2009年09月27日

アレになっちゃう

青山通りの一等地に昔、一軒の古本屋さんが有りました。バブル前でもすでに、営業しているのかどうか分からないようなお店でしたが。

角地にある古びたビル(3、4階建てだったでしょうか)の一階の引き戸がたまに開いていると、床から天井まで本が積み上げられて、人一人通れるかどうかの隙間が奥へ通じているらしい様子が、車で通り過ぎる時などに見て取れました。

バブルが過ぎ去ってもしばらくの間、取り残されたようにその建物は残っておりましたが、やがてある時、その店の本が市場に出てきました。聞けば跡継ぎがなく、当主の没後、施設に入っていた夫人も亡くなったことで、縁者が相続することになったとか。

いまでは建物の跡形もなくなっていますが、あの本の壁と薄暗い通路は、まるで古本屋の白色矮星とでも言うべき、終末の姿として時折り思い出すことが有ります。

うっかりしていると、そんなことになってしまうのではないか。次第に通路の隅、本棚の前に積まれていく本を見ていて、密かに恐れるのです。

今日も二軒宅買い。この一週間ほどで、店にはざっと見積もっても2000冊以上の本が入ってきた勘定です。処理能力をフル稼働して、何とかあの姿だけは避けなくては。

konoinfo at 17:45│Comments(0)TrackBack(0)

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