2020年01月

2020年01月21日

独語も仏語も

少しずつ動き出したのでしょうか。今日の洋書会は、2口の出品。ただし出品者は1店。つまり同じ本屋さんの別々の仕入れというわけです。

RIMG4094ドイツ語の口と、フランス語の口。フランス語のほうを出品書店さん自ら仕分けされましたので、店主はドイツ語を担当。おかげさまで今年になって、最高の出品点数となりました。

それでもまだ会場は、空いている台の方が多いという状態。あまり多くても大変ですが、今日の倍くらいはあっても、文句は申しません。

店主が仕分けたのは、18世紀の科学者、哲学者、ユダヤ人社会研究などが中心の口。前回は仕分けたものをほぼ引き受ける結果となったのですが、今日は逆に、1点も落札できませんでした。

今回は荷主さんの札もあって、腰のひけた店主の札では太刀打ちできなかったのです。

フランス書のほうは古い装丁本と、古い仮綴じ本(並製本)、刊年の新しい本、の3つに大別され、革装などの装丁本は、1冊ずつ、あるいは数冊で封筒をつけられたものが30点ほど。

あとは装丁本の残りを1山、仮綴じで1山、白っぽい本が1山といった具合に仕分けられていました。

その仮綴じの1山に、店主は興味深いものを見つけました。19世紀末刊行の演劇関係書の扉に、著者の献辞入り署名があり、その献呈先が著名な数学者だったのです。

本自体の状態は決して良くありません。山全体としても、古いだけに傷んだ本が多く、評価のつけづらいところでしたが、理系専門店に知らせたところ、面白がって札を入れ、落札されていました。

こう記していて気付いたのですが、フランス書の装丁本にも18世紀啓蒙思想の本などがあり、ドイツ書と持ち主が同じであっても、おかしくないと思えてきました。2口でなく、1口だったかも。

気になるので、来週にでも、出品された書店さんに尋ねてみようと思います。

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2020年01月20日

怖くて使えない

一通の往復はがきが届きました。

昔はこれで、お客様から在庫の問い合わせや、ご注文をいただくことなども、たまにありましたが、最近は、まず見かけません。

今回のはがきは、先日、お客様に代わって外国に注文した書籍が入荷した際には、これを使って報せて欲しいというものでした。

ご当人曰く、お一人暮らしの上、電話機には留守録音機能も付いていないからとのことです。

そもそも小店が代行発注したのも、その方がパソコン、スマホ、携帯などを一切持っておられないためでした。

店主の旧友にも一人、同じ主義のものがいますが、このお客様の場合は、その理由が印象的でした。もともとコンピュータ関連のお仕事をされていたそうで、昔のこととはいえ、ITの知識がないわけではありません。

RIMG4089逆にその知識から、現今日本の情報セキュリティーの甘さに恐怖を覚え、そうした機器を使う気にならないなのだそうです。

今朝の朝日新聞一面を見て、なるほどこのことか、と思いました。

サイバーセキュリティーを売り物にしようという会社のセキュリティーが、うかうかとサイバー攻撃を受けてしまったというのですから、まるで笑い話。

しかし、ことはかなり深刻だ、というくらいは店主にだって分かります。

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2020年01月19日

あと3試合

アメリカンフットボールのNFLが、いよいよクライマックスを迎えようとしています。

日本時間の明朝、カンファレンス・チャンピオンシップが2試合あって、それぞれの勝者が2月3日の朝からスーパーボウルを戦うことになるわけです。

NHKBSは、プレイオフの全試合を中継しており、それは今までにもあったことですが、今年の場合は、いつにもまして楽しむことができています。

というのは、初めにワイルドカードが4試合、一週おいて次にディヴィジョナル・プレイオフが4試合あったのですが、これを4日間ずつ日を変えて放送。その間、未放送の試合の結果が明らかになることがなかったのです。

しかしおかげで、1月に入ってから延べ8夜は、フットボール観戦で潰えてしまいました。

すべて録画したものを観たのですから、つまらない試合なら飛ばして観ることもできたはず。ところが、いつもなら何試合かはあるワンサイドゲームが、ほぼありませんでしたので、毎夜2時間半近くを費やすことになったのです。今さら反省しても仕方ありませんが。

RIMG4095さてここまでに店主が予想した2チームは、いずれも敗退してしまいました。予想などと偉そうに言っても、どちらもほとんど本命視されていたチームで、その評判に乗っただけです。

一方で、贔屓にしている49ersは、今年初めて店主の見ている前で勝利したのですが、果たしてあと2つ勝ってくれるでしょうか。

どうしてもあまり強そうに見えないのは、ファン心理というやつなのかもしれません。

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2020年01月18日

明古のち新年会

昨日の新年第2回となる明治古典会も、出品量は少なめでした。先週に続いて3階だけでの開催。

しかし今回は明古らしい近代文学関係の口が出ていて、見て回るだけでも楽しい市でした。

とりわけ最終台に置かれていた薄い3冊の雑誌。月刊雑誌『月曜』というのがそのタイトルですが、不勉強な店主にとっては、見るのも聞くのももちろん初めて。しかし表紙に刷られた目次を見るだけで、それが只者ではないことくらいは分かりました。

編集者は尾形亀之助、出版は恵風館。大正15年という刊年が記されています。

執筆陣には島崎藤村・室生犀星・宮沢賢治・佐藤春夫・稲垣足穂・武井武雄など、ビッグネームが目白押し。6号までの発刊が確認されているそうです。1冊50頁弱の薄い雑誌ですが、大正末期の文壇・詩壇の、貴重な資料であることは間違いありません。

昨日は夕方から洋食の『七條』で、長年恒例となっている旧理事会の新年会がありました。年に一度しか会わない仲間もいて、歓談に花が咲いたのですが、石神井書林の内堀さんもメンバーの一員です。

たまたま席が隣り合って、話題は自ずと『月曜』を初めとする、その日の市場のことに。

店主とは違い、彼にとっては専門分野です。先週の宮沢賢治の名刺もふくめ、RIMG4093興味深い話をいろいろと聞かせてもらいました。そして、市場というのは何が出てくるか分からない、本当に面白いところだと、今さらながらに肯き合ったのでした。

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2020年01月17日

四半世紀

少し早めに目が覚めて、TVのスイッチを入れるとニュースをやっていて、神戸からの中継画面が現れました。

25年前のこの日にあった阪神淡路大震災。午前5時46分を期して、ろうそくの明かりだけの中で黙祷が始まります。こんなに暗い時間帯だったのだと、あらためて恐ろしさを感じました。

その日の朝、車を預けていた近くの小さな自動車整備工場へ行き、狭い事務所の中に置かれたブラウン管TVの画面に不思議な光景が写っているのを、ぼんやり眺めたことを覚えています。

RIMG4091横倒しになった高速道路が映し出されていたのですが、とっさにはそれが何を意味するのか、よく理解できませんでした。

もちろん地震があったというニュースはすでに知っていたはずですが、それといま目にしている光景とが、なかなか実感を持って結びつかなかったのです。大災害は常にそうかもしれませんが、その被害の全貌が伝わるまでには、ずいぶん時間がかかったという記憶があります。

今のようにネットが普及していませんから、関西に住む友人知人に安否を問い合わせたのは電話。それも少し日をおいてから。幸い知り合いはみな無事でしたが、ひとつ間違えばという話も聞きました。

それから四半世紀の年が流れたというわけです。

修理や鈑金塗装などもやっていた近所の整備工場は、もうずいぶん前に仕事を止めて、建物も変わりました。

あの時、どんなことで、その工場に車を預けていたのか。それともその日、預けに行ったのだったか。どうでもよいことですが、少しも思い出せません。

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2020年01月16日

本というオブジェ

IMG_20191229_075444ある有名ブランドの本棚に、オブジェとして「かっこよく」本を並べたいのだが、見積もりを出してもらえるか、というメールを、もう一月以上前にいただきました。

あまり唐突でしたので、ご要求を確かめるために何回かやり取りを重ねました。

参考にといってメールに添付して送られてきた、メーカーのホームページに掲載されているらしい商品画像。黒や白の本が横になったり、縦になったりして入っています。

そんな感じで、ということのようですが、似たような見てくれの本を新刊で揃えようとすれば、1冊で1万円以上はするでしょう。

そんな金額は出せないから、小店あたりに頼んでくるのでしょうが、確かにその手の本は、もし市場に出てくればずっと安く手に入ります。ただし何時現れるか分からない上に、店主がその注文を受けたとして、似たような注文を他の本屋さんも受けていないとは限りません。

そんなことより、今回のご依頼で一番驚いたのは、モデルルームとかショウルームに使用するのではなく、実際に本棚をご購入されるお客様のためのものだという点です。本棚に中身をつけて販売するというわけです。

それを聞いた時、思わず「お客様は本に触ったり開いたりされることはないのですか?」と尋ねました。すると即座に「ありません」というお返事。棚を飾るオブジェが足りないので、本も並べておくという発想なのでした。

呆れつつも、今さらお断りもできず、どうやって本を集めようかと考え始めた矢先、「お客様から『著者や分野で選ぶことはできますか?』という質問をいただいた」との連絡が入りました。

どうやらお客様は、オブジェと本とを、別のものとしてお考えいただけそうです。仕切りなおして、ご意向を確認しようと思います。

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2020年01月15日

歳月不待人

坪内祐三さんの訃報を聞いて、なないろ文庫のことを思い出しました。

店主が坪内さんの面識を得たのは、『彷書月刊』の、何かの集まりを通じてだったはずだからです。初めがいつだったかは思い出せません。いずれにせよ飲み会の席でした。

坪内さんについては、店主よりはるかに親しい本屋さんが何人もいますから、今さら店主が言うようなこともありませんが、一番最近お目にかかったのは、昨秋の「洋書まつり」会場でのことでした。

ひと言ふた言、言葉を交わしましたが、その内容も今となっては定かでありません。

RIMG4070ななちゃんを思い出したのには、もう一つ理由がありました。享年61と知って、あるいは田村七痴庵と同じではないかという気がしたのです。

調べてみるとやはりそうで、今から9年前の2011年。彼は店主と同年ですから、その年に61歳になるはずでした。月も同じ1月、新年早々の7日に通夜があって、参列したことをブログに記しております。

同年の朋輩を送る時にも早過ぎると思ったものですが、10歳近くも年下の知人の逝去を知らされると、より一層その気持ちが強く感じられます。そしてその間に9年の月日が流れていたことにも、あらためて驚かされるのでした。

歳月不待人——開業の挨拶にこんな文句を葉書に印刷して知友に配ってから、37年が経とうとしています。

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2020年01月14日

損もできない

洋書会は今日も厳しい出品状況でした。

正直に申しますと、先週と同じく店主が市場に着いた時点で、洋書の出品はゼロ点。こういう事態が予想されたことも、昨日、中央市会にでかけた理由でした。洋書の山でも出ていたら、ともかく札を入れ、落札したら今日に回そうという目論見があったのです。

しかしそう好都合にはまいりません。確かに洋書が出てはいたのですが、中身で売れるような本は少なく、ディスプレイ屋さんが仕入れるような大判のビジュアル書ばかり。これについては、専門業者も入札にきていますので、ここで争っても意味がありません。

RIMG4073店主の狙いは大山の中に、仕分ければ生きるような本が入っている口でしたが、昨日については、そうした出品は見つかりませんでした。

それでも何点かは入札し、落札できたものがありましたので、苦肉の策としてそれを再出品、会場に並べました。

そんな策を講じているうちに一件、ご出品の持ち込みがありました。カーゴに軽く1台。地獄に仏とは、このことです。さっそく仕分けに取り掛かりました。

ただし、とても手ごわい口でした。ほとんどがドイツ語の本で、もっとも目に付く単語がGeograpie。つまり地理学関係の一口というわけです。それも農業地理とか、土地利用とかいった類の専門書。

何とか仕分けたのですが、なかなか札が入りません。半分ほどは店主が買うことになりました。売れればもちろん儲かるのですが、売るのに苦労しそうな本ばかりです。

会員仲間の格言に「買わなきゃ損もできない」というものがあります。なかば戯言ではありますが、反面、深い真理も含んでいます。それをしみじみ感じた一日でした。

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2020年01月13日

犬も歩けば

RIMG4071三連休最後の日、朝の道路の空いていたこと。淡島通りに入って、しばらくは前方に車が見えませんでした。

こんな日に店を開けても、売り上げは知れているのですが、それを言ったら、いつだって知れています。今日も休まず営業したことは、申すまでもありません。

世間は祝日なのですが、中央市会は開催されました。出品量が多い同会は、一回休むとそのシワ寄せで翌週は大変なことになります。そのため祝日・振替休日に重なった月曜日にも、大抵は開催するのです。

その中央市会に、足を運びました。休日開催にもかかわらず、荷物は2階から4階まで溢れています。これでは休むわけにはいかないでしょう。

市場で会った同業は一様に「珍しいね、組合の仕事?」などと尋ねます。「今日はお休みでしょ」と返すと「あ、そうだ」と、さらに不思議そう。「ホンの気まぐれです」と答えておきました。

実際は、土曜日の五反田でも全く手に入らなかった文庫本を、何とか仕入れたいと思ったのが一番の動機でした。そのほかにも目的はありましたが、それを話すと長くなりますので別の折に。

さて久々の中央市会は、さすがに大量の本が積まれて並んでいます。お目当ての文庫についても、入札に迷うほど。軒並み入れて、万が一にも落ちたら処置に困ります。かと言って、何も落とせなければ出向いた甲斐がない。

冷静に普段の基準で、好みのものに絞って入札し、あとは運を天に任せて店に戻りました。

夕刻、エクストラネットで確認すると、文庫関係は3点22本の落札。足を運んだだけのことはあったようです。

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2020年01月12日

思わぬお年玉

昨日は新年第一回目の南部地区入札会。

特別多いというほどではありませんでしたが、今年に入って荷の少ない市が続いていましたから、それに比べればよく集まったと言えます。

会場に入っていきなり、文庫の山が目につきました。一見して、小店向きではなさそう。カバーのないものや、あってもイタミが見られるもの、ヤケているものなど、状態が今一つでした。

しかし中にはきれいな本もあって、タイトルを見るとしっかりした本です。あらためて全体を見ると、どれも読書人好みというか、スジの良い本揃い。どうやら古書店やBookOffなどを回って、こまめに買いあつめられたらしい。

ちくま文庫系の大きな山もありました。同じ口からそれだけを仕分けたようです。これもイタミが目につきましたので、きれいな本の場合の4、5割程度の札を入れてみたのですが、やはり落ちませんでした。

RIMG4072昨日の市では、この文庫を含む文学系の一口が、量としては恐らく一番の大口だったでしょう。近現代の詩集や文学書、評論集などが、数十点に仕分けられて2階会場に並んでいました。

それでも売り上げ高1番は、おそらく別の一口物だったと思われます。家庭用一般書の引き取りと思われるなかに、大正期の珍しい写真雑誌が10冊ばかり混じっていたというのです。

事業部員が気付き、それだけを別に仕分けて、最終台に載せたということですから、処分したお客様はもとより、買い取った業者さんも、本の値打ちには気づいていなかったはずです。

ビッグなお年玉になったことでしょう。

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