2012年05月30日

不思議な懐かしさ

敬愛するY先生から、本をお贈りいただきました。

『小原鉄心「亦奇録」現代語版』(鉄心会発行、平成24年)B6判並製131頁、小ぶりでシンプルな装丁。幕末の大垣藩士が残した旅日記を現代語に訳し、注を付けられたものです。

小店にとって由良先生と並び、恩人というべき先生のお一人。そういえば由良先生もY。あともうお一方、やはりYで始まる、ご恩のある先生がおられます。それはともかく――

CA3K0258この旅日記、慶応二年(1866年)大垣から江戸への上編、江戸滞在記の中篇、藩主が幕命により京に向かうことになり、お供として急遽戻ることになった下編の三篇からなります。

いただいて、まだ読み始めたところですが、とても読みやすく、さすがはY先生と感服。楽しんでなされたお作であることが、よく伝わってきました。

ところでその冒頭のところ、すなわち「暁に城門を出」て名古屋へ向かい、その夜に宮(熱田)の「城州楼」で宴席に招かれる、というくだりに、いきなり感動を覚えたのです。

城北の龍ノ口から舟で堀川を下るところから、訳文を引用させていただきます。

すでに日は落ちて暗く、穏やかな河の流れは空と溶け合い、はてしなく拡がっている。左側に目をやれば、紅燈がびっしり列をなして波に影を落している。宮駅の妓楼である。南京の秦准呉江(しんわいごこう)は、こんな感じかと思ってみる。

店主の生まれ育ったのは、まさにこの近隣。幼い頃、近所に元治元年生まれという古老がいたことを思い出しました。賑わいの名残を見知っていたかもしれません。

見たこともないふるさとの景観に、懐かしさを覚えた、というのも妙でしょうか。

konoinfo at 20:54│Comments(0)TrackBack(0)

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