2012年07月25日

『文化の地平』

いつ頃から縛られたままになっているのか、古い本の一束が倉庫の隅から出てきたので、今日店に持ってきて解いてみました。

一冊ずつ見ていくうち、自費出版らしい小さな詩集に「ご批評を」という紙片が挟まっていて、その宛名から、これらが誰の蔵書であったかが分かりました。

駒場から引っ越すという、詩人のお宅から引き取ってきたものです。かれこれ20年以上も前のこと。

何故この一束が残っていたのかは分かりません。あまり売り物になりそうもない、雑誌類が中心の束だったからでしょうか。

イメージ (75)その中から見つかった一冊が、この『文化の地平』です。ご覧の通り、簡素なステープル綴じ、軽印刷。奥付によれば昭和54年12月1日発行。編集/発行として中上健次の名、非売品の文字。A5判127頁。

中上自身の「あとがき」によれば、本書は、「新宮市の被差別部落春日町で部落青年文化会が開催した連続公開講座『開かれた豊かな文学』のゲスト講師に招いた八人の方の講義録」です。

同じ「あとがき」の末尾には「この講師の方々の講演録を、講師にも断りなく活字化し、部落青年文化会のメンバーの協力も同意もなく私一人の責任で刊行するのは」云々、とあります。

講演会は1978年2月から10月にかけて。第一回が佐木隆三、以下、石原慎太郎、吉増剛造、瀬戸内晴美、森敦、唐十郎、金時鐘、そして吉本隆明。

今この手元にある一冊は、つまりは講演者の一人に、編集発行人から送られてきたものであるわけです。「断りなく活字化」されたお歴々の反応が、どんなであったか知りたいところですね。

ちなみにこのとき、最年長の森敦が66歳、他はすべて50代以下です。中上健次は32歳。みんな若かった。

konoinfo at 19:16│Comments(0)TrackBack(0)

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