2012年06月16日
本じゃない
数日前に『石神井書林古書目録87号』を送っていただき、そのご当人に、昨日、古書会館の6階で会ったので、お礼を申し上げました。
高い意識で集められた本が並んでいるのに、家人も感嘆、感心していたと伝え、それに較べると、小店に並んでいるような本は本とは言えない、と率直な感想を述べたところ、それにはまともに取り合わず、逆にこんな話をしてくれました。
先日、練馬美術館の鹿島茂コレクション展で、ご本人のギャラリートークを聞く機会を得た。その時、鹿島ご夫妻がフランスで、さる最高級の挿絵本を扱う店に入った時、同行した奥様がそこに並ぶ美装本を見て、「あなたの持っている本は本じゃない!」と仰った、と言うお話しをされた――。
そのギャラリートークは事前告知を殆どされなかったため、およそ二十人程が二時間半にわたり、ゆっくりお話を聞けたそうで、一冊一冊、解説される姿が実に楽しげだったとか。
そんな話を聞いて、3階の明治古典会の会場へ降りると、最終台に実に美しい本が載っていました。
Cendrars のテクストに Leger が絵をつけた美術本。
La fin du monde, Editions de la Sirene, 1919.
内容が見られるサイトを見つけましたのでご紹介します。
http://cdm.reed.edu/cdm4/artbooks/cendrars_leger.php
昨日出品されていたのは、原装ではなく、何色にも染め分けた革をコラージュのように貼り合わせて、原著の雰囲気を見事に再現した美装本。
それほど美麗に仕上げても、オリジナルとどちらが良いかというのは、コレクター心理からすると微妙なところでしょうか。しかし、こうなるともはや美術品。これはこれで「本じゃない」と言いたくなります。
※写真はhttp://www.kb.nl/bc/koopman/1919-1925/c02-en.htmlから
高い意識で集められた本が並んでいるのに、家人も感嘆、感心していたと伝え、それに較べると、小店に並んでいるような本は本とは言えない、と率直な感想を述べたところ、それにはまともに取り合わず、逆にこんな話をしてくれました。
先日、練馬美術館の鹿島茂コレクション展で、ご本人のギャラリートークを聞く機会を得た。その時、鹿島ご夫妻がフランスで、さる最高級の挿絵本を扱う店に入った時、同行した奥様がそこに並ぶ美装本を見て、「あなたの持っている本は本じゃない!」と仰った、と言うお話しをされた――。
そのギャラリートークは事前告知を殆どされなかったため、およそ二十人程が二時間半にわたり、ゆっくりお話を聞けたそうで、一冊一冊、解説される姿が実に楽しげだったとか。
そんな話を聞いて、3階の明治古典会の会場へ降りると、最終台に実に美しい本が載っていました。
Cendrars のテクストに Leger が絵をつけた美術本。
La fin du monde, Editions de la Sirene, 1919.
内容が見られるサイトを見つけましたのでご紹介します。
http://cdm.reed.edu/cdm4/artbooks/cendrars_leger.php
昨日出品されていたのは、原装ではなく、何色にも染め分けた革をコラージュのように貼り合わせて、原著の雰囲気を見事に再現した美装本。
それほど美麗に仕上げても、オリジナルとどちらが良いかというのは、コレクター心理からすると微妙なところでしょうか。しかし、こうなるともはや美術品。これはこれで「本じゃない」と言いたくなります。
※写真はhttp://www.kb.nl/bc/koopman/1919-1925/c02-en.htmlから
konoinfo at 18:30│Comments(0)│TrackBack(0)│
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