2020年10月

2020年10月21日

リストにない本

hisui専門店ならすぐ分かるかもしれません。これは杉浦非水『富士山スケッチ』の一葉。

しかしご覧のとおり、ご朱印が押されていて、そればかりか綴じは外れ、表紙はムレ、紐は取れていて、題箋もなくなっています。もちろん函はありません。

あるお客様が「家に古い本があるのだが」と、リストをお持ちになりました。

拝見すると改造社版の『現代日本文学全集』、春秋社の『世界大思想全集』などが、1冊ずつリストアップされています。

併せても40冊程度ですから、揃っていないことは言うまでもありません。ほかに人情本刊行会叢書が数冊。

『筆の華』という書名もありました。どうやら、ある限りを書きだされたようです。

「どんなもんでしょうか」とお尋ねになりますので、その1冊と、ほか1、2冊に丸を付けて、「評価の対象になるのはこれくらいでしょうか」と申し上げました。

「持ってきたら引き取ってもらえますか」とおっしゃいますから、拝見するのはやぶさかでないとお答えしたところ、数日後、車で運んで来られました。

非水の本は、リストに載っていませんでした。この状態では商品になりませんが、まかり間違って保存が良ければ、そこそこの値が付きます。

今回は残念な結果でしたが、やはり処分する前に見せていただくのは、大事なことだと改めて思った次第です。

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2020年10月20日

地区会館の話

東京古書組合には、本部会館のほかに3つの地区会館があります。10年ほど前までは4つあったのですが、現在は南部、西部、北部の3つ。

その中では南部地区会館が一番新しいのですが、それでも築20年を超えています。あちこち傷んできて、次第に頻繁に修繕の要請が出されるようになりました。

西部、北部については、もう修繕では間に合わなくなりつつあります。

そろそろ今後の方針を立てるべき時期に来ていますが、まだどこからも意見らしいものが上がってきていません。

恐ろしくて言い出せないというのが、本当のところでしょうか。恐ろしいというのは、組合、業界の将来を考えると果たして維持し続けることが可能か、という問題に向き合わねばならないからです。

RIMG45374つあった会館で、姿を消したのは東部会館です。唯一借地だったこともあり、組合経営の観点から、所有し続けることのメリットよりデメリットが大きいと判断されたのでした。

西部と北部は組合財産ですから、有効活用の方法さえあれば、再建築という可能性もなくはありません。しかし組合員が納得できるような計画を立てるのは、容易なことではないでしょう。

ただ、いずれはその時期が来ます。いつまでも修繕だけで済ませることはできません。

なぜか、こんな話になってしまいました。昨日、載せるとお話しした本の画像は、明日以降に、あらためて取り上げさせていただきます。

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2020年10月19日

着々準備中

「洋書まつり」の準備を進めております。

着々と、と言いたいところですが、ボツボツと、くらいが正確な表現かもしれません。

いちばん時間がかかるのは、バーゲンセールに回す本の選別です。

市場でにせよ、お客様からにせよ、タイミングよくバーゲン向きの仕入れがあれば、一気にはかどるのですが、最近になってからは、はかばかしい仕入れがありません。

そこで、かつて仕入れて、そのまま長くしまい込まれていた在庫に手を付けているのですが、ある程度思い入れのあった本が多いため、セール品とするのに、ためらいが生じがちになるわけです。

しかし今回は、別の理由から在庫整理を迫られておりますので、大事にとってきた本を、目をつぶってバーゲンに回すことにしています。

こんなことを言うと宣伝めいて聞こえるかもしれません。しかし実際は、たんに店主の趣味嗜好で貯めておいたようなものですから、必ずしもお客様に喜ばれるとは限らず、安くしたのに売れ残るという不安も拭えません。

値打ちなら売れる。そう信ずることにいたします。

時間がかかるもう一つの理由、それは時折、妙な本が出てきて、手が止まってしまうことです。このKIMG1401不思議な本は第5版と記されていますが、刊年の表記がありません。

BookFinderに1901年東京刊という本が出ていますが、その海賊版なのでしょう。挿絵に漢字らしきものが書かれています。明日にも写真を撮り直して、ご覧に入れます。

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2020年10月18日

タイミングの問題

夕刻ふと気がつくと、パソコンのメールに1件、ネット注文の決済通知が入っておりました。

送信日時欄には午後3時少し過ぎの時刻が。しかし店主が気付いた時は午後4時を回っていました。30分ほど前には入っていなかったような気がします。メーラーに着信するまでのタイムラグが、多少はあるのでしょう。

RIMG4524今日は日曜日で、郵便局の集荷はおおよそ午後4時半頃。本さえすぐ見つかれば、まだ十分間に合うはずです。

探すとその本は、簡単に見つかりました。急いで書類を作って、荷造りの準備にかかったその時、いつもより早めに集荷の方が来られました。

数分待ってもらえれば出せるのですが、こちらから待ってくださいとは言わないことにしています。集荷員さんに余裕があれば、先方から「待ちますよ」といってくださいます。その一言がなかったので、すでに準備できていた分だけをお渡ししました。

もう何分かでも早くメールを見ていれば、今日の集荷に間に合ったのに、申しわけないことをしたような気分です。

しかし「急いては事を仕損じる」を地で行く失敗を重ねてきた店主です。先日も慌てて(当人は慌てたつもりはないのですが)送り間違いをしたばかり。

少しでも早くお届けしようとして、1週間もお待たせする結果になることもあるのですから、1日の遅れはご容赦いただくしかありません。

そう思ってメーラーを見ると、もう1件、午後4時過ぎという決済メールが入っておりました。これも明日廻しとなります。


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2020年10月17日

無料回収

わけあってこのところ、わが家では不用品の整理を進めております。

不用品といっても、処分してお金になるようなものはありません。ふつうのお宅なら、さっさと整理されていたようなものばかり。

その多くは書類などの紙ごみや、とっくに着なくなった衣類などで、まだこうしたものは、引き取ってもらうのに、お金が必要というわけではありません。

ところがちょっとした電気製品や壊れた家具のようなものは、粗大ごみセンターに連絡したうえで、切符を貼って回収してもらわねばなりません。

「無料で引き取ります」などとマイクで流す業者を呼び止めて訊くと、無料なのはごく限られたものだけ――という経験は、多くの方がお持ちでしょう。

無料で引き取ってもらえるもののうち、紙類は資源回収の日に出すことができますが、困っていたのが衣類です。ほとんどボロ布同然でも、なぜか通常のゴミとして出すのがためらわれます。

淡島通りに一軒、こうした衣類を受け入れてくれる場所があったのですが、コロナ禍で輸出が出来なくなったとかで閉鎖され、未だに再開されていません。

RIMG4523それが最近、区のほうで回収の動きが出てきました。今朝、雨の中、そうした受け入れ場所のひとつ、世田谷区役所の広場に寄って、ポリ袋10個ほどを置いてきたのです。

「ありがとうございました」だけで、充分報われた気分でした。

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2020年10月16日

明古らしさ

今日の明治古典会は、出品量もそこそこで、面白い文学書の口もあって、なかなか見ごたえのある市でした。個人的な感想ですが。

ただ見かけの量に比べて、終了時間が早かったのは、大山が多く、出品点数としては、それほどでもなかったということなのでしょう。

RIMG4525文学書の口も一部を除くと5、6本を1点にまとめられていたものが多かったですし、それとは別に英文学系洋書の一口も出ていましたが、こちらもほとんどが本口。

こういう洋書が、洋書会に出ないのはいささか複雑な気持ちです。実際にそのほとんどを、洋書会のメンバーが落札していましたし。

かつてなら、こうした口はそのまま洋書会に持ち込まれ、会が仕分けしておりました。しかしその手間が、出来高を考えると割に合わなくなってきて、他会に比べれば格安ながら、仕分け手数料をいただくようになっています。

ところが今回は、荷主さんが自ら仕分けされたもののようでした。それなら明古でなくとも、と思うのですが、両方の会員である店主としては、声高には申せません。

それでも公平に見て、やはり洋書(特に学術系の)は洋書会に出した方が、荷主さんにとってもメリットがあるような気はします。

今日の最終発声は、版画家から版画家へ宛てた書簡。文豪書簡にも引けを取らない落札価格となりました。こういう出品は本当に明古らしいと思います。

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2020年10月15日

今では稀本

masaccio古い在庫をひっくり返していたら、こんな本が出てきました。

少しばかり頁を開いたりして眺めているうち、妙なことに気がつきました。カバー写真からも、ずっと美術関連書だとばかり思っていたのですが、どうやら違いそうです。

Masaccioといえば誰もが、ルネサンス期のイタリア人画家を思い起こすことでしょう。店主も写真だけを見て、とくに疑いもせずそう思い込み、イタリア語はどうせ読めませんから適当な値をつけて即売展に出品し、それが売れ残っていたもののようです。

ずいぶん昔、ネットが普及する以前のことです。

今は世界中の本を検索できるサイトもあり、この本の値打ちを知ることも容易になりました。画家の研究書とすれば大部なものでもありますし、興味を覚えて調べてみることにしたのです。

その過程で、どうも変だと思いました。真ん中あたりに図版頁があるのですが、見受けられるのは美術書にはそぐわない写真ばかりです。

Googleで色々調べてみて、ようやくこの名前が、第二次大戦期イタリアの一地方で抵抗運動を率いた人物の、自ら名乗ったニックネームだったことが分かりました。

そう思ってタイトルを読み返せば、確かにその通り。ではその値打ちのほどは?BookFinderで1冊だけ出てきて約1万3千円でした。WorldCatで調べると、書籍として所蔵している図書館は1館のみ。しかし電子ファイルで17館が所蔵しているそうです。

1965年10月に出版されたこの本、その12月には第2刷が出ていて本書はそれ。決して売れなかった本ではなかったようですが、今や入手困難というわけです。

それにしてもどんな人が、これを持っていたのか。関心はいつもそこに向かいます。

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2020年10月14日

一年ぶりの対面

先週から駒場でも対面授業が一部で始まったらしく、学生さんの姿が目に付くようになってきました。

岩波などの硬めの文庫本が、ポツリポツリと動くようになっています。

もっとも学術系の文庫は年中品薄で、その中から選んで買っていただくわけですから、たいした売り上げになるわけではありません。

あればあるだけ売れるのに、という、昨今では珍しい商品ジャンルです。それだけに市場で見かけて買おうと思っても、競争が激しく、なまなかな札では落札できません。お客様のお持ち込みだけが頼り、というのが現状です。

さて対面と言えば昨日、洋書まつりのチラシが届き、ポスターも出来上がりました。といっても毎年同じの、簡単なものです。

チラシには何かしら文言を加えようかと考えましたが、頭をひねった末、「ご来場の際はマスクをご着用ください」と一行入れただけ。

RIMG4531ポスターに至っては、開催日が変わっているだけで、まるで同じもの。すっかりお馴染みとなった女性が、笑顔で本を抱えている図柄。もう10年は使い回しているかもしれません。

その代わり一目瞭然。しかも案外、同業たちにも評判がいいのです。

どこのどなたかも存じませんが、毎年ご対面するたび、ひそかに感謝申し上げている次第です。

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2020年10月13日

見えず聞こえず

今日、洋書会からの帰り道、半蔵門線の永田町駅で、閉まりかけたドアに足を挟んで、こじ開けようとする人がいました。あきらめて足を引くとドアは閉まったのですが、やがてまた開きました。

勇躍乗り込んで、空席を見つけ座ったまでは良かったのですが、電車が一向に動きません。やがて「ドアを点検するためしばらく停車します」との車内放送。動き出すまでの時間が人一倍長く感じられことでしょう。

実はそれまでに2度、開閉を繰り返し、それが3度目だったのです。ほかの2度は目撃していませんから状況は分かりません。都合5分は遅延したと思いますが、乗客はどこまでも穏やかでした。

話は変わります。今更でお恥ずかしいのですが、カレンダーを見ていて10月に「体育の日」がないことに気がつきました。

名称が「スポーツの日」と変わり、今年に限って7月24日に移動していたのですね。もちろんオリンピックの開会式に合わせるためです。

それが流れた結果、そして来年、日程そのままで開催しようとしているため、2021年も今年と同様、7月に祝日をまとめるのだそうです。皆さん先刻ご承知のことでしょうけれど。

そんな風に勝手に祝日を移動させたり、あるいは増やしたり減らしたりできるというのが、いまひとつRIMG4522承服できません。何のための祝日なのかと、お休みに全く縁のない店主は思うわけです。

縁がないからこそ、祝日大移動についても今まで気がつきませんでした。人間、自分が関心のないことは、いかに目にも耳にも入ってこないか、ということが良く分かりました。

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2020年10月12日

ポイ捨てではなく

昨日は住まい近所のお話をいたしましたが、今日は東京古書会館のお話です。

17年前に建設された現在の会館は、設計者の考えとしては全面禁煙の建物になるはずでした。喫煙所や、喫煙に関する設備は採り入れられていません。

もちろん当時から全面禁煙建築は建ち始めていましたが、喫煙に対する規制は、今よりは緩やかでした。

世間と比較しても喫煙比率の高い当業界で、果たして受け入れられるだろうかという心配はありましたが、喫煙対応の建物とすると建築費が跳ね上がるという説明に、設計者の案を了承した経緯があります。

「はずでした」と申しましたのは、いざ建ってみると、やはり喫煙場所がないというのは愛煙家にとっては大きな問題で、何とかして欲しいという要望が強く、1階の駐車場(正確には荷捌き場)入り口付近、8階の屋外テラス部分を喫煙所とする苦肉の策が取られたのでした。

以来、時おり愛煙、嫌煙の双方から、拡大、廃止の要望が出されながら、月日が流れました。

そこへコロナによる休館です。会館を再開するに際して、いろいろな感染防止対策が取られた中で、喫煙所閉鎖もそのひとつとされました。

RIMG4520閉鎖から4か月。次第にあちこちにタバコの吸い殻が見つかるようになりました。ポイ捨てというわけではありませんが、空き缶などに山盛りになって発見されるのです。

防災上の観点から、8階の喫煙所が解禁されました。果たしてこれによって、どの程度、吸い殻の不正な投棄が減るでしょうか。

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