2012年03月17日

あるドイツ文学者の試み

agaton緑色のビニール装。ハンドブックか辞典の類かと見ると、ドイツ文学の翻訳書。不思議に思って奥付を見ました。

下段の刊記部分には『アガトン物語』というタイトルと、発行年月日2002年5月1日、発行所ty-libraryなど。上段に「訳者略歴」と、「デジタルページ案内」が記されています。

これによれば訳者自身が入力し、ファイルを作成したようです。ちなみに2000年3月10日が初版作成日。

ますます興味を感じて、案内にある「デジタルページ」を見てみました(発行所名で検索できます)。トップページの文言をそのまま紹介しましょう。

ドイツ語・ドイツ文学の研究と教育に長年たずさわってきました。
その間に生まれた業績のいくつかを、この書庫 "ty-library"
に収めてあります。また、新しく書き加えたものもあります。

これからは万事デジタルの時代になるでしょう。学術情報もその
例外ではありません。情報の自由化、共有性は、飛躍的に促進
されるでしょう。


そう考えた訳者、義則孝夫先生は、ご自身の訳業を、ご自身のHPから提供しようという試みに踏み切りました。A5判703頁という長篇です。ちなみに先生1926年のお生まれ。

「あとがき」によれば本書は、先生のライフワークともいえるお仕事で、記念として目に見える形に残しておくため、私家版として小部数(120部)発行されたものだとか。

本のあり方について、改めて考えさせられました。

朝から雨の土曜日、店の方は、あがったりです。

konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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