2013年10月25日

あと一声

市場で最大の関心事は、通常の場合「何がいくらで落札された」ということです。しかし今日の明古に限って言えば、最も関心を集めたのは、「何がいくらで落札できなかった」ということだったでしょう。

何故そういうことになったのかと申しますと、今日は月末の特選市で、入札市を終えてから恒例のフリ市(口競り)が行われました。その最後に、今日一番の目玉商品が、競りにかけられたのです。

朝、商品陳列の段階で、幹事の誰もが驚いたその商品というのは、「滝口修造ドローイング」と封筒に記された、A5判ほどのサイズの一冊のルーズリーフノート。

各葉には、水彩と思しい実験的な絵画が描かれています。44枚あるらしい。冒頭の紙には、本人の署名と短い識語、それに年号を表すと思われる1961という数字。

もし売買が成立すれば、それだけで今日の出来高が何割増しかになるような、珍しい商品であることは、店主の目にさえ明らかでした。

結果から言えば成立しなかったわけですが、これがもし入札であれば、止め高であったということしか、参加者にはわかりません。誰がいくら入札したかということも、いくらなら落札できたのかということも。

フリの場合は違います。競り上げて、それでも届かなかったということ、つまり止め値はそれより高かったということは、会場にいる誰にも分かります。

実はこの商品をフリの最後に持ってくることに、当初は不安視する声がありました。出来なかったとき、場が白けてしまうのではないかと恐れたからです。

RIMG0634しかし杞憂でした。案じたとおり出来なかった(成立しなかった)のですが、競り声は、かなりの金額まで達し、それだけで会場は沸きました。あと最後の一声があれば、というところまで行ったのです。

この一点の不成立が告げられ、市場が終わった時には、健闘をたたえるような拍手が起きたのでした。

konoinfo at 22:55│Comments(0)TrackBack(0)

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