2009年01月23日

『羊の歌』

店から古書会館までの行き帰りは貴重な読書タイムです。
片道およそ35分のうち、電車に乗っているのは20分ほど。
往復約40分ですが、集中できる時間はさらに限られるので
一冊の本を読みとおすのに、何日もかかるのは当たり前です。
しかしこの本は、読み通すまでに40年の歳月を要しました。

学生の頃、何度か手にしては途中でやめ、ついにそのまま
断念した形となっていたのですが、先頃の著者の訃に接し
再び読んでみる気になったものです。
かつてあれほどつかえて前に進まなかったものが、今回は
思いのほか面白く読み終えることができました。

30年の間に、こちらの内面が変化したこともあるのでしょうが
もっと大きな違いは、生活の場が現在の地に移ったことです。
この本で描かれている舞台は、渋谷金王町から始まり
駒場寮など、かなり多くが渋谷、つまりは河野書店周辺。
とても身近な感覚で読めました。

生前、一度だけ、といってももう10年以上前のことですが
銀座線の車内でご当人の姿をお見かけしました。
静かに一人で掛けておられた加藤周一さんの姿を思い出します。

今日は明治古典会、店に戻るのは閉店後になります。



konoinfo at 16:25│Comments(0)TrackBack(0)

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