2009年11月01日

お持込み

「日本古典文学全集」と「大漢和辞典」があるのですが、買ってもらえますか、というお尋ねがありました。随分前のことです。

どんなお答えをしたのかも忘れていましたが、昨日になって「今からもって行きます」というお電話がありました。

いずれも基本図書中の基本図書。とりわけ大漢和は、我が国の出版史上にも特筆されるべき出版物です。

片や菊判51冊、もう一方も縮写版とはいえA5判13冊で、各冊が並みの本の2冊分以上の厚さ。このいずれも、セット価格の下落振りは目を覆いたくなるほど。

古典全集については、その後、一部が判型を変えて出されたうえ、近年になって新編が出版され、ほぼその役割を終えました。大漢和は修訂第二版が平成に入って刊行されたことで、元版は、かつて出回った台湾海賊版より安価なものとなりました。

電話からしばらくあって店の前に車が着き、大振りの段ボール箱が何箱か下ろされました。つけた値段は、本に対して申し訳ないようなもの。しかしもとより値段には拘っておられません。捨てるに忍びないというお気持ちからでした。

かくて出版界の良心64冊が、うずたかく残されたのです。

konoinfo at 17:17│Comments(0)TrackBack(0)

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