2012年08月21日

復刻本の末路

二週間ぶりの洋書会。昼前に店を出て、井の頭線、半蔵門線と乗り継ぎ、神保町の駅を上がると、寒暖計が36.5℃という数字を表示しておりました。会館まで5分少々の、日差しの中を歩くのがつらいほど。

市場は、休み明けで恐れていたわりには、品物の量は出ていました。ただし、点数は少ない。つまり1点ずつが沢山の冊数、いわゆる大山が大半。

こういう大山は、そのうちどれだけ生かせるか、残りをどう処理するか、という見極めが評価の分かれ目となり、札の違いとなって表れます。結局のところ、店主が入れた札では、一点も落札することが出来ませんでした。暑さに負けていたのかもしれません。

そんなわけで市場も早く片付き、まだ日も高いうちに会館を出ましたが、店にたどり着くと何だかすっかり疲れてしまい、店の裏でしばらくボーっとしておりました。

そのうち、店番のχ君が「お客様です」と、呼びに来ました。表に顔を出すと、店主と同年輩の男性が、店の棚に差してあった一冊の本をお持ちになり、「これと同じ本が、ウチに10冊ばかりあるのですが、幾らくらいで買い取っていただけますか」とのお尋ね。

あえて書名は申しません。昭和50年代に刊行された、戦前の趣味的な研究書の復刻版。小店の値札は5000円、ただし20年ほど前に特価本で仕入れた時に付けた、そのままの価格です。その当時としては、他より安めの価格だった――はず。

しかし今となってはネットで検索しても高い方の部類。要するに、売り時を逃してきた本というわけ。ともあれ、その辺りもご説明した上で、お引取りできる価格を申し上げました。

RIMG1330当初は30冊ほどあったものを、これまで知人に差し上げるなどしてこられたとか。残りも、そういうことにいたします、というのが、お客様のお答えでした。是非もありません。小店もこの機会に、思い切った安い値段に付け替えておくことにいたしましょう。

かつて復刻本ブームというものがありました。ちょっと古書価が付いているような本は軒並み餌食となり、業界では死活問題だと騒がれもいたしました。本書などは、まさにその時代のもの。

思えばこれまでにも、幾多の荒波があったのです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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