2013年01月24日

本という表現

昨日に続いて、19世紀に出されたゲーテ文献をネットで検索して調べています。

本当は専門の書誌に当たるべきでしょうが、ある程度はWEB上の情報で間に合います。というより、本屋が一番知りたいのは本の相場ですから、世界中の販売サイトをクロス検索するのが、もっとも手っ取り早い方法です。

今更のようにわかったことは、ドイツ語の本でさえ、オンデマンドや、デジタル出版の波に、あらかた覆いつくされようとしているということです。

書名を入れて検索をかけると、殆どの本に「新刊あり」の表示が出ます。それは「ご注文があればいつでも作ります」という意味なのでした。

新刊しかないという例もあります。オリジナルが見つからないということで、だから貴重なのかと思うと、研究書などの場合は、それほど高い値がつくわけでもなさそうです。そうそう「化け」ません。

しかし100年を超えて生き延びてきた本です。何とかして、新たな受け入れ先を見つけてやりたい。

イメージ (110)一方で文学作品、とりわけ詩集などの場合は、本の形も味わいの重要な一部分ですから、まだ古書の生き残る余地はありそうです。

例えばこの小さな詩集。横9.2cm、縦12.8cm、本文袋綴じ12葉、中には短詩が16篇。これをデジタル化したところで、何の意味もありません。Cid Corman 自身の手による、Origin Pressの1962年刊。

日本とアメリカとを何度も行き来して、最後(2004年)は京都で亡くなったこの詩人、その名前に懐かしい響きを感じる人には、この片々たる冊子も、それ自体が詩人の表現として貴重である筈です。であって欲しい。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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