2011年02月20日

値は態を表す

「『日本の古本屋』で見たのですが」と前置きして、「状態を確かめたいので、直接お店に来てしまいました」と、店主よりお年上の男性客。

お尋ねの本は『希臘神話』(ヂェームス, ボールドヰン原著 ; 杉谷代水譯補、冨山房、明治42年)なる一冊です。

店の裏から出してきてお手渡しすると「痛んだり、汚れたりした本が多いものですから」そうおっしゃって、しばらくお確かめになっていました。

やがてお眼鏡に適ったらしく「これはいただきます」。その後、店の中をご覧になりながら、ご自身の古書蒐集にまつわるエピソードを、あれこれお話しくださいました。

そのお話はともかく、今回お求めいただいた本を後から検索してみると、小店の価格は、刊年の同じ物が5点出ている中で、二番目に高い値がついておりました。ちなみに最安値は半額、最高値は倍額。

安いほうから順に調べて回られたとは思えません。それでも、購入者の目で見て、価格と状態との折り合いに、及第点をいただいたということになります。

じつはネットで本を売るとき、一番難しいのがこのあたりの呼吸です。昔から古本は、付いている値段が最大の情報であるべきだと言われてきました。他に比して良い値なのは、めったにない美本だから、といった具合に。

それをいちいち文章で説明するのは、野暮なことのようにも思われていました。

しかし今回のようなケースは稀なことです。ネット時代は、饒舌が求められる時代でもあるかのようです。ひたすら安値に流れる傾向を押し留めるのは、容易なことではありません。

konoinfo at 18:27│Comments(0)TrackBack(0)

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