2012年12月26日

椅子は座るために有る

朝の冷え込みは昨日ほどではありませんでしたが、日中は昨日の方が暖かかったような気がします。表の本をご覧になるのも、さぞ寒いことでしょう。

CA3K0512そう案じておりましたら、お昼時、一人のお客様が、表の正面にある洋書棚から本を数冊ずつ抜いては店内に入り、入口横の机の上にスペースを作って、そこに本を乗せておられます。

何度か繰り返し、14〜5冊にはなったでしょうか。すると今度は、やおら机に押し込んである椅子を引き出しました。

この椅子は、まあ飾りのようなもので、普段から座面には本が置いてあります。この時もそうでした。しかしお客様は悠揚迫らぬ態度でその本を取り除け、腰を掛けられました。

そうして次に、本の山を選り分け始めました。ざっと2対1の比率で分け終えると、その小さく積みあがった方を、さらに一冊ずつ、ためつすがめつ吟味されておられます。

一通り吟味を終えると、立ち上がって、今度はお金を数えておられるようです。千円札を1枚、それに硬貨を何枚か、出したり引っ込めたり。

申し遅れましたが、このお客様は年配の外国人男性。始めのうちは随分ご老人にお見受けしたのですが、こうしてご様子をうかがううち、店主といくらも違わないように見えてきました。

さて、ようやく決心がつかれたようで、5冊の本をこちらに差し出されました。それまでずっと固い表情でしたが、その一瞬だけ、僅かに顔をほころばせて。

昨日の外国人とはうって変わって無口な方でした。値段を訊かれたのと、帰り際のひと言くらい。それにしても、このペースで本を選ばられるなら、今日のような寒さでは、確かに店内でなければ無理でしょう。

椅子は戻していかれましたが、選り除けた本は、食べ残した料理のように机の上に残っておりました。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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