2021年10月

2021年10月31日

これからの目標

季節の歩みが年々不規則になっていくようですが、10月も終わろうという今日は、秋の深まりを感じさせる冷たい雨の一日となりました。

店主にとっては骨休めの雨といったところです。昨日までの慌ただしさを一旦リセット。あらためてこれからなすべきことを、帳場に座ってゆっくり思いめぐらせました。

まず何より手をつけなければならないのは、いつも同じことですが店内の整理です。水曜日には、売れ残った本が戻ってまいります。もしあれば、新たに仕入れた本と共に。

それらをひとまず納める場所が必要です。ひとまずと申しますのは希望的観測で、それが長きにわたる怖れなしとしません。

しかし今度こそ、本腰を入れて店内の整理に取りかからねば、行く末が案じられます。本当のところは行く末どころか、今日明日の問題でもあるのですが。

今年は店舗契約更新の年です。あと10年頑張ってみようと前の店から移転して、18年が過ぎるわけです。一向に余裕が出来ないため、リタイヤすることもままなりません。

DSC_0389出来ればこの先3年で「働かないで暮らせる」道を見つけたいものです。あるいは「少しだけ働けば暮らせる」というくらいのほうが、身心の健康のためには良いでしょうか。

などと言うと、今までだってそんなもんじゃないかと言われそうです。確かに、働きも稼ぎも大してなく今日まで来たのですから、このまま行けそうな気もするのですが、問題は身体だけは使わなければならないことです。

前言を少し修正して、「少しだけ動けば暮らせる」としておきましょう。

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2021年10月30日

ご来場に感謝

二つの願いのどうやら一つは叶いました。二日間の催事を終えて、会場の後片付けを済ませ、無事に家まで帰りつくことができたからです。

しかしまだ油断は禁物、明日になって床から起きだすことができるかどうか。コルセットを外した腰は、不気味に疼いております。

この週末はお天気に恵まれ、神保町も多くの人出がありました。とくに二日目の今日、昨年に続いて「神保町ブック・フリマ」が開催され、古書会館のすぐお隣にある白水社、さらにはお向かいの八木書店さんのビルにも人の列ができておりました。

DSC_0393そのおこぼれもあったでしょうか、一日中、「洋書まつり」会場へのご来客は途切れません。来場者にお願いしている「お名前・連絡先」の記帳者数も、初日である昨日をむしろ上回るほどの結果となりました。

二日間にご来場いただいた方は、記名数からみるだけでも延べ800名に迫ります。もっとも売り上げのほうは、二日目は初日の半分にも満たなかったのですが。

一昨年から参加いただいている日本洋書協会さん、昨年今年と開催が重なったブックフリマ。それらの相乗効果で「洋書まつり」そして古書会館の認知度が高まることは、業界にとっても意義のあることだと思います。

結局、ジョイス研究者による爆買いは夢と消えましたが、催し自体がいくらかでも業界広報の一助になっているとすれば、店主はそれをもって慰めとすることにいたします。

しかし来年こそは「神田古本まつり」も開催される中で、われらが「洋書まつり」を行いたいものだと思います。

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2021年10月29日

二つの願い

「洋書まつり」の初日です。お天気にも恵まれて、ご来客数は前年を上回り、一日忙しく作業に追われました。

おかげで明治古典会の月末特選市には、ほとんど顔も出せずじまい。午後4時前後、6階に上がった時、振り手の声がモニターを通して小さく聞こえただけでした。

地階の「洋書まつり」で目立ったのは、杖を利用されるお客様が増えたこと。逆に今年が初めてと思われますが、ベビーカーを押してのご来場が何件かあったこと。

前者はご常連客の高齢化によるもので、お顔なじみの方々が、年々齢を重ねられていることを思い知らされます。お客様もまた店主を見て、同じように感じられていることでしょう。DSC_0387

実は今日、店主はコルセット=腰痛ベルトをつけて一日過ごしました。何とか明日まで、腰を持たせるための算段です。

今年は前年に続いて会場に、お客様用のテーブルと椅子をご用意しませんでした。それに対する不満もお聞きしましたが、事情を説明してご了解いただきました。

一方で後者のベビーカーは、今回参加された「絵本の家」さんの告知が利いたものでした。それでなくとも他の即売展との客層の違いは、会場を覗いた同業者が一様に漏らす感想です。その多様性が、今回一段と増したわけです。

さて小店に関して言えば、初日はまったく振るいませんでした。ジョイスに関心を持つ方はほとんど来られなかったようです。

今の店主の願いは二つ。一つは明日、起死回生の僥倖(ジョイス研究者の大挙ご来場)がもたらされること。もう一つは、次第に怪しくなる腰の具合が、なんとか催事終了まで持ってくれることです。

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2021年10月28日

「洋書まつり」明日開催

このところ、ようやく治まりつつあった腰の痛みが、またぶり返しそうです。

さして重いものを運んだわけではありません。4枚の陳列台にカーゴ2台の本を並べるだけなのに、意外と腰に負担がかかる作業であることを、一年ぶりに思い出しました。

去年より台数も本の量も少ないのですが、年々体力がなくなっている証でしょう。

もっとも、それまでに会場内の陳列台を移動させたり、棚板を調節したりと、並べ始めるまでの作業のほうが、腰には悪かったかもしれません。

ともかくも午後5時頃までには、参加各店の陳列がほぼ終わり、後片付けやら掃除やらをしてから、管理課の職員さんに会場の扉を閉めてもらいました。

あとは明日を待つだけです。田村書店さんも昨日、自店の顧客リストを使って、DMを送信してくださったそうです。

DSC_0386閉める前、会場を見渡してみると、最初に目に入る景色は古書即売展らしくなく整然としています。今回は特に「日本洋書協会」から5社さんに参加いただいているからです。

また古い話を持ち出しますが、店主が「洋書まつり」に参加し始めた頃は、洋書協会さんの方がメインでした。もともと新刊輸入会社の在庫処分セールだったのです。

洋書といえば高いものだった時代に、年に一度のバーゲンセールは大人気でした。時移り、洋書事情も様変わりですが、一旦は参加店がゼロとなった洋書協会さんが、また参加していただけるようになったのは、古書店側にも、とてもありがたいことです。

どの店も、たくさん売れてくれることを願います。もちろん小店もですが。

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2021年10月27日

コロナ対策は継続

「洋書まつり」に出品する本を今朝、積み出しました。カーゴにして2台分ほどです。再三申し上げておりますとおり、その7割方はジェイムズ・ジョイス研究書。お知り合いにジョイス研究者がおられましたら、なにとぞお声掛けください。

さて、明日は午後から会場設営と商品陳列。ここ数日、その会場の作り方に頭を悩ましておりました。

会場に陳列台をレイアウトして、誰がどの場所というふうに割り当てていくのを「台割り」と呼んでおります。それをするためにはまず各自から、希望する陳列台数を知らせてもらわねばなりません。

総数が出た上で全体の配置を決め、順に割り当てていくのですが、会場の制約から一列に並ぶ台数には限りがあります。飛び地になったり、裏表になったりすると作業しにくいので、なるべく一面でならべられるように考慮します。

出来る限り過不足なく台数を使ってもらいたいので、間際まで、各店の出品量を尋ね調整を図ります。

KIMG1408ようやく全体の納まりがつき、ほっと一息したところで、昨年の会場写真を見て愕然としました。台のレイアウトが一昨年までと異なっていたことを、すっかり忘れていたのです。

昨年はコロナ対策もあって、それまで会場内に設置していたお客様用のテーブルと椅子を、出しませんでした。今年もマスク着用と検温、そして連絡先の記帳をお願いすることにしています。

会場配置も、やはり昨年同様とするのが妥当なところのようです。もう一度、配置を変更して、台割をし直すことになるのでしょうか。

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2021年10月26日

領収書への注文

今日が今月の洋書会当番最後の日。そして今月は班長だということは先週にも書いたとおりです。だから遅れないように努めてきたのですが、ついに今朝は15分ばかり遅刻をしてしまいました。

荷造りに手間取る注文品があったことも理由のひとつ。ほかにも、こまごまとした作業に思いのほか時間を要し、集合時間に間に合わないと判断してグループLINEに「30分遅れます」と上げておきました。

手間がかかった別の理由は、領収書の書式について指定されるご注文が多かったことです。

宛名を学校名にしてほしいというのは良くあることで、それだけなら特に面倒はありませんが、あるご注文では送料を分かるようにして欲しい、別のご注文では書名を入れてほしい(ちなみに小店はデフォルトで書名入り)。

これらは公費の立て替え払いが増えてきたことと関係しているでしょう。納品、請求書を出して、支払い日まで入金を待つよりは、小店としてもよほどありがたいことです。ですから、なるべく意に沿うように書式を整えています。

DSC_0384ただ時に、それとは逆に書名を入れないで欲しいとか、但し書きを空欄にして欲しいなどというご要望をいただくこともあります。

昔はもっと乱暴に、金額だけ入れた手書きの領収書が欲しいというご希望もありました。大した金額ではありませんからお求めに応じましたが、あまり良い気分はしませんでした。

いずれも経理上の操作に必要なのでしょうし、目くじらを立てるほどの金額でもないのですが、「適格請求書等保存方式」が導入されると、こうしたことは難しくなるのではと、よそ事ながら心配です。

水清ければ魚棲まず、とならなければよいのですが。

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2021年10月25日

駒場を歩く

何日か前に、また自転車がパンクしていることに気がつきました。毎日乗るわけではありませんから、分かるまでに日数がかかったのです。今度は後輪。

自転車屋さんまで持って行く時間がなかなか取れず、今朝はいつものかどやさんに、歩いてお昼のパンを買いに行きました。

歩くと、ふだん見逃しているものが目に入ってきます。ゴミの集積所に、整った文字で「ここにタバコを拾てないでください」と手書きされた貼り紙がありました。

よほどお困りなのだろうと同情しつつ、もう一度文面を見ると、文字が一つ間違っております。「捨」とすべきところが、「拾」となっていたのです。貼られてまだ間がないのかもしれません。

ポイ捨てタバコに迷惑している一人として、早く気づいて修正していただけることを願うものです。

その先へ進むと、もっか駒場の二大空き地のひとつ、郵政宿舎跡地がきれいに整地されて広がっています。

DSC_0383その向かいあたりには現在、数件の食べ物屋さんが軒を並べています。それぞれは小さな店ですが、いずれもユニーク。手作りシュークリームのIle Bigne(イル・ビニエ)、その隣がティラミスホームメイド、さらに隣には小店より古くからあるタコ焼きのみしま、一軒おいてtokyo pasta works

前の2軒はお持ち帰りのみ(のはず)。みしまは以前は中で食べることもできましたが、コロナ以降は持ち帰りのみのようです。パスタ屋さんは逆に緊急事態中、テイクアウトもやっておりましたが、今はどうでしょう。

みしま以外はまだ新しい店ですが、古本屋とは違って、跡地開発でお客さんの増加が期待できます。ぜひ続けて、駒場を盛り上げてもらいたいと思います。

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2021年10月24日

シェイクスピアの次

久しぶりにご来店になったオリリー先生。店の表でしばらく本を選ばれ、やがて10冊余りを両手で抱えて入ってこられました。

「もう少し見ます」とおっしゃって、今度は店内を。そのうち、積み上げてあるジョイス本に気がつかれました。

先生のご専門は中世宗教哲学あたりのはずですから、特に反応は示されないと思いきや、感嘆の声を上げて積まれた本をご覧になりはじめます。

上智大学で教えておられたころ、ジョイスの講義もされたとか。先生は日本語でお話しくださるのですが、マスク越しですから聞こえづらく、意味の取りにくいところもありました。ですから店主の聞き違いだったかもしれません。

RIMG4936とはいえ英語で話されたら、余計に聞き取れなかったことでしょう。それにしても熱心に山を崩しはじめられましたので、いささか焦りました。慌てて「洋書まつり」に出すために準備してある本だと説明したのです。

しかし意に介される様子はありません。時々鼻歌まじりでご覧になっています。よく考えれば先生もアイルランドの方、ご興味が無いわけはないでしょう。

ただし何年も前に学校を退職されてからは、昔のように大量買いはされません。今回も途中で我に帰られたようで、静かに本を山に戻されました。

帰りがけに「ジョイスの本はシェイクスピアの次にたくさん出ている」と教えてくださいました。それが事実かどうかはともかく、聞き違いはなかったはずです。

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2021年10月23日

ジョイス研究書

気温は低めですが昨日と違って良いお天気。土曜日ということもあり、店内にも割り合い頻繁にお客様が入ってこられます。

ただしこういう日は珍しそうに立ち寄られる方が多く、お買い上げ率は高くありません。

昼過ぎ、二人連れの外国人青年が、表から何やら声高に英語で話しながら店内に入ってきました。一人はよくお見掛けする顔。

そのお馴染みさんがポスターに目を止め「洋書まつり」と口にされました。日本語を話されることは存じていましたのに、文字を読まれたことに少し驚き、驚いたことをすぐさま反省しました。

「日本語会話が出来ることに驚かない人も、読み書きができるというと驚かれる」というようなことを、ドナルド・キーンさんがどこかに書いておられた気がします。店主も先入観にとらわれている一人でした。

店内に入ってきた二人のうち、新顔のお一人が棚をご覧になっている間、お馴染みさんはあたりを見回し、やがて積み上げてある本の山に興味を引かれたようで、背を見ながら読み上げます。

Joyce, Joyce, Joyce, Joyce, Joyce, Joyce...

RIMG4935積まれている本が、すべてジョイス関係の本であることに、驚き呆れた様子でした。そう、小店が「洋書まつり」で並べる予定の本です。じつはそこに積まれていたのは、まだ一部。

限られた方にしか必要なさそうなジョイス研究書が、今回小店のメイン商材ですから、研究者の方々においでいただけるかどうが鍵です。果たして情報が届くでしょうか。

「洋書まつり」まであと1週間を切りました。

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2021年10月22日

即売展の記帳

ダウンジャケットを着て出かけました。下はハイネックのシャツだけですから、井の頭線のホームで電車を待っていると、少し寒さを感じるほどでした。

それでも市場に着くと数人の同業から「防寒対策だね」とか「俺も迷ったんだよ」などと、声がかかります。いずれも店主より年長の方々。「無理せず暖かくして出かけましょう」とお返しいたしました。

今日の市はあまり大きな一口ものはなさそうでしたが、限定本や美術書などに、何件かまとまった口があったようです。珍しいところでは『マヴォ染色図案集』が、最終台の上に乗っていました。

大勢の同業が入れ代わり立ち代わり本に触れて見ておりましたので、店主が荷主なら、傷みはしないかと心配になるところです。しかし無事高値で落札され、ほっと安心。他人の出品物なのですが。

さて今日も市場の途中から、6階に上がって小会議。懸案の一つが、この先の古書会館での感染症予防対策です。これまで通り続けるのか、多少とも緩和するのか。

とりわけ入館時に行っている記名を、さらに継続するかどうかが問題になりました。

結論として、交換会の場合はいざとなれば来場者が把握できるので、一旦、打ち切りとする。ただし即売展については、いましばらく続けた方が良いだろう、となりました。後者については、保健所にも問い合わせて意見を伺った結果です。
RIMG4923
ということで、さしあたり来週開かれる「洋書まつり」の際にも、ご来場者に昨年同様、お名前と連絡先を記帳いただくことになるわけです。

昨年は、思いのほか気持ちよくご協力いただきました。対策の緩和が進む中、今年も同じようにご協力を得られるでしょうか。

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12月31日から1月3日まで
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