと言い訳にもならないことをおっしゃって、さらに「何度かここで本を買っています」と続けられました。いずれにせよ写真を撮るのは困る。もう二度としないで欲しいと、今度は穏やかに念を押しました。

ちょうど出かけるところでしたので、その外人男性が、手にしていた均一本をお買い上げになったかどうかは存じません。6cmの本は店主が元の場所に戻しましたが、出先から戻ってもそこに在りました。

あとから考えると「3千冊もある」というのは、これ以上本を増やせないという意味だったのでしょうか。それで、お買い上げになるのは小さな本ばかりなのでしょうか。

ふと、以前よく店に来られた、ドイツ人らしい老人のことを思い出しました。長い時間、立ち読み(あるいは座り読み)されたあと、ペーパーバックを1、2冊お買い上げくださるのが常でした。

お見受けしなくなってもう何年も経ちます。あの方の場合は、ついに日本語を話そうとはされませんでしたが。

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