2013年03月14日

『春と修羅』

先週の明治古典会。幹事一同で昼食を取りながら、軽いミーティングをしておりまして、話題が『春と修羅』に及びました。「やっぱりテレビの影響は大きい」という話からです。

本ブログでも先日、テレビ番組で高倉健が「愛読書」と紹介した本が、ネットでは高値となっていることをお伝えしましたが、今回の話は例の『ビブリア古書堂』。

まず組合広報部にお詫びしなければなりませんが、小店主は未だにこの番組を見ておりません。見まいとしているわけではなく、たまたま機会がないだけです。ご寛恕を。

さてその何回目かの放送で、この『春と修羅』が取り上げられて以来、同書がヤフオクやら、Amazonやらで高値を呼んでいるというのです。オリジナルがではありません、復刻本がです。

もっともオリジナルの方は、かつてほどではないにせよ、近代文学書の中でもトップクラスの古書価が付く本です。普通の人が、ちょっと買ってみようか、という金額ではありません。

しかし近代文学館が作った復刻本は、ついこの間まで他の作品同様、1000円前後で売られていました。まあ話題になったから、その2、3倍の値で売れるようになった、というくらいなら理解できます。

ところが、一人の同業が披露してくれた話は「ヤフオクで3万円くらいになったという話を聞いて、倉庫を探してみたら2冊出てきたので、すぐにアップしたら1万3千円で、2冊ともあっという間に売れた」。

RIMG0017「良く2冊も持ってたね」と、話を聞いていた同業の驚きは、その抜け目なさにではなく(それは誰にもあるものですから)、その幸運に向けられたものでした。

本と思うから驚いたり、あきれたりしますが、冷静に考えればありふれた話に過ぎません。ちなみに現在Amazonには1万円〜2万3千円で数冊出ています。

しかし、だからといって古本屋がもし持っていたとして、店で『春と修羅』復刻本に、1万円の値を付けて売ることはないはず。「日本の古本屋」でも同じこと。

そんなことをして、仮にもお客様が売りに来られたら、一体いくらで買えばよいのでしょう。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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