2019年11月

2019年11月20日

消滅危機言語

昨日話題にした「ソニンケ語」というのは、Wikipediaによれば次のとおりです。

ソニンケ語 (Soninke、ソニンケ語: Sooninkanxanne)は、マンデ語派に属する言語である。話者は西アフリカに居住するソニンケ族の人々である。話者数は推定で1,096,795人であり、主にマリ共和国に居住する。

およそ100万人の話者がいるというのであれば、決して少数言語ではないでしょう。同じwikiに「消滅危機言語の一覧」というページがあり、「世界で約2500の言語が消滅の危機にあるとされている」うちの「ごく一部」が掲載されているそうですが、ここにソニンケ語は含まれていません。

確かに、語学研究書が出版物として流通している時点で、もはやマイナー言語とは言えないのかもしれません。

RIMG4041昨日、家人が「今日しか観られない」と慌てて観に行った映画では、おもに「カシューブ語」が話されていたそうです。ひたすら字幕を見入るしかなかったとか。

もちろん店主は初耳。聞けばポーランドの一部で話されている言葉だとかで、さっそくwikiで調べてみると、現在、ポーランド北部のポモージェ地方、ドイツ北東部のメクレンブルク=フォアポンメルン州および、移民先のカナダにあわせて20万人の話者がいる——とありました。

それでもこちらは消滅危機言語に挙げられていて、5段階の3番目「重大な危険」とされています。

そんな遠くの話ではなく、わが日本のアイヌ語は2009年の時点で話者10人。5段階の4番目「極めて深刻」に分類され、ほとんど「消滅」の危機。保存活動も進められていると聞きますが、現在はどんな状況なのでしょうか。

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2019年11月19日

在庫整理は続く

英語ひとつ満足に話せないものからすると、多言語を操る人たちは、まるで宇宙人のように思えます。

10年以上前、少数言語を研究しているイギリス人留学生から、日本を引き上げるに際して蔵書をお引き取りしたことがありました。

彼自身は日本語も達者で、中国語も解し、さらにアジア、アフリカ、アメリカと、世界各地の聞いたこともない言語に関する本を持っていたのですが、果たしてどれほどの言葉を話せたのでしょうか。

ただ語学書といっても、専門書というより学習書が多かったため、しっかりした値をつけられるような本は殆どありませんでした。買う人だって多くないはずですから。あれらの本は、どうやって売り捌いたのか、もう手元には残っておりません。

一時期、アフリカ関係の本を集めようとしたことがあります。何度かそうした一口に遭遇し、かなりの冊数を手に入れたのですが、大半はいわゆる社会科学系のもので、古書として需要のありそうなものは、ごくわずかでした。

考えてみれば研究室から出てくる本ですから、使えるものが少ないのは当然かもしれません。結局、多くは整理、つまりツブシにせざるを得ませんでした。

こんな話を始めたのは、いま手を付けている在庫棚が、ちょうどアフリカ関係の残骸ともいうべき箇所だからです。削ぎ落してなお残っているのですから、精選と言い換えてもいいでしょう。
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どんな本を今日まで残してきたかと言うと、おおよそのところ歴史関係、語学関係。アフリカには多くの民族がいて、多様な言語が存在します。例えば今ここにあるソニンケ叙事詩の研究書だって、きっと必要とする人がいるのではないかと期待して、また在庫棚に戻すのでした。

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2019年11月18日

注文書リスト

RIMG4044「私は本を買いたいです」

まるで店主の英語並みのカタコト日本語を発せられたのは、中国の方でしょうか、小柄な若い女性。帳場の前に立つと、おもむろにiPhoneを取り出して画面を開き、店主の方に差し出しました。

見ると、横文字が並んでいます。受け取ってスクロールして行くと、ドイツ語とフランス語の本が全部で8点。さいわい在庫番号が表示されていましたので、とりあえず小店の自店在庫管理システム(ZIZAI)に打ち込んで検索いたしました。

すると現れたのは8点中の5点だけ。どうやら「日本の古本屋」ではなく、小店のホームページカタログで見つけられたようです。急いでHP在庫も確認しました。確かに掲載されていますが、在庫記録を見ると、そのうちの2点はすでに売り切れております。

ご来店になったのは昨日の午後5時半過ぎ。まず店内に在庫していた2点だけを見つけ出し、あとは「時間がかかるので明日また来ていただけませんか?」とお願いいたしましたところ、ご了解いただき、その2点をお買い上げになって帰られました。

さて在庫があるはずの残り4点が、はたして見つかるかどうかは、かなり不安でした。なにしろHPにしか載っていなかった3点は、かなり古い登録で、しかもそのうちの1点が売れた日付は10年前のものです。

それでも4点とも保管場所が記されており、今朝ゆっくり探すと、無事見つかりました。

ご注文リストをいきなり出されても、すぐには揃えられないということを、日本語の良く通じないお客様に、どうお伝えしたものか、一時は大変焦りました。初めから英語モードなら、もう少し説明もできたのでしょうが。

それにしても気になるのはAugustinus、Schelling、Hegel、Girard、Derridaといった本が必要なのは、この女性ご自身なのかどうかということです。

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2019年11月17日

状態説明について

本の値付けをしようという時に、まずネットで調べることが、ほとんど習慣となってしまいました。

そんなことなら誰にだってできる仕事ではないかと、我ながら情けない気がいたしますが、まるで無視するわけにも参りません。

大抵は、がっかりするほど安い値で売られていることが分かるだけですが、だからこそ、稀に良い値がついている本まで見過ごして安売りすると、ほとんど利益が出なくなってしまうからです。

もちろんネットで高い値がついている本が、売れる本だとは限りません。売れなくてもともと、という素人値付けもあるでしょう。

RIMG4045日本書なら、そのあたりは経験で見分けられるのですが、洋書となると、それが本当に付いている価格だけの値打ちのある本かどうか、判断がつかないことの方が多い。

そこで、そういう時は最安値より、さらに安い値をつけて売ることにしております。戯れに「世界最安値」などと称したりして。

逆に、名著や基本図書などは、外国のサイトを見ると、タダ同然のものから無数に出品されています。その場合は、安売りしている本の状態をチェックして、無視できるものを潰していき、対抗できそうな価格を付けます。

実は今日お話しようと思ったのは、その状態説明の用語についてでしたが、前置きで終わってしまいました。また改めて、取り上げたいと思います。

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2019年11月16日

新サービスの使い道

すでにお伝えいたしましたとおり、新しいクレジット決済サービスを導入いたしました。

RIMG4038まだ店舗での利用はありませんが、このサービスはネット決済もできるようになっています。それでふと気がついて、実際に試してみることにしました。

実はもう、ひと月以上前のことになりますが、あるお客様から厚さ5僂曚匹如代金2千円という本のご注文をいただきました。

「近いうちに引き取りに行くので、先に決済だけしておきたい」とのお話でしたから、書籍代金のみでご決済いただいたのです。

ところがそれから2週間ばかりして、「しばらく行けそうにないから送ってほしい。送料はもちろん払います」というメールが入りました。

着払いにするとゆうパックを利用することになり、送料が高いので、レターパックプラスで送りますとお伝えし、当方の振込口座をお知らせしたのですが、それきり音沙汰がありません。

小店としては、お客様のご来店までお取り置きしておいても構わないのですが、せっかく購入されたのですから、早く手にしたいとお思いのことでしょう。

そこで今日、送料分520円を新サービスで「請求」してみることにしたのです。手数料はかかりますが、最初から総額をクレジット決済されたと思えば同じこと。

もちろん事前に「請求書」メールが届くことは、お知らせしておりますが、ご決済いただけるかどうか、しばらく様子見です。

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2019年11月15日

遅滞なく廃棄

最近こんなに感心した言葉もありません。

「桜を見る会」に出席した安倍晋三首相の地元関係者について菅義偉官房長官は14日の記者会見で、「名簿については、会の終了をもって遅滞なく廃棄していることから、内訳を答えることは困難だ」と述べた。(朝日新聞11月15日朝刊)

まるで、少しでも早く廃棄しなければならないものを、その通り処分したのであって、とても良いことをしたと、胸を張って答えているように聞こえます。

しかし「会の終了をもって遅滞なく廃棄し」なければならないような名簿とは、いったいどんな種類の名簿なのでしょうか。

KIMG1199まあそんな、誰もが突っ込みをいれるような話を、今さらここでしようというのではありません。店主はこの言葉にいたく感心し、自らの座右の銘にしたいとまで思ったのです。

これこそ店主のしなければならないことです。さっそく店の裏の在庫棚の一番奥のほうから順に、長く棚に積まれたままの本をひっくり返し始めました。その中に、遅滞なく廃棄できる本がないかを、調べることにしたのです。

在庫登録もしないまま積んである本。登録したまま、長年放置されている本。出品して日が経ち、売値が相場に会わなくなっている本。

それらを洗いなおすことで、本当はもう遅滞なく廃棄してしまった方が良い本が、きっと見つかるはずです。

不要な本が溜まりすぎて、場合によっては新たな入荷でも遅滞なく廃棄せざるを得なくなっているのが、小店の現状なのですから。

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2019年11月14日

キャッシュレス

この週末(正確には月曜日まで)古書会館では東京古典会の大市会が開かれます。そのため昨日の水曜日から来週火曜日まで、通常市会はお休み。

店主にとっては明治古典会と、来週の洋書会がお休みになるというわけ。

店のほうは平常通り営業しているにもかかわらず、休暇をもらったような気分になるのが不思議です。

RIMG4025懸案の店内整理に本腰を入れられるはずなのですが、時間が出来て、店も暇だとなると、かえって作業意欲がわいてきません。いつものごとく、ダラダラと一週間が過ぎてしまうのでしょうか。

10月の売り上げが、かなり低調であったことは前にもお伝えしました。小店ばかりか、市場の出来高も悪かったようです。やはり天候の影響もあったでしょう。しかし11月に入っても、小店の売り上げには、少しも改善の兆候が見えません。

そんな中で、徐々にPayPayのご利用が増えてきました。増えたというほどの数ではありませんが。

PayPayは現在のところ、一切の手数料が発生しませんから、現金でお買い上げいただくのと同じことです。その上お客様には5%が還元されます。どんどんお使いいただいても、小店は一つも困りません。

今般、売上向上の一助になるならと、ワラにもすがる思いで、新しいクレジットシステムを導入いたしました。

実は前からあるにはあったのですが、1500円のお買い上げで、2週間後に入金されるのが1200円ということがあったりして、腰が引けていたのです。

今度のシステムは、決済手数料しかかかりません。あとは操作に慣れるだけ。積極的に宣伝したら、現金を持たない近ごろの若者に、なにかしらの効果はあるでしょうか。

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2019年11月13日

Before/ After

RIMG4035「洋書まつり」に出品した本が戻ってきて、これでようやく一段落。束の間ゆったりしていた通路は、またしても片側の棚が本で潰されることになりました。

それでも運び出したのがカーゴ3台半で、今日戻ってきたのは1台半。つまりカーゴ2台分は、以前より少なくなっているわけです。

そんなに売れたのかと、驚かれるかもしれません。これにはワケがあります。実際に「洋書まつり」で売れた本の量は、恐らくカーゴ1台分程度。残りの1台分は、昨日の洋書会に出品したのです。

朝から市場に出かけ、自分で仕分けをしました。要するに売れ残り品ですから、高く売れることは期待していません。それどころか、売れてくるかどうかが問題です。

ある程度大きくまとめなければ札が入らない。しかし大山にしすぎてもまた、敬遠されてしまいます。頃合いを測りながら、カーゴ1台を8点に分けました。

さいわいなことに、3点に札が入り、3点は無料で引き取ってくれる同業がみつかり、1点は自分で持ち帰ることにし、残る1点はやむなくツブシにしました。

RIMG4037半日がかりで整理して、売り上げとしては微々たるものですが、これで行き帰りの運送賃が出たと思えば御の字です。さらに減量できたことで、店内への収納も楽になったのですから。

さてこの先は、この本の山を、こまめに片づけていかなければなりません。

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2019年11月12日

先輩業者の蔵書

一週間ほど前のことでした。店主と同年配の男性がご来店になり、引き取ってほしい本があるとおっしゃいます。

スマホを取り出して、写っている本を見せてくださいました。古い洋書です。

「じつは神田の洋古書店に画像を送って引き取りを依頼したのですが、辞退されました。それで、あまり値打ちのあるものではないことは分かりましたが、他に少しばかり日本書もあります」

その日本書を見ると、こちらも同様に古いものです。あわせて段ボール箱5個ほどだとか。場所は宮益坂上あたり。

「洋書まつり」が終わるまで待っていただいて、昨日月曜日にお伺いしました。

KIMG1198洋書のほうは、束のあるバックラム装の英文学書が中心。いわゆる書斎映えのする本です。残念ながら今はあまり値にならず、専門店が二の足を踏むのもうなずけます。

日本書のほうは「明治大正詩書総覧」「明治文学書目」のそれぞれ元版など、かつては高価だった書誌関係の本が主なところ。他に詩歌関係も少しありましたが、どこかしら状態に難のあるものが多いようです。

ここいらで種明かしをいたしますと、この本の元の持ち主は、男性のお父上で、30年以上前に廃業された、私たちの同業者でした。それも単なる同業にとどまらず、洋書会、さらに古くは明治古典会の先輩会員でもあった方です。

画像を眺め、お名前を伺った時点で、もしやと思ったのでしたが、先様からはそのあたりのご説明がありませんでした。お引き取りに上がった際に、思い切ってお尋ねして分かったのです。

なぜこれらだけが今まで残されていたのか、その辺りの事情までは伺いそびれました。

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2019年11月11日

本の受難

平成生まれの我が家の末娘が、どうしたわけか大の「寅さん」ファンで、親としては、入荷した中に関連書籍など見つけるたび、店頭に出す前に娘に見せてやろうと、裏の一画に溜めておいたりしております。

スキャン_20191111そこに一冊、山田洋次さんの『映画館(こや)がはねて』(中公文庫1989年)があり、今日、近所のかかりつけの医者に、いつもの薬をもらいに出かけた際、それを持って行き、待合室で読みました。

ふだんは空いている医院なのですが、今日は間が悪く、30分ほども待たされたでしょうか。おかげで半分ほど読み進めました。

そのごく初めの部分で、山田監督が中学生の頃、大連で敗戦を迎え、厳しい売り食い生活を余儀なくされた話が語られます。

そして隣の部屋の住人から預かった本を街頭に並べて売っていると、ある男性が一冊の本に目を止め、いくらかと尋ねます。
見ると古くさい本だったので適当に「十円です」と南京豆十粒くらいの値段を言ったところ、その男は溜息交じりにこんなことを言った。
「いいかい君、これは永井荷風の『濹東綺譚』の初版本といってね、大変値打ちのある本なんだぜ、十円なんかで売っちゃいかんよ」
その男はしばらく未練がましく『濹東綺譚』を眺めていたが、結局買わずに行ってしまった。

ここだけ抜き出しては話の味が伝わりませんが、古本屋として気になる一節なので取り上げました。

しかしそれより痛ましいのは、寒い大連の冬を越すため、家具から建具から、燃えるものはことごとくストーブで燃やした話です。

隣人の残していった「クロス張りの世界文学全集も、大版(ママ)のチエホフ全集も、背革のがんじょうなバルザック全集もみなストーブの灰となり、ついに燃やすものがなくなってしまった頃」引き上げ船に乗る順番が来たというのでした。

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