2011年09月02日

自筆物という商品

今年の七夕大入札会にも、例年のように何十点かの作家書簡が出品されましたが、その中に、「誤って流出したもので、買い戻したい」という要請を受けたものがあります。

その書簡の受取人(あるいはそのご家族)からのご連絡で、つまりはもともとの持ち主ですから、無下には出来ません。誰の手に渡ったかを調べると、幸いにもまだ落札した書店が保有していることが分かりました。

価格面でも話し合いがつき、書簡はどうやらその宛名の主のところに戻ることになりそうです。

RIMG0068今回の場合、元来の所有者自身が、その流失についての責任をお感じになっておられたことが、速やかな解決に繋がりました。しかし、いつもそうとは限りません。

こうした自筆物が市場に出る経緯、理由は千差万別です。買い取る側は、もちろんその売主が正当な所有者であると信じて買うわけですが、時に複雑な事情が絡んでいたりします。

どこかの段階で不正な譲渡が介在していると、一気に解決が難しくなり、批難の矛先が我々の業界に向かうことさえあります。

そうした自筆物を商品として扱うこと自体に批判的な意見も聞きますが、歴史的に見れば貴重な資料となる場合も少なくありません。誇りを持って、正当に取り扱いたいものです。

とはいえ小店には殆ど縁のないものですが。

大きな傘を持って明古に。結局一度もさすことなく、持って帰りました。ツイているのかいないのか。

konoinfo at 21:50│Comments(0)TrackBack(0)

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