2020年06月

2020年06月30日

早稲田を思い出す

今日は火曜日で洋書会の日ですが、明治古典会の大市準備のためお休み。その明古の大市も、例年より規模を縮小しての開催のため会員手伝いの動員もなし。

出かけないつもりにしていたのですが、急遽会議が入って午後、会館に行きました。それでも3時には戻り、間もなく店番のΧ君も来てくれたので、裏に引っ込んで片付け仕事でもしようと机に座りました。

RIMG4350その時目に入ったのが、昨日、五十嵐さんの項だけ走り読みした『早稲田古本屋街』です。誘惑に負けて、最初から読み始めることにしました。

結局、小一時間ほどかけて半分以上を読み進めたのですが、店主はこれまで、これほどに知った人物ばかりが登場する文章を、読んだ記憶がありません。

取り上げられる古書店主はもとより、その様々なエピソードに登場する同業についても、大抵はその顔を思い浮かべることができます。

しかしそこで語られるのは、知っていたことより知らなかったことの方がはるかに多く、あらためて透史君の取材力に感心させられました(もちろん表現力にも)。

例えば、さとし書房の佐藤さんの項で、古本屋に勤めることになった時、新聞紙で本を包む練習をしたという話。その手作業へのこだわりは、店主の記憶にある佐藤さんに重なります。

かつてBigBoxの売り上げ計算の時、山のような伝票を人一倍のスピードで数えていた姿。同様に、何かの用で店を訪れた時、店番をしながら出品のための伝票貼りをされていた、その手早さ。

それにつれて、驚くほど大量の本が、即売展で売れていた時代を思い出しました。

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2020年06月29日

不義理な話

『古書月報』などを見ていると、古本屋さんにも文章の達者な人が多いことがわかります。

しかしプロの目にかなって、出版物になるほどの文を書く人は、やはり少しばかりレベルが違うようです。

もちろん内容が興味深いものであれば、編集者の力によって、ある程度は読むに堪えるものになるでしょう。しかし文章の力だけで読ませるのは、恵まれた才能のなせる業としか言いようがありません。

そんな思いを抱かせる同業が何人かいますが、そのひとりが「古書現世」の向井透史君。同業を君付けで呼ぶのも失礼なことですが、子どものころから知っているので、許してもらえるでしょう。

透史君のお父さん、つまり古書現世の創業者は、五十嵐書店で店主の先輩店員でした。といっても向井(父)さんが独立されて、2年ばかり経ってからの店員ですから、一緒に仕事をしたことはありません。

それでも同じ早稲田で催事などを通じ、あるいは飲み会などで親しく話しをし、お宅に招かれて食事したこともあります。そのころはまだ小学生だったはずで、彼の方は覚えていないでしょうが。

その透史君の『早稲田古本屋街』(未来社、2006年)が、お客様のお持ち込みになった中にありました。例によって不義理な店主は、買って読むなどということをしておりません。さっそく本を開いて五十嵐書店の項を読みました。

スキャン_20200629そして、もう一つの不義理を思いました。市場で会う度に「たまにはお出でよ」というオヤジさんに、ついぞ応えぬまま長い年月が経っています。本が出版されてからでさえ、もう14年が経ってしまっているのです。

いつか訪れる機会があるでしょうか。

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2020年06月28日

マスクという苦行

IMG_20200624_074950まだ雨がしっかり降っていた朝方、淡島通りを走ってきて、いつものように「駒場」の信号を左に折れると、駅の方から上がってくる道が、人で埋まっているように見えました。これほどの人波を見るのは久しぶりのことです。

最徐行ですれ違いながら様子を見ると、若い人が多いものの、年齢層に幅があります。服装は一様にカジュアル。「英検かしら」と後ろの席から家人がひと言。

それが正解であったことは、しばらくして分かりました。店を開けて間もなく、何名かのご来客があったのですが、その中のお一人が帳場に来られた時、胸に「英検保護者」というシールを見つけたのです。

伺ってみると、会場は日本工業大学駒場高校だとか。一つの教室に入れる受験生の数を減らし、付き添いの控室はなく「追い出された」とおっしゃってました。

試験の付き添いで来られて、暇をつぶすために読む本を買っていかれる例は、過去にもありました。入学試験などが多いのですが。しかし保護者控室もないとなると、どこで本を読まれるのでしょう。

英検のホームページを見てみると「保護者控室の設置は行いません」と確かに記されていました。午前中にあったのは、準2級と準1級、それに4級の試験。お母さんがついて来られたのは、4級の試験だったでしょうか。いや中学生なら準2級ということも、あり得ます。

それにしても「会場内で必ずマスクを着用してください(マスクはご自身でご用意ください。)」と、当たり前のように書かれていますが、本当に必要なものでしょうか。それで試験を受けるなんて、なんだか気の毒に思えます。

今日は比較的、店に入ってこられるお客様が多く、マスクを着けている時間が長くなって、店番でさえ辛くなったので、つい同情してしまいました。

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2020年06月27日

あれもこれもバカラック

RIMG4343手に入れたのは随分と以前のことですが、店頭に置いてからでも1年以上は経つのではないでしょうか。しかし今日まで興味を持たれる方はおられなかったようで、依然として店内に飾られたままです。

あるいは何だろうかと、手に取られた方はおられたかもしれませんが。

バート・バカラックの5枚組CDセットTimeless

先日、思いついてUSBにダウンロードし、店の行き帰りにカーオーディオで聴いてみることにしました。

5枚はレコーディング年代順に編集されていて、概ね作曲された順でもあります。後半に入るとカバーバージョンも増えてくるのですが、それらも含めて全98曲。

番号に従って1枚目から聴き始めると、いきなり懐かしい気分に引き込まれました。何しろ最初の曲はペリー・コモのMagic Moments(1957)。驚くのは、聴き覚えのある曲の多さです。

1963年に入るとビートルズのBaby It's You、ボビー・ヴィントンのBlue on Blue、衝撃的だったのはジーン・ピットニィのTwenty Four Hours From Tulsa。この曲を聴いたのは何十年ぶりでしょうか。

トム・ジョーンズのWhat's New Pussycat?では、曲もともかく、不思議な映画であったことを思い出しました。

2枚目が60年代後半から70年代の初めにかけてで、このあたりが店主には一番のツボ。アレサ・フランクリンのI Say A Little Prayerもバカラックだったのですね。

音源が様々なので音量レベルが不揃いなのが難ですが、この数日、楽しませてもらっています。

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2020年06月26日

組合の年度末

RIMG4332今日は6月最後の金曜日。ということは、明治古典会の一年が終わったというわけです。いつもなら締めくくりの特選市として、それなりに華やかな雰囲気があるのですが、今年はそうもいきませんでした。

出品点数も少なめで、午後3時ころには開札もすべて終わってしまいました。

さらに例年なら、市の終わるのも待たず七夕大入札会の準備に取り掛かるところですが、今年は公開下見を中止し、業者のみの大市会としています。

お客様を入れないため、会場設営などの準備もなし。規模も縮小しての開催ですから荷受け、陳列などに会員総出の必要もありません。まったく様変わりの年度末、そして年度始まりです。

東京組合でも年間1、2を争うビッグイベントが中止されて、ここで大きく出来高を減らすことになるのですが、それはつまり新年度の組合出来高が、対前年比で大きなマイナスから始まるということを意味します。

世の中が再び動き出し、(新しい)日常が戻りつつあるといっても、新型コロナの影響は、まさにこれから本格的に現れてくるのでしょう。

東京組合は過去数十年、赤字を出すことなく優秀な決算報告を行ってきました。それが昨年、いくらか陰りを帯びてきたところに、この緊急事態です。今年の決算がどんな数字になるのか、もっか戦々恐々としておりますが、それ以上に来年度以降が心配です。

100年の節目を迎えて、あらためて組合の持続可能性が問われています。

市場が早く終わりすぎたため、夜まで間が持たず、今日の夕食会は中止。店に戻りました。

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2020年06月25日

店賃の心配

駒場は美容院の多い町だと思います。小店から郵便局へ行くまでの300mほどの間だけでも、4軒の店がありました。過去形なのは、そのうちの1軒が数か月前に店を閉めたからです。

他の店が、ほとんど1人でやっているような町の美容院なのに対し、閉めた1軒は店内に何脚も椅子が置かれた、界隈で一番広い店でした。30坪ほどあったと聞きます。

こう言っては何ですが、近年、その広い店内に、お客様を見かけることはまれでした。郵便局やパン屋さんへの行き帰りに、外から覗いた限りのことですが。

さて店内がすっかり空になって、しばらくは何の動きもありませんでした。聞くところでは、募集の新家賃はかなりの額だとか。やがてコロナ。さらに引き合いはなさそうに見えました。

しかし最近になって、新たに内装工事が始まっています。どんなお店が入るのだろうかと気になっていたところ、偶然のことから、それが判明いたしました。

IMG_20200624_080852ある日、小店に来られた女性のお客様が、「こちらは絵本なども置いておられますか」とお尋ねになります。「そちらに」とお答えすると、実は今度、すぐ先で学童保育を始めるので、絵本などを買わせてもらうかもしれないというお話。

店主の知る限りの「学童保育」では、高額家賃を払うだけでも大変ではないかと思い、後でそれを家人に話したところ、「とんでもない、すごく高い授業料を取るのだから」と一蹴されました。

今どきは、キッズスクールなども含めて学童保育と呼ぶようです。延長保育などとは違って、こちらは教育投資の受け皿。余計な心配は無用と知りました。

それより、小店が家賃を払えていることの方が、よほど不思議に思われているかもしれません。

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2020年06月24日

気分を害した

両手に一つずつ大きなバッグを提げて店に入ってこられた女性に、荷物置き台をご案内しました。「どうぞこちらに置いてください」と。

無言でその台に二つのバッグを置かれる様子をふと見ると、マスクをつけておられません。

そこで「マスクはお持ちじゃないですか」とお尋ねしたところ、「ありますよ」とおっしゃって、置いたばかりの荷物を手に持って、そのまま表に出て行かれました。

どうやら気分を害されたようです。持っているけど、着けろと言われて着けるのは癪に障る、ということだったのでしょうか。

これまで何人かにマスク着用をお願いしました。お持ちでなく、残念そうに帰られるか、慌ててカバンから取り出してお着けになるか、そのどちらかでした。

IMG_20200624_074931世の中には気難しい方もおられます。しかしこれは、小店の取り得る最低限の感染防止対策として決めたこと。ご納得いただけなければ、お引き取り願うしかないでしょう。

ふと思い出したことがあります。

店主が開業した当時は、タバコを咥えながら店に入ってこられるお客様がおられました。その頃は特に珍しいことではなく、それを防ぐためには、あえて「店内禁煙」という貼紙をしなければなりませんでした。

「タバコご遠慮ください」と言うと、不機嫌そうに黙って引き返すお客様もおられました。

もっともさらに昔、五十嵐さんに勤めていた頃は、帳場に灰皿が置いてありました。お客様用というよりは、喫煙者であった店主がもっぱら利用していたのです。

マスクも、いずれ思い出話になるのでしょうか。

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2020年06月23日

買うのも仕事

昨日は雨の月曜日で、ほとんど開店休業状態。1日の売り上げが300円、という記録を打ち立てました。

過去37年間に、売り上げゼロという日が1日だけあったのですが、それに次ぐ堂々の第2位です。

午後も遅くなって、そういえば今日はまだ売り上げがないと気づいたとき、一人の外国人男性が店に入って来られました。それでなくても分かりにくい外国人の年齢ですが、マスクをしておられるので余計見当がつきません。

RIMG4331ただそれほど若い方でないことは確か。入って右手の棚から順に、時間をかけてじっくり本を見て行かれます。ひととおり右手の洋書棚を見終わると、積んである未整理の本を手に取ってご覧になりました。

赤い表紙の岩波新書。どうやら日本語も読まれるご様子。そのあと他の棚も順番にご覧になり、およそ一時間近くも経ったでしょうか、入り口近くに戻って、そこに積まれていた1冊の本を手に、帳場へ来られました。

Oxford出版のThe World's Classicsという小型本で、20世紀の前半を通じて刊行された、その名の通りの世界名作シリーズ。まだ値段がついていなかったのですが、小店ではおおむね1冊300円で売ってきておりますので、そう申し上げ、お買い上げいただき、それが昨日の売り上げのすべてだったわけです。

一方で、本の買い取りは何件かありました。そういえば量の多少はありますが、休業明けからほぼ毎日、何かしらのお持ち込みがあるような気がします。

休業との違いも、いくらかはあるわけです。

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2020年06月22日

義務を果たす

「個人企業経済調査」の調査票というものが届きました。届いたのはまだ休業中の5月終わりころ。何度か出したことのある企業統計調査のようなものだと思い、締め切りが6月末とあったので、そのままにしておりました。

今日は朝からの雨で、午前中(午後もでしたが)お客様一人おいでにならない休業状態。そこで思い出して、すでに何冊かの本の下敷きになっていたオレンジ色の大型封筒を引っ張り出し、調査に答えることにしたのです。

RIMG4329あらためて説明文を読むと、過去に提出したものと違い、統計法に基づく調査への報告義務のある「基幹統計調査」で、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された個人企業を対象に実施しているものだとか。

要するに、勝手に選ばせてもらうけど、選ばれた人は答える義務がある、という何やら理不尽な話。

まあそれでもこのところ、給付金などでお世話になっていますから、素直に従って統計の基礎資料を提供することにいたしました。回答はオンラインでできます。

事業経営上の問題点とか、今後の事業展開とかいった調査項目もありますが、前段はもっぱら確定申告書から数字を引き写すばかり。そこでご丁寧に、なお、回答内容は、統計法に定められている利用目的以外(例えば徴税資料)などに使用することはありません、と強調されています。

それでも、あまり気持ちのいいものではありませんでしたが、ありのまま正直に答えて5分とかからず完了。送信ボタンを押すと、すぐさま「調査票回答を正しく受け付けました」というシステムメールが返ってまいりました。

国民の義務を一つ果たした、という感じです。

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2020年06月21日

残された本

小店の開業最初期からのお客様の中に、国文学関係の研究者となられた方が何人かおられます。

今はもちろん、その当時だって、とくに国文学関係の専門書などを置いていたわけではありませんので、不思議なご縁だと思いますが、五十嵐書店で修業したことが、話の合いそうな雰囲気を醸し出していたのかもしれません。

まだ学部生の時分から、ちょくちょく立ち寄っては、定めたばかりの専門と多少ともかかわりのある本を、何かしら見つけてお買い上げいただいてました。

そんな中のお一人に、いまでは某私大の学長になられている方がおられます。現在に至るまで音信が途絶えることなく、時おりメールをいただいたりします。

今朝、久しぶりにその先生からのメールが届いておりました。休業の影響などについてお気遣いいただいたあと、ご自身が、慣れぬオンライン会議・授業で大変だという近況報告が続き、本題はそのあと。恩師の旧蔵書を、その奥様が処分されたがっているという件のご相談です。

RIMG4330そう聞いただけなら、良さそうな話だと思われるかもしれません。しかし実は、6年ほど前に一度、お引き取りに伺っております。そこに至るまでが大変でした。それよりさらに6年以上前、運送業者の手配までして流れたことがあったのです。

その最初の時点でも、すでに国文専門書の古書価は崩れ始めていました。実際に市場で処分した6年前は、さらに値が付かなくなっていて、申し訳ないような額しかお渡しできなかった記憶があります。

今回ご整理されようというのは、その時、トラックに積まなかったもの。車で2時間以上はかかる場所です。事情をよくご存じの先生が、困り果てた挙句、現地に適当な業者はいませんか、と尋ねて来られたのでした。

さてどうしたものでしょう。

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