2011年01月15日

冷泉家の思い出

栃折さんの本を、まだ読み継いでいます。仕事の合間の息抜きや、乗り物の中での短時間読書で、しかも複数の本を読み差していますから、一冊がなかなか読み了えられません。

その中で今日たまたま、冷泉家の古文書について書いた文にぶつかりました。時雨亭文庫が公開されるというニュースに寄せての短文です。日付が1980年6月8日と、入っています。

実は先日、NHKのBSアーカイブス名作選で『京都冷泉家の八百年』を見ました。TVのスイッチを入れると歌会の様子が写り、何かも分からぬまま見ていて、あとからそれと知ったのです。

その番組でいくつかの知識を得ました。現在のご当主は、入り婿さんであること。先代もやはり入り婿さんであったこと。

それは先代の当主たるべき人が、三十歳を過ぎて太平洋戦争に二等兵として召集され、戦死された結果、妹さんが家を継ぐことになったからであったこと。

改めて、時代の狂気ということについて考えさせられました。

この冷泉家には、個人的な思い出があります。文庫公開よりさらに十年ばかり前、店主はこの冷泉家に隣接する大学の学生でした。もちろん当時のこととて「名ばかり学生」、勉強らしいことは殆どしませんでしたが。

まだ入学して日も浅い頃、先輩にキャンパスを案内され、古びた家に続く一角に来た時、ここには「怖いおばはんが居るから」みだりに入り込まないようにと注意を受けました。

今なら「おばはん」の気持ちが良く分かります。「猫に小判」の学生たちがうろつくのを見れば、水をかけてでも追い払いたくなったことでしょう。

konoinfo at 18:02│Comments(0)TrackBack(0)

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