2009年12月19日

『あさきゆめみし』

きっと誰かの目に留まるはず、と思っていた本に注文が入るのは嬉しいものです。

今では画家としてもかなり著名となった牧野義雄の最後の著作が、この本。「暮しの手帖」社から氏の没年、1956年に刊行されています。

小店の本は函もなく、全体にヤケクスミが見られる一冊ですが、あまり手に入らない本ですから、2000円としておきました。

20年以上前は、英国で出された画文集も、ときどき洋書会の市場などに出て、安く買うことができたものです。まだ我が国では、それほど注目されていなかったからでしょう。

漱石の研究者などが、比較的早い時期から着目していたようです。たまたま小店で同書を手に入れたお客様が、以後、何度もご来店になり、「あれから入りませんか」とお尋ねになっていたのを思い出します。

その後瞬く間にMarkino(この表記が、最初から気になっていました)の本は高騰。たまに見かけても、すでに美術書を扱う業者も着目するようになっていて、小店あたりでは手が届きません。近年になって、次々に翻訳書も出版されました。

今回の本、入荷した時に少しだけ拾い読みし、その文体にも表れているユニークな人柄に、一度は読んでおきたいと思っていたのですが、その暇もなくご注文をいただいてしまいました。嬉しいけれど、ちょっと淋しい気もします。

konoinfo at 17:05│Comments(0)TrackBack(0)

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