2012年05月26日

リトル・スティーヴィー・ワンダー

『人を動かす』(D.カーネギー)を拾い読みした話の続きです。

白状しますと、長い間、本書を「松下幸之助語録」(というタイトルの本はありませんが)のようなものだと思っておりました。それはあの「カーネギー・ホール」のアンドルー・カーネギーと、著者とを混同していたからです。

あとがきを読んで、その誤りに気づきました。

もうひとつ知ったこと。第一部・第二章「重要感を持たせる」で紹介されているエピソード。「心からの賞賛で一人の人生が変わる話」から。

何年も前、デトロイトのある学校の女先生が、授業中に逃げた実験用のねずみを、スティーヴィー・モリスという少年に頼んで、探し出してもらった。この先生がスティーヴィーにそれを頼んだのは、彼は、目は不自由だが、その代わりにすばらしく鋭敏な耳を天から与えられていることを知っていたからである。すばらしい耳の持ち主だと認められたのは、スティーヴィーとしては生まれて初めてのことだった。スティーヴィーの言によれば、実にその時――自分の持つ能力を先生が認めてくれたその時に、新しい人生が始まった。それ以来、彼は、天から与えられたすばらしい聴力を生かして、ついには「スティーヴィー・ワンダー」の名で一九七〇年代の有数のポップ・シンガー、ソングライターとなったのである。(山口博・訳)

知ったのは、スティーヴィー・ワンダー誕生譚ではなく、この本が原著者の死(1955年)後も、カーネギー財団によって改訂、出版されていたという事実です。

CA3K0246前にも申しましたが、本書は精神修養を説く本ではなく、あくまで実用書。本書自体が「人を動かす」ことを目的としており、そこで時代に合わせた書き替えが行われたというわけです。

その書き替えすら、すでに古めかしい感じとなっているのは否めません。いずれは実用性よりも、歴史的資料として意味を持つようになるのでしょう。

konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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