2022年06月

2022年06月30日

危険な暑さ

ほぼ毎朝、わが家人は店主の車に同乗して店に参ります。

店を開けるのと、受注品の荷造り発送準備と、そのほか思いつく仕事をして午前中を過ごし、火曜日と金曜日は、店主が出かけてからアルバイトのχ君が来るまで店番。

他の曜日は、お昼に店主が裏で食事を済ませるまで、店番をいたします。

DSC_0942平均すると午後2時ころには仕事を上がり、それからは「兼業主婦」として食料品などの買い物をしながら家に戻り、夕食の支度に取り掛かるというのがルーティンです。

今日、木曜日は、店主が店に居ることも多いのですが、χ君の出勤日でもあります。普通なら店主の食事が済むのを待って、家人は早めに帰るのですが、今日はχ君が出勤してくるのを待ちました。

あまりの暑さに危険を感じ、店主が車を出して、家人の買い物に付き合い、家まで送ることにしたのです。

そもそも店主が車で通勤しているのは、我が家が最寄駅から遠く、バスの便も決してよくないからです。そのうえ家人はバス嫌い。こんな日でも一人なら、おそらく駅まで20分以上を歩くことでしょう。

素直に店主の提案を受け入れて、車で買い物に出かけたのは午後1時半。まず車内が高温になっていたのに閉口しましたが、外気温44℃という表示にびっくり。

走っているうちに40℃まで下がりましたが、家に送り届けて店に戻るまで、ついにそれより下がることはありませんでした。

こんな日でもお客様は来られます。ありがたいことです。しかしネットの注文がパタリと止まっております。暑さのせいでしょうか。

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2022年06月29日

むなしく見送る

DSC_0937今日も35℃を超えて猛暑日になりました。その一番暑い時間帯です、組合ルート便が本を届けてくれたのは。

明治古典会で落札した2点、東京洋書会で落札した、こちらも2点。冊数にすると約130冊、といったところでしょうか。

荷物は荷台から降ろしてもらうだけで、あとはこちらでやるからと、早々に涼しい(であろう)運転席に戻るようお願いしました。

店の中に運び込んで本に触れると、なんとなく温まっているようです。トラックの荷室も、かなり高い温度になっていたのでしょう。

店の表で日に当たっている均一本は、さらに熱くなっていると思われます。持ってこられる方はおろか、立ち止まってご覧になっている方もおられません。

涼しい店内で、本の整理にかかりました。あとから知ったのですが、この4点はすべて同じ荷主さんが、ひとところから引き取ってきた一口物の一部でした。

そう聞いて納得したのですが、明古で買ったのはシェイクスピア関係と音楽関係。洋書会には英文学関係と音楽関係の洋書が、大量に出ておりました。

少しは仕分けも手伝って、音楽書には魅力も感じたのですが、何しろあまりに量が多い。細かく仕分けている時間もなく大山にし、そのため札を入れるのもあきらめました。

もし広い保管場所があれば、もし腰の具合がもう少し良ければと、切ない思いで見送ったのでした。

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2022年06月28日

初めての会食

1期2年の理事会の任期も余すところあと2か月。通例なら年に3〜4回は、仲間と酒食を共にする機会があるのですが、今期に関しては、これまでまったくそれがありませんでした。

例えば全古書連の総会、理事会などでは、会議を終えた後に懇親会が持たれます。他組合との親交を深めるのが主な目的ですが、仲間同士が打ち解けるうえでも有用です。

もっと直接的には年末の忘年会があります。これは店主の知る限り、ほとんど恒例となって続いてきました。ボランティアに等しい理事業務に対する、ささやかなご褒美ともいえるものです。

ところが前期半ばから続くコロナ禍の影響で、こうした行事がことごとく中止、見合わせとなってしまいました。

そうしたなか、さまざまな規制が少しずつ解除されつつある昨今の情勢を見て、何とか任期中に一度は会食の場を持とうと計画し、それが今日ようやくかなえられたのです。

会場は赤坂維新號本店。ウェブでも高級として紹介される中華料理店で、店主など自腹では、まず行ける店ではありません。それでもこの2年間のお預けに対する埋め合わせとして考えれば、許される範囲だと思います。

午後6時の予約に、10分前には全員集合。早速乾杯して食事と歓談が始まりましたが、今日初めて知ったのは出席者全員、お酒が飲めること。下戸はいません。

ishin店主も今日ばかりは車を家に置いてきましたから、幸い仲間外れにならずに済みました。紹興酒と、おいしい料理を充分にいただき、飲み過ぎはしませんでしたが、いくらか食べ過ぎたようです。

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2022年06月27日

マージナリア

例によって拾い読み。鶴見俊輔対談集『未来におきたいものは』(晶文社、2002年)の最初におかれているのは大江健三郎さんとの対談で、「『揺すぶり読み』の力」というタイトルが付いています。

そこで「マージナリア」について、語られていました。いわゆる「欄外の書き込み」です。

大江さんご自身も書き込みをされること、武満徹は「いろいろな本のページにとてもきれいな文字で書きこんでいく人」だったこと、夏目漱石、柳宗悦などの書入れについても話題とされています。

面白い対談で、他も読みたくなりましたが、後はまた機会があれば(売れずに残っていれば)といたします。

ところで、読んでいて思い出したのは、鶴見俊輔旧蔵本のことです。もう20年も前に市場で手に入れたのですが、店の奥にしまい込んだままでした。

全部ではなく、一部の本に記名と書入れがあり、まだご存命でしたから差し障りがあってはと、それらだけ残しておいたものです。

DSC_0939特別の価値が付くかも、などと想像したわけではありません。それでも今なら、旧蔵本として売ることもできそうです。

今日あらためて奥から引っ張り出してみました。一番古い入手年が記されているのは1939年のRousseau. Social Contract. Everyman's Library. で、傍線、横線、欄外書入れが多数。

興味を持つ人がおられるでしょうか。

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2022年06月26日

駅南口古本屋

昨日、今日と、最高気温が35℃前後という日が続きました。明日もまた同様らしい。

「猛暑は土砂降りと同じ」というのが、長年店をやってきて実感するところです。外に出ようというだけで決意が要ります。まして本屋に行ってみようなどという気には、店主ならなりません。

そう考えると、こんな日にもお立ち寄りくださるお客様がいらっしゃるのは、それだけでありがたいことです。

幸いなことに、今のところ小店のエアコンは快調で、むしろ効きすぎるくらい。ドアを半開きにして冷房をかけているのですが、帳場に座って作業していると足元が冷えてきます。我慢しきれなくて時々切るのですが、しばらくするとやはり暑くなり、またスイッチを入れることに。

それでも冷やしてくれるだけで充分。微妙な調整を求めるには、年季の入り過ぎた空調機です。シーズンを乗り切ってもらうことが最重要課題ですから、だましだまし使っていくつもりです。

入荷した文庫の一冊を何の気なしに開いたら、「古本」の文字が目に飛び込んできました。『夢声戦中日記』(中公文庫、2015年)第281頁。

musei駅南口古本屋デ、「人生日録」「鶏・蜘蛛・蜜蜂」「ムッソリニ全集」第九巻「失敗者の言」「ホトトギス雑詠集」春ノ巻1ヲ買ウ。

昭和19年3月29日のこと。この「駅南口」というのが、どこの駅か書かれておりません。すぐ前に、ある人の家を訪ねたとありますので、訪問先の駅かと思いましたが、省略してあるのは自宅近くの駅だからでしょう。

となると荻窪駅。その頃、南口にあった古本屋さん。調べてみたくなりました。

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2022年06月25日

くじ運が良い?

hagaki2一通のハガキが届きました。調査期限は「6月末日」なので、まだならよろしく、という意味のことが慇懃な口調で書かれてあります。

思い出して届いていた封筒を取り出し、あらためて説明文を読むと、この調査は「我が国の事業所の約4割(約200万事業所)を占める個人経営事業所(個人企業)の経営の実態を調査し、各種行政施策の基礎資料を得ることを目的として、毎年、実施しています」とのこと。

futohしかし「全国すべての個人企業について調査を行うには、多くの費用と時間と人手が必要となります。そこで、この調査では、統計理論に基づき、全国から、コンピュータによって、無作為に約40,000事業所を選び、調べることによって、日本全体の姿を推計する方法を取っています」とも。

なるほどそれで毎年届くわけでないことが分かりました。前回届いたのは、調べてみると一昨年のことです。

小店はまもなく創業40年ですから、確率から言えば1回くらいは調査対象となるのも仕方ありません。ただし平成18年までは調査対象は4,000事業所だったと言います。とするとやはり、かなりくじ運が良いと言わねばなりません。

何しろ信用度が著しく落ちている日本の統計です。店主はうそ偽りのないところをネットで回答いたしました。

問いの18「事業経営上の問題点」では、一つだけ選べという「大きな問題点」「需要の停滞(売り上げの停滞・減少)」にマークしました。手書きなら思い切り濃く塗りつぶしたところです。

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2022年06月24日

明古の年度末

明治古典会の一年が終わりました。今日は6月最終金曜日で特選市。

出品量の低迷が気になる一年でしたが、今日はさすがに締めくくりの市らしく、4階にも多くの本が並びました。

明古では比較的白っぽい本や、数十冊さらには数百冊といった本口が、この4階に並べられます。つまり総じて、1冊当たりの価格の安い本が中心です。

DSC_0934一方3階は、いわゆる明古らしい、黒っぽいものが並べられるわけですが、店主はめったに、この3階で入札の機会がありません。その意味でも明古落第生と思っております。

それでも今日は、4階で2点落札することができました。音楽関係の本口のなかに、気になる本が何冊かあって、札を入れたのでした。入札したすべてが落札できたわけではありませんが、何かしら得られただけで上首尾です。

3階では、台湾関係資料の一口ものに注目が集まり、多くの業者が興味を示し、どの封筒も膨らんで、高い落札価格の発声が続きました。

店主などには、なぜそうした資料に人気が集まるのか、ましてや、どのようなところがそれを購入するかなど皆目分からず、ただ感心して発声を聴くばかりでした。

まだしもフリで競られた戦前児童雑誌に高値が付いたことの方が、納得がいきます。さらには、全く気に留めていなかった大正期の画家書簡が、やはり緊迫した競り合いになったことも。

しかもその台湾関係、なかでも一番の目玉と見られていた資料は、止め高で荷主に引かれてしまいました。たまたま店主はその札改めをいたしましたので、止めの高さにも、またすぐその近くまで札が迫っていたことにも驚かされたのでした。

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2022年06月23日

つい拾い読み

店を開けてすぐ、宅買いに出かけました。ごくご近所、車なら5分程度のところです。しかもこれまでに何度も伺っていますから、お客様の方でも慣れたもの。

段ボール6箱を、店主が到着する前に、マンションの玄関前までカートに乗せて運び出してくださっていました。こちらはそれを車に積み込んで帰るだけ。

今回はコロナ禍の影響で間が空きましたが、お客様の方では、こんな時期なので買い取りを手控えているのではないかと、遠慮されていたそうです。

「文庫が中心です」と申し訳なさそうにおっしゃるので、大変ありがたいと強調して引き取ってまいりました。

開けてみるとお話の通り、6箱のうち4箱分が文庫、それも店内の棚に並べるような固めのものが多く、文庫担当の家人はホクホク顔。早速整理をしておりました。

このお客様のお譲りくださる本の特徴は、いわゆる本好きの方が読まれるものであること。ひととおり値踏みしたあと、つい気を惹かれて何冊か拾い読みしたりして、次の仕事になかなか取り掛かれないのが困りものです。

tokyo川本三郎『東京つれづれ草』(三省堂)は奥付を確かめると1995年の刊。冒頭に「古書街いまむかし」という一篇があり、その初出は岩波書店『図書』93年7月とありました。

「神保町界隈は、表面的には激変している」「古本屋街は、実はそれほど昔と変わっていない」ということを、いくつかの事例を引いて綴られた文章です。

しかし今読むと、それも昔語りとなってしまったことを認めざるを得ません。

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2022年06月22日

多様な意見

DSC_0921国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」提供開始に伴い、『古書月報』6月号で、問われるままに個人的な意見を述べました。

ざっくり言えば、これまでに直面してきた様々な困難と比べた時、これが取り立てて大きな脅威になるとは思えないという趣旨です。

読まれた同業からは、概ね肯定的な感想をいただきましたが、やはりこの業界、多種多様です。ある先輩から、考えが足りぬという、厳しいご指摘をいただきました。

口頭でいただいたのではなく文書で、それも次の『月報』への掲載を希望する形でです。先輩の了解を得て、その文章を読ませていただきました。

A4版3枚という長さは先輩の思いの強さを表していて、なによりその熱意に頭が下がります。

そもそも今回のデジタル化は、著作権法を捻じ曲げることによって成立したもので、実に許しがたい暴挙だ——というのが先輩のご意見で、そのことは店主も以前から承知しておりました。

いわばそうした意見を、無視したもののように受け取られたのかもしれません。しかし大方の古書業者は、著作権問題をさほど身近なものとは捉えられないことでしょう。

その点でも貴重なご意見ですから、何とか次の号に掲載できるようにしたいと考えています。

ただしA4版3枚は、思いに任せて書かれたようにも見受けられ、読む者の理解が追い付かないところがあります。

正直にそう申し上げ、分かりやすく書き改めていただくための場を持つことで、話がまとまりました。

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2022年06月21日

洋書会の日本書

今日も洋書会は、出品全体の半分以上が日本書でした。前回、洋書の出品は数点。9割方が日本書でしたから、それよりは洋書会らしさが戻ってきたといえます。

前回にせよ、今回にせよ、こうした日本書は洋書会の会員が引き受けてきた口です。このところ、どの店も買い取りが増えているように見受けられ、各交換会とも出品量の増加が目立ちます。

わが洋書会には伝統ある老舗が多く、お客様からのご依頼が絶えないようです。

DSC_0919あまりに大量の場合、洋書会では捌き切れないかもしれませんが、カーゴ10台程度までなら全員集合をかければ、会で何とか処理できます。今日もその集合がかかっておりました。

ただし全員ではなく「都合のつく方」という呼びかけ。それに対し、会のLINEに次々と参加表明がありましたので、都合のつかない店主はパスさせてもらい、昼前になってから市場に向かったのでした。

日本書は、日本現代文学編集者旧蔵書と案内されておりましたが、出品物の中に手掛かりがあり、著名な女性編集者のものであることが分かりました。

となると気になるのは、縁の深かった小説家などの署名本が混じっているのではないかということ。

しかし聞くところによると、未だ差し障りがあるとかで、それらは今回、処分するに際して、周到に除外されたようです。店主も念のため、2、3の文芸書を手に取って開いてみましたが、署名は見つかりませんでした。

一方で、全集類などを含め、編集者本人の書入れ本は多かったらしく、出品封筒にそのような注意書きがなされたこともあってか、札の入りが今一つ。思いのほか安値で落札されておりました。

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12月31日から1月3日まで
休業いたします
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河野書店

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