2011年12月01日

若者の仕事

RIMG0635寒くて暗い雨の日に、こういう話をするのもなんですが、先日の洋書会で、どうも店売りが芳しくないと、同業がボヤいておりました。

中央線の駅前店。同じ駅前といっても小店とは、駅の規模も、店の規模も桁違いの店です。

最近では、ネット販売の比率が4割程度にまでなっているとか。ネットが伸びているという面もあるのでしょうが、店舗販売の落ち込みをカバーするまでには至らないらしい。

他人事ではありません。店舗の不振はご同様ながら、ネットの伸びという点が、当方には欠けています。なんだ、こちらの方が深刻じゃないかと、伺いながら思ったことでした。

話には続きがあって、そのネットも最近は頭打ちなのに、同店から独立した若い業者が、ネットを専業にして、好調に売上を伸ばしているようだというのです。

確かに「日本の古本屋」を検索していると、彼の店名を良く見かけます。どの程度の数出しているかは分かりませんが、目立つのはその安さ。

安値競争となると、若くて、経験の浅い方が有利。何しろ、安く仕入れたら安く売ればいい。そこへ行くと古参の本屋は、過去の在庫も邪魔をします。

店舗を持たず、人を使っていなければ、掛かりもずっと少ないはず。それに何より、体力が違う。数でこなすことが出来ます。

もちろんそれだけではありません。新しい売れ筋を見つけ出す感覚も、優れているようです。

地方組合で加入を希望する若者に、役員が「先に見込みがないよ」と話したところ、「こんな可能性のある業界はないと思います」と切り返された、という話が、先の秋季理事会で披露されたのを思い出しました。

konoinfo at 19:30│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by シロ   2011年12月02日 16:58
安値販売は、もちろん消費者はよろこびますが、いずれ自分の首を絞めることになることを認識すべきと考えます。承知しているところでは、ネット上で、以前、ブックオフ並みの安値提供をされていたところも(組合員さんです)最近徐々に妥当な値付けに戻ってきているようです。しかし、この安値販売の繰り返しが続くことにより消費者の相場感はますます低下し、いつしか安値が相場になってしまいます。いかにネット上とはいえ、目先の売り上げにとらわれず、じっくり腰を据えて販売していくのが古書業者の進む道であり、そこに経験豊かな古書業者の存在感が生じるのではないでしょうか。何より、あまりの安値は本がかわいそうです。
2. Posted by 店主   2011年12月04日 17:10
コメント有難うございます。なんとお返事したものか悩んでおりました。
安売り競争に未来がないことは、業者なら誰しも感じていると思います。
しかし基盤を持たない若者などが、そこに活路を見出すことを、一概に規制することも出来ません。
どこに業界の未来を見出すか、多くのご意見を伺いたいところです。

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