2009年07月21日

ヘルムアフロディトス

昼前から雨。気温低めながらエアコンが効きにくく、かえって店内は蒸し暑い。

『古代の臍』(児島喜久雄・岩波書店)という本が目に留まったのは、そのタイトルに惹かれてではなく、著者が、ついこの間ここで取り上げたばかりの人だったからです。

いつものように本の整理をしていてのことですが、先日とは別の口、つまり別の機会に手に入れたものです。1983年第二刷、初版が1956年となっていますから、27年後の重版。どんな需要があってのことでしょうか。

中を開いてすぐに「ヘルムアフロディトス」という見出しが目につきました。本著はいわば遺文集で、中でもこの一篇は、それまで未発表であったというものです。

冒頭の解説に、細川護立氏邸での内輪の集まりにおける口演筆記とあり、会話調で分かりやすく話が進みます。細川侯爵が外国のオークションで手に入れたという小さな立像を場において、気楽に薀蓄を傾けている様子が目に浮かぶようです。

内容についてはお読みいただくとして、感心したのはその小さな集まりに、筆記者、おそらくは速記者がいたのだろうということ。それやこれや考え合わせると、今時のセレブとの、スケールの違いが分かります。

ところでこの本、後から気がついたのですが、以前から初版本を在庫しておりました。

konoinfo at 20:32│Comments(0)TrackBack(0)

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