2010年03月29日

パリにもない

今日も冬の寒さ。照ったり、降ったり。

未整理の本が店内のそこかしこに積まれていることは、たびたび申し上げるとおりです。

時折その中から抜き出して、帳場にお持ちになるお客様がいらっしゃいます。店主がいても、すぐには値を付けられない場合も多いのですが、今回は留守中のこと。改めてご来店になるというのが昨日でした。

休日とて午後6時に店を閉めた後、扉を叩く音がします。閉店時間を知りませんでしたと、焦った様子で用件を告げられました。

お取り置きしてあった本は Henri Mondor, L'affaire du Parnasse (Paris: 1951) という一冊。留学先のパリから一時帰国中で、すぐ戻るため、当分は来店できない。ぜひ値段を付けて欲しいということでした。

この本、良い紙を使ったアンカット装で1000部限定、3000円ほどの値付ける筈のものでした。ところが扉を開くと、タイトルに大きな学校印。それで落胆し、放置していたのです。

改めて確かめると、扉の裏には個人研究費印のほかに、個人名が記入されています。著名な仏文学者。個研費購入図書の場合、本屋に売ることを表立っては「認めていない」ようですが、消耗品として適宜廃棄することは認められています。

したがって本書をお売りすること自体に違法性はありません。しかし商品価値は当然下がります。以上を説明して500円と値を告げると、若きマラルメ研究者は、喜んで買っていかれました。

「この手の古い本は今、フランスでも手に入れにくいんです」という言葉を残して。

konoinfo at 17:55│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

Profile