2011年01月29日

問い続ける

重い本を読み通しました。野中広務と辛淑玉の対談による『差別と日本人』(角川oneテーマ21、2009)です。

テーマである「差別」については、簡単に感想を述べることなど出来ません。ただ終始、二人の強靭な「個」に圧倒される思いでした。とりわけ「個」であることによる「孤」を認め合う終章には、心を動かされました。

この本は、先日話題にしたフランス人男性(ある外資系出版社のCEO)がお持込になった中にあった一冊。明らかに読まれた形跡がありましたから、どんな感想を持たれたか、機会があれば伺ってみたいものです。

その時一緒にお持ちいただいた本のうち、日本の現代思想を紹介したフランス書二冊が、今日売れました。

お買い上げになったのはカナダから来られたインド系アメリカ人で、日本の近現代思想、なかでもマルクス主義思想について研究されている方。竹内好の著作をお探しで「今は梯明秀を読んでいます」とか。

幾つもの言語が分かることを羨むと「ポストコロニアルを体現しているようなものです」と返されました。

お買い上げの一冊はEsprit誌の日本特集(1973年)で、目次に並ぶ筆者の何人かについて質問を受けました。阿部良雄、京極純一、西川潤…、それぞれフランス文学者、政治学者、経済学者などとお答えしながら、頭に浮かんだのはあの言葉です。

Que sais-je? 私は一体何を知っているというのだろう。

konoinfo at 17:56│Comments(0)TrackBack(0)

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