2010年06月24日

『量子力学の進歩』

初めに手にしたのは「第2輯」です。「2」とある以上「1」があるはずだと、軽い気持ちで除けておきました。この春、大量に買い入れた口を整理していたときの話です。

この口の整理には随分時間がかかり、実を言うと未だ完全には整理が終わっていません。しかしある日、「第1輯」が顔を出しました。

その二冊だけしか出版されなかったことは、すでに調べてあります。これでデータに取れると勇んで辺りを見回すと、今度は「第2輯」がどこかへ雲隠れ。あちこち探したのですが見つかりません。日が経つにつれ、次第に自信もなくなってきました。別々の本だったのではないかなどと。

ところが今日、他の本を探すため、積み上げた山を移動している最中に、ひょっこり「2」が出てきました。晴れて夫婦に。

RIMG0192第1輯が昭和19年、第2輯が昭和22年。どちらにも短い序文が着いていますが、この激動の時代に至極淡々としたもの。毎年出す予定が、諸般の事情で遅れました、という程度。

世に学者の浮世離れということがありますが、その学問内容は、むしろ時局に最も深く関わっていたはず。なにしろあの仁科さんの監修です。だからこそ続けられもしたのでしょう。

それだけに、この二冊の佇まいの静けさに、かえって戦時下の科学者の複雑な境遇を推し量ったりしてしまうのでした。

konoinfo at 19:54│Comments(0)TrackBack(0)

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